『誰も知らない』『そして父になる』『三度目の殺人』の是枝裕和監督の最新作が、リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、樹木希林ら豪華キャストを迎え、6月に公開されることが決定。すでに昨年12月よりクランクインしている本作は、今月1月いっぱいで撮影を終える予定だという。なお、タイトルは未定。あらすじ再開発が進むなか、ポツンと残された古い住宅街。日雇い仕事の父・治(リリー・フランキー)と息子の祥太(城桧吏)は“親子”ならではの連携プレーで万引きに精を出している。その帰り道、団地の廊下で凍えている幼い女の子を目にした治は思わず家に連れて帰ってしまう。突然、子どもを連れてきた夫に腹をたてる信代(安藤サクラ)だったが、体じゅう傷だらけのじゅり(佐々木みゆ)の境遇を察し、面倒をみることにした。祖母・初枝(樹木希林)の年金を頼りに暮らすその一家は、風俗のバイトをしている信代の妹・亜紀(松岡茉優)、そして新しい家族のじゅりも加わり、貧しいながらも幸せに暮らしていた。しかし、ある事件をきっかけに家族の隠された秘密が明らかになっていく――。是枝監督が手掛け、柳楽優弥がカンヌ国際映画祭で最優秀主演男優賞を受賞したセンセーショナルな問題作『誰も知らない』(2004)は、実際の子ども置き去り事件を元に、過酷な状況下で生きる子どもの姿をリアルに描いた。あれから13年、様々な“家族のかたち”を描き続けてきた監督が、この10年間考え続けてきたことを全部込めたと語る、渾身の最新作が始動!是枝組に安藤サクラ&松岡茉優が初参加最新作は、東京の下町に暮らす一見どこにでもいそうな、平凡で貧しい家族だが、実は「犯罪」で生計をたて、ひっそりと暮らしている家族を描く物語。「犯罪」でしかつながれなかった家族たち。不完全だが、愛すべき“家族”の心揺さぶる衝撃のストーリーが紡がれる。本作に出演するのは、『そして父になる』で庶民的な父親を好演したリリーさんが柴田治役。その妻・信代役と妻の妹・亜紀役に、是枝組初参加となる安藤さんと松岡さん。祖母・初枝役には、是枝作品の「家族」に欠かせぬ存在である樹木さん。さらに、オーディションで選ばれた子役2人、城桧吏と映画初出演となる佐々木みゆが、息子・祥太と新しい家族のじゅりを演じる。樹木希林、是枝監督作はこれで最後?「是枝作品の中に居るのはこれでおしまい」今作で監督のほかにも脚本や編集も担当する是枝監督は、本作製作のきっかけについて、「死亡通知を出さずに親の年金を不正に貰い続けていた家族が逮捕された事件に触れたこと」と明かす。是枝監督とはもう4回目だと言うリリーさんは、「純粋に嬉しいです。是枝組独特の穏やかで澄んだ空気感の中、本作は社会や人にとって、とても重大なのに、ほんの1日で黙殺されてしまうような出来事にフォーカスを当てていく。是枝監督らしい、いい作品になると感じています」とコメント。安藤さんは、「いまこのタイミングでこの作品に出演できることをとても嬉しく思っています」と言い、「どんなことになることやら、なかなか想像ができません。とにかく、やってみます!」と意気込みを語っている。また松岡さんは、「あの本を読んだ、あの映画を見た。産まれて、育ててもらって、生きてきたすべてのことが正しかったんだと肯定されたような気持ちでした。夢のような顔合わせは現実には思えなかったです」とオファー時の心境を明かし、樹木さんも「是枝作品の中に居るのは これで おしまいちょいと ブラブラしすぎる台本は読みちがえるわ 口は出すわ悪口は言うわ 都合悪けりゃボケたふりするわ困ったもんだ」と出演について独特なコメントを寄せている。是枝裕和監督最新作は2018年6月、TOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開予定。※タイトルは未定(cinemacafe.net)
2018年01月05日現在、韓国にて開催中の「第22回釜山国際映画祭」でガラプレゼンテーション部門(Gala Presentation)に正式出品された福山雅治×是枝裕和監督のタッグで贈る映画『三度目の殺人』。この度、昨日10月19日(木)の公式上映を受け、是枝監督と主演の福山さんが記者会見、上映前の舞台挨拶、上映後のQ&Aに参加したことが分かった。上映前の舞台挨拶では拍手と大歓声が巻き起こる中、福山さんは「アニョハセヨ、ありがとうございます、カムサハムニダ、福山雅治です」「映画楽しみにして下さっていると聞いています。どうぞ楽しんでいってください」と挨拶。続いて是枝監督は「こんばんは、是枝です。新作ごとにこの映画祭に呼んで頂いて、毎年のように韓国のファンの皆様とこういう時間を設けて頂くこと本当に感謝しております。ありがとうございます」と韓国ファンへ感謝の気持ちを述べた。さらに、是枝監督は作品について「4年前に『そして父になる』で福山さんと初めて釜山を訪れまして、次にどんなものを作ろうかと企画のキャッチボールを続けていきながら今夏の作品に辿り着きました」と話し、「今回は一つの殺人事件をめぐる、弁護士と殺人犯と被害者の家族の話です。これまで私が作ってきたホームドラマとはやや趣が違いますし、ミステリーやサスペンスのジャンルとも、見て頂けばわかると思いますが、違うストーリーの流れを持った作品です。いい意味でみなさんの予想を裏切るようなそんな作品に出来上がっているといいなと思います」とこれから観賞するファンへ期待煽るメッセージを寄せていた。また、上映前に行われた公式記者会見や上映後のQ&Aでは様々な質問に答えた2人。まず、どういう視点で本作を作ったのか、という質問について監督は、『そして父になる』において法律監修した弁護士と話をしていた中で出た言葉にきっかけがあったそうで、「『別に法廷って真実を明らかにする場所じゃないんですよね』って言ったんですよね。そこで『何をする場所なんですか?』と聞いたら『利害の調整ですね。弁護士には真実は分からないですからね』って言われたのが凄く印象に残って。誠実だなって思う半面、そういう人間たちが真実を分かったという振りをしながら判決に至って人を裁くということ、そういう制度を私たちの社会が持っているということのちょっと怖さみたいなものを感じたというのがこのストーリーを考えたスタートにありました」とコメント。さらに、ジョン・ウー監督作『追捕 MANHUNT』にも出演している福山さんへ、2人の監督の共通点について質問がなげられると、「映画に対しての愛情」と語り、また「今回の2作品でいうと、両作品とも台本がずっと撮影中、撮影の最後まで変化し続けるという共通点がありました。それは僕にとってすごくワクワクする興奮する現場で、そのライブ感といいますか、コンサートでいう生演奏のようなそういったようなものを現場でずっと見させていただいていて、演者である僕自身もすごく興奮できる現場でした。偶然にも、ファンである是枝監督、ファンであるジョンウー監督が同じような作り方をされていたことがうれしい体験でした」と明かす。前作『そして父になる』と今作との出演において、準備に違いがあったかという問いかけに福山さんは、「凄く役の準備をすることも大切ですが、準備しすぎることも監督は好まれないのではないかと思っていましていかに現場で、準備してきたものと、実際の撮影現場で起こる出来事、そのときの感情含めてですが、アジャストしていけるかだと思います。一緒にお芝居する俳優さんとの関係もそうですし、監督が現場で実際に見て感じたこと、思ってたよりこうだったかなということが沢山あると思うのでいかにアジャストしていくか、余白を持ってあまり固めすぎないで現場に入ることをお芝居においては心がけました」とコメント。また、韓国の観客に作品をどう見て感じて欲しいかという質問に監督は、「観て驚いて面白いと思ってくれたら嬉しい」と話す一方で、「自分で映画を撮ろうと思って色んな作品を見直したときに一番参考にしていたのは、実はサスペンスやスリラーではなく『夕陽のガンマン』とか西部劇だったんですよね。男と男が対峙して相手の気持ちを探りながらどちらが先に拳銃を抜くか、そういう作品が観ていて参考になったんですよね。だから男2人の話として観てもらうのが一番いいかなと思っています」と述べる。さらに、『追捕 MANHUNT』の撮影現場に訪れたと言う監督は、その際「『あなたの映画に出てくる男たちはなんであんなにいつも色っぽいんだ?今度男たちの映画を撮るんだけどアドバイスをいただけないか?』という話をモニター脇でしたら、セクシーとは違う色っぽさなんだと思うんですが、男を色っぽく撮るには男を隣に置くんだって言われたんですよ。それは凄く印象に残ったんですよね。それは役所さんと福山さん2人を撮りながら何度か自分の頭に浮かんだ言葉ではありました」とも明かしていた。『三度目の殺人』は全国にて公開中。(cinemacafe.net)
2017年10月20日「カメラに愛されているんだよね…」――。嬉しさと感嘆、そして、演出家として何も付け加えることがないことへの悔しさが混ざったような口調で是枝裕和監督は語る。その視線の先にいるのは『三度目の殺人』で、『海街diary』以来の是枝作品への出演を果たした広瀬すず。わずか数年で、その姿を見ない日はないほどの人気女優となった。是枝監督の目に、彼女の成長や変化はどのように映ったのだろうか?是枝監督のオリジナル脚本による本作は、殺人事件を巡るサスペンス。弁護士・重盛(福山雅治)は、解雇された工場の社長殺害の容疑で逮捕され、ほぼ死刑が確実の三隅(役所広司)の弁護を担当することになる。裁判に勝つためには真実など二の次というスタイルの重盛だったが、二転三転していく三隅の供述や被害者遺族との関係に翻弄され…。果たして真実はどこにあるのか?広瀬さんは被害者の娘で、三隅と意外な接点を持つ咲江を演じている。『海街diary』の撮影時から数えると、約3年。10代のうちに再び、是枝組への参加がかなった広瀬さんは「(『海街』が)ちょうど高校に入るときで、今回は高校卒業のタイミング。この感じは、“いま”しかないんだなと感じた」とふり返る。咲江は、事件の被害者の娘であり、常識で考えれば、容疑者の三隅は彼女にとって、父を殺した憎むべき存在。だが、咲江はある秘密を三隅にだけは打ち明けるなど、事件前から三隅と接点があり、事件の様相が大きく覆る事実が徐々に明らかになっていく。是枝監督が今回、カメラに収めようとしたのは「黒すず(笑)」。脚本を書いた是枝監督から見ても、非常に難しい表現が必要とされる役柄だった。「内面に抱え込んでいる感情、その表現の仕方が今回はすごく複雑なんです。(感情を)秘めたまま、爆発させないから。語尾だけでいろんな感情を見ている人間に感じさせないといけない」。だが、そんな難しい役柄にもかかわらず、是枝監督から見て、広瀬さんの演技は「(一発目から)完璧だった」という。「今回は現場で微調整もほとんどしてない。『これだ』というものが最初から出てきてるから。役について話したのは、最初に『この(咲江の)母親(斉藤由貴)は、被害者意識でできていて、娘は被害者なのに、むしろ加害者意識を自分のアイデンティティとして持っている。対照的な母娘なんだ』ということくらい。(広瀬さんは)現場で台本を開かない。セリフが入っているというより、役が入っているから、(台本の)文字に戻らなくてよかったんでしょうけど…。それにしても大したものだと思います」。『海街diary』のときは15歳。是枝監督独特の手法で、台本を渡されず、現場で是枝監督が口頭で広瀬さんにセリフを伝え、相手が何を言い、どんな行動をするかもわからない状況で演じた。その後、『ちはやふる』の小泉徳宏監督、『怒り』の李相日監督など、異なる監督の下で、様々な役柄を演じてきた。そんな広瀬さんから見た是枝組とは?「構えなくていいというか…。前回、セリフも知らず、どんなシーンを撮るのかもわかっていないから、フラットな状態で現場に行けて、それがやりやすくて自分にすごく合っていたんですよね。そのフラットな感じが、今回もあったんだなと感じます。安心感みたいなものがすごくあるんですよね」。加えて、今回、すんなりと咲江という役柄に入れたのは、彼女に対して感じる、距離の近さも大きかったという。「(思いを)言葉にしないで抑えるという役は、これまであまりなかったけど、元々、自分はそっちの性格なので、似ていると思うし、感覚がわかるんですよね。そういう意味で、気持ちが楽でした。どちらかというと、いつもの言葉にする役のほうが大変なので」。「あんまり、“才能”という言葉は使いたくないけど…」と前置きしつつ、是枝監督が口にしたのが、冒頭で紹介した「カメラに愛されている」という言葉。例として挙げたのが、カメラが福山さん演じる重盛の視点で、ドラッグストアの棚越しに咲江を追いかけるという、セリフのない短いシーン。「撮影の中で、いろんな瞬間の偶然があるんです。風が吹いたり、陽の光だったり、それは狙ってできるものじゃないんですけど。ドラッグストアをひとりでぶらっと歩き、ちょっとだけ目線が動き、小さく何かをつぶやく。そのひとつひとつの仕種のタイミングも素晴らしいんですけど、一歩間違えると全然、うまくいかないんです。カメラと役者と、棚のコラボだから、どんなに演技がうまくても、棚をも味方につけないといけない。いや、冗談じゃなく、本当に(笑)。こればっかりは、持ってるものなんですよ」。もちろん、自然現象や棚だけではなく、ほかの共演陣とのやりとりにおいても、彼女の存在感はしっかりと画面を通して伝わってくる。特に印象的なのが、斉藤由貴さんとの母娘のシーン。是枝監督曰く斉藤さんは「やってみないとわかんないタイプ(笑)」。同じシーンでも毎回、テイクごとにセリフはおろか、感情のピークの持っていき方さえも、変わってしまうのだという。まさにどんな球種が投げられるのか、わからない相手とのキャッチボールだが、広瀬さんは見事に全てを受け切った!広瀬さんはこうふり返る。「本当に斉藤さんは、何を発するのかわかんない(苦笑)。台本を読んで、セリフもわかってるんですけど、何が飛んでくるのか…。咲江の、お母さんに対する見方や感情もあるんですけど、(斉藤さんの)ひとつひとつの仕種が見たくないものだったり、『なんでそんな目ができるの?』という視線で…。一緒にやってて怖かったです」。なぜ、このタイミングで再び広瀬さんと?そんな問いに、是枝監督は「僕は、(広瀬さんを)成長と共に撮り続けていきたいって思ってる。『是枝さんは、もういいかな』って嫌がられない限りね(笑)」と語る。何が是枝監督、いや、多くの映画監督にそう思わせるのか?「そりゃもう、女優としてのポテンシャルの高さを引き出したいという、演出家の欲を掻き立てる対象なんじゃないですか?(自身が撮ることで)もっと出てくるんじゃないか?って」。あと1年足らずで広瀬さんは20歳を迎えるが、是枝監督は早くも「20代のどんなすずを撮ろうかな?って考えてます」と笑う。学生から大人の女性、母親…いったい、どんな広瀬さんの“いま”を切り取ってくれるのか?楽しみに待ちたい。(photo / text:Naoki Kurozu)
2017年09月11日現在開催中のヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品され、公式上映も話題を呼んだ是枝裕和監督の最新作『三度目の殺人』。本作で『そして父になる』に続いて是枝監督とタッグを組み、裁判に“勝つこと”最優先のクールな弁護士・重盛を演じたのが福山雅治。今回は監督も大絶賛を贈る、福山さんの眼差しの演技に注目した。『そして父になる』から4年、是枝監督とは2度目のタッグとなった福山さん。ミュージシャンや写真家としても活躍しながら、同作では日本アカデミー賞で優秀主演男優賞を受賞するなど、多方面で才能を発揮している。『そして父になる』では、一見、冷徹に見える超エリートの父親・良多を演じていたが、本作でも超エリートで、裁判に勝つためなら真実は二の次と考える弁護士・重盛役を熱演。劇中では、重盛が弁護することになった容疑者の三隅(役所広司)の二転三転する供述に大きく揺さぶられ、真実を求めていくうちに、三隅の深い闇に飲み込まれていく姿を鮮烈に演じている。是枝監督は、今回4年ぶりの再タッグとなった福山さんについて、「『そして父になる』でも思っていたのですが、福山さんはただ“見てる”ときの画がすごく強い人。何かを“見てる眼差し”や“見てる表情”から、いろんな感情が読み取れる。ですから、黙っているシーンをどう魅力的に撮るかということを考えました」と語る。セリフ以外の場面でも感情が滲み出る福山さんの眼差しの演技を大絶賛する是枝監督は、「そんな福山さんを、役所さんの力を借りて、どう揺さぶっていくか、どういじめていくかというのが今回のコンセプトです(笑)」と明かす。最初の本読みの段階から、福山さん演じる重盛と役所さん演じる三隅がガラス越しに会話を交わす接見室のシーンのやりとりを目の当たりにした是枝監督は、身体的な動きが制限される場面にも関わらず、2人がお互いを揺さぶり合い、感情や立場が大きく動いていく様に、圧倒的な面白さを感じ、ゾクゾクしたという。その結果、接見室でのやりとりのシーンを、当初より大幅に増やすことにしたのだとか。是枝監督をも魅了する福山さんの眼差しの演技と、その目で真実を問いかける三隅との接見室のシーンは、必見ポイントの1つといえそうだ。『三度目の殺人』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2017年09月10日第74回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品されている是枝裕和監督の最新作『三度目の殺人』。現地時間の9月5日、本作の公式上映が行われ、主演の福山雅治をはじめ、役所広司、広瀬すずと是枝監督が現地入り、本作の音楽を手掛けるルドヴィコ・エイナウディも加わり、記者会見、フォトコール、レッドカーペットに参加。公式上映では6分ものスタンディングオベーションに包まれた。カンヌ、ベルリンと並ぶ世界三大国際映画祭の1つであり、国際映画祭の中でも最古の歴史を誇るヴェネチア国際映画祭。今年の審査員長は『20センチュリー・ウーマン』の女優アネット・ベニングが務めている。福山さんと広瀬さんは今回が初参加、役所さんは『十三人の刺客』以来、7年ぶり2度目、是枝監督は第52回(1995年)で「金のオゼッラ賞」を受賞したデビュー作『幻の光』以来、実に22年ぶり2度目となった。まず、涼しく爽やかな風が吹く、美しい水の都イタリア・ヴェネチアに、颯爽と登場した福山さん。イタリアの有名ブランド「ドルチェ&ガッバーナ(Dolce&Gabbana)」のスーツ姿。役所さんは「ジョルジオ・アルマーニ(GIORGIO ARMANI)のスーツで貫禄たっぷり。また、広瀬さんも同じく「アルマーニ」のドレスと「プラダ(PRADA)」の靴で大人っぽい装い。同じく「アルマーニ」のスーツに身を包んだ是枝監督も記者会見会場に登場。250人収容の会見場は報道陣で満員となった。フォトコールにも数多くのメディアが集まり、「是枝!」という歓声も。世界の「コレエダ」の最新作であり、カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した『そして父になる』の福山さんとの再タッグである本作への注目度の高さがうかがえた。会見では、特に近年の作品とは全く違った作風となったことについて質問を受けた是枝監督は、「新しいことをやった意識ではない」と話しつつ、「ただこの10年ぐらいホームドラマを続けて人間のデッサンを鉛筆で書いていたようなそういう意識なのです。今回はやや“家”から“社会”へ視野を広げて油絵で描くようなタッチを変えた作画をしている」とコメント。さらに「社会に目を向けたときに、人が人を裁くことについて考えてみたいと思ったことがスタートとしてありました」と語った。また、福山さんは監督について「原案、脚本、監督、編集をやられていて、全ての工程を俳優として参加しながらその現場を一番近くで見られるというのは僕にとってこの上ない贅沢な経験です。贅沢な経験であると同時にすごく刺激を受ける現場です」と真摯にコメント。役所さんは、「監督から『だれか嫌いな人を2~3人殺す練習をしたらどうですか…』、なんて言われたりはしませんでしたけど(笑)」と冗談めかしながらも「撮影の最終日まで脚本が変更になって、監督がどの方向に私たち俳優を導いてくれるのかというのが手に取るようにわかりましたので、それを1つの手掛かりになんとかやりきることができました」と語り、広瀬さんは、「少女だからこそ見える大人の方の言葉、行動、母への思いなど色んなものを客観的に見ていました。お母さん(斉藤由貴)が話す言葉を一字一句聞き逃さないように、ずっと話を聞いて、徐々にニュアンスが変わっていったり、どこか自分をかばうように話す姿を見て、また感情が生まれたりしていました」と撮影当時をふり返っていた。そして、快晴のレッドカーペット会場には、福山さんらキャストと監督をひと目見ようと、大勢の観客とマスコミ陣であふれた。「ドルチェ&ガッバーナ」のタキシードと「ジバンシィ(GIVENCHY)」のシャツ、「クリスチャン・ディオール(ChristianDior)」の靴に身を包んだ福山さん、「ジョルジオ・アルマーニ」のタキシードの役所さんとともに、広瀬さんは日本のブランド「WITH A WHITE」のエレガントな白いロングドレスにイタリアのブランド「ジュゼッペ・ザノッティ(GIUSEPPE ZANOTTI)」のハイヒールを合わせて登場。その姿にはイタリア人女性からも「カワイイー!」といった声もあがり、それぞれ、観客やメディアからの大歓声に応えて手を振ったり、ファンのサインに応じたりする様子が見られた。公式上映は、キャパシティ約1,030席が満席に。観客は是枝監督が描く緊迫感あふれるサスペンスに、息をのむように引きこまれた様子で、上映終了後には6分にも及ぶスタンディングオベーションが!福山さんらキャスト陣は手を振ってそれに応え、是枝監督はベネチア国際映画祭フェスティバルディレクターであるアルベルト・バルベーラと熱い握手を交わしていた。上映を終え、福山さんは「監督の作品を心待ちにしているファンの方、メディアの方のたくさんいらっしゃる」と感じたと言う。「上映が終わった瞬間、思っていたよりも早い段階から拍手が巻き起こって、すごく、良い届き方をしたな、と思いました。そのとき、監督がちょうど隣だったんですが、監督が僕の膝に手を置いてくださったんです」と明かす。「『監督が安堵されている!』と。でも、それが一番嬉しいことなんですよね。さっき移動の車で広瀬さんと話してたんですけど、『監督はやっぱり凄く可愛いよね』ということで、監督のあんな姿初めてみたと嬉しそうなんですよ、すずちゃんも」と語った。海外プレスからは、「すごい緊張感があって引き込まれた」「(俳優たちは)パーフェクトだった」「実際今回観た中で一番よかった」「俳優と監督のコラボとエンディングがよかった」といった声が聞かれた本作。本映画祭のコンペティション部門では、本作を含む計21本の中から最高賞「金獅子賞」を競い、結果は現地時間9日(日本時間10日午前1時から)の授賞式で発表される。『三度目の殺人』は9月9日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年09月06日是枝裕和監督が主演に福山雅治を迎え、法廷心理サスペンスに挑んだ『三度目の殺人』。劇中で得体のしれない殺人犯役を怪演し、弁護士役を演じる福山さんのみならず、初タッグとなった是枝監督までも揺さぶった名優・役所広司について、監督からコメントが到着した。本作で、勝ちにこだわる弁護士・重盛(福山さん)が担当した殺人事件の容疑者・三隅を演じる役所さん。1996年公開の大ヒット作『Shall we ダンス?』をはじめ、『眠る男』『シャブ街道』ではその年の主演男優賞を独占し、翌97年の故・今村昌平監督のカンヌパルム・ドール受賞作『うなぎ』、社会現象となった『失楽園』などで日本映画界を代表する実力派として地位を確立。『SAYURI』(’05)や『バベル』(’07)といったハリウッド映画にも立て続けに出演し、10kgの減量を成功させて挑んだ中島哲也監督の『渇き。』(’14)ではシッチェス・カタロニア国際映画祭で日本人初の最優秀男優賞を受賞するなど、世界中でその実力を見せつけている。そんな役所さんは、意外にも是枝監督作品は本作が初出演。接見のたびに供述を変え、まるで別人のような表情を見せる得体のしれない殺人犯・三隅という男を怪演しており、福山さん演じる弁護士・重盛を事件の真相の闇に呑み込んでいく。今回の豪華タッグが実現した経緯について、「役所さんとはなんとなく将来的に作品をやりたいねっていう話はしていたんですけど、去年役所さんから突然年賀状が来たんですよ。手書きで、“そろそろですね”って書いてあって(笑)。だからそろそろなのかなって。やるからには、演出家として相当覚悟がいる役者なので、本当に胸を借りるつもりで今回は入っていただきました」と、撮影現場でのインタビューでふり返っていた是枝監督。また、劇中で殺人についての供述をコロコロと変えていく役所さんの演技については「役所さんを見ていると、本当にやったんだろうなっていう瞬間と、もしかしたらやってないかもしれないっていう瞬間があって、どちらも本当にそう思うんですよね。すごいなと思って、改めて衝撃を受けました」と、福山さん演じる重盛と同様、監督自身もその演技に揺さぶられていたことを明かしている。脚本を執筆しながら撮影を進行していった是枝監督は、役所さんの圧倒的な演技に物語の結末を書き変えようかと何度も悩んだという。果たして、役所さん演じる殺人犯・三隅はなぜ殺したのか?本当に殺したのか?その結末と共に、監督までをも揺さぶる怪演っぷりをスクリーンで目撃してみて。『三度目の殺人』は9月9日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年09月04日福山雅治を主演に名優・役所広司を迎えた是枝裕和監督の最新作『三度目の殺人』。このほど、同じく是枝監督の『海街diary』でずば抜けた演技力を披露し、女優として大きく注目されることとなった広瀬すずの新たな場面写真が公開された。姉の広瀬アリスとともに雑誌「Seventeen」で人気モデルとして活躍するかたわら、2015年『海街diary』に出演すると、日本アカデミー賞新人賞をはじめとする数々の賞を受賞した広瀬さん。その後、等身大の女子高生を新鮮に演じた『ちはやふる―上の句・下の句―』や、李相日監督の元で体当たりで挑んだ演技が絶賛された『怒り』など、話題作に立て続けに出演し、わずか19歳ながらに着実に女優として進化を遂げている。是枝監督と2度目のタッグとなる本作では、役所さん演じる三隅に父親を殺害された娘の咲江を熱演。公開された場面写真では、『海街diary』で4姉妹の末っ子を演じた初々しい無邪気な姿から一転、決意を持ったような力強い眼差しや、憂いの帯びた表情を見せており、数々の作品を経て成長した広瀬さんによる新境地が感じられる。事件の鍵を握る存在ともいえる咲江が福山さん演じる弁護士の重盛と、三隅の対峙をどのようにかき乱していくのか、物語の展開において目が離せなくなるはずだ。先日、大塚製薬「ファイブミニ」のCMで再タッグを組んだことが話題になったものの、広瀬さんと映画で仕事をするのは約2年ぶりとなる是枝監督は、撮影現場でのインタビューにて「堂々たる役者に成長されていて末恐ろしい感じがします。すごく嬉しいんですけど、短期間の間にこんなに。今回は、事前に脚本を渡していたりと、前作とは撮り方が違うので、『海街』のような関わりとはちょっと違うのですが、ここまでできるのか…と驚いています。役者としてはやっぱり、相当太いんですよね…持っているものが」と激白。広瀬さんの女優としての成長ぶりに驚きを隠さない。また、撮影中の演出については「登場人物が動かないシーンでは、とにかく目線の勝負だと思っているので、どう目線を作るかっていうことだけは指示しようって思っていました。最初指示したときに、目線の動きが速かったので、倍にしようかって言ったんです。すると、ちょっと遅かったので、“1.5”って指示を出したんですよ。言ったことに対する反応が非常に的確なので、そういう意味では指示を間違えたときを考えると逆に怖い。すごいですね彼女は」と振り返り、細やかな演出も柔軟に適応していく広瀬さんの演技力に大絶賛を贈る。本作は、是枝監督が近年描いてきたホームドラマから一転し、かねてより挑戦したいと考えていた法廷を舞台にした心理サスペンス。是枝監督との再タッグのみならず、福山さんや役所さんとも初共演となる広瀬さん。まさにいま、実力派女優への階段を着実に上りつつある彼女がベテランの2人とどのような演技合戦を繰り広げるのか、期待がかかる。『三度目の殺人』は9月9日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年08月22日日本人の若手テノール歌手の中でも際立ったスター性に恵まれ、実力・人気ともに鰻登りの西村悟。得意とする『椿姫』や『ラ・ボエーム』などのイタリアオペラのみならず、日本語オペラ『夜叉ケ池』や、先日大成功を収めた日本フィルの演奏会形式『ラインの黄金』のローゲ役など、レパートリーの拡大もめざましい。その西村が、自らのプロデュース公演としてオーケストラとのリサイタルを行う。歌手自身が指揮者とオーケストラに出資して行う大規模な公演で、日本ではこうしたソリスト発信の試みはまだ珍しい。【チケット情報はこちら】「今までイタリアのボローニャとヴェローナで勉強をしてきたのですが、その成果を聴いて頂くという目的もあるリサイタルです。忙しい山田和樹さんが共演してくださることになって、オーケストラも山田さんが正指揮者を務める日本フィルハーモニー交響楽団に決まり、この素晴らしいチャンスに感謝しています。山田さんや日フィルと築いてきた信頼関係がようやく実になった。一世一代の試みではありますが、満員のお客さんの前で歌えることを願っています」身長183センチの長身とステージ映えするルックスは、デビュー当時から注目の的だったが、元々はバスケットボールに打ち込んでいて、声楽を始めたのは高3のときだった。「音楽教師になるつもりで音大に進んだのですが、先生のアドバイスもあって芸大の大学院の試験に挑戦し、芸大在学時代にイタリア留学のチャンスもいただきました。歌はスポーツにとても似ているんです。バスケットでダンクしたり、柔道で一本背負いをする感覚と、テノールで高音を出す感覚というのは共通したものがある。歌手も筋肉を使い、使った後はケアしますしね」声量の豊かさとピッチの良さ、そして真に迫った演技力は、アスリート的な鍛錬とも関係があるようだ。リサイタルではこれまで歌いこんできたヴェルディやプッチーニ、ドニゼッティのイタリア・オペラのハイライトをメインに歌う。「悲劇的なオペラからのアリアが多いですが、僕自身悲劇が大好きだし、最も自分の音楽性が表現できると思っています。字幕なしでも歌詞の内容が分かる歌を歌うのが目標ですね。表情や音色、音量、手の仕草や目線などで文字なしでも伝えられるものがあると思います」何よりお客さんの前で歌うことが喜びだと語る。謙虚で誠実でユーモアセンスもある、未来の国際派テノールだ。公演は10月11日(水)午後7時より、東京オペラシティコンサートホールで開催。チケットは発売中。取材・文:小田島久恵
2017年07月19日『ひるおび!』(TBS系)の司会でお馴染みの恵俊彰(52)が、今年4月、都内有数の高級住宅地に一戸建てを新築した。 さっそく恵の新居に向かうと、広大な敷地にそびえたつモダンな一軒家が。昔ながらの豪邸が並ぶなか、コンクリート打ちっぱなしのデザイナーズ住宅が周囲と一線を画している。 「土地は全体で164坪、坪単価は200万円程度。旗竿地を考慮すると、2億円ほどでしょう。上物は低く見積もっても1億円以上。つまり、3億円は下らない超豪邸です」(地元の不動産業者) 「3億円とはいえ、現在の収入ならキャッシュでも余裕で買えたのでは」とテレビ局関係者が分析する。 「09年に『ひるおび!』の総合司会に起用されてから、恵さんの出演料はうなぎ上りで、現在のギャラは1本100万円前後と言われています。『ひるおび!』以外の番組やCM出演を含めると、年収3億円は軽く超えるのではないでしょうか」 いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの恵だが、彼にも知られざる苦労時代があったようだ。 「上京したてのころは新聞配達をしながら生計を立てていたという恵さん。石塚英彦(55)さんとホンジャマカを結成してからも極貧生活は続きました。テレビ初出演したころは1本数千円のギャラしかもらえず、家賃3万円のアパートに住んでいたそうです。そんな当時の彼を支えたのが今の奥さん。彼女は恵さんにおこづかいを渡してあげたり、番組で必要な衣装をそろえてあげたりと、ずっと尽くしてこられたそうです」(芸能関係者) そんな内助の功のおかげで、今日の成功があるのだろう。いまは4人の子どもにも恵まれ、“イクメン”としても評判だ。 「とにかく子煩悩なパパで、子どもたちの学校行事には必ず参加。12年に第四子が誕生した際は、子育てに関する本を出版されたほどです」(前出・芸能関係者) 公私ともに順風満帆の恵。念願の“ひるおび御殿”まで手に入れたのだが――。 「当初、恵さんは家の周囲に、4.6mにおよぶコンクリート塀を建てる予定でした。しかし、この街の“紳士協定”に『高い塀は好ましくない』という内容があるんです。近所からも『要塞みたいな家になるのでは』と心配する声があがっていました」(前出・近所の住民) そこで近隣住民たちが、建設会社を通して「塀を建てるのはやめてほしい」と要請すると、恵はすぐに建設を中止。さらに引っ越しの挨拶で近所を回った際には、丁寧にそのことを詫びたのだという。 「法的にはなんら問題ないことなのに、彼は協定をちゃんと理解した上で塀の建設を取りやめてくださって、見直しましたよ。奥さんと娘さんとタオルを持って挨拶にこられたときには『工事中はご迷惑をおかけしました』と深々お辞儀。芸能人だからって、偉そうなところもなく、とても好感が持てました」(前出・近所の住民) テレビさながらの“神対応”を見せた恵。その人柄があったからこそ、家賃3万円アパートから3億円豪邸に住めるまでになったのだろう。
2017年06月06日女優の広瀬すず(18)が、是枝裕和監督が演出する大塚製薬・ファイブミニの新CM「恋よりセンイ。」編に出演する。2人は映画『海街diary』(15年)以来のタッグとなり、撮影と照明も同作と同じく瀧本幹也氏、藤井稔恭氏が担当した。CMは、今春高校を卒業したばかりの広瀬の等身大を描く。仕事を一生懸命がんばりながらも、地元の友人と自分とのギャップに葛藤。自宅の屋上ですっぴんになり、自分と向き合いながら東京タワーを見つめ、大きく息をつく。CMソングは、シンガーソングライター・Charaが今回のために書き下ろした「Sympathy」。撮影を終えた広瀬は、「役になりきるのではなく、"広瀬すず"として演じてもらいたいと監督から言われました」と明かし、「それが今までにない感覚で、自分がそのままCMに出ているというのが、恥ずかしいというか、でもすごくおもしろい体験でした」と振り返る。また、「映画での是枝監督しか知らなかったけど、動きなどもどんどん追求していく姿が映画と変わらない」と実感。是枝監督を「お父さんみたいな存在」と受けとめ、「ずっといつも見守っていてくれているんだろうなぁって想像ができるような言葉をかけてくださいます」と変わらぬ魅力を伝える。一方の是枝監督は、「あまりCMで見ない、すずの表情を撮りたいなという気持ちで作成しました」と説明し、「決して、ドキュメントではないですが、ちゃんと女優さんとして撮ろうという気持ちで撮っていました。いい横顔が撮れたと思います」と手応えを感じている様子。久しぶりの再会で「思っていた3倍くらいのスピードで今、階段を駆け上っていて、きっとこのままの勢いで10代を終えるんだろうなと思います」と成長を肌で感じ、「だからきっと女優としては20代が勝負になるのかな。本当は30代が勝負だけど、20代でいろいろな役をやって多少立ち止まって違うものをやってみたり、チャレンジして、失敗も経験して、良い30代を迎えてほしい」とその将来に期待を寄せていた。映画『海街diary』は、第39回日本アカデミー賞で作品賞ほか、4部門で最優秀賞を受賞。その年の映画賞を総ナメし、第68回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門にも出品された。広瀬は同作での演技が高く評価され、日本アカデミー賞の新人俳優賞はじめ数々の映画賞を受賞した。
2017年05月18日前編で佐々木俊尚さんは、従来の会社や家族といった「共同体」が崩壊し、ライフスタイルが似た者同士でゆるく繋がる社会がやってくると指摘していた。後編では、その従来の「共同体」はなぜ崩壊しつつつあるのか、その中でどう生きていくべきかを伺った。従来の「強い共同体」が崩壊しつつある――なぜ、このように共同体の形が今変わりつつあるのでしょう?佐々木俊尚さん(以下、佐々木):終身雇用制度が機能しなくなってきているなど、今までのシステムが崩壊し始めているからです。高度経済成長期、人がどんどん都会に出てくるようになると、農村という共同体から切り離されたため、人々は企業という新しい共同体を求めました。ところが今、企業にぶら下がって生きることが難しくなり、新しい共同体を求める人が増えているのです。――共同体を求めるのは日本人独自の気質なんでしょうか。佐々木:諸説あるのですが、歴史学者の與那覇潤さんの「中国化する日本」によると、室町から戦国時代にかけては非常に開かれた社会で、流動的な関係性だった。それが江戸時代になると地域に縛られるようになって、今の日本のムラ社会は江戸時代から400年くらい続いているんです。これがもう一回壊れて、17世紀以前の社会に戻るかもしれないわけです。歳が同じ、会社が同じそれだけで繋がるほうがしんどい――17世紀以前の日本、ですか……。なんだか途方もない話のような気がしてしまいます。佐々木:30代くらいだったら将来のことなんて考えられないと思いますが、もう今までの日本人がイメージする「老後」というものは崩壊しています。昔は定年して自由な人生が待っていて、退職金がたくさんあり、年金もたくさんもらって、自由にあちこち行って、という感じだったんですが、今は年金も退職金もいくらもらえるかわからないし、子どももいなければ孫もいない、そんな人ばかりです。かつての老後のイメージはほぼ消滅していると考えたほうがいい。そうすると、どうなると思いますか?――うーん……、どうなるんでしょう。佐々木:多くの人は、定年したあとも何らかの形で働くことになるのだと思います。そうなったときに、一番いいのは、年齢関係なしに友達がたくさんいることです。違う世代の人とゆるく繋がっておくと、仕事を紹介してもらえることもあるでしょうね。――日本は上下関係の意識が強いですし、年齢差があるとなかなか「友達」という感じになりにくいですよね。佐々木:逆に、歳が同じだとか、たまたま同じ会社だとか、そういった縁があるだけで共同体が形成されるほうがしんどいことなのです。社会学者の山岸俊男さんが「信頼」とはどういうことかについて様々な著書で論じているのですが、山岸さんが言うには、同じ村にいるというだけで信頼するのは本来の信頼ではなく、やくざの世界における「信頼」と似ている、と。やくざ同士というのは本心から信頼しているのではなく、裏切ると指を詰めなければならないから裏切れないだけですよね。コミュニケーション能力がなくても無縁の人と繋がれるのか?――ただ、バックグラウンドの違う知らない人と繋がるというのは、誰にでも簡単にできることなのでしょうか? かなりコミュニケーション能力が必要な気がします……。佐々木:それは今が過渡期だからです。共同体の安定、共同体の崩壊、共同体の模索、と歴史が繰り返される中で、新しい共同体の形を模索している段階にいます。ここ数年はずっと、先陣をきってコミュニケーション能力の高い人が様々な形を試している状態なのです。こういった様々な試みの中からいずれ成功モデルが現れるはず。そうすれば、コミュニケーション能力がなくても、誰もが真似できるようなものが社会に浸透していくはずです。-----------------佐々木俊尚さんの言うところの「弱い繋がり」とは、あくまでも「自分は一人で生きている」という自立心を持っているのが前提のように思う。会社や村社会などの既存の「強い繋がり」における同調圧力は、誰しもが一人になるのが不安だからこそ生まれる。私自身は、そういった同調圧力に巻き込まれるくらいならば、誰とも関わらないで生きたほうがましである、と思っていた。けれど、必要な分だけ誰かと繋がれる、そんな都合のいい共同体(弱い繋がり)ばかりになるならば、どんなに生きやすくなることだろう。願わくば、生きている間にそのような社会になりますよう。(取材・文/朝井麻由美)■プロフィール佐々木俊尚(ささき としなお)1961年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。毎日新聞記者、月刊アスキー編集部を経て、フリージャーナリストとして活躍。ITから政治・経済・社会・文化・食まで、幅広いジャンルで、綿密な取材と独自の視点で切り取られた著書は常にベストセラーとなっている。『キュレーションの時代』(ちくま新書)、『レイヤー化する世界』(NHK出版新書)、『家めしこそ、最高のごちそうである。』(マガジンハウス)など著書多数。特集「おひとりさまのあたらしい住処」もあわせてご覧ください!・これからの社会は「弱い繋がり」で生きやすくなる/ジャーナリスト・佐々木俊尚さん(前編)・「ひとり」と「ふたり」と「みんなで」を、行ったり来たりする人生が理想
2017年04月13日「悟空のきもち」で“絶頂睡眠”ヘッドスパ体験!全国に4店舗かまえる「悟空のきもち」は、なんと全国でキャンセル待ちが10万人いるほど、多くの人々から注目を集めているお店です。銀座店は2016年7月オープンし、キャンセル待ちが3万人に! ヘッドマイスターが行う”絶頂睡眠”ヘッドスパはまさに神技で、日常の疲れを癒して贅沢なひとときを体験させてくれます。 営業時間は12:00~21:00なので、予約が取れれば仕事帰りに立ち寄るのも◎。おすすめは60分コースで、頭・顔・首・肩・デコルテをマッサージしてくれます。自然にリラックスできる、こだわりの空間づくりお店に一歩踏み入ると、あたたかみのある柔らかな照明が訪れた人々を出迎えてくれます。施術スペースにはふわふわのリクライニングシートが設置され、ブルーやピンクなどのカラフルな照明が”大人のジェットコースター”を演出。 施術と空間の心地良さが相まって「睡眠アトラクション」ともいえる施術後の爽快感が味わえます。開放感を残しつつ、周囲の目を気にせずくつろげる空間づくりは、何度も通いたくなる魅了ポイントのひとつです。ヘッドマイスターによる極上の施術が自慢!「悟空のきもち」の施術は、脳を癒す頭の揉みほぐしが特徴です。日常で感じるストレス、不眠、疲労などを癒すべく、ドライヘッドスパに21の手技を盛り込んでいます。極上のマッサージによる幸福感が作用して眠りに落ちる”絶頂睡眠”は、今までに味わったことのない満足感をもたらしてくれるはず! 最先端の測定器を使った癒しの証明も行っており、施術効果の期待値も高いのが魅力です。人気は日本だけにとどまらず、今年中にはなんとNYにも出店予定! 最近疲れが溜まっていると感じている人、ほっと一息つきたい人は、是非「悟空のきもち」の”絶頂睡眠”を体験してみてください。スポット情報スポット名:悟空の気持ち住所:東京都中央区銀座4-3-9クイーンズハウス4F電話番号:03-6263-0959
2017年03月12日福山雅治が勝利至上主義の弁護士を演じ、是枝裕和監督とタッグを組むことが決定している最新作のタイトルが、この度『三度目の殺人』に決定。また共演に広瀬すず、斉藤由貴、吉田鋼太郎、満島真之介らの出演が決定した。勝利にこだわる弁護士重盛(福山雅治)が、やむをえず弁護を担当することになったのは、30年前にも殺人の前科がある三隅(役所広司)。解雇された工場の社長を殺し、死体に火をつけた容疑で起訴されている。犯行も自供し、このままだと死刑はまぬがれない。はじめから「負け」が決まったような裁判だったが、三隅に会うたび重盛の中で確信が揺らいでいく。三隅の動機が希薄なのだ。彼はなぜ殺したのか?本当に彼が殺したのか?重盛の視点で絡んだ人間たちの糸をひとつひとつ紐解いていくと、それまでみえていた事実が次々と変容していく――。第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞、2013年に全国公開し、国内興行成績32億円の大ヒットを記録した『そして父になる』の是枝監督と福山さんがタッグを組む本作は、是枝監督がオリジナル脚本で描く法廷心理サスペンス。福山さん演じる弁護士・重盛に対峙する殺人犯・三隅には、是枝組初参加の名優・役所広司が演じ、福山さんと役所さんの初共演が実現した。そして今回、新たにキャストが発表!物語の鍵を握る少女で被害者の娘・山中咲江役に、映画やCMなどいま引っ張りだことなっている広瀬さん。『海街diary』以来、是枝作品2作品目の出演となる。また、被害者の妻・山中美津江役に斉藤さん、重盛と事件解明に奔走する司法修習の同期弁護士・摂津大輔役に吉田さん、重盛の事務所に所属する若手弁護士・川島輝役に満島さんが出演。「是枝さんの作品の中で生れる時間が凄く幸せ」と話す広瀬さんは、「どんなシーンでも咲江が見ているもの、感じていることを私と同じ感覚で感じてくださって、言葉をくれる監督はやっぱりとても心強く、凄く気持ちがいい」と語り、「少女だからこそ見える世界を大切に、強く立っていたいです」と意気込んでいる。また斉藤さんは「卑怯と残酷と愛を併せ持つ女性の役で、演じるのがとても難しいです。けれど、是枝監督の静かで穏やかな演出を受けると、沈黙の静謐の中に宿る答えに辿り着けそうに感じることが出来ます」とコメントしている。さらに、重盛の弁護士事務所の事務員・服部亜紀子を松岡依都美、検察官・篠原一葵を市川実日子、重盛の父親で、30年前に三隅が関わった事件の裁判長だった彰久役を橋爪功が演じる。<以下、キャスト陣コメント>■斉藤由貴今回、是枝さんの映画に参加させていただくこと、とても楽しみにしておりました。いただきましたのは、卑怯と残酷と愛を併せ持つ女性の役で、演じるのがとても難しいです。けれど、是枝監督の静かで穏やかな演出を受けると、沈黙の静謐の中に宿る答えに辿り着けそうに感じることが出来ます。得難い演技経験を積めることに感謝しています。■吉田鋼太郎数々の賞を受賞し、国内外で高い評価を得ている是枝監督とご一緒できるという事で大変光栄に感じると同時にどのような現場になるのか多少の緊張を感じつつ撮影に入りました。 作品の世界観が監督の中でしっかりと出来上がっていて、それを的確に役者に演出してくださるので、いつの間にかその世界に引きこまれていました。まだ撮影中ですが、本当に出来上がりの楽しみな作品です。■満島真之介是枝監督の新たな挑戦を直に体感できること。 福山さんはじめ、最高の大先輩方とご一緒させてもらえること。身が引き締まります。 映画の世界にいる喜びと、感じられる人生の大切なこの時を、思い切り楽しみたいと思います。■松岡依都美是枝監督とは『海よりもまだ深く』以来2作品目となります。「是枝作品」に再び出演する事が1つの大事な目標でしたので今回のお話を頂いた時は本当に嬉しかったです。監督と素晴らしいキャスト、スタッフの皆様と共に最高の作品をお届け出来るように楽しみながら頑張りたいです。■市川実日子事件や裁判を、自分とは別世界のことのように思っていたけれど、実は、自分も関係していることなのかもしれない。初の裁判見学へ行った日に、なぜかそう感じました。 初めて参加させて頂く是枝組は、なんというか、とても紳士的な空気が流れています。現場で静かに、じーっと耳を澄ませていらっしゃる是枝監督。是枝監督、事件、裁判。どんな作品になるのか、今、緊張でいっぱいですが、観客としてもたのしみです。■橋爪功是枝監督とは過去に『奇跡』『海よりもまだ深く』でもご一緒させて頂いていますが、今回の現場も静かに進行しながらも、心地の良い緊張感に包まれています。本作の脚本を読んで、法廷心理サスペンスではありつつも、心の奥を垣間見る人間ドラマだと感じました。役柄(主人公・重盛の父親役で元裁判官)も少し難しくあるのですが、演じながら今からとても出来上がりが楽しみな作品です。『三度目の殺人』は9月、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2017年02月21日アーティストで俳優の福山雅治が主演し、是枝裕和監督がメガホンをとる映画『三度目の殺人』(9月公開)の出演者が21日、明らかになった。同作は、第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した『そして父になる』以来2度目となる福山×是枝監督タッグのオリジナル脚本作品。福山は勝利にこだわる弁護士・重盛を演じ、役所広司演じる殺人犯・三隅と対峙することになる。今回発表された出演者は、広瀬すず、斉藤由貴、吉田鋼太郎、満島真之介、松岡依都美、市川実日子、橋爪功の7名。是枝監督の『海街diary』(2015年公開)で「第39回日本アカデミー賞新人俳優賞」「第89回キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞」を受賞した広瀬は、再び是枝作品に出演することとなる。『海街diary』の際、広瀬には台本が渡されず、現場で是枝監督の口述によりセリフを入れるという子供への演技指導の手法がとられたが、今回は女優として台本を持って挑戦する。物語の鍵を握る、被害者の娘・山中咲江という役を演じることとなるが、広瀬は「どんなシーンでも咲江が見ているもの、感じている事を私と同じ感覚で感じてくださって、言葉をくれる監督はやっぱりとても心強く、凄く気持ちがいいです」と語った。一方、是枝監督は広瀬について「女優としての成長を作品ごとに感じているのでもう一度きちんと自分の作品の中で向き合ってみたいと思いました」と起用の理由を明かした。広瀬が演じる咲江は「背負ってるものが多いにも関わらず、人のせいにしない、被害者としてではないあり方をする、今の時代に希有な強さをもった少女」であり、広瀬の「芯の強さ、何者にも寄りかからず自分の足で立っている感じ」に期待を託した。斉藤は、咲江の母親であり被害者の妻である山中美津江を演じる。是枝監督は斉藤について「30年前から部屋にポスター飾るほど憧れた女優さん」と熱い思いを明かした。是枝監督は「念願叶って映画に出演いただきます」と喜び、撮影では斉藤の「役がおりてきたときの入り込み方と、その一方でご自身の演技を冷静にみている姿」にすごみを感じたという。そして「斉藤さんと広瀬さんはよく通る、少し影のある声質が似ていて、母娘役に選んだ理由のひとつです」と2人の共通点を語った。また、吉田は福山演じる重盛と司法修習で同期だった弁護士・摂津大輔役としてともに事件解明に奔走し、満島は重盛の事務所に所属する若手弁護士・川島輝役で福山と初共演する。さらに松岡は重盛の弁護士事務所の事務員・服部亜紀子役、市川は事件の担当検察官・篠原一葵役、橋爪は重盛の父で元裁判官の重盛彰久役に決定した。
2017年02月21日AmazonのCMで注目を集める俳優の吉田悟郎が、あす12日(21:00~22:54)に放送される読売テレビ・日本テレビ系バラエティ番組『ダウンタウンDXDX』に初登場。今も続ける宅配便のアルバイトで、自ら出演したCMの商品を届けることがあると告白する。吉田は、赤ちゃんにかわいがってほしい飼い犬に、その赤ちゃんが大好きなライオンのたてがみをAmazonで注文し、つけさせてあげるパパ役で、同サービスのCMに出演。その優しい行動と表情で、注目を浴びている。このオーディションは思い出作りのつもりで受けたそうで、「去年30歳になるから区切りと考えて、仕事もないし、次のオーディションを最後にしようと思って受けた」と明かし、結果としてチャンスをものにすることとなった。現在も宅配便のアルバイトを続けている吉田は、なんとそのCMの商品を届けることもあるそう。すると、「お客さんが『どういうサービス?』ってすごくビックリして…」と驚かれてしまうというエピソードを紹介する。
2017年01月11日是枝裕和監督と『そして父になる』でも組んだ福山雅治と、是枝組初参加となる名優・役所広司の豪華初共演が実現した最新作が、9月に公開されることが決定。福山さんが勝利至上主義の弁護士、役所さんが前科のある殺人犯を演じることが分かった。勝利にこだわる弁護士・重盛(福山さん)が、やむをえず弁護を担当することになったのは、30年前にも殺人の前科がある三隅(役所さん)。解雇された工場の社長を殺し、死体に火をつけた容疑で起訴されている。犯行も自供し、このままだと死刑はまぬがれない。はじめから「負け」が決まったような裁判だったが、三隅に会うたび重盛の中で確信が揺らいでいく。三隅の動機が希薄なのだ。彼はなぜ殺したのか?本当に彼が殺したのか?重盛の視点で絡んだ人間たちの糸を一つ一つ紐解いていくと、それまでみえていた事実が次々と変容していく――。本作は、第66回カンヌ国際映画祭審査員賞に輝き、国内興行成績32億円の大ヒットを記録した『そして父になる』や、日本アカデミー賞最優秀作品賞・監督賞受賞作『海街diary』、カンヌ国際映画祭「ある視点部門」正式出品『海よりもまだ深く』などの是枝監督がオリジナル脚本で描き出す最新作。弁護士・重盛の目を通して、弁護を担当する殺人犯・三隅の底意を見つめていく法廷心理サスペンスとなっている。主演を務めるのは、是枝監督とは『そして父になる』以来2度目のタッグ、2018年にはジョン・ウー監督の『追捕-MANHUNT』が控える福山さん。また、福山さんに対峙する殺人犯には、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『うなぎ』やモントリオール世界映画祭審査員特別グランプリ『わが母の記』をはじめ、『蜩ノ記』『バケモノの子』など日本を代表する名優・役所さんが務め、是枝組に初参加を果たす。是枝監督は、本作品の開発にあたり、弁護士や検事たちへの取材に加え、弁護士たちの協力のもと、実際に作品の設定通りに弁護側、検事側、裁判官、犯人、証人役に分かれて模擬裁判を実施。そこで出てきた各立場からのリアルな反応や行動、言葉などの要素を脚本に取り込み、反映させる作業を行っているという映画タイトルは現在のところ未定。クランクインは1月中旬、撮影は3月まで行われる予定だという。<以下、コメント>■福山雅治初めてご一緒させていただく役所さんとの読み合わせは、とても緊張感のある時間でした。より深く、さらに研ぎ澄まされた是枝監督の演出に応えられるよう精一杯演じられたらと思っています。■役所広司準備段階での是枝監督の丁寧な映画作りの姿勢に触れ、すでに緊張しています。福山さんはじめ素晴らしいキャスト皆さんとの仕事を楽しみにしています。■是枝裕和監督福山さんにオファーをするにあたり、近年描いてきたホームドラマに一度区切りをつけ、かねてより挑戦したいと考えていた法廷劇を選びました。そして福山さんに対峙する殺人犯役を、監督としてはある種の覚悟が必要な俳優である役所さんにお願いしました。弁護にあたり真実を知る必要はないと考えていた主人公が、犯人と交流していくうちに事件の真実を知りたいと思うに至る過程を描く心理劇です。役所さんの胸を借りるかたちで、福山さんをいじめ、揺さぶっていきたいと思います。福山さんと役所さんの本読みで感じた「この2人の組み合わせは新鮮で面白い」という、ドキドキした僕自身の感触をどう本編に刻んでいけるか、悩み苦しみ、楽しみにしながら脚本の最終仕上げを現在行っているところです。是枝裕和監督最新作(タイトル未定)は9月、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年01月10日映画『海よりもまだ深く』のBlu-ray&DVD発売記念トークイベントが11月26日(土)、都内にて開催され、是枝裕和監督と俳優の池松壮亮が登壇。お互いの印象や、撮影エピソードを語った。同作は、15年前に文学賞を一度とったきり、息子としても、夫としても、父親としても情けない良多(阿部寛)が主人公の人間ドラマ。池松さんは、良多が「小説のための取材」と称して勤めている探偵事務所の相棒・町田健斗役を演じる。第69回カンヌ国際映画賞「ある視点」部門に出品され、北欧ノルウェー最大の国際映画祭である第26回フィルムズ・フロム・ザ・サウス映画祭でグランプリに相当する「シルバー・ミラー賞」を受賞するなど注目を集めている同作を、是枝監督は「ひと区切りになる作品」とふり返った。続けて、池松さんを起用した経緯を尋ねられると、是枝監督は、池松さんが出演するテレビCMを見た際に「この子、会いたい」と思ったエピソードを回顧。一方の池松さんは、10代のころから是枝監督の作品をたくさん見ているそうで、「『自分は俳優をやる』と決めた時点で、『この人の作品に出なかったら嘘だな』というくらい…」などと是枝作品への憧れを言葉にした。MCが「先ほど楽屋で、『現場でもお2人は、まだあまりしゃべったことがない』と聞きましたが、今日は、“初対面デート”みたいな感じです」とジョークを交えてイベントを盛り上げ、トークは佳境に入った。是枝監督は、撮影現場の様子を、「それほど(池松さんと)言葉を交わさなくても、『なるほど、こういう解釈で来たのだな』というようなキャッチボールは裏側ではできていたと自分では思っています」と述懐。池松さんは、「台本の見開き1ページめに、成りたい大人にみんな成れるわけじゃない、という一文が入っていて、掴まれたといいますか…」などと、同作に引き込まれた様子を紹介した。池松さんの印象を質問された是枝監督は、「色っぽいよね。若いのに」と回答。「あと、決して自分の生理を越えて声を張ったりとかは一切しないですから」とも。池松さんは「僕だってちゃんと声を出すことはあるのですよ」と突っ込みを入れたが、是枝監督のもとでは「嘘をつかなくてもよい環境をいただけるので」と感謝の言葉を口にする一幕もあった。他にも、“自己実現できなかった大人”というテーマに対する是枝監督の考えや、池松さんが自身のことを「敗者」だと思っているエピソードなどが語られ、ファンは2人の話に熱心に耳を傾けていた。イベントの最後、マイクを持った是枝監督は「現場よりはずっと2人で話ができたので、ちょっと交流が深まったかな」とコメントし、笑いを誘った。映画『海よりもまだ深く』のBlu-ray&DVDは、発売中。(映画『海よりもまだ深く』Blue-ray&DVD発売記念トークイベント)
2016年11月26日X-girl(エックスガール)から、漫画家・楳図かずおの作品『わたしは真悟』とコラボレートしたコレクションが登場。2016年8月27日(土)より全国の店舗および公式オンラインストアにて発売される。日本が世界に誇るホラー漫画の第一人者で、『漂流教室』『まことちゃん』など著名な作品を世に送り出してきた楳図かずお。コラボレーション第二弾となる今回は、「神や意識とは何か」といったテーマで熱狂的なファンを獲得し、ミュージカル化も決定したSF長編マンガ『わたしは真悟』にフィーチャー。迫力のある前半部分のクライマックスシーンや、扉絵からピックアップしたSF感漂う絵柄を落とし込んだTシャツ、iPhoneケース、ハンドタオルが展開される。【商品情報】X-girl × KAZUO UMEZZ 『わたしは真悟』発売日:2016年8月27日(土)取扱店舗:全国のX-girl、公式オンラインストア【問い合わせ先】X-girl storeTEL:03-5772-2020
2016年08月25日是枝裕和監督が公開中の最新作で団地を舞台にした映画『海よりもまだ深く』について、団地をこよなく愛し、活動する「団地団」の大山顕、佐藤大、速水健朗、山内マリコと5月26日(木)、上映後のトークセッションに出席。団地について熱く語り合った。映画は作家崩れのダメ中年の主人公が、別れた妻、妻に引き取られたひとり息子と共に、団地でひとり暮らしをする老母の元を訪ね、台風のひと晩を過ごすさまを描き出す。「団地団」は写真家の大山さん、アニメ脚本家の佐藤さん、「ラーメンと愛国」「フード左翼とフード右翼食で分断される日本人」などの著書で知られる速水さん、「ここは退屈迎えに来て」で鮮烈なデビューを飾り、「アズミ・ハルコは行方不明」が蒼井優主演で映画化されることも決まっている作家の山内さんら、団地を深く愛する異業種の面々で結成されたグループで、団地にまつわるトークイベントや著書の刊行を行なっている。大山さんは本作を「最高の団地映画!」と団地という観点から称賛。「安易な“団地あるある”で描かれておらず、あざとさがない」と語る。大山さんいわく、団地を舞台にした映画では、往々にして「いまの団地にはないよね」というものや描写が多く存在するそうだが、本作で“ジップロック”という現代的な台所用品が登場する点に言及し、きっちりと“現代の団地”が丁寧に描かれており「感動しました」と語る。是枝監督はこれについて「固有名詞を出して『ジップロックを…』と言ったわけではないけど、団地の部屋の時間の積み重ねを見せないといけないと思った」と説明する。また、団地ならではの“狭さ”を映像の中できちんと描き切っていることについても、団地団メンバーからは絶賛の声が上がる。佐藤さんは「冷蔵庫を開けるとき、よけないといけない!(描写が)細かい!」と語り、大山さんは、主人公の姉の家族も部屋にいる状態での会話シーンについて「姉の夫や娘が後ろにいることが感じられる。団地の狭さが感じられて感動しました」と感激を口にする。これらのシーンは実際の団地での撮影とセットを組んでの撮影を組み合わせて作られたそうだが、是枝監督は「スタジオで撮る場合も、カメラを部屋の広さよりも外に出して、引いて撮らないというルールを決めてました。それじゃウソになるから」と明かす。また、阿部寛が約190cmの巨体を縮めて入るお風呂のシーンに関しても、本物ではなくセットであることを明かした上で「(団地用のお風呂の中で)一番古くて小さいタイプのものを選びました」と語った。山内さんは、狭い空間に複数の人間がいるが故の、会話や動きの多さについて言及。「室内が狭いから、人の距離が近くて、会話が増えているのでは?」と指摘する。監督は自身の経験を踏まえ「ああいう状況だと母親は喋り続け、動き続けるんですよね(笑)。基本的に、(母親役の)樹木希林さん(の動き)をいかに止めないかを重視しました」と語った。映画の最後で、主人公たちを老母が団地の階段から見送るという画も団地ならでは。速水さんは、この樹木さんを「団地の妖精のよう」と語り、大山さんも「トトロみたいに見える」と表現。会場は笑いに包まれたが、是枝監督は納得とばかり深くうなずいていた。このほか、団地団からは団地に存在する「分譲組」と「賃貸組」の静かな対立や格差、遊具、団地ならではの人工的な緑地などについて、様々な視点から質問や指摘が飛び交い、是枝監督は鋭い分析に時に驚きつつ、嬉しそうな笑みを浮かべていた。『海よりもまだ深く』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年05月27日『海街diary』の脚本執筆のさなかの2013年の夏、是枝裕和監督は以前から温めてきた、団地を題材にした脚本の第一稿を書き上げた。執筆の時点で、団地にひとりで暮らす老いた母として、樹木希林をイメージしていたという。2人が初めて作品を共にしたのはお盆に両親の家で顔を揃えた家族の姿を描いた『歩いても 歩いても』(’08)。その後も『奇跡』、『そして父になる』、『海街diary』において、主人公たちの祖母、義母、大叔母という立場で、出演シーンは多くないが絶妙な存在感を見せてきた。『歩いても 歩いても』は、いしだあゆみのヒット曲「ブルー・ライト・ヨコハマ」の一節を用いたタイトルだが、今回の最新作につけられた『海よりもまだ深く』というタイトルもまた昭和歌謡の名曲でテレサ・テンの「別れの予感」の歌詞に由来しており、阿部寛が息子役を演じているという点も同様!作家崩れで探偵として暮らすダメ中年の良多とそんな息子をそれでも愛する母、良多に愛想をつかし彼の元を去った元妻と妻に引き取られた息子の4人が、台風の一夜をひとつ屋根の下で過ごすことになるが…。約8年の歳月の中で是枝監督はどのように変化し、5本もの作品を共にした樹木さんは何を感じたのか――?――脚本の執筆段階で樹木さんをイメージしていたそうですが、ここで描かれる団地に住まう母親には、是枝監督ご自身の亡きお母さまが反映されているのでしょうか?是枝監督:似てる部分はあります。ただ、『歩いても 歩いても』のときもそうだったけど、「僕の母親を演じてほしい」とお願いしたわけじゃなく、あくまでキャラクターとして別人格で作られてます。僕の母のいろんなところ――すごく“世間”であるところや“毒”である部分になっていただいてるのは間違いないですね。――樹木さんは、是枝作品における“母親像”について、どのようにお感じですか?樹木:私も監督の母親として捉えているわけじゃなくて、女の人、母親であれば誰もが持っているであろう、かわいらしさとちょっと意地悪なところ、そういうのを含めて「母親になるとああなるんだろうな」と感じるところはあります。――映画の中では、真木よう子さんが演じた良多の元妻を例に「いまの母親」について少し批判的な部分もありますが…樹木:女の人の生活力が上がるのは素晴らしいことだけど、その分、自由になるので、昔の「食べていけないので我慢する」ということの良い部分まで捨てているんだなとは感じますね。自分の意思通りに進むことで、逆に女の人が持つ忍耐強さが磨かれないままに終わってしまうところもある。それを含め、女性の地位が向上するというのは、良いことであり、一方で損している部分もあるのかもしれませんね。是枝監督:ただ、映画はそれが正しいとか間違っているとかジャッジするわけじゃなくて、そういう育ち方をしてきた老いた母親は、おそらくいまの若い母親たちをそう見ているんだろうという描き方をしています。――監督が最初に本作を構想したのは2001年とかなり早い時期だったそうですが…是枝監督:「団地を撮りたい」と考えたのはそれくらいですね。――『歩いても 歩いても』以降、『奇跡』『そして父になる』『海街diary』とほぼ一貫して“家族”の物語を紡いでいますが、2001年に頭に浮かんだ団地の物語をいまこのタイミングで形にしたのは…是枝監督:この作品のノートを作り始めたのが2009年で『歩いても 歩いても』の公開のすぐ後なの。その段階で(キャストは)阿部さんと樹木さんだったんだけど、実際に、きちんと物語になったのは撮影の1年前くらい。その間に、僕も阿部さんも父親になったというのが、一番大きいと思います。『歩いても 歩いても』は息子から見た親の話で、原田芳雄さんが演じる父が生きてたけど、そこに父親から見た息子という視点を加えたのは、やはり僕が父親になったからでしょう。――『歩いても 歩いても』以降のご自身の各作品の影響、テーマの連続性という部分はありますか?是枝監督:ほかの作品との関連付けは観る側がすることで、自分の中で、別の作品を引き継いだりというのはあまりないんですよね。テーマや関連性は意識してというより、自然に出てくるんですよね。樹木:時代背景とか、あとは誰が映画製作にお金出してくれてってところで作る順番が変わったりもするからね。結果的にこうなったというもんなのよ。是枝監督:そう(笑)。ただ、『海街diary』の脚本と並行してこの作品も書いていたので、向こうは原作があり、僕がそこにどうコミットするかという作業だったし、あっちは背筋を伸ばして生きようとする人たちの物語だから、自分の中のバランス感覚として、こっちは背中を丸めた人たちの話をやりたいというのはあった気がします。樹木:あっちは憧れの美人女優がいっぱいいて背筋が伸びたっていう夢の映画作りで、こっちは(現実の世界に)密着した映画作りなの(笑)。――樹木さんは、作品ごとに監督を見ていて変化は感じますか?樹木:それは感じないけど、ただ、監督にも失敗作ってあるわけですよ。本人は「全部が代表作」とか言うかもしれないけど。是枝監督:言ってませんよ(笑)!樹木:私は「この作品はちょっと…」なんて文句を言うんですけど、ただ、そうは言っても、その都度、人間を見る目というのは成熟してるなと感じますね。上から目線ではなく、(登場人物たちの目線にまで)下がって一緒に生活しているというか。一緒に物を作っているという感覚が魅力的ですよね。――役者に対する接し方に関しては…樹木:それは最初から変わらず平等です。子どもだろうが、何十年やっている役者だろうが、態度が豹変することもない。それは人間として基本的なことだけど、そうじゃない監督、現場って多いから。そういう意味で信用が置けるんです。ただね、時々、私のような何十年もやってるに人間に遠慮がちなことがあるから、もっとズバっと言ってくれていいわね。この顔立ちじゃ、いくらいばっても偉そうになんて見えませんから。もっと大胆にね。是枝監督:なるべく子どもにも、橋爪(功)さんにも、希林さんにも同じように接したいと思ってるけど、それは希林さんがまさにそうですからね。誰にでも同じなんです。樹木:子どもと本気でケンカしてるから!是枝監督:全然、遠慮しないですから。かっこいいんです、それが。それがかっこいい大人なんだって、希林さんを見てると思います。――『歩いても 歩いても』と同じように昭和歌謡が出てきますが、最初の構想の段階から歌ありきで?それとも物語が先だったのでしょうか?是枝監督:歌ですね。樹木:好きなんですって、あの曲(テレサ・テン「別れの予感」)。私は初めて聞いたんだけど、なかなか覚えられなくて(苦笑)是枝監督:どこかのタイミングで、映画の中で一曲かけるってことを決めたんです。そことは全然関係ない、探偵のシーンから書き始めたんだけど、どうやってテレサ・テンにたどり着くのか?自分でも楽しみにしながら書いてました。樹木:へぇ、そんな書き方するのね?――監督の中で、そもそも昭和歌謡が好きというのが大きいんですね。ちなみに一番お好きな曲は?是枝監督:沢田研二かな(笑)?樹木:「壁ぎわに寝がえりうって背中できいている」って是枝監督:そう、やっぱり「勝手にしやがれ」ですかね。子どもの頃に見てかっこいいなって。かっこよかったんですよ、あの頃の沢田研二やショーケン(萩原健一)。子ども心に「色っぽいな」ってわかったんだよね。※余談だが、向田邦子脚本のTVドラマ「寺内貫太郎一家」で樹木さん演じる祖母が沢田研二の大ファンという設定で、壁のポスターに向かって「ジュリー!」と叫ぶ名シーンが!――ではあの当時のTVドラマなども?是枝監督:「前略おふくろ様」、「傷だらけの天使」(どちらも萩原健一主演)で育ってるからね。原点だね。――本作の中には、何気なく発せられるセリフに深い含蓄があります。子どもが口にする「フォアボールを狙ってる」や「パパはなりたいものになれた?」といった言葉にドキッとさせられたりします。脚本段階で樹木さんにあて書きしたということですが、樹木さんに「これを言ってほしい」という思いで書いたセリフなどはありますか?是枝監督:セリフありきではなく、書いていくうちに出てくるんですよね。だから最初から「このセリフを言ってほしい」というのはなかったかな…?ただ「みんながなりたかった大人になれるわけじゃない」というのは、阿部さんがどこかで言うと決めてました。でも、ジーンと来るような感じで言いたくないので、笑っちゃうようなシチュエーションでと決めてました。――あえて、あのひどいシチュエーションで…(笑)?樹木:それはね、そういうもんなの。いいセリフほどそうなのよ!是枝監督:あのセリフは、よくない状況で言わないと。樹木:「さあ、いいセリフを言うぞ!」ってわかってて言うのは…高倉健にしかできないわよ!是枝監督:あの状況はひどいでしょ?ひどいからいいんだよね。阿部さんが言った後、隣にいる池松(壮亮)が吹いちゃう(笑)。「お前がそれ言うか?」って感じで。あのシーン以外でも、希林さんが良いセリフを言った後で「私、いまいいこと言ったでしょ?」と言う。そこは崩さないと、本当にいいこと言ったと思っちゃうから。自分でいいことを言った後に崩すのが、あのお母さんの品なんだよね。樹木:品なのよ、そこは。余談だけど「寺内貫太郎一家」で(自身が演じた)ばあさんが、食べてる最中にグシュっとやったり、汚いことするの。でもそれをその中にいる人間が「きたねーな、ばあちゃん!」って言う。そう言わせないと、作品自体が下品になっちゃうのよ。中の人間に言わせて解決する。それが日常生活のシーンの鉄則なの。是枝監督:面白いですね。――逆に、監督ご自身が書いたセリフなのに、樹木さんが現場で発することで、イメージを超えたものになったシーンなどはありますか?樹木:それはないわよ。やっぱり台本の段階でしっかりと…是枝監督:ありますよ(笑)!孫が「宝くじが当たったら、またみんなで一緒に暮らしたい」と言うところ。書くときはサラッと書いたけど、お芝居でそのひと言が出てきたら、自分で書いたセリフなのに、ウッときたんだよね。樹木:へぇ…。是枝監督:それは、希林さんもそうなのか…あの映画の中のおばあちゃんもウッときてるんだよね。「こんな風にセリフが立つのか!」と思いました。孫はどこかでそれを信じたくて、でもおばあちゃんはそんなこと起きないってわかってる。でも、そのズレを孫に気づかせちゃいけないと思ってて、そうやって互いに間接的に思いやっている様子がすごくよかった。樹木:あれは孫のいる女優じゃなきゃできなかったかもしれないわね…。是枝監督:ああいうこと、あるんでしょうね。そんなに深く考えていない孫のひと言にグッときちゃうことが。――阿部さんが演じた良多は、これまでの是枝監督の作品の中でも、類を見ないほどのダメ男として突出しているように思います。監督の中でいつも以上に踏み込んだという意識は?是枝監督:ギリギリまで攻めてみようかと。樹木:ただ、私は「あそこまで」と特別なものとは感じなかったわね。もっとすごい人を周りでいっぱい見てきたし…。是枝監督:いろんなことを時代のせいにして、背中を丸めながら生きてる男。――ただ、そこまで特別な悪い男という思いは…是枝監督:なかったかな…。ひとつひとつの行動を撮りだすと、息子としても、父親としても、夫としても弟としてもダメなんだけど…。――子どもへのプレゼントを無理やり値切ろうとしたり…結構、サイテーですが…(苦笑)是枝監督:でもね、そこまではやるよ、きっと(笑)。樹木:誰でもそういうところ、持ってますよ。是枝監督:高校生から金をゆすろうとするのが、行為としては一番最低かもしれないけど…。無理やり値切ろうとするというのは、人間の“小ささ”としてはあるかな。樹木:ありますよ。――「悪さ」ではなく「小ささ」?是枝監督:そう、人間の小ささ!樹木:自分を見つめていけば、ある種の状況に置かれたら出てくるものですよ、みんな。是枝監督:でもね、そこは確かに難しいところでもあった。自分ならどこまで可能か?「あるな、これくらいは」と思えるのはどこまでか?すごく微妙なところで、女の人が見てどこまで許せて、どこから「ナシ」なのか?いや、そもそも「ナシ」なのはいけないのか?――せめぎあいが…是枝監督:阿部さんもそこは苦労してやってました。真木さんに触れるシーンで、最初脚本には「足首に触る」ってあったんです。阿部さんは「足首かぁ…」ってずっと言ってて「おれの体の大きさで、小柄な真木さんの足首に触るってどう見えるのかな?」って。考えた末に、ひざのあたりにスッと行ったんです。それが笑えるんだけど、足首だったらまた芝居が違ってたかもしれない。そこはすごく考えて、自分の役のキャラクター、大きさ、おかしみとか…ギリギリまで攻めたり、やめたりして面白かったです。――最後に「団地」について監督なりの想いを聞かせてください。是枝監督:どちらの想いもあるんですよね。「なりたいものになれなかった」哀感もあるし、でも、そこで20年を暮らして、団地は原風景でもあるから、無機質なものでは決してない。いろんな情感、表情、陰影があって、それをきちんと愛をもって撮りたかったんです。樹木:最初はね、団地に当選するってすごくラッキーだったわけですよ、当時。NHKのニュースになるくらい。団地に住むのが憧れの的だった時期もあったんですから。是枝監督:良い悪いってジャッジじゃないんですよね。小3の9月に引っ越してきて、台風が来て、家族で喜んだの(笑)。「今年はどんな大きいのが来ても、鉄筋コンクリートだから大丈夫だ」って。翌朝、台風が去って、外に出た時、すごくキレイだったんだよね。そういう読後感のある映画にしたかったんです。あそこであの母親は死んでいくんだろうし、息子があそこに戻ってくることはないだろうけど、それでも台風がやってきて、翌朝の芝生がキレイで…そういう映画がいいなって。(photo / text:Naoki Kurozu)
2016年05月20日お笑いコンビ・ホンジャマカの恵俊彰(51)が、7日に放送された日本テレビ系バラエティ番組『メレンゲの気持ち』(毎週土曜12:00~13:30)にゲスト出演し、タレント・関根勤(62)の感動エピソードを語った。同番組が5月28日の放送で1000回目を迎えることを記念して、5月は「1000回記念月間」と題して、毎週豪華ゲストが登場。7日はその第1弾企画「人気MCスペシャル」で、恵のほか、ヒロミ(51)、小堺一機(60)がゲスト出演。その中でそれぞれのMC論の話題になり、恵が披露したのは関根のエピソードだった。関根の言葉で印象に残っているのが、「僕は嫌いな人を作らないようにしています」。かつて生放送で共演した際、そんな関根が珍しくほかの共演者について「本当はあの人のこと、あまり良い印象じゃない」と恵に吐露したことがあった。しかし、続けて関根が言ったのは「でもね、1カ月かけて好きになるから」。その言葉通り、共演者の好きな映画や本などを話題に積極的に関根の方から話し掛け、今では心を許し合うほどの仲になっているという。恵は、感慨深げに「すごく勉強になりました」と当時を思い返していた。5月14日は、歴代MCが大集合。芦田愛菜、若槻千夏、ももいろクローバーZ・百田夏菜子らがゲスト出演する。
2016年05月07日是枝裕和監督最新作『海よりもまだ深く』の完成披露試写会が4月24日(日)に開催。是枝監督に主演の阿部寛、真木よう子、吉澤太陽、樹木希林が上映後の舞台挨拶に出席した。『海街diary』で日本アカデミー賞最優秀作品賞、監督賞に輝いた是枝監督が、同作の撮影の合間を縫って制作した本作。台風が通過する夜、興信所の探偵として働くダメ中年の良多とそのかつての妻、2人の息子、良多の母の4人が、良多の母が暮らす団地で夜を明かすことになるが…。阿部さんは映画>『歩いても 歩いても』、ドラマ「ゴーイング マイ ホーム」に続き、是枝作品で主人公の“良多”を演じることになったが「ここまでダメダメな男は初めて(笑)」と語りつつ「でもどこか憎めず、かわいく思えた。多かれ少なかれ、僕もダメなところはたくさんある。せこいところや弱いところは共感を覚えました」と思い入れを口にする。真木さんは本作を「大好きな作品になりました」と語る。撮影は、是枝監督が実際に子ども時代を過ごした団地で行われたが、真木さんは「小さいころ、全く同じようなアパートに住んでました。(樹木さん演じる良多の母が作る)カルピスのアイスも懐かしかった」としみじみ。樹木さんは、舞台上でも劇中と同じく、息子を愛する母そのまま!映画の中で、阿部さんが大きな体を丸めて、団地の小さな風呂に浸かるシーンがあるが「あんな団地の小さな風呂じゃなく、ウチの息子はローマ風呂に入ったんだし、エヴェレストにだって登ったんだから!芽が出ないのは世間のせい!」とかばう。また良多が“ダメな男”と紹介されることについても「ダメじゃない!私の周りにはもっとすごい人たちがいっぱいいますよ」と語り、会場は笑いに包まれていた。このほかにも随所に“希林節”は健在。ここ数年の是枝作品への連続出演について尋ねられると「義理でね」と言い放ち、本作のカンヌ国際映画祭への出品に関し、現地に赴く阿部さんが「プライベートでは行ったことがあったんですが」と語ると「誰と行ったの?」と問いただすなど不規則発言を交え、たびたび客席をわかせていた。『海よりもまだ深く』は5月21日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年04月24日昨年の1、2月に放送され大きな反響を呼んだ「岩井俊二のMOVIEラボ」のシーズン2の放送が決定。進行役の千原ジュニアをはじめ、堤幸彦、是枝裕和、長澤まさみといったゲストが登場する。最新作『リップヴァンウィンクルの花嫁』の公開を控える映画監督の岩井俊二が主宰を務める本番組。シーズン2の今回は、1回の放送ごとにそれぞれ「走る」「闘う」「恋をする」「嘘をつく」のテーマを設け、古今東西の映画から名シーンをセレクト。ゲストとともに、そのシーンがどうように撮影され、監督たちがどんなことを表現しようとしたのかを探求する。第1回及び第2回のゲストには、昨年『天空の蜂』を手がけた映画監督の堤監督とアクション・コーディネーターの諸鍛冶裕太が登場。第3回及び第4回のゲストには、第39回日本アカデミー賞で作品賞ほか最多12部門受賞『海街diary』の是枝監督と、同作で優秀助演女優賞を受賞した長澤さんが登場する。撮影の裏話はもちろん、岩井監督とどのような対話が繰り広げられるのかに期待がかかる。また、会場にはプロの映像クリエイターを目指す若者が聴講生として参加。「1分スマホ映画ロードーショー」として、彼らにスマホを使った1分間のミニ映画を制作してもらい、その優秀作品を講師陣が講評していく。新しい才能に対して、監督たちがどんなコメントするのかが楽しみだ。「岩井俊二のMOVIEラボ」のシーズン2は、2月4日(木)よりEテレにて毎週木曜日23時から全4回放送。(text:cinemacafe.net)
2016年01月22日俳優の阿部寛(51)が、是枝裕和監督の最新作『海よりもまだ深く』(2016年5月21日公開)で主演を務めることが25日、明らかになった。阿部が是枝監督とタッグを組むのは本作で3度目となる。阿部が演じるのは、小説家を目指すも一向に才能が開花せず、生活費のために探偵事務所に勤める男・良多。バツイチでギャンブル好き、夢ばかり追いかけ続けるダメ中年でありながらも、憎めないキャラクターだ。その母親役は、樹木希林。劇中では、「大器晩成…って時間かかり過ぎですよ」「ミカンの木、花も実もつかないんだけど、あんただと思って毎日水やってんのよ」など歯に衣着せぬ物言いの親子の会話を繰り広げる。良多の前妻・響子を真木よう子が演じるほか、探偵業務の相棒役の池松壮亮、探偵事務所社長役のリリー・フランキー、良多の姉役の小林聡美、樹木の憧れのクラシックの先生役の橋爪功なども出演する。阿部は、良多のキャラクター像を、「ある種とてもダメな男。夢を追い続けているけれど、うまくいかず、嫁や子供から見放されてしまった男」と説明。続けて、「こういう役を演じるのは初めてなので、新鮮で楽しい経験でした」と笑みを浮かべながら、「"いつまでも夢を追いかけている人間"の甘えを演じることで、今までにない、面白い人間味を出せたのではないかと思います」と自信を見せる。それも、「実際、僕も10代の頃などは、夢に打ち破れ、それでも何とかやっていくような毎日の連続でした」と話す通り、阿部自身の経験にも基づいているからだ。これらを踏まえ、「強がっているのに非常に弱い、そんなダメだけど愛おしい良多を、皆さんに見ていただけたらうれしい」とアピールしている。そんな良多の母親役の樹木は、「背が高すぎて苦労した時代が長かった阿部さん、ローマ風呂だけじゃない居場所を見つけたのね」と、過去の阿部の主演作『テルマエ・ロマエ』(12年)を思わせるコメントを寄せた。別れた元妻役の真木は、響子を「将来を見ている女性です。子どもや自分の将来を見据え、それを行動に移せるしっかり者」と表現。「だから、阿部さんが演じた良多のような、夢見がちな男性が寄ってきてしまうし、反対にそういう男性を好きになってしまうのではないかと思います」と指摘する。また、阿部の出演作を多数見てきたと明かし、「ここまで"ダメ男"の役は初めてな気がします。でも、すごくハマっていらっしゃいました(笑)」「役を演じ分けられる能力がとても高くて素晴らしい俳優さん」と称賛した。映画は、2016年5月21日公開。樹木演じる母親が暮らす団地のシーンをはじめ、実際に是枝監督が9歳から28歳までの19年間住んでいたという、東京都清瀬市の旭ヶ丘団地を主な舞台として物語が展開する。(C)2016 フジテレビジョン バンダイビジュアル AOI Pro. ギャガ
2015年12月25日『そして父になる』『海街diary』の是枝裕和監督の新作映画『海よりもまだ深く』が来年5月21日(土)から公開されることが決定した。阿部寛、真木よう子、小林聡美、リリー・フランキー、樹木希林らが出演し、現代を生きる家族の姿を描くという。その他の画像本作で阿部が演じる良多は、15年前に1度だけ文学賞をとった売れない作家で、現在は“取材”と言い訳しながら探偵業をしている大人になりきれない男。息子がいるが、妻と離婚しており、母は団地でひとりで暮らしている。そんなある日、たまたま母の家に集まった良太と元妻、息子は台風のために翌朝まで帰れなくなり、夜が明けるまで“家族”として過ごすことになる。是枝監督は「この映画に登場する、阿部寛さん演じる息子も、樹木希林さん演じる母親も、真木よう子さん演じる別れた元嫁も、みな『こんなはずじゃなかった』という思いを抱きながら、夢見た未来とは違ってしまった今を生きています。そして、映画の主な舞台になる公団住宅も、建設された当時は思いもしなかったであろう、老人ばかりの現在を生きています。今回の映画は、そんなどうしようもない現実を抱えながらも、夢を諦めることも出来ず、だからこそ幸せを手に出来ないでいる、そんな等身大の人々の今に寄り添ったお話です」と説明。「なんというか、僕が死んだ後に、神様か閻魔様の前に連れて行かれて、お前は下界で何をしたんだ、と問われたら、真っ先にこの『海よりもまだ深く』を観せると思います。集大成とか、代表作といった言葉がふさわしいわけではないのですが、自分の今を一番色濃く反映出来た作品であることは間違いないです」と語っている。また主演の阿部は「是枝監督の現場は初めてではありませんが、監督は僕らの演技をしっかりと見ていてくださるので、すごく安心感があります。監督の判断にゆだねれば絶対大丈夫だという安心感。作品を最良のものにするための監督の精神は、本当に尊敬しています」と語る。劇中に登場する団地のシーンは、是枝監督が9歳から28歳まで住んでいた東京都清瀬市の旭が丘団地で行われ、樹木は「撮影中、子供時代を知ってる方々にすれちがう、我が団地の出世頭『コレエダ!』わたしは忘れものしても、とりに戻らない。さてこの映画、まあまあなのか上出来なのか、蓋をあけてみるのが楽しみ」とコメントを寄せている。『海よりもまだ深く』2016年5月21日(土)新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー
2015年12月25日『そして父になる』『海街diary』などで国内外から高い評価を得る、是枝裕和監督のオリジナル最新作『海よりもまだ深く』が2016年5月、劇場公開されることが決定。二度目の親子役を演じる阿部寛&樹木希林ほか、真木よう子、小林聡美、リリー・フランキー、池松壮亮らの出演が明らかとなった。団地で気楽な1人住まいを満喫中の淑子(樹木さん)。長男の良多(阿部さん)は、15年前に文学賞を一度とったきりの売れない作家。いまは探偵事務所に勤めているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳している。そんな良多に愛想を尽かして離婚した元嫁、響子(真木さん)。11歳の息子・真悟(吉澤太陽)の養育費も満足に払えないくせに未練たらたらの良多は、探偵技で響子を“張り込み”し、彼女に新しい恋人ができたことにショックを受けている。そんなある日、たまたま淑子の家に集まった良多と響子と真悟は、台風のため翌朝まで帰れなくなり、ひとつ屋根の下でひと晩を過ごすことに。こうして、偶然取り戻した、夜が明けるまでの束の間の“家族”が始まるが――。さまざまな“家族のカタチ”を描いてきた是枝監督が、いくつになっても大人になりきれない男と、そんな息子を深い愛で包み込む母の姿を中心に、夢見た未来と少し違ういまを生きる家族を描く本作。主演の阿部さんと是枝監督がタッグを組むのは、映画では『歩いても 歩いても』『奇跡』に続き3作目。そして阿部さんと樹木さんは『歩いても歩いても』でも親子役を演じており、今回も劇中で、阿部さんの身長に掛け「大器晩成…って時間かかり過ぎですよ」と言ったり、「ミカンの木、花も実もつかないんだけど、あんただと思って毎日水やってんのよ」と歯に衣着せぬ物言いの親子の会話を披露するなど、息の合った演技で魅せ、笑いを誘う場面も登場する。別れた元妻役を真木さんが務めるほか、探偵業務の相棒役には池松さん、探偵事務所社長役にリリーさん、阿部の姉役に小林さん、樹木さん憧れのクラシックの先生役に橋爪功など、キャストには豪華実力派俳優たちが名を連ねている。また、樹木さんが演じる淑子が暮らす団地のシーンは、実際に是枝監督が9歳から19年間暮らしていた、東京都清瀬市の旭が丘団地で撮影されたとのこと。撮影中は、監督の幼少期を知る住民が現場をあたたかく盛り上げるひと幕もあったという。そんな思い入れの強い作品となった本作について、是枝監督は「どうしようもない現実を抱えながらも、夢を諦めることも出来ず、だからこそ幸せを手に出来ないでいる、そんな等身大の人々の今に寄り添ったお話です」とコメント。「僕が死んだ後に、神様か閻魔様の前に連れて行かれて、お前は下界で何をしたんだ、と問われたら、真っ先にこの『海よりもまだ深く』を観せると思います。集大成とか、代表作といった言葉がふさわしいわけではないのですが、自分の今を一番色濃く反映出来た作品であることは間違いないです」とその想いを語った。そして、「下町ロケット」での熱血社長ぶりも記憶に新しい阿部さんが、本作で演じるのはまるで正反対、バツイチでギャンブル好き、夢ばかり追いかけ続ける“ダメ中年”だ。「こういう役を演じるのは初めてなので、新鮮で楽しい経験でした。”いつまでも夢を追いかけている人間”の甘えを演じることで、今までにない、面白い人間味を出せたのではないかと思います。実際、僕も10代の頃などは、夢に打ち破れ、それでも何とかやっていくような毎日の連続でした」と過去の自分を振り返りつつ、真木さんとの共演についても「強くてドライな女性像を演じてくださったので、僕もいままでの役との変化を出せてとても充実していました」と手ごたえを感じた様子。対する真木さんも、「私が今回演じた響子は、将来を見ている女性です。子どもや自分の将来を見据え、それを行動に移せるしっかり者。だから、阿部さんが演じた良多のような、夢見がちな男性が寄ってきてしまうし、反対にそういう男性を好きになってしまうのではないかと思います。阿部さんは色々な作品で拝見していますが、ここまで“ダメ男”の役は初めてな気がします。でも、すごくハマっていらっしゃいました(笑)」と“ダメ男”阿部さんを絶賛した。また、樹木さんとの共演について阿部さんは、「親子を演じるにあたり、最高の環境をいただいたと思っています。演技の合間に作品のことだけではなく、色々なお話をしてくださって、そういう時間を一緒に過ごすうちに、自然と親子の空気が生まれていきました。樹木さんは、もともとそれを考えて下さったのかな、とも思います。あと、樹木さんだからこそ言えるセリフと言うのがあり、本当に面白いんです。是枝監督が樹木さんにしか言えないセリフを書き、それを“バチーン!!”と演じられる樹木さんがいる。そういう場面が見られる現場は、本当に貴重な経験でした」と感嘆の声を上げる。真木さんも「なかなかご一緒できる機会もないので、現場で盗めるだけ盗んでやろうと思っていました(笑)。一言一句台本に忠実に演じていらっしゃるのに、樹木さんらしさがキャラクターに滲み出ているのがとても印象的で、改めて尊敬する女優さんだなと感じました」と語るなど、日本が誇る演技派女優に改めて魅了されたよう。一方、そんな樹木さんからは、「背が高すぎて苦労した時代が長かった阿部さん、ローマ風呂だけじゃない居場所を見つけたのね。あの時代は憧れだった団地、70過ぎた婆さんにとってエレベーターのない団地の撮影はヨッコラショ。『僕は9才から28才までそこに生活してたんですよ!』撮影中、子ども時代を知ってる方々にすれちがう、我が団地の出世頭『コレエダ!』。わたしは忘れものしても、とりに戻らない。さてこの映画、まあまあなのか上出来なのか、蓋をあけてみるのが楽しみ」と独特の感性あふれる、樹木さんならではのコメントが到着している。数々の作品で活躍する名優たちが厚い信頼を置く是枝監督の最新作の続報に、引き続き注目していて。『海よりもまだ深く』は2016年5月21日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年12月25日中華人民共和国(中国)は12月17日(現地時間)、暗黒物質(ダークマター)探査衛星「悟空」(DAMPE)を搭載した、「長征二号丁」ロケットを打ち上げた。世界最先端級の観測機器を搭載し、未知の物質であるダークマターの世界初の検出に挑む。ロケットは日本時間12月17日9時12分4秒(中国標準時同日8時12分4秒)、甘粛省にある酒泉衛星発射センターの第2発射台から離昇した。その約1時間後、中国政府や国営メディアは「打ち上げは成功した」と発表した。【12月18日追記】17日夜(日本時間)には、米軍が運用する、地球周辺の物体の監視を行っている宇宙監視ネットワークも、悟空と思われる衛星を検知している。公開された軌道のデータから、衛星は事前の予告どおりの軌道に乗っていることが確認でき、打ち上げ成功が裏付けられている。○「悟空」(DAMPE)「悟空」(DAMPE)は中国科学院が中心となって開発した衛星で、高エネルギーのガンマ線や電子、宇宙線を観測し、存在は確実視されているものの観測されたことがない暗黒物質の検出を目指している。「悟空」は愛称で、正式名称は「DAMPE」(DArk Matter Particle Explore)と呼ばれている。悟空と同様の目的で開発された機器に「アルファ磁気分光器(AMS-02)」と「高エネルギー電子、ガンマ線観測装置(CALET)」があり、この2つは共に国際宇宙ステーション(ISS)に設置され、現在も観測を続けている。しかし、DAMPEが観測できる範囲はAMS-02よりも1桁以上も大きい5ギガ電子ボルト(GeV)から10テラ電子ボルト(TeV)までと、高い性能をもっている。DAMPEは中国やスイス、イタリアの大学や研究機関、欧州原子核研究機構(CERN)なども参加した国際共同プロジェクトとして推進されており、その観測データはAMS-02やCALET、またガンマ線宇宙望遠鏡「フェルミ」などの成果と補完しあう関係にある。衛星には「プラスティック・シンチレーター・ストリップス検出器(PSD)」、「シリコン-タングステン追跡/変換器(STK)」、「ゲルマニウム酸ビスマス・カロリメーター(BGO)」、そして「中性子検出器(NUD)」の、4つの観測機器が搭載されている。打ち上げ時の質量は1900kgで、高度500km、軌道傾斜角(赤道からの傾き)が97.4度の太陽同期軌道で運用される。設計寿命は3年が予定されている。○ダークマター(暗黒物質)現在の研究では、私たちのいる宇宙を作っている物質のうち、すでに知られている通常の物質はわずか5%で、残りの23%がダークマターと呼ばれる物質、さらに残りの72%が暗黒エネルギー(ダークエネルギー)であると見られている。このうち、暗黒エネルギーについてはまったく正体不明だが、ダークマターについては存在することはまず間違いないといわれている。ダークマターは、1970年代にある渦巻き銀河を観測した際に、その回転速度から計算した質量が、その銀河にある数多くの星々の合計質量よりも約10倍も大きいことが判明したことから、宇宙には光では観測できないものの、重力をもつ何らかの物質があることがわかり、その未発見の物質として名付けられた。その中でも有力な候補とされているのが「弱い相互作用をする重い粒子」の「WIMP」で、さらにそのうち「ニュートラリーノ」と呼ばれる素粒子である可能性が高いと言われており、世界中で研究や観測が続けられているが、これまでに検出に成功した例はない。WIMPそのものは目には見えないが、放射線のエネルギーによって蛍光を出す物質(シンチレーター)を使った観測や、WIMPが対消滅や崩壊した際に生成されると考えられているガンマ線や電子・陽電子の観測によって、ダークマターが存在する証拠を掴めるのではと期待されており、地上や宇宙に設置した観測装置による観測が、世界中で行われている。○長征二号丁長征二号ロケットは中国の中型ロケットで、1974年から打ち上げが行われている。今回の打ち上げに使われた「長征二号丁」はその改良型で、1992年に初飛行し、また2003年からは打ち上げ能力を向上させた改良型が開発され、運用されている。長征二号シリーズは今回を含め、これまでに88機が打ち上げられ、84機が成功している(衛星打ち上げのみ)。また長征二号丁に限っては今回で25機目となり、すべて成功している。【参考】・・・・
2015年12月17日綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずが姉妹を演じる、是枝裕和監督の『海街diary』。この度、スペインで開催された第63回サンセバスチャン国際映画祭にて観客賞を受賞したことが分かった。鎌倉で暮らす幸、佳乃、千佳の三姉妹は、15年前、家を出ていったきりの父の葬儀で、初めて異母妹のすずと出会う。身寄りのなくなった彼女が葬儀の場で毅然とふるまう姿に、幸は別れ際、とっさに「いっしょに暮らさない?4人で」と口にする。こうして、鎌倉での四姉妹の生活が始まった――。今回、世界の映画祭で評価をされた作品などでスペイン未公開作を上映するパールズ部門出品の13本に選ばれていた本作。本年度カンヌ国際映画祭監督賞を受賞した『黒衣の刺客』などもエントリーされていたが、10点満点中平均8.53点と最高点を記録した『海街diary』が見事受賞した。会場では、公式上映後も帰らない観客たちが劇場入口で拍手喝采で是枝監督を取り囲み大盛り上がり。過去には『奇跡』(’11)では脚本賞、『そして父になる』(’13)では観客賞を受賞している是枝監督。受賞を受けて監督は、「上映後に劇場から出てきたお客さんの表情がとても穏やかで、晴れやかだったので、それだけでも沢山幸せを頂いたと思っていたのですが、観客賞を受賞したと聞き、本当に嬉しいです。『そして父になる』に続いて2作連続の受賞というのも誇らしい限り。愛されてるなあ、としみじみ感じています」と喜びのコメントを寄せた。(text:cinemacafe.net)■関連作品:海街diary 2015年6月13日より全国にて公開© 2015吉田秋生・小学館/フジテレビジョン小学館東宝ギャガ
2015年09月28日コンビニエンスストアを中心に展開している"ハズレなしのキャラクターくじ"「一番くじ」より、『一番くじ ドラゴンボール ~悟空VSフリーザ超対決編~』が、10月上旬より全国のセブン‐イレブン、イトーヨーカドー店舗などで販売される(一部店舗を除く)。価格は1回620円。今回の「一番くじ」は、鳥山明氏の人気漫画『ドラゴンボール』を題材に、孫悟空と最恐の宿敵・フリーザの超対決をテーマにしたアイテムなどS賞~G賞の8等級全17種類+ラストワン賞をラインナップ。S賞には、パワーアップした悟空のリアルフィギュア「スーパーサイヤ人ゴッドスーパーサイヤ人孫悟空フィギュア」(全1種)が登場。A賞はフリーザがさらなる力を得て、金色に輝く姿になった「ゴールデンフリーザフィギュア」(全1種)、B賞には、「筋斗雲」をモチーフにした全長約30cmの「ルームシューズ」(全1種)が登場する。そのほかにも、悟空とフリーザの対決や形態変化をモチーフにしたイラストや、フィギュアを究極までかっこよく描く「SUGE」デザインの「クリアファイルセット」(全3種)。ゴールデンフリーザ柄や亀仙流マーク柄、ドラゴンレーダー柄、フリーザ第四形態柄をデザインした「ハンドタオル」(全4種)などのアイテムが用意されている。C賞はフリーザの全形態をデザインした「オールフリーザクロック」(全1種)、D賞は悟空の必殺技・かめはめ波や、フリーザのデスビームのエフェクトデザインが施された「手袋」(全2種)。E賞は、悟空とフリーザの形態変化や、入れる飲み物によって見え方が変化するスカウター柄、フリーザの顔をデザインした「グラス」(全4種)などのアイテムも。お店で最後のくじ券を引くとその場でもらえるラストワン賞には、フリーザ第四形態を再現した「フリーザフィギュア~屈辱の記憶~」(全1種)。なお、くじの半券を使って応募するダブルチャンスキャンペーンも同時に展開され、A賞「ゴールデンフリーザフィギュア」の別バージョン「ゴールデンフリーザフィギュア ダブルチャンスカラーver.」が100名に当たる。なお、現在一番くじ特設サイトでは、9月15日~10月30日の期間で53万円相当の『純金フリーザ様フィギュア』(全長約5cm)が抽選で1名に当たる豪華プレゼントキャンペーンを開催している。応募には、バンプレナビ会員への登録(無料)が必要となる。(C)バードスタジオ/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
2015年09月17日音楽家・大沢伸一とボンジュールレコード(bonjour records)のバイヤー・上村真俊によるDJデュオ・オフザロッカー(OFF THE ROCKER)が、最新MIX-CD「SOFA DISCO 15FW」のリリースパーティー「SOFA DISCO」を9月12日に代々木Village Music Barにて開催する。“ソファーで聴くダンスミュージック”がコンセプトの「SOFA DISCO」。シリーズ1、2は代官山の高感度セレクトショップ・ボンジュール レコード(bonjour records)で累計売り上げ約800万枚を記録するヒット作となっている。第3弾となる今回は、オフザロッカーのオリジナルトラックに加え、ジョルジオ・モロダー(Giorgio Moroder)の「Right Here, Right Now feat.Kylie Minogue」のリミックスや、国内外の新進気鋭アーティストの新曲を中心にミックスしたCDと、UN-MIXのトラックを収録したCDの2枚組み。東京・代々木で12日に行われるイベントは、オフザロッカーの他、YOSA、DJ RUBY、K (Play decibel)、FLASH BUG (Mistsuharu Kitago + Kazuma Takahashi)をセレクターに迎えて開催。なお、10月3日には、大阪・東心斎橋のseven HOUSEでも開催を予定している。【イベント情報】SOFA DISCO会場:代々木Village Music Bar住所:東京都渋谷区代々木1-28-9会期:9月12日時間:20:00~料金:男性2.000円、女性1,000円(1ショット+1ドリンク付き)
2015年09月09日