ON Semiconductorは、力率改善(PFC)制御を搭載した2つの高性能LED照明用オフラインAC-DCドライバを発表した。「NCL3008x」ファミリに加わった「NCL30085/6/8」の3品種は、高い力率を必要とする最大60Wのシングルステージ設計に対応している。また、「NCL30030」は、既存のソリューションを拡張したものであり、低い光振動と幅広いLED順電圧バリエーションを必要とする高電圧(最大150W)の2ステージトポロジーをサポートしている。「NCL30085/6/8」は、力率改善電流制御アルゴリズムを使用することで、フライバック、バックブーストおよびSEPICトポロジーに適したものになる。また、擬似共振モードで動作することにより、幅広いラインおよび負荷レベルで最適な効率性を実現できる。さらに、独自の制御方法を用いることにより、一次側からのみ電流を通常2%以内で細かく制御できる。そして、3品種のうち、「NCL30088」は非調光型である。「NCL30086」は、平均LED電流を制御するシングルインプットによりアナログおよびパルス幅変調(PWM)調光をサポートして、スマート調光を可能にする。「NCL30085」は、70%、25%、5%の3段階のログステップ調光をサポートする。これにより、ACスイッチのオン・オフを切り換えてコントローラに信号を出し、LED電流ポイントを下げることで照明の出力を削減する。3品種は、すべてユーザーによる設定が可能な電流サーマルフォールドバックの仕組みを備えているため、過熱を防止すると同時に、メーカーは長寿命を保証することができる。なお、パッケージは「NCL30085/8」がSOIC-8、「NCL30086」がSOIC-10。価格は1万個単位で0.35ドルから。もう一方の「NCL30030」は、2ステージPFCコントローラと擬似共振フライバックコントローラを備え、中電力および高電力のLED照明アプリケーションに最適化されており、低ベイ、高ベイ、街灯など商業用の照明に最適である。さらに、独自のマルチプライヤアーキテクチャを使用することにより、低い高調波歪みと100%に近い力率を達成すると同時に臨界モード型(CrM)で稼働する。そして、SOIC-16パッケージで提供され、高電圧用に間隔を空けるために1個のピンが取り外されている。価格は1万個単位で0.65ドルから。
2014年12月18日Infineon Technologiesは、Arduino設計コミュニティ向けのRGB照明およびモータ制御を対象としたシールド2種類を発表した。両シールドとも、Arduino Uno R3と互換性があり、32ビットマイコン「XMC1000」ファミリを搭載した「XMC1100 Boot Kit」と組み合わせて使用できる。「XMC1000」はすべて、ARM Cortex-M0プロセッサが搭載されている。Arduino向けRGB LED照明シールドには、マイコン「XMC1202」が搭載され、そのマイコンに搭載されているLED照明制御用の輝度色彩制御ユニット(BCCU)によって制御されている。また、Arduino向け高電流DCモータ制御シールドには、モータ制御用の内蔵ハーフブリッジドライバである「NovalithIC BTN8982TA」が搭載されている。なお、Arduinoは、オープンソースのハードウェアとソフトウェアのコンポーネントを用いた演算プラットフォームであり、電子プロトタイプの設計を迅速・簡単に行うことが可能である。具体的には、RGB LED照明シールドは、Arduino向けのインテリジェントな評価ボードであり、各種LED照明エンジンを採用した、短期間でのプロトタイプ作成と低価格での評価が保証される。また、3つの独立した出力チャネルを搭載しており、マルチカラーLEDをちらつきなしに制御できる他、照明レベルに関わらず、エネルギー消費量を抑えた形で完全な調光制御を実現するなど、高品質カラーに必要な要素をすべて備えている。そして、BCCUの自動ハードウェアエンジンを搭載することで、コスト重視の柔軟性に優れた高品質なLED照明ソリューションとなっている。さらに、構成も容易なため、調光・色混合をスムーズに行える。加えて、照明/オーディオノード用のDMXインタフェースや、動き検出用の24GHzレーダセンサなどを使用した拡張にも対応する。一方、Arduino向け「BTN8982TA」搭載のDCモータ制御シールドは、DCモータ制御設計において、迅速かつコスト効果に優れたプロトタイプ作成が可能となり、ハーフブリッジとフルブリッジのモータ制御アプリケーションの試験も容易に行える。また、単方向型のDCモータ2個と、双方向型DCモータ1個を駆動可能。さらに、モータ駆動アプリケーションに最適化された、完全集積型高電流ハーフブリッジドライバ「NovalithIC BTN8982TA」を2個実装している。「NovalithIC BTN8982TA」は、pチャネルハイサイドMOSFETとnチャネルローサイドMOSFETの2個のパワーチップと、電源の制御・監視用のロジック回路を1個搭載した内蔵ドライバICを単一のパッケージに集積している。その他の特徴としては、電流センス機能付きの診断機能、スルーレート調整機能、デッドタイム生成機能の他、過温度、過電圧、過電流、短絡の保護機能を有している。そして、「NovalithIC BTN8982TA」にはロジックレベルの入力インタフェースが搭載されており、マイコンとのインタフェース接続も容易に行える。また、「NovalithIC BTN8982TA」は、保護機能付き高電流PWMモータ駆動装置を対象とした、コスト面で最適化されたソリューションであり、基板面積も抑えることができる。さらに、Arduino向け「BTN8982TA」搭載DCモータ制御シールドは、30kHzの高周波PWMなどを処理可能。同シールドは、最大250Wの連続負荷(例:12V/20A)のブラシ付きDCモータ制御をサポートしつつ、「BTN8982TA」の電流制限機能により最大55Aのピーク電流に対応できる。なお、2015年1月末までの期間、Arduino向け「XMC1202」搭載RGB照明シールドと、Arduino向け「BTN8982TA」搭載DCモータ制御シールドは、Farnell element14社とNewark element14社より購入できる。その期間以降は、Infineonと同社のディストリビュータからも提供される。
2014年12月18日ソニーは12月17日、さまざまなデザインのアイウェアに装着することでウェアラブル端末を実現する、アイウェア装着型の片眼用ディスプレイモジュールを開発したと発表した。同モジュールには、独自の有機EL技術と半導体駆動技術により実現した0.23型超小型高精細カラー有機ELディスプレイが搭載されている。解像度は640x400画素。コントラストは1万:1以上と高く、黒をより深く表現できる他、sRGB色域を100%カバーするメリハリのある色彩豊かな美しい映像を表示する。また、従来パネルでは画素構造において、RGBストライプ配列内に色純度を確保するための遮光部を配置していたが、新開発パネルでは、配列を最適化することで遮光部を最小化し、画素サイズを小さくすると同時に開口率を向上させている。これにより、屋外での使用に必要とされる輝度の維持とパネル外形10.2mm×7.9mmサイズの超小型化を両立させている。さらに、小型・軽量を追求するため、同ディスプレイ専用に開発された超小型専用光学ユニットを搭載しており、晴天下でも暗い屋内でも照度環境によらず、同ディスプレイによる高画質の映像を投影できる。投影された映像は視野角に換算すると対角13度になる。これは2m先の16型ディスプレイによる映像と同等の視野であり、実世界の視界の妨げとならずに必要な情報を確認できる、サブウィンドウとしての活用に適した画面サイズに設計されている。そして、小型の有機ELディスプレイと光学ユニットに加え、スマートフォン相当の処理能力を持つプロセッサと無線機能、各種センサを有する制御基板を、独自の高密度実装技術によって小型化した。これにより、高機能でありながら小型で約40g(ディスプレイ表示部:約22g、その他:約18g)の軽量を実現し、アイウェアに装着しても使用者の負担となりにくく、違和感の少ない形状の小型デザインが可能になったという。この他、同モジュールの高い処理能力を生かして、さまざまな活用法に向けたアイウェア型ウェアラブル端末ソリューションを提供するため、アプリケーション開発用のソフトウェア開発キット(SDK)が用意されている。同キットを用いて用途に合わせた専用アプリを開発することにより、同モジュール自体にアプリを搭載して単独で使用することや、無線接続したスマートフォンのアプリから動作させることができるようになる。そして、豊富な演算機能と無線機能を生かし、クラウドデータと連携したアプリケーションやインフラシステムと連携したアプリケーションなど、アイウェア型のウェアラブル端末の新たな用途の開拓を目指すという。さらに、ソフトウェア開発キットとともに機器連携のための通信仕様を公開し、無線接続したさまざまな機器とアイウェア型ウェアラブル端末を組み合わせたより便利な使い方を可能にするとしている。なお、ソニーでは、2015年内に同モジュールの量産開始を目指している。
2014年12月18日ソニーは17日、対角0.23インチの超小型カラー有機ELディスプレイを備えた、アイウェア装着型の片眼用ディスプレイモジュールを発表した。2015年内に量産開始を目指し、対応アプリケーション開発のためのSDKも用意する。世界最小クラスとなる対角0.23インチの超小型カラー有機ELディスプレイと、超小型光学ユニット、スマートフォン相当の演算処理能力を有する小型制御基板を備えた小型軽量モジュール。パネルは新開発で、遮光部の最小化と画素サイズの小型化を行いながら、開口率を従来パネルの55%と比べ、95%に向上させた。また、、0.23インチの小型サイズながら、ピクセル数640×400の高解像度を実現している。搭載プロセッサはCoretex-A7。Bluetooth 3.0+High Speed、IEEE801.11b/g/n準拠の無線LANなどの通信機能も備え、スマートフォンやタブレットなどとの連携も見込む。モジュール全体で約40gと軽く、ファッション性の高い眼鏡やゴーグル、サングラスなどのアイウェアに装着でき、付け外しも可能。投影映像は、2メートル先の16インチディスプレイと同等のサイズ。想定用途としては、スポーツやエンターテイメントなど特定用途のアイウェアを販売するメーカーや、自社製品とウェアラブルデバイスとの連携を検討する電機メーカーなどへの販売を予定する。例えば、スポーツ用サングラスに装着してスマートフォンと接続し、コースマップや距離情報などを表示させるといった使い方を想定する。表示仕様はH640×V400ピクセル、表示色はRGB 24bit、色域はsRGB100%。ディスプレイ輝度が最大800cd/平方メートル、コントラスト比が10,000:1以上、ディスプレイ応答速度が0.01msec以下。搭載センサーは電子コンパス、加速度、タッチ。バッテリ容量は400mAh。重量は約40g(ディスプレイ表示部が約22g、その他が約18g)。
2014年12月17日トヨタ自動車(トヨタ)は11月26日、LEDの独立制御によって、より細やかな配光制御を可能とした次世代照明技術「LEDアレイAHS」を開発し、2015年に発売する新型車に採用すると発表した。今回開発した「LEDアレイAHS」は、一列に配置した複数のLEDをハイビームの光源に使い、それぞれを独立制御する。これにより、先行車と対向車がすれ違う際の両車の間の空間などを照射し、横断歩行者などの発見を支援するほか、市街地では広範囲を照らす配光、高速走行時では遠方に光を集中させる配光など、走行シーンに応じた配光制御を実現した。また、ステアリング操作に連動した配光で、カーブの先を照射して進行方向の視界確保を支援するカーブ時配光機能も備えるという。同社は、LEDアレイAHSなどの次世代照明技術開発のほか、2015年より順次導入される予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」にAHB(Automatic High Beam:車載カメラによって対向車・先行車のヘッドランプ、テールランプを検知し、ハイビームとロービームを自動で切り替えるシステム)を標準装備し、広範な普及を図るなど、夜間の事故防止に着目した安全技術開発に積極的に取り組んでいくとしている。
2014年11月27日“大地にやさしい農業”をコンセプトとして有機農業を支援する活動「SHARE THE LOVE for JAPAN」は、11月24~26日にかけて、「土~有機農業という生き方~」と題したイベントを東京・渋谷区にあるヒルサイドテラスC棟ギャラリーで開催した。2014年の活動の集大成として、写真展示や試食会などが行われた。今回のイベントのメインは、本プロジェクトを象徴する有機農業の先駆者や挑戦者が真摯に大地と向き合いながら誇り高く生きる姿を撮影した写真家・公文健太郎氏の作品を展示。有機農業に奮闘する2人の挑戦者や、立ちはだかる壁を様々な知恵と努力で乗り越えてきた有機農業の先駆者たちの力強い生き方が写真を通して紹介された。有機野菜に関心の高い方々はもちろん、代官山にショッピングに訪れた若者たちも多数来場。先駆者、挑戦者らの手により育てられた野菜の提供や、“土のレストラン”で有名な「ヌキテパ」の田辺シェフ監修によるそれらの農作物を使った土粥の試食なども行われた。来場者からは「今までこんなに美味しい野菜を食べたことはない!1つ1つの野菜の味がそれぞれ違っていて感動した」、「土のお粥と聞いて食べる瞬間はドキドキしたが、食べてびっくり。お米と野菜の旨みでコク深くとっても美味しかった」といった声が寄せられ、大地の力強さと有機農業の豊かさが視覚と味覚で感じられるイベントとなった。写真家の公文健太郎氏は「たくさんの人に来場いただきありがとうございます。今回、写真だけでなく展示や料理などSHARE THE LOVEの世界を五感感で体感できるイベントとなっています。来場者の皆さんから有機農業に関する期待や魅力をお聞きできとても楽しかったです」と感想を語った。
2014年11月26日東北大学と中央大学、岡山理科大学、名古屋大学は11月24日、有機金属中の電子の動きをレーザ光の照射によって凍結・秩序化することに成功したと発表した。同成果は、東北大学 大学院理学研究科の岩井伸一郎教授、石原純夫教授、中央大学 理工学部の米満賢治教授、岡山理科大学 大学院理学研究科の山本薫准教授、名古屋大学 大学院工学研究科の岸田英夫教授、東北大学 金属材料研究所の佐々木孝彦教授らによるもの。詳細は、英国科学雑誌「Nature Communications」に掲載された。一般に、光の照射は固体物質を加熱する。これは、物質を構成する電子や原子が光から運動エネルギーを得て、動きやすくなるためである。一方、真空中の孤立原子では、レーザ光の照射によって原子が"止まる"という現象(レーザ冷却)が知られている。レーザ冷却は、気相の原子に特有の仕組み(ドップラー冷却)によるものである。このため、光によって固体中の電子の運動を止めるためには全く異なる原理が必要となる。この固体中の電子を"止める"方法は、30年以上前に提案されていた。金属に電場を印加すれば、電子は加速され、電場の向きを反転させれば電子もそれに追随して向きを変える。また、電子が追いつけないほど素早く電場の向きを変え続けると、電子はどちらの方向へ動いたらよいのかわからなくなって、結局止まってしまうと考えられていた。電子の動きが追随できないほど素早く電場の向きを変えるためには、1秒間に百~千兆(1014~1015)回のスイッチングが必要となるが、この周波数はちょうど光の振動数に相当する。つまり、物質に光を照射すれば、電子に高周波数の交流電場をかけることができる。しかし、理論計算によればこうした高周波の電場によって電子を止めるためには、物質の破壊限界をはるかに超える強い光が必要となる。このため、物質を壊さずに電子を止めることは現実的には不可能だった。そこで、研究グループは7フェムト秒(fs)という極めて短いパルス幅の赤外(中心波長1.7μm)レーザ光を開発した。この波長の光において、7fsという時間は電場の振動の1.5周期しか含まない。また、7fsは原子が動く時間スケールよりも短いので、物質が原子の熱振動によって温度が上がったり、原子移動によって物質が壊れる暇もない。この短パルスを用いることによって、試料を壊したり、極端な高温にすることなく10MV/cmの大きな電場を印加することが可能になった。そして、典型的な有機金属の1つであり、BEDT-TTF分子とI3分子が層状に積層した電荷移動錯体である2次元有機金属(α-(BEDT-TTF)2I3)中の電子の動きをこのフェムト秒レーザ光を照射して凍結、秩序化することに成功したという。研究グループでは、より強度が大きく、よりパルス幅の短い光の開発を行っている。この新しい光によって、将来、物質の中の多数の電子を止めるだけでなく、好きな方向に動かしたり、並び方を変えたりすることによって、物質の色、電気抵抗、磁性を瞬時に自在にデザインすることが可能になることが期待できるとコメントしている。
2014年11月26日富士工業は25日、卓上調理の煙や油、ニオイを吸い取るダイニング照明「クーキレイ」の新モデル「BE」タイプと「PT」タイプを発表した。プロダクトデザイナー・廣田尚子氏を起用し、デザインを刷新した。発売は12月5日。直販価格はいずれも税別59,000円となっている。クーキレイは焼肉や鍋などの卓上調理で発生する煙や油、ニオイをテーブルの真上で吸い取るダイニングLED照明。プレフィルターのほか、脱臭・脱煙・脱油からなる4層のフィルターで空気をろ過する。ファンで吸い込んだ空気をフィルターに通すことで、ニオイは80%、煙は90%、油は95%カットされるという。いずれのモデルにも専用リモコンが付属し、LED照明の調光や調色、ファンの運転モード切り替えなどを行える。本体のデザインは、プロダクトデザイナーである廣田尚子氏が手がけた。BEタイプはフレア形状、PTタイプはドーム形状となっている。廣田氏によれば、BEタイプは生活を楽しく活気あるものにしてくれるデザイン、PTタイプは団らんをやさしくサポートするデザインだそうだ。いずれのタイプも、サイズはW502×D502×H450~850mm、重量は5.3kg。風量は「弱」「強」「急速」の3モードを用意する。カラーはホワイトとブラック。
2014年11月25日ソニーは11月19日、4,096×2,160ドットの有機ELパネルを搭載した30型マスターモニター「BVM-X300」を発表した。2015年2月の発売予定で、希望小売価格は3,880,000円。BVM-X300は放送局や映像制作プロダクションに向けた業務用モニター。業界で初めて、4K対応の30型有機ELパネルを搭載し、より忠実な黒の再現性や100万:1以上の高コントラスト、優れた応答性を提供する。表示可能な色域は、デジタルシネマ要求仕様の「DCI-P」を完全に包含するほか、次世代放送の映像制作規格「ITU-R BT.2020」のほとんどをカバーする。
2014年11月19日富士通研究所は11月17日、LED照明などからモノへ照射する光にID情報を埋め込み、その光に照らされたモノからID情報を復元することを可能とする照明技術を開発したと発表した。目の前にあるモノの情報などを手に入れようと思った場合、従来、NFCタグやQRコードなどの識別情報をモノに付帯させておく方法や、位置情報、電波などを用いて識別するといった手法が用いられてきた。しかし、NFCタグやQRコードの場合、デザイン性などを考慮する必要があったり、位置情報などを用いた場合は、場所が移動してしまうといった可能性があった。今回、同社が開発した技術はLED照明から発する光の色を人の目には見えないレベルで変化させ、その光に照射したモノにID情報を付与するというもの。具体的には、RGBのLEDを搭載したカラー照明の各成分から発する光の強弱を時間方向で制御し、わずかに変化させることでモノを識別するID情報を表現。モノが反射した光を専用アプリをインストールしたスマートフォーンで撮影することで、その情報を取得することを可能とする。光は、モノの表面で反射する際に反射率に応じて光の一部が吸収されたり反射し、信号が弱くなることがあるが、カメラ側で反射を考慮した補正を行うことで、情報の検出精度の向上を可能にしたという。また、LED照明の色を変化させたり、強度を変えても情報そのものに変化は生じないため、状況に応じて調光などを行っても問題はないという。なお通信速度は10bpsだが、店舗や美術館などで確実にモノと情報を結びつけるレベルであれば十分とのことで、2015年度の実用化を目指すとするほか、現時点で通信速度を20~30bps程度まで向上できるめどがついており、さらなる応用分野の拡大を目指すとする。
2014年11月17日大阪大学(阪大)は11月10日、有機半導体の表面では結晶内部と大きく異なる構造が実現していることを明らかにしたと発表した。同成果は、同大大学院 基礎工学研究科の若林裕助准教授らによるもの。東京大学の竹谷純一教授、堀田知佐准教授、理化学研究所の是常隆上級研究員らと共同で行われた。詳細は、「Nature Communications」に掲載された。有機半導体は安価、軽量なデバイス素材として、有機ELディスプレイなどで、すでに実用化されている。通常のシリコンの代わりに有機半導体を使ってトランジスタを作った場合、有機半導体の表面近傍数ナノメートルを電気が流れるが、このような表面付近の狭い領域で分子がどのように並んでいるかはほとんど知られていなかった。研究グループでは、高エネルギー加速器研究機構(KEK) 放射光科学研究施設 フォトンファクトリー(PF)の放射光を用い、ホログラフィの考え方を応用した特殊な解析法によって、表面付近の分子の並び方が結晶内部と大きく異なる例を発見した。さらに、この変化によって電気伝導性も表面と内部で差が出ることを理論計算によって確認したという。今回発見されたような自発的に生じる表面構造は、自己修復機能を持つ極薄膜が半導体表面に形成されることを示している。このため、利用する分子を選び、分子一層レベルで伝導性を制御することで、精密かつ安定な微細デバイス製造技術に繋がることが期待されるとコメントしている。
2014年11月13日セイコークロックは11月12日、透明分散型無機EL発光シート、およびマルチカラー分散型無機EL発光シートを開発したと発表した。12月よりサンプル出荷を開始する。無機ELシートは発光層・誘電体層・電極層など複数の印刷層から構成されるが、従来品の各印刷材料は不透明だった。今回、独自技術により、全ての印刷層の材料を透明化し、無機ELシート完成体の透明化を実現した。これにより、表裏両面が発光するという特徴も併せ持つことが可能になった。用途として、ソーラーセルと組み合わせた腕時計の文字板照光、各種メータのバックライト、両面発光サインボードなどを想定しているという。また、透明ELと従来ELの2層構造にすることにより、マルチカラー化を実現した。これにより、発光色A、発光色B、発光色A+Bの3色の発光が可能となる。用途として、各種液晶表示器やスイッチシート・表示シートに搭載し、バックライト色を切り替えることによりモード変更やアラートなど、状態を判りやすく表示することなどを想定している。その他、店舗サインや誘導サインなど、各種サインボードにも活用できるとしている。なお、透明分散型無機ELシートは、輝度が透過率50%タイプで約50cd/m2、透過率70%タイプで約30cd/m2。輝度半減寿命は1000時間。厚さは約0.15mmである。マルチカラー分散型無機ELシートは、1色目の輝度が約60cd/m2で、2色目・3色目は発光色による。輝度半減寿命は1000時間。厚さは約0.3mmとなっている。
2014年11月13日パナソニックは、スマートフォン/タブレット端末で家の中の照明をコントロールできる配線器具「アドバンスシリーズ(リンクモデル)」を2015年1月21日より発売する。「アドバンスシリーズ(リンクモデル)」は、スマートフォン/タブレット端末で、照明器具を操作できるスイッチやコンセントなどの配線器具。無料の専用アプリを使用すれば、照明器具のオン・オフや調光、点灯パターンをワンタッチで切り替えることができる。そのほか、家中の照明器具の一括オフ操作や、タイマー操作も可能となっている。なお、同配線器具とスマートフォンはWi-Fiによって接続されるため、無線のWi-Fiルーターが必要となる。また、スマートフォン/タブレット端末からの操作は、宅内のみでしかできない。(記事提供: AndroWire編集部)
2014年11月08日パナソニックは11月5日、配線器具「アドバンスシリーズ」の新モデルとして、スマートフォンで制御できる照明器具専用壁スイッチ「タッチスイッチ(リンクモデル)」(WTY5411W)を発表した。発売は2015年1月21日。希望小売価格は11,300円(税別)。壁スイッチには、いまだにシーソー式のスイッチというイメージを持つ人も多いが、パナソニック(当時は松下電工)が2000年に発表した「コスモシリーズ ワイド21」以降、ハンドルと呼ばれる大きな板でスイッチのオンオフ操作ができるタイプが主流となってきている。2014年7月に発表されたアドバンスシリーズは、スタンダードなコスモシリーズ ワイド21より、デザインや操作性、機能を高めた配線器具。タッチスイッチ(リンクモデル)は、専用アプリを使ってスマートフォンから照明器具の操作が可能な壁スイッチだ。使用するには、タッチスイッチ(リンクモデル)に加えて「アドバンス用無線アダプタ」(MKN7531:希望小売価格32,500円、税別)と、市販の無線ルーターが必要となる。タッチスイッチ(リンクモデル)とアドバンス用無線アダプタの間は特定小電力無線で通信が行われる。アプリでは、20回路までの照明器具を個別に操作することが可能だ。また、8つまでのシーン操作や最大10件のタイマー操作、一括OFF操作にも対応している。一括OFF操作専用スイッチ「タッチ一括OFF発信機」(WTY5641W:希望小売価格8,120円、税別)も同時発表されている。玄関に設置すれば、外出する際に一度で各部屋の照明を切ることが可能だ。タッチスイッチ(リンクモデル)とタッチ一括OFF発信機は、特定小電力無線でダイレクトに通信を行うため、一括OFF機能だけを使用したい場合には、アドバンス用無線アダプタは必要としない。タッチスイッチ(リンクモデル)には、オンオフだけの単機能モデルから、調光機能なども備えたモデルまでいくつかのラインナップがある。WTY5411WはタッチLED調光スイッチ機能を備えたハイグレードモデル。ハンドルにタッチセンサーが内蔵されており、指でスライドするだけで、LED照明の明るさをコントロールすることができる。なお、「アドバンスシリーズ」の配線器具は、一般ユーザーが自分で取り付けることはできない。電気工事士の資格を持つ業者に依頼する必要がある。
2014年11月06日Spansionは、インテリジェント照明に必要な機能を1チップ化したLEDドライバIC「S6AL211」シリーズを発表した。同シリーズは、DALI、DMX、Bluetooth Smartといった通信規格に対応する他、4チャネル降圧型DC/DCコンバータを内蔵しており、0.1~100%の範囲で調光できる。さらに、LED駆動回路の構築に必要なプリドライバ、センシングアンプ、LDOなどの周辺部品をすべて統合している。これにより、競合製品に比べて、PCBサイズを最大で25%削減できるのに加え、BOMコストの削減、およびコスト競争力のある製品の提供が可能になるとしている。なお、第1弾のDALIプロトコル対応製品は、5.8ドルでサンプル出荷中であり、12月より量産を開始する予定。第2弾のBluetooth Smartモジュール対応製品は、12月からサンプル出荷を開始する予定。
2014年11月05日ASUS JAPANは28日、Android Wearを載せたスマートウオッチ「ASUS ZenWatch」(WI500Q)を発表した。発売時期は2014年11月下旬。価格はオープン、店頭予想価格は税別29,800円前後。Android 4.3以降を搭載したスマートフォンやタブレットなどとペアリングし、端末側に届いた着信やメール、SMSの新着メッセージなどを手元で確認できるスマートウオッチ。歩数計や心拍数計も備え、健康管理アプリと連携するほか、端末側のカメラを遠隔操作できる「Remote Camera」機能、ペアリング端末の音を鳴らして場所を探せる「電話を探す」機能なども搭載する。IP55準拠の防塵・防水機能も備える。ディスプレイは1.63インチの曲面有機EL(AMOLED)を採用し、解像度は320×320ドット。表面ガラスはコーニングの強化ガラス「Gorilla Glass 3」となる。本体サイズはW39.8×H50.6×D7.9~9.4mm。重量は本体が約50g、リストバンドが約25g。プロセッサはSnapdragon 400、ストレージが4GB、メモリが512MB。センサーは電子コンパス、加速度、ジャイロの9軸。通信機能はBluetooth 4.0。バッテリ容量は369mAhで、駆動時間は計測中(約1日の見込み)。充電時間は約2.5時間。
2014年10月29日ASUS JAPANは28日、Android Wear搭載スマートウォッチ「ASUS ZenWatch」(WI500Q)を発表した。発売時期は2014年11月下旬。価格はオープンで、店頭予想価格は税別29,800円前後。Android 4.3以降を搭載した端末とペアリングし、端末側に届いた着信やメール、SMSの新着メッセージなどを手元で確認できるスマートウォッチ。端末側のカメラを遠隔操作できる「Remote Camera」機能、本体を手で覆うと音をミュートにできる「覆ってミュート」機能、プレゼンテーション時に時間管理ができる「Presentation Control」機能、ペアリング端末の音を鳴らして場所を探せる「電話を探す」機能なども搭載する。歩数計や心拍数計も備える。ディスプレイは1.63インチの曲面有機EL(AMOLED)で、解像度は320×320ドット。表面ガラスはコーニングのGorilla Glass 3。プロセッサはSnapdragon 400、ストレージが4GB、メモリが512MB。電子コンパス、加速度、ジャイロの9軸センサに加え、IP55の防塵・防水機能も有する。本体サイズはW39.8×H50.6×D7.9~9.4mm。重量は本体が約50g、リストバンドが約25g。通信機能はBluetooth 4.0。バッテリ容量は369mAhで、駆動時間は計測中だが約1日を見込む。充電時間は約2.5時間。
2014年10月28日ヤマハミュージックジャパンは、Bluetooth対応オーディオと間接照明が一体となったライティングオーディオシステム"Relit(レリット)"シリーズの新モデル2種を発売する。発売時期は、「LSX-70」が11月中旬から、「LSX-170」を12月上旬から。価格は「LSX-70」が4万5000円、「LSX-170」が6万円(ともに税抜)。Relitシリーズは、オーディオと間接照明が一体になったインテリアアイテム。新たな2モデルは、パンチングメタルの上質感と浮いているように存在するスピーカーユニットの融合による美しいデザインが特徴だ。「LSX-70」は約950gという軽量かつコンパクトな筒状で、部屋から部屋へ持ち運べる充電式バッテリー内蔵モデル。一方「LSX-170」はソリッドな円すい台で、美しく広がる光と重厚な存在感がインテリアにもなる据え置きモデル。カラーバリエーションは両モデルともに、サンライトゴールド、ダスクブロンズ、ナイトブラックの3色が用意される。また、スマートフォンやタブレット内の音楽ファイルをワイヤレス(Bluetooth接続)で再生でき、高音質なワイヤレス再生を実現するaptXにも対応する。周囲のどこから聴いても楽しめるように音が360度に広がるうえ、どんな場所に設置しても心地よい音を楽しめるバランスの取れたチューニングが施されている。加えて、圧縮音源に低音域の量感や高音域の伸びをプラスする同社独自の音質改善技術「Extra Bass」や小音量での再生時でも低音と高音を補正する「ラウドネスコントロール」を搭載。さらに、iOSまたはAndroid向けの専用アプリ「DTA CONTROLLER」(無料)を使えば、スマートフォンやタブレットの画面から再生/停止、音量調整、音質調整、楽曲選択などが可能だ。そのほか、両モデルに搭載されるLEDライトは「LSX-70」が5段階、「LSX-170」は10段階に明るさを調節可能。「DTA CONTROLLER」と連携し、タイマー設定した時間に合わせて照明と音楽を自動でオン/オフする「スマートタイマー」機能を搭載する。なお、「LSX-70」の外寸は幅94mm×高さ241mm×奥行94mm、重さは950g。スピーカーユニットは5.5cmウーファー×1、4cmツィーター×1。最大出力(JEITA)は、ACアダプタ使用時がウーファー10W+ツィーター10W、内蔵電池使用時がウーファー5W+ツィーター5W。照明部はLED数が4個で消費電力は8W。「LSX-170」の外寸は幅271mm×高さ290mm×高さ271mm、重さは3.3kg。スピーカーユニットは9cmウーファー×1、3cmツィーター×1。最大出力はウーファー15W+ツィーター15W。照明部はLED数が11個で消費電力は15Wとなっている。
2014年10月23日日昇は20日、同社が企画・販売を行う照明ブランド「BeauBelle(ボーベル)」にて、Tree to Greenおよびキシマとの3社で共同開発した、たき火の炎を再現する間接照明「TAKIBI(タキビ)」を発売した。○木曽檜をひとつひとつ切り出し職人が加工同商品は、健康的でナチュラルなライフスタイルが再評価されていることを背景に、光が人に与えるリラックス効果を利用。たき火の持つ、落ち着いた雰囲気と穏やかで優しい光が睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を促進し、癒し・快眠効果につなげる効果を目指し企画開発された商品。日本の住宅に設置された一般的な照明は、光が強すぎる場合が多く、メラトニンの分泌を抑制する方向に働くという。これが睡眠障害を引き起こす原因のひとつだとも言われていることから、同商品は、薪などでたき火をすると木が燃える時にその間から炎が立ち上る情景を光にして表現したフロアーランプとした。曲面加工でひのきの木目を美しく見せ、さらに曲線カットしてピースを組み合わせる事で、その面にあたる光が柔らかなグラデーションとなり、暖かみのある炎のように感じられる効果を狙ったという。素材には、良質な木材を産出することで有名な長野県木曽地域の天然ヒノキを使用。同じく、地域で昔から残る伝統工芸の「ろくろ細工」の技術を採用し、通常では曲線的な加工が困難な木材を、職人の技を駆使して美しい曲線に仕上げた。シェード部分は、1つの木から半球にろくろで削った後でひとつずつ切り出し、さらに糸のこぎりでカットしたのち、ひとつずつサンダー(木を研磨する加工機)で仕上げ、曲面を作り上げるという。カラーはブラウン/ナチュラル。口金はE-17。光源は3W×1(LEDミニクリプトン球付属)。素材は木曽檜。重量は950g(電球含まず)。価格は3万7,028円(税別)。
2014年10月22日NECは17日、照明ユニットにWi-Fiアクセスポイントを組み合わせた「Wi-Fiアクセスポイント付LED照明」を発表した。12月1日より出荷を開始する。価格はオープン。10月末から横浜シーサイドラインにて、駅構内におけるWi-Fiネットワークの実証実験を開始する。従来、アクセスポイントの設置には電源を確保するための「電源配線工事」に加え、アクセスポイントまでの通信回線を敷設する「有線LANの設置工事」が必要だった。「Wi-Fiアクセスポイント付LED照明」では、電源をLED照明と共有し、さらにアクセスポイントからWi-Fi基地局までの通信を無線で接続することで、初期導入コストを7割~8割に抑えることが可能だという。また、緊急地震速報機器と連動させることで、照明の点滅、色の変化により、速報を伝えることも可能で、耳が不自由な人への告知も行えるという。製品は埋め込み型と半埋め込み型を用意する。横浜シーサイドラインにおける実証実験では、乗降人数の多い新杉田駅をはじめとするいくつかの駅で、「Wi-Fiアクセスポイント付LED照明」を約10個所設置する。職員のスマートフォンやタブレットを活用した連絡業務や緊急通信用として活用し、電波状況の確認や効果を検証するという。
2014年10月17日NECは10月17日、これまでWi-Fiのアクセスポイント設置に伴い行っていた電源設備の設置や工事作業などが不要な「Wi-Fiアクセスポイント付LED照明」を販売開始すると発表した。同製品は、LED照明にアクセスポイントを内蔵したもので、電源をLED照明用の配線から供給するとともに、アクセスポイントからWi-Fi基地局までの通信を無線でつなぐことが可能。従来、照明とは別にアクセスポイントを設置する場合に必要だった配線工事、電源工事、有線LANの設置工事が不要となるため、初期導入費を7割~8割程度に抑えることができるという。また、横浜シーサイドラインは、同社が運営する新杉田駅と金沢八景駅を結ぶ横浜シーサイドラインにおいて、同製品を活用し、駅構内のWi-Fiネットワークの実証実験を10月末より開始する。実証実験では主要駅のホームにおいて、職員がスマホやタブレットを活用し、時間や天候の変化における電波状態の確認を行う。
2014年10月17日カネカは10月9日、約5万時間の寿命と色変化の小さい有機EL照明デバイスを開発したと発表した。有機得EL照明デバイスにおいて世界最高水準の寿命になるという。一般的なLED照明の推定寿命は約4万時間とされているのに対し、これまでの同社の有機EL照明デバイスは推定寿命が約1万7000時間で、寿命の短さが課題となっていた。今回、白色を構成する数種類の異なる波長の発光層の劣化挙動に着目し、材料や積層構成などのデバイス構造や厚みなどの製膜条件を最適化することで、寿命の大幅な延長を実現したと共に、色の変化量を抑制することに成功した。同社は今回開発したデバイスを美術館・博物館、レストランなどの商業店舗、ホテルや病室用照明、高級住宅用のデザイン照明など、有機EL照明の特長がいきる国内および欧米の市場へ積極的に販促展開することにより、2020年には売り上げ500億円を目指すという。
2014年10月09日カネカは9月29日、京都国立博物館で10月7日~11月24日の期間中に開催される特別展覧会「国宝 鳥獣戯画と高山寺」に同社の有機EL照明パネルが展示照明として採用されたと発表した。「鳥獣人物戯画」は動物を擬人化して生き生きと描いた、日本の古美術の中でも最も知名度が高い作品のひとつで、同展覧会は全4巻の保存修理が完成した記念として開かれる。同社の有機EL照明パネルが採用された理由は、薄く、軽量で発光に伴う発熱も抑えられるため、展示物や展示空間と調和した照明設置が可能であることや、面で発行し全体的に柔らかく照らすため展示物全体に均等に光が広がることに加えて、紫外線や赤外線の発生がなく保存科学の観点から「国宝」を照らす照明に適している点だという。同社は「東洋美術をはじめ、あらゆる絵画・美術品の展示照明分野に有機EL照明パネルを積極展開し、新しい用途を開拓するとともに、国内および欧米の市場への事業展開を加速さえていく」とコメントしている。
2014年09月29日富士フイルムは8月26日、コンパクトデジタルカメラ「FUJIFILM X30」を発表した。発売は9月20日で、価格はオープンとなっている。推定市場価格は65,000円前後(税別)。レンズ一体型のプレミアムコンパクトカメラ「FUJIFILM X」シリーズの新モデル。コンパクトカメラとしては大きな2/3型の光学ローパスフィルターレス「X-Trans CMOS II」センサーを撮像素子に採用する。新開発の有機EL式「リアルタイム・ビューファインダー」を電子ビューファインダー(EVF)に採用したのが大きな特徴。EVFの課題とされていた表示タイムラグが0.005秒まで短縮されており、快適な撮影が楽しめるようになっている。また、新設計のファインダー専用レンズを採用することで、ズーム搭載のコンパクト機としては最大となる表示倍率0.65倍が実現された。AFは、撮像素子上に位相差センサーを配置する像面位相差AFを採用。高速画像処理エンジン「EXRプロセッサーII」との組み合わせにより、レンズ一体型デジカメでありながら最速で0.06秒と高速なAFを実現する。また、レンズは広角側でF2.0と高い開放値のフジノンレンズを採用。X-Trans CMOS IIセンサーとの組み合わせで高い解像力を発揮する。さらに、レンズ鏡筒には自由度の高い撮影を可能にするマニュアルズームリングやコントロールリングを備えるほか、Wi-Fi(無線LAN)接続機能などを搭載。コントロールリングや背面にある6つのファンクションボタンには、任意の設定を割り当てられる。Wi-Fi接続機能は、撮影した画像をスマートフォンやタブレット端末などのWi-Fi対応機器に転送できる「スマートフォン送信」機能に対応。主な仕様は、撮像素子が有効画素数1,200万画素・2/3型X-Trans CMOS II センサーで、レンズが焦点距離28~112mm(35mmフィルム換算時)の光学4倍ズーム、開放F値がF2.0(広角端)~F2.8(望遠端)、対応感度が常用でISO100~ISO12800となっている。背面のモニターは約92万ドット・3型の液晶方式、EVFは約236万ドット・0.39型の有機EL方式だ。記録メディアは内蔵メモリ(約55MB)のほかSD/SDHC/SDXCメモリーカード(UHS-I対応)が利用可能で、記録形式は静止画がJPEGおよびRAW、動画の記録形式がMOV(H.264)、動画の記録画素数は最大1,920×1,080ドット(フルHD)/60p。バッテリーはリチウムイオン充電池で、CIPA準拠の撮影枚数は約470枚。本体サイズはW118.7×D60.3×H71.6mm、重量は本体のみで約383g、バッテリーとSDカードを装着した状態で約423gとなっている。
2014年08月26日京都大学は7月14日、不斉有機分子触媒の新技術として、ラジカル反応を促進・制御する不斉有機硫黄ラジカル触媒を実現したと発表した。同成果は、同大 理学研究科の橋本卓也助教、川又優博士課程学生、丸岡啓二教授らによるもの。詳細は、英国化学誌「Nature Chemistry」に掲載された。農薬や医薬品などに使われる分子は、実際には立体的な構造をしており、その空間的な広がり方が薬としての作用に決定的な役割を果たす。構造が単純で安価な分子から医薬品などに使えるような、複雑で付加価値の高い分子を作るには、そのような空間的配置をコントロールしながら、分子と分子を繋げることのできる不斉触媒を用いることが効果的である。このような触媒としては、金属を活性中心に持つものが多用されているが、資源量・環境毒性などが懸念されている。そこで、持続型・環境調和型の不斉触媒として、炭素・窒素・酸素といった地球上どこにでもある元素を巧みに利用したメタルフリー有機分子触媒が注目され、目覚ましい発展を遂げている。しかし、この十数年、盛んに研究されてきた不斉有機分子触媒は簡単なイオン反応という形式でしか分子を繋ぐことができず、原料に使える分子・作られる分子(成物)ともに金属触媒の汎用性には遠くおよんでいない。今回、研究グループでは、この現状を打開する手段として、従来の不斉有機分子触媒では利用されてこなかった、ラジカルという化学種を使うことに着目した。具体的には、有機分子である有機硫黄ラジカルに、不斉触媒としての機能を持たせラジカル反応をコントロールしながら、分子を繋ぐという技術の開発である。ラジカル反応は、イオン反応と相補性のある反応形式で、アクリル樹脂のような日用品に含まれる高分子を作る際に使われている。また、ラジカルは元来高い反応性を示す化学種であることから、医薬品など複雑な立体を持つ低分子の合成に使う研究はほとんど行われていなかった。中でも、有機硫黄ラジカルは不安定な化学種であり、安定なジスルフィドという分子に光(紫外線)を当てて、硫黄と硫黄の結合を均一開裂させることで発生させる。しかし、光の照射を止めると、ジスルフィドに戻ってしまうため、この有機硫黄ラジカルを触媒として使うには反応を行っている間、光を当て続ける必要がある。通常の実験では光源として水銀ランプを用いているが、環境調和の観点から太陽光を利用することもできるという。将来的には、この研究を拡張していくことで、不斉有機分子触媒がより汎用性の高い有機合成ツールになると期待される。しかし、現状では未熟な技術であるので、触媒の単純化、触媒量の低減、触媒概念の一般化を検討し、さまざまな化合物の効率的供給ができる技術になるよう、研究を推し進める。また、今回の研究で得られた知見を基に、有機分子触媒と太陽光を組み合わせた新しい環境調和型不斉触媒の発展にも努めていきたいとコメントしている。
2014年07月15日カメイ・プロアクトが製造販売を行うブランド、パトリックは8月から、ランニングシューズ「MX90-EL(エムエックス90・エボリューション)」の新色2色を発売する。同商品は、パトリックが開発した本格的なランニングシューズ。アッパーデザインには1980年代後半に開発された「MX90」を、ソールには独自開発のランニング用のソールを採用している。今回発売する新色は、ネイビーとレッドの2色。素材はナイロンメッシュ×ベロアで、サイズは35~45(22.5~28.0cm)で展開する。価格は1万4,800円(税別)。パトリック正規取扱店舗にて販売される。
2014年07月07日東京工業大学(東工大)は6月19日、有機結晶が光で融解するメカニズムを放射光X線による結晶構造観察で突き止めたと発表した。同成果は、同大大学院 理工学研究科の星野学研究員、腰原伸也教授らによるもの。産業技術総合研究所(産総研)の則包恭央主任研究員、阿澄玲子グループ長、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の足立伸一教授と共同で行われた。詳細は、米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」のオンライン版に掲載された。今回、対象とした長鎖アルキル基を有したアゾベンゼン誘導体が、"アゾベンゼンが整列した領域"と"長鎖アルキル基が結晶内で激しく運動している領域"の2領域が共存した特異な結晶構造をしていることを明らかにした。さらに、この結晶に紫外光を照射すると、アゾベンゼンが光異性化反応を起こして整列が壊れ、結晶中にもかかわらず液体のように激しく運動している長鎖アルキル基の領域と均一化されることで、融解が起こることを解明した。この結晶構造観察は、放射光X線を利用した単結晶X線構造解析であり、実験室系では得られないX線回折データを高精度に集めることによって実現したという。通常、結晶を融解させるには室温以上に加熱する必要があるが、光照射という簡便な手段で結晶融解を実現できる技術を利用すれば、有機材料の成形・加工の生産コストを大幅に削減できる。今回の研究は、光照射による融解技術を産業化するための分子材料設計方針を提供するものであると説明している。
2014年06月23日三菱化学は3月24日、大成建設と共同で、有機薄膜太陽電池を用いた発電する建物外壁ユニットを開発し、大成建設が都市型ゼロエネルギービル(Zero Energy Building:ZEB)の実現に向け、建設を進めている建物へ導入し、実証試験を開始すると発表した。近年、建物の省エネや災害時における機能維持に関する要求が高まっており、快適性を損なわずに消費エネルギー量を削減し、その上で必要なエネルギーを再生可能エネルギーなどで賄うことで年間の消費エネルギーを限りなくゼロにするZEBの実現へ向けた取り組みが加速している。太陽光発電は、その要素技術において重要な再生可能エネルギーだが、パネルの設置面積が限られる都市部の建物においては、より多くの発電量を確保するために、屋根や屋上面への設置に加え、壁や窓などの側面を有効活用することが必須となる。しかし、建物の外壁へ設置するためには、サイズや色など建物に求められるデザインに対応できるフレキシブル性や軽量性、また、建物の長寿命化に伴う機器更新の容易さなどが必要となり、本格的な建物の外壁対応型太陽光発電パネルは今まで実用化されていなかった。今回、両社が開発した有機薄膜太陽電池外壁ユニットは、薄くて軽く、色の自由度を持ち合わせ意匠性が高い三菱化学の有機薄膜太陽電池を使用し、建物外装に関する設計・施工において多くの実績とノウハウを有する大成建設の技術を用いることで、クリーンで持続可能なエネルギーを供給しつつ、建物の多様な階高やスパンへの適応、多様な色の選定が可能な意匠性、軽量性、将来の機器更新の容易性などを併せ持つ本格的な発電する外壁ユニットとなっている。今後、大成建設の技術センター(横浜市戸塚区)内に建設中のZEB実証棟へ、同有機薄膜太陽電池外壁ユニットを導入し、実用化に向けた実証を進めていくとしている。
2014年03月25日有機や特別栽培の農産物などの食品宅配をインターネットで提供する「Oisix」を運営するオイシックスはこのほど、コネクシオおよび凸版印刷との協業のもと、法人企業向けに旬の野菜セットなどのさまざまなセットから自由に商品を選べる「Oisixギフトカード」の販売を開始した。今回発行するOisixギフトカードは、法人企業向けのノベルティとして販売され、3800円のエクセレントと5500円のプレミアムの2種類がある(いずれも非課税) 。これまでも「Oisix」の商品を法人企業がノベルティとして活用するケースがあったが、届け日の確認や、不在・転居に対する対応など、企業に煩雑な手間が発生していたという。Oisixギフトカードは、「Oisix」のWebサイト上で好きなセットと届け日を選択することができ、従来の手間が省ける。同サービスにおいて、コネクシオはカード発行者となり、カード発送業務、販売促進業務などを担当する。また、コネクシオは凸版印刷が富士通エフ・アイ・ピーと提供する「ギフトカード ASP サービス」を利用するとともに、凸版印刷との協業により、ギフトカード発行拡大施策などの提案も行うという。
2014年02月28日同成果は、山形大 有機エレクトロニクス研究センターの時任卓越研究教授、宇部興産 有機機能材料研究所のグループによるもの。詳細は、3月14日に山形県米沢市で開催される「高分子学会 有機エレクトロニクス研究会 第3回異業種交流会」、および3月17日~20日に青山学院大学 相模原キャンパスで開催される「第61回応用物理学会春季学術講演会」にて発表される。プラスチックフィルム上に回路を印刷して電子デバイスを作製するプリンテッドエレクトロニクス技術は、タッチパネルの配線などで実用化が始まりつつある。今後は、より複雑な電子デバイスである半導体集積回路に同技術を応用することが期待されており、高性能な導電インク、絶縁樹脂、半導体インクなどの材料開発が活発に行われている。半導体は、p型半導体とn型半導体を組み合わせることで電気の流れをコントロールすることができ、集積回路にはこれら2種類の半導体が使われている。これまで、有機溶媒に溶かすことができ、印刷法に適用可能な、移動度が高いp型有機半導体は数多く報告されてきたが、n型有機半導体はほとんど報告がなかった。これは、n型有機半導体が、大気中の水や酸素に対して化学的に弱いことが原因で、電子デバイスに用いても高い電気特性を維持することが難しかったためである。今回、課題となっていたn型有機半導体の安定性を大幅に改善し、有機溶媒に溶けやすい性質と、高い電気特性を両立することに成功した。同材料を用いることでp型、n型両方の半導体が揃い、低価格で低消費電力な有機集積回路の実現が可能となり、ウェアラブル、モバイル、フレキシブルといった用途に使われる新しい電子デバイスの開発への寄与が期待できるとしている。具体的には、山形大学の高性能半導体に関する材料設計の知見、および印刷法による電子デバイス作製・評価技術と、宇部興産の有機合成に関する知見と技術を活かし、共同で大気中での安定性と溶解性、高い電気特性を兼ね備える有機半導体の分子設計の検討を進め、材料合成、高純度化、トランジスタ素子作製、素子性能評価およびトランジスタ素子構造の最適化を行った。これにより、3cm2/Vs以上の高い電子移動度が得られた。さらに、従来のn型有機半導体では、大気中の水、酸素によって有機半導体層の中での電子移動が妨げられやすいことが問題となっていたが、水、酸素による電子伝導への影響を大きく低減することを目的に、分子全体に強い電子受容性(電子の受け取り易さ)を付与することで、従来のn型有機半導体では実現が困難だった高い安定性を実現している。現在、同材料を有機集積回路に応用するためのトランジスタ素子の構造の最適化と、CMOS回路などの試作の検討と並行して、さらに移動度と溶解性を改善するなど、より使いやすい有機半導体とする目的で分子構造の改良を進めている。加えて、この有機半導体を用いたインクジェット印刷などによる印刷集積回路の試作に取り組み、同技術を応用して、有機トランジスタを用いたRFIDタグ、フレキシブル生体センサやフレキシブルディスプレイなどの開発を進めていくとしている。なお、宇部興産は、同n型有機半導体材料のサンプル提供を開始する。
2014年02月19日