『茲山魚譜 チャサンオボ』や日本映画『太陽は動かない』などで知られるピョン・ヨハン主演で、韓国の振り込め詐欺を初めて描き、オープニング成績1位の大ヒットを記録した映画『声/姿なき犯罪者』から、日本版ポスタービジュアルと予告編が解禁された。ピョン・ヨハンが振り込め詐欺の被害にあった妻や同僚たちの苦しみを胸に抱き、30億ウォンを取り戻すために、詐欺グループに立ち向かう元刑事ソジュンを熱演、激しいアクションシーンにノースタントで挑んだ本作。巨大な詐欺組織の総責任者クァクを演じたのは、『悪人伝』でマ・ドンソク演じる組長と共闘し殺人鬼を追う刑事を演じ、「未成年裁判」や「グリッド」など配信ドラマでも活躍するキム・ムヨル。本作では極悪非道な犯罪者を怪演し、ソジュンら被害者を絶望の淵に陥れる。今回解禁となった予告編では、「目標額は180憶ウォン!」という声のもと、パソコンと電話が設置された机に向かって大勢の人が作業する部屋が映し出され、建設現場で働くソジュン(ピョン・ヨハン)の妻に「友人の弁護士キム・ヒョンスです」と名乗る電話が。「夫がケガを?」と驚き、スマホからお金を振り込む妻。すると詐欺組織の本拠地では“入金”の札があがり、「振り込め詐欺は“共感”が重要だ」と責任者クァク(キム・ムヨル)が力説する中、あっという間に詐欺が成功してしまう。全てを失ったソジュンは、妻や同じように騙された同僚たちの金を取り返すため、組織への潜入を決意。詐欺事件を追いかける刑事(キム・ヒウォン)らの驚きをよそに、元刑事だったソジュンは危険を顧みずどんどん組織の内部に入り込んでいく。「地獄を味わわせてやろう」と狂気をみせ、非情な詐欺を続けるクァクたちに、「殺す」と決意も固いソジュンはどう挑むのか。壮絶な復讐劇を予感させる内容になっている。実は、ピョン・ヨハンやキム・ムヨル、キム・ヒウォンも振り込め詐欺の手口に騙されそうになったことがあるという。ピョン・ヨハンは「本作のシナリオを読んで数日後、家族に僕のマネージャーの名前でお金を要求するようなメッセージが届いた」と明らかにし、身近なところに犯罪があることを実感、映画の中でもこうした犯罪を処断したかったと話した。そして、併せて解禁された日本版ポスターには、「その[声]は、全てを奪う。」というコピーとともに、対照的な表情のピョン・ヨハン、キム・ムヨルが配され、全てを奪われた男と全てを奪った男の2人がどう対決していくのか、期待が高まるビジュアルとなっている。監督らの念入りなリサーチと俳優たちの熱意が、世界中どこでも誰もがターゲットになりうる「振り込め詐欺犯罪の現実」を我々に突きつける本作に注目だ。『声/姿なき犯罪者』は10月7日(金)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:声/姿なき犯罪者 2022年10月7日より新宿武蔵野館ほか全国にて公開ⓒ 2021 CJ ENM Co., Ltd., SOOFILM ALL RIGHTS RESERVED
2022年08月18日シャープは4日、振り込め詐欺対策機能を強化したデジタルコードレス電話機2モデル「JD-AT81CL(子機1台)」「JD-AT81CW(子機2台)」を13日に発売すると発表した。価格はオープンで、市場予想価格は「JD-AT81CL」が2万3,000円前後(税抜)、「JD-AT81CW」が3万3,000円前後(同)。○不審電話を自動判別して着信拒否同商品は、不審な電話を自動で判別し着信を拒否する「迷惑電話フィルタ」を搭載。同機能は、トビラシステムズが提供する有料サービスで、警察や自治体などから提供された迷惑電話番号情報をもとに作成したデータベースを活用し、振り込め詐欺や悪質な勧誘電話などを自動で判別し着信拒否する。データベースは電話回線を通じ毎日更新されるため、新たに使用された迷惑電話の着信も拒否することが可能。また、「メール通知機能」を使用すれば、離れて暮らす家族も着信拒否した件数などを確認できるという。従来機から搭載している「自動聞いてから応答」「あんしんLED」「自動通話録音」など、7つの詐欺対策強化機能も設定不要で使用できる。これらの機能は、2015年4月より東京都足立区と共同で実施した社会実験で、実験参加者の9割以上から迷惑電話対策に一定の効果があったと評価されているという。シャープ広報は「昨年から振り込め詐欺が増えている。そこで様々な詐欺の入口となる電話から被害を水際で食い止めるために今回の商品を企画した」と話している。
2015年11月05日ニフティは17日、2015年10月から2016年3月までの6カ月間、東京都内の一般家庭にてVPNサービス「スマートサーブ」を活用した振り込め詐欺感知システムの実証実験を行うと発表した。同システムは、クラウド上で通話内容を解析し、振り込め詐欺で使われやすい文章パターンを検知すると、電話を受けた本人と事前に登録した家族にメールで通知するもの。通話データをクラウド上に収集する際には、スマートサーブを介して通信を行うため、第三者によるのぞき見や不正アクセスの心配がないとしている。検知する詐欺に関するキーワードは、警視庁犯罪抑止対策本部に、固定電話などの機器や解析技術は、パナソニックシステムネットワークスや、NECプラットフォームズなどメーカー各社に協力を得ているという。実証実験の対象となるのは、東京都内在住の65歳以上の@nifty会員のうち、モニター協力賛同者。使われる機器は、モバイルルーター「Aterm MR04LN」(NECプラットフォームズ製)、パーソナルファックス「おたっくすKX-PD604DL-W」(パナソニックシステムネットワークス製)、無線LAN搭載SDHCメモリカード「FlashAir」(東芝セミコンダクター&ストレージ製)、スマートサーブ専用機器「サービスアタプター」(ニフティ製)、音声認識技術「AmiVoice Cloud」(アドバンスト・メディア製)となっている。
2015年09月17日ニフティは17日、東京都内の一般家庭で、ネットワークサービス「スマートサーブ」を活用した振り込め詐欺検知システムの実証実験を10月から開始すると発表した。○クラウド上で通知内容を解析同システムは、クラウド上で通話内容を解析し、振り込め詐欺で使われやすい文章パターンを検知すると、電話を受けた本人とあらかじめ登録した家族に警告を通知するというもの。詐欺キーワードについては警視庁犯罪抑止対策本部が、固定電話などの機器や解析技術についてはNECプラットフォームズをはじめとするメーカー各社が協力。振り込め詐欺で使われやすい文章パターン(詐欺に関する単語の有無やその組み合わせ)を判別するため、精度の高い検知が期待できるという。同システムで使用するスマートサーブは、サービスアダプターを宅内のLANにつなぐことで、セキュアなネットワーク(VPN)を構築することができるネットワークサービス。通話データをクラウド上に収集する際には、「スマートサーブ」により安全な通信を行うため、第三者による覗き見や不正アクセスの心配がないとしている。実験対象は東京都内在住の65歳以上の@nifty会員のうち、モニター協力賛同者。実験期間は2015年10月初旬~2016年3月末。ニフティは、今回の実証実験で得られた結果を元に、検知の精度や通知タイミングなどの改善・改良を行った上で、正式サービスとして提供する予定という。
2015年09月17日シャープは8月25日、都内で製品発表会を行い、振り込め詐欺対策機能を搭載したデジタルコードレスファクシミリ「UX-AF91CL」「UX-AF91CW」を発表した。発売は9月11日。価格はオープンで、推定市場価格は子機が1台の「UX-AF91CL」が35,000円前後、子機が2台の「UX-AF91CW」が45,000円前後(ともに税別)。○迷惑電話対策を強化UX-AF91CLとUX-AF91CWは、不審な電話を自動判別し、着信拒否する機能を備えたファクシミリ。2月に発売された「UX-AF90CL」を機能強化したモデルだ。本体サイズはW296×D88×H190mmで、重量は約2.3kg。なお、迷惑電話を着信拒否するサービスの利用には、月額最大400円(税別)の料金がかかる。主な機能として、未登録番号からの着信時に、振り込め詐欺対策モードが設定されていることをアナウンスする「自動聞いてから応答」、非通知の電話を自動で拒否する「非通知お断り」、家族や警察などあらかじめ登録した番号にワンタッチで電話をかける「あんしん相談ボタン」などを備える。このほか新機能として、着信拒否した件数を離れて暮らす家族などに伝える「メール通知サービス」を追加している。○迷惑電話を取らずにすむように現行のUX-AF90CLは、ユーザーが「お断り番号リスト」に登録した番号を自動的に着信拒否するシステムとなっている。つまり、お断りリストに登録するには、迷惑電話に一度出る必要がある。そこで新モデルでは、情報通信業を展開するトビラシステムズの「迷惑電話フィルタ」を採用。ユーザーが登録していない迷惑電話もフォローできるようになった。迷惑電話フィルタは、警察や自治体が記録している犯罪使用番号、トビラシステムズが独自に調査した迷惑番号、トビラシステムズがユーザーから報告を受けた番号を集めた「迷惑電話データベース」に基づき、迷惑電話を自動的に着信拒否するシステム。データベースには約2万の電話番号が登録されている。登録件数は日々増加しているが、UX-AF91CLとUX-AF91CWはトビラシステムズのサーバーに定期アクセスすることで、常に最新のデータベースを入手する。○振り込め詐欺対策を、電話の機能がフォローする発表会では、シャープ モバイル事業本部 モバイルソリューション事業部長 辰巳剛司氏が、昨今の振り込め詐欺被害状況を紹介。2015年に起こった詐欺事件の約8割が振り込め詐欺であること、固定電話の購買層と振り込め詐欺の被害者層が一致していることから、「ユーザーが思わぬ落とし穴にはまらないよう、電話機能で対策することが我々の社会的役割」との姿勢を示した。また、詐欺の手口は巧妙化しながらも、固定電話を介している点は変化がないことを指摘。固定電話を使用した詐欺対策に強化の必要性を感じ、今回の新モデルを開発したことを明かした。
2015年08月25日東京都は26日、振り込め詐欺など特殊詐欺対策として、警告メッセージと録音機能により被害を未然に防ぐ「自動通話録音機」の無償貸し出しを開始すると発表した。2014年中の都内における特殊詐欺被害総額は約80億円に上り、依然として被害は深刻化している。このような現状を踏まえ、都は自動通話録音機の無償貸し出しを開始することを決定。この自動通話録音機は、電話機の呼出音が鳴る前に、警告メッセージを発信することで犯人に通話を断念させ、被害を未然に防止する効果が期待できるというもので、会話内容も全て自動で録音する。申込受付は2015年6月1日から、貸し出し開始は同6月29日から。貸し出し対象は都内在住のおおむね65歳以上の人が居住する世帯。貸し出し台数は1万台。申込は居住地域を管轄する警視庁各警察署の犯罪抑止担当(一部を除く)、または区市町村安全・安心まちづくり担当課(一部を除く)まで。
2015年05月27日武蔵野銀行はこのたび、埼玉県警からの要請に基づき、振り込め詐欺被害未然防止の新たな取組みとして、「預金小切手」を活用した防止策を開始したと発表した。具体的な取組みとして、高齢の顧客が窓口で多額の現金の引き出しを希望する場合、チェックシートでの確認に加え、「記名式線引預金小切手」の利用を薦め、被害の発生を抑止していくという。「預金小切手」とは、銀行が支払人として振り出す小切手のことをいい、「記名式」とは、受取人の名前を小切手に記載する方法で、記名された受取人だけが、支払いを受けることができる。このことから、不正に小切手を拾得した第三者に現金化されることを防ぐ効果が高くなるという。「線引」とは、小切手の現金化を銀行と取引のある顧客のみに限定するもの。従って、誰に支払いをされたかが明確になり、被害防止につながるとしている。○「預金小切手による振り込め詐欺被害防止対策」について開始日:3月1日(日)から(営業日3月2日から)実施店舗:全営業店(95か店)実施金融機関:武蔵野銀行、埼玉りそな銀行、埼玉縣信用金庫、川口信用金庫、青木信用金庫、飯能信用金庫、埼玉信用組合、熊谷商工信用組合、埼玉県医師信用組合、埼玉県信用農業協同組合連合会(JAバンク)同行は、今後も警察署と連携を図り、振り込め詐欺の被害防止に努めていくとしている。
2015年02月24日ジェムアルトは2月19日、振り込め詐欺(オレオレ詐欺)の被害防止対策として、モバイル端末を使用した新しいソリューション「Ezio Mobileアウトオブバンド管理サーバー」を3月末に発売すると発表した。Ezio Mobile SDKを活用しており、銀行口座の名義人である家族などの第三者に対して、セキュリティ用の通知・認証要求を送信することで、当該口座での不審なやりとりを即座に把握、対応を取ることが可能となる。例えば、あるお年寄りがATMで現金を引き出す際、息子のモバイル端末に認証メッセージを通知して、息子が端末上で取引を確認・承認する使い方が想定される。また、OATH認証システムを導入しており、ATMでの現金引き出し、インターネットバンキングなど、さまざまな取引形態や取引経路に対応しているので、それらを経由した詐欺を阻止することが可能だという。
2015年02月20日シャープは2月5日、デジタルコードレスファクシミリ「UX-AF90CL」と電話機「JD-AT80CL」を発表した。新製品は、昨今問題となっている"振り込め詐欺"の対策に役立つ製品だという。○どうやって"振り込め詐欺"被害を防ぐのかUX-AF90CLとJD-AT80CLは、振り込め詐欺被害に遭うことを防ぐための7機能を搭載する。そのうちの1つが「自動聞いてから応答」機能だ。電話機本体の電話帳に登録されていない電話番号から着信した場合、振り込め詐欺対策モードが設定されていることを知らせる自動応答メッセージが流れる。その音声メッセージが、電話を掛けてきた相手に名乗るよう促すため、ユーザーは相手の名前を確認してから電話に出るかどうかを判断できる。そのほか、電話帳に登録されていない電話番号からの着信を赤色のランプで通知する「あんしんLED」機能や、非通知の電話を自動で通話拒否できる「非通知お断り」機能、警告メッセージを流してから通話内容を録音する「自動通話録音」、不審な電話などで困った時に家族や警察・自治体などあらかじめ登録した相談先にワンタッチで電話を掛けられる「あんしん相談ボタン」などの機能を備える。ファクシミリのUX-AF90CLは、2013年2月に発売されたUX-810CLの後継モデルだ。4.9型の視認性に優れた液晶ディスプレイや、ワンタッチで操作できる"音量大"ボタン・"音声案内"ボタンなど高齢者の使用を意識した操作性となっている。○足立区で新製品の効果を実証する実験新製品発表会には、シャープ デジタル情報家電事業本部 モバイルソリューション事業部 事業部長の辰巳剛司氏が登壇。「携帯電話の普及によって固定電話回線の加入者数は微減が続いているが、現在も約5,600万回線を維持している。ファクシミリや電話機端末の需要も減少傾向にあるが、2014年度の販売台数は年間約280万台に上る」と固定電話機に根強い需要があることを強調した。さらに「固定電話端末の購入者層は60歳代が30.9%、70歳以上が42.8%。全体の約7割が60歳以上のシニア層」と分析し、高齢者のニーズに合わせる形で、このたびの新製品に振り込め詐欺対策機能を搭載したと述べた。また、発表会にはゲストとして、足立区役所 危機管理室 危機管理課長の伊藤三津夫氏も登場した。軽犯罪が多いといわれる同区での犯罪防止の取り組みと、振り込め詐欺被害の実態を紹介した。伊藤氏によると、"特殊詐欺被害"と呼ばれる、いわゆる振り込め詐欺の被害件数は、足立区において2013年が107件、2014年が101件。被害額はそれぞれ約3億1,000万円、約3億4,000万円にも上ったとのことだ。足立区は、2014年8月から都内で実施されている「特殊詐欺根絶オール東京プロジェクト」のモデル自治体でもあり、区内では実証実験なども行われている。2015年4月から9月までの半年間、足立区内に住む65歳以上の100世帯に新製品を貸し出して行う効果検証には、シャープも協力する。伊藤氏は「1件でも振り込め詐欺を減らしたい。今回の新製品がその起爆剤となれば」と実験への意気込みを語った。
2015年02月05日警察庁はこのほど、2014年1~11月の特殊詐欺の認知・検知状況等を発表した。それによると、振り込め詐欺などの特殊詐欺の被害総額は11月までの累計で約498億7,344万円となり、過去最悪だった2013年1年間(約489億4,949万円)を既に上回ったことがわかった。被害総額のうち、振り込め詐欺の被害額は328億5,723万円、振り込め詐欺以外の特殊詐欺の被害額は170億1,620万円。認知件数は1万1,901件で、うち振り込め詐欺は9,922件、振り込め詐欺以外の特殊詐欺は1,979件だった。振り込め詐欺を類型別に見ると、オレオレ詐欺の被害額は157億5,236万円、認知件数は5,015件。架空請求詐欺の被害額は145億6,775万円、認知件数は2,718件と、昨年(52億6,357万円、認知件数1,333件)から急増した。融資保証金詐欺の被害額は7億8,556万円、認知件数は531件。還付金等詐欺の被害額は17億5,155万円、認知件数は1,658件となった。
2014年12月24日息子であるなどとかたって高齢者の自宅に電話をかけ、「急に資金が必要になった」などとして、高齢者にお金を振り込ませる「オレオレ詐欺」。同詐欺に代表される『振り込め詐欺』は、被害額や被害件数のピークは過ぎたとはいえ、社会の油断につけこむような形でここにきて増加する傾向にあり、2011年の被害額は127億円にも上った。どうすれば被害の増加を防ぐことができるのか。警察庁や金融機関が行っている犯罪撲滅への取組みを聞いた。警察庁によると、「オレオレ詐欺」や「架空請求詐欺」、「融資保証金詐欺」などの『振り込め詐欺』の実質的な被害総額は、ピークだった2004年は283億7,900万円だったのが、2009年には一旦95億7,900万円までに減少。だが、2010年には100億8,800万円、2011年には127億1,900万円となり、再び増加する傾向にある。しかも、その手口は巧妙化し、息子などをかたって高齢者にお金を振り込ませる「オレオレ詐欺」のほか、金融商品の取引などを電話でもちかけてお金を振り込ませるなど、新たな手口も出てきている。さらに、警察の取り締まりによって幼稚な手口で犯罪を行う犯罪者の多くが検挙される一方、振り込め詐欺を専門として巧妙な手口で犯罪を行うなど「プロ集団化」する傾向もあるという。今回は、『振り込め詐欺』撲滅の最前線で対策を行っている、警察庁 犯罪抑止対策室 振込詐欺対策室 警視の井手孝志氏に、犯罪の最近の動向と、その阻止のための取組みについてインタビューした。――まず、『振り込め詐欺』についての、これまでの動向について、教えてください。2003年ぐらいから、特に女性の高齢者を狙って、息子を思いやる気持ちを利用して、高額のお金を騙し取る「オレオレ詐欺」による被害が社会問題化し、警察と金融機関が官民一体となって、2004年ぐらいからこれを阻止・検挙するための対策を行ってきました。その後、国民運動的な対策をとってきた結果、一旦は収束するような状況になり、犯罪の発生自体も少なくなって被害額のほうも一番ひどい時期に比べると、かなり少なくなって対策の効果があがったんですね。しかし、一定の効果があがったために、ちょっと油断してしまった感がありまして、社会的にも、「私は騙されませんよ」「自分の息子の声は聞き分けができますよ」といった、自分に対する過信のようなものがでてきたんです。犯罪者たちはそこを突くような形で、2009年には一旦95億円まで減少した被害額が、2011年には127億円という高額の被害となってしまいました。皆さんには、現在もそういう状況であるということを、知っていただきたいと思っています。――『振り込め詐欺』は、どのような手口で行われるのでしょうか?「オレオレ詐欺」は、電話で息子であることなどをかたり、中には警察官役や弁護士役も登場して、劇のような形で行われることもあります。この”息子がたり”の場合は、風邪をひいたなどと言って若干咳き込んだりしながら声が違うことを悟られないようにしながら、携帯電話が壊れたから新しい携帯電話番号に変わったと話し、一旦電話はそこで終わります。まず、本当の息子さんのものとは異なる携帯電話番号を信じさせるわけです。これを我々では、「アポ電」と呼んでいます。その上で、後日その番号から電話して、「会社のお金を使いこんでしまった」とか、「重要な書類を電車の中に置き忘れて会社に損害を与えてしまった」とか、最近では、「人妻を妊娠させてしまって、示談をしなければならなくなった」とか言うわけです。高齢の方からすれば、久しぶりに息子から電話があったことで喜んだ後に、息子が大変困っているという話を聞いて、助けてやらなければならないという気持ちになります。そこで犯人から、「今日中に100万円振り込まなければいけない」などといわれると、犯人の指示通りに金融機関やATMなどに行き、言われるままに操作することで、多額の現金が犯人の口座に振り込まれてしまうわけです。犯人は高校の卒業アルバムなどを通じて、息子の高校名や電話番号などを知った上で、親の年齢などを想定し、電話をかけるわけです。こうした犯行に使う名簿や携帯電話、銀行口座などの”犯罪道具”を調達するグループが、インターネットサイトなどを通じて、犯罪者に売るケースも多く見られます。例えば、会社名義だと数十台の規模で携帯電話を調達することもできますので、我々としては、こうしたグループも検挙しています。――犯行を行う前段階の準備を専門的に行うグループもいて、まさに「プロ集団化」しているわけですね。そのほかにも、一切債務がないにもかかわらず、インターネットの有料サイトを利用したからなどと言って現金を振り込ませる「架空請求詐欺」、お宅に100万円貸せることになったから、融資のための保証金を振り込んでくださいなどという「融資保証金詐欺」、さらには、社会保険庁を名乗り、医療費の還付がありますからなどと言ってATMまで行かせて指示通り操作させて現金を振り込ませる「還付金詐欺」などがあります。中には、直接犯人が自宅に出向いて、直接現金を受け取りに来ましたとか、キャッシュカードを預かりに来ましたとか、振り込ませるのではなく、現金やキャッシュカードを直接だまし取るケースも出ています。また、こうした詐欺に加えて、最近急増しているのが、金融商品の取引を装った詐欺です。未公開株を取得する権利者に選ばれたなどと電話で言った後に、それらしく見せた資料を郵送し、”未公開株”の代金を振り込ませる場合や、今後外国通貨のレートが上がりますからなどと言って勧誘し、現金を振り込ませるケースもあります。さらに悪質なのは、金融商品への投資に過去失敗したことがある人に対して、「損をした分を回収できる方法がある」などと電話し、さらに食い物にするケースです。まともな金融機関が電話で金融商品を勧誘することはありませんから、こうした”おいしい話”を電話で勧誘してくるような手口には、十分注意してほしいです。――新たな手口も次々に出てきているわけですね。警察庁や警視庁、各道府県警では、どのような対策を行ったり、呼びかけたりしていますか?まず、これまで述べてきたような、いろんな手口を知ってもらって対策を講じてもらえるよう、注意喚起を行っています。例えば、「留守番電話作戦」というものがあるのですが、高齢者の方が在宅の時でも、固定電話の設定を「留守電設定」にしておくというものなんですね。我々は「留守番電話作戦」と呼んでいて、昨年から呼びかけを行っています。というのも、犯人と被害者をつないでいるのは電話ですよね。そこで、犯人との接触そのものを絶ってしまおう、遠ざけてしまおうというのが、この対策の趣旨です。犯人グループがかけてくるのは、高齢者の自宅の固定電話が大半ですから、高齢者がいきなり電話をとることによって、被害にあってしまうので、一旦留守電設定にしておいて電話してきた相手を吟味し、本当に必要な用件で電話をかけてきた人にだけ、電話をしなおすといった方法をとっているのです。さらに、金融機関やコンビニエンスストアなどと警察が連携をして、だまされた人が窓口やATMに来る可能性があるから、そこで不審な点に気づいたら声をかけてくださいよ、とk金融機関の職員さんやコンビニエンスストアの店員さんにお願いしているわけです。全国銀行協会さんでは、2008年から振り込め詐欺防止のキャンペーンをずっとやっていただいて、被害者が被害に遭わないですむ”最後の砦(とりで)”として、大変協力をしていただいてます。携帯電話を持ちながらATMを操作する人がいたら声をかけたり、高額の引出しをする人がいたら、それはどういった用件で必要なお金ですか、もしかしたら息子さんから電話か何かで頼まれたんじゃないですか、など、チェックリストに沿って、リストの項目に該当するようなお客さんに声をかけていただいているわけです。その結果、2011年では、振り込め詐欺の22%が、金融機関やコンビニエンスストア、郵便局などで阻止できているという効果が出てきています。もしこれがうまくいってなければ、そのままこれら方々が被害に遭われたわけですから、大変な成果だといえると思います。また、昨年からは、高齢者の方々の周辺にいる家族に関心を持ってもらうことが一番いいだろうということで、『家族で守る財産』『家族の絆で振り込め詐欺に対抗していきましょう』というキャッチフレーズで、家族の方々への注意喚起を行っています。やっぱり、お子さんやお孫さんから、注意してねということを言われると、「私は大丈夫」と思っている高齢者の方々の心にも言葉が響くのではないかと思っています。具体的には、駅などにそうしたことを呼びかけるポスターなどを貼ってたりして、家族の方々に呼びかけています。そのほか、老人会やヘルパーさん、民生委員さん、病院の方々などにも、注意喚起を行っています。また、本当の息子さんのものとは異なる携帯電話番号を信じさせる「アポ電」に関しては、電話番号が変わったということを冷静になって怪しんでみて、もともとの息子さんの携帯電話に電話をかけてみましょうということも呼びかけています。――警察からも本当にさまざまな人々に協力をよびかけ、対策をとっているわけですね。警察庁さんとしては、どのような組織体制で、振り込め詐欺に取り組んできたのでしょうか?振り込め詐欺の被害が大変なことになっているということを受け、警察庁の犯罪抑止対策室の中に、警察庁のナンバー2である警察庁次長がトップになって、「振込詐欺対策室」を設置しました。この専従の対策室や捜査2課などが主体となって、対策を行ってきたのです。約8年間対策を行ってきた中で、ある程度幼稚な手口の犯罪者は検挙できたと思っていますが、いまだに犯罪を行っているような連中は相当な用心をしながら犯行を行っており、”プロ集団化”してきています。そういう点が、手口が相当に巧妙化している背景にあるのだと思います。――最後に、振り込め詐欺に遭わない為に、最も大切なことを教えてください。被害に遭われるのはやはり本人ですから、悲惨な被害のケースなどを人ごととおもわず、「私は大丈夫」という過信を捨てて、わが身に置き換えて考えていくのが、一番だと思います。いつわが身にふりかかるかわからない、という意識を持っていただけることが大切だと思っています。――本日はありがとうございました。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月25日セブン銀行は24日から、同行ATMで『STOP! 振り込め詐欺』キャンペーン画面の表示を開始した。表示期間は2月29日までを予定している。キャンペーン画面は、同行ATMのセカンドディスプレイ(上部画面)を活用して表示。同画面では、「振り込め詐欺」に遭わないために、ATMの利用限度額を下げておくことを推奨している。「ATM利用限度額の引下げ」手続きは、金融機関によって異なるため、「詳しくは各金融機関に問合せてほしい」(セブン銀行)としている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年02月24日有利な取引に見せかけてアクサ生命保険株式会社は24日、同社の名を騙って不正な取引を持ちかける勧誘が報告されている、と顧客に注意を促す発表をした。例示された手口は主に書類を使ったもので、利回りが期待できる社内預金制度があるかのように話を進め、「優遇金利資産預かり契約」などという書面を用意して取引の勧誘をするというもの。書類は「債務確認並びに弁済契約書」と呼称するものが使われる場合もあるという。※画像はイメージソニー生命でも今月1日にはソニー生命も、『「ソニーファイナンス」を名乗る金融業者のDM(ダイレクトメール)にご注意ください』として、同社と関わりのない業者が名を騙っている事例を公表、顧客に注意を喚起している。アクサ生命は今回の発表に際し、下記のようにコメントした。当社にはこのような社内預金制度および契約等は存在せず、かかる勧誘は当社とは何らの関係もございませんのでご注意ください。
2010年12月28日