FRB(米連邦準備制度理事会)は、MBS(住宅ローン担保証券)の買入れによる新たな量的緩和策の実施と、”少なくとも14年終盤まで”としてきた、事実上のゼロ金利政策の継続期間を”少なくとも15年半ばまで”に延ばすことなどをFOMC(連邦公開市場委員会)で決定したと9月13日に発表しました。3回目の実施となることから”QE3”とも呼ばれる今回の量的緩和策において、FRBは、すそ野の広い住宅市場の回復を後押しすることで、失業率の押し下げを狙っています。具体的には、物価が抑制されている限り、労働市場の見通しが大幅に改善するまで、FRBはMBSを月額400億米ドルのペースで購入します。なお、購入の上限額(総額)や期間は経済動向次第であり、事前には定められていません。また、FRBは、追加の資産購入やその他の金融政策を必要に応じて実施する可能性に言及しています。市場では、QE3実施の観測が事前にかなり高まっていたものの、今回の発表を受け、米株式相場が大きく上昇し、ニューヨーク・ダウ工業株30種が約4年8ヵ月半ぶりの高値となったほか、原油や金などの商品価格も値上がりした一方、米ドルは下落しました。なお、円の対米ドル相場は一時、77.13円まで上昇し、約7ヵ月ぶりの円高水準となったものの、その後は77円台半ばでの推移となっています。また、米国債については、今回の資産購入の対象に含まれなかったことから、10年債の利回りが上昇する場面もありました。(※上記グラフ、データは過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。)FRBが今回のFOMCでQE3の実施と実質的なゼロ金利政策の延長を決定するとの観測は、今週に入ってかなり高まっていました。それにもかかわらず、FOMCの結果発表後、市場の反応は大きなものとなりました。この背景の一つに、このところのFRBのあまりに積極的な姿勢があると考えられます。これまで明らかになっている経済指標から判断すると、新たな量的緩和策が今すぐ必要という状況にはないと考えられるにもかかわらず、FRBが積極姿勢を示したのを見て、市場関係者の多くが驚いているとみられます。私は、FRBの今回の動きに、政治面への配慮が多少なりとも働いたとみています。なぜなら、共和党とバーナンキFRB議長との関係は微妙で、同党の副大統領候補であるライアン氏は、量的緩和策を快く思っていないことを明言しているだけでなく、同議長が任期を迎える2014年には交代させる意向まで示しています。バーナンキ議長は、任期問題に自ら積極的に関わるような姿勢は見せていませんが、11月の大統領選挙が近づく中、今回のFOMCを逃すと、政策面での制約が強くなるリスクを考慮したのかもしれません。なお、共和党と、FRBの中でも緩和策にさほど前向きでない理事たちは、今回のFOMCの決定に対する不満を示すかもしれませんが、新たな量的緩和策の実施は、民主、共和の政党に関係なく、次の大統領を助けることになる可能性があります。QE3の実施を投資家が好感し、リスク資産の価格がさらに上昇する可能性はあるものの、今回のFRBの決定が実体経済をどの程度支えることになるかという点では、大きな疑問が残ります。なぜなら、事実上のゼロ金利政策が2014年以降も継続されるという見方が、既にかなり高まっていただけでなく、米10年物国債やMBSの利回りが既にかなり低水準となっているからです。むしろ、11月の米大統領選挙で勝利するのは誰かということ、そして、民主・共和両党の激しい対立が続く中、いわゆる「財政の崖(※)」という問題の回避に向けて妥協が成立するかどうかということの方が、今回のFRBの決定よりも重要視される可能性があります。なお、幸い、今回のFOMCの決定後の円相場の上昇は限定的でしたが、FRBが量的緩和に動いたことは、来週、金融政策決定会合を開く日銀により積極的な政策運営を迫る圧力となる可能性があります。(2012年9月14日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、国内外での大きなイベント発生時の臨時レポート「フォローアップ・メモ」からの転載です。→「フォローアップ・メモ」【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月14日ECB(欧州中央銀行)は9月6日の理事会で、財政難を抱える南欧諸国などの国債を流通市場で購入する新たな策について合意しました。その主な内容は、対象国が欧州の金融安全網に対して支援要請することを前提とし、返済期間1~3年の国債を中心に短・中期債を無制限に購入するというものです。なお、ECBは、国債購入によって市場に出る資金を吸収する、いわゆる「不胎化」を行ない、インフレ・リスクの抑制を図ります。新たな国債購入策の内容は、事前に報じられたものとほぼ同じでしたが、同じく6日に米国で発表された経済指標が予想よりも良好だったことなどもあり、欧米株式相場やユーロが上昇したほか、高止まりしていたスペインやイタリアの国債利回りが大きく低下(価格は上昇)しました。また、本日のアジアの株式相場も堅調となっています。(※上記グラフ、データは過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。)国債購入の対象を、返済期間1~3年を中心とした短・中期債とすることや不胎化を行なうこと、さらに、購入規模に上限を設けないことなど、今回、明らかにされた新たな国債購入策の主な内容は報道で事前に漏れ伝わったものとほぼ同じですが、特に重要なのは、従来の国債購入策とは異なり、対象国に対して、構造改革の実施など厳格な前提条件を課す点です。具体的には、新たな国債購入策の実施には、対象となる国が、欧州の金融安全網であるEFSF(欧州金融安定化基金)や、その後継となるESM(欧州安定メカニズム)に対して支援を要請し、財政赤字の削減や構造改革の実施などを公約することが必要です。また、ECBは、IMF(国際通貨基金)が、改革案の策定や改革の進捗状況の確認などに関与すべきとの見解を示しています。さらに、対象国が支援の前提条件を順守しない場合には、国債購入が打ち切られることになっています。ECBが新たな国債購入策の準備を整えたといっても、欧州の政府債務問題が解決に向かう訳ではなく、依然として、問題を抱える国々を中心とした、ユーロ圏各国の努力や協力が欠かせないことは言うまでもありません。ただし、ECBが今回、通貨ユーロの維持に向けての強い決意や、国債購入を通じて金融面における混乱の抑制に努める姿勢を明確にしたことにより、投資家のリスク回避姿勢の緩和が続くと期待されます。今後は、スペインやイタリアなどの動きに注目が集まるとみられますが、弊社では、両国が国債購入策の発動に向けて、早ければ10月にも支援要請に動く可能性があるとみています。イタリアでは、救国内閣として昨年11月に発足したモンティ内閣がこれまで改革を牽引してきましたが、来年春の総選挙までの暫定政権であり、同首相が近く退任する可能性が高まっています。このため、改革の継続性を確実にするためにも、支援要請に踏み切り、改革を公約することが重要と考えます。なお、両国とも支援を要請すると仮定すれば、間を置くよりも同時に踏み切る方が、市場の動揺は軽くなると考えられます。最後に、ECBが政策金利を0.75%で据え置いたことに驚いた市場関係者は少なくないとみられますが、今回の理事会では国債購入策をまとめることが優先されたために、追加利下げやその他の決定が、次回以降の理事会に先送りされた可能性も考えられます。いずれにしても、必要とあれば、ECBに更なる手だてが残されていると、前向きに捉えることができます。(2012年9月7日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、国内外での大きなイベント発生時の臨時レポート「フォローアップ・メモ」からの転載です。→「フォローアップ・メモ」【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月07日セブン銀行は1日、フィッシング詐欺対応策を強化したと発表した。今回同行は、同行のインターネットバンキングなどを装った偽のWebサイト(フィッシングサイト)を迅速に閉鎖させるために、EMCジャパンが提供するフィッシングサイトを強制閉鎖するサービス「RSA FraudAction Anti-Phishing Service」を1日から導入。これにより、顧客がフィッシングサイトで口座番号などの情報を盗まれるといった被害を防ぐ。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年03月02日東日本大震災から1年となる3月11日(日)、指揮者・佐渡裕の呼びかけのもと、パリで「3.11メモリアルコンサート」が開催される。「佐渡裕」の公演情報これまでに世界中から被災地に寄せられた支援に感謝の意を伝えるべく、開催される本公演。出演は、佐渡裕、パリ在住の指揮者・阿部加奈子、パリ国立高等音楽院の在校生・卒業生、パリ管弦楽団やフランス国立管弦楽団、メトロポリタン歌劇場管弦楽団などフランスや世界のオーケストラの演奏家有志による「ジャポネード・オーケストラ」、佐渡裕が芸術監督を務める兵庫芸術文化センターの「スーパーキッズ・オーケストラ」小中高校生の団員45名ほか。ソリストとして、ピアニストの辻井伸行、2009年の東京音楽コンクールで優勝した16歳のバイオリニスト・周防亮介も参加する。また公演当日には、東日本大震災の被災者を代表し、岩手県釜石市の根浜海岸で津波に飲み込まれた旅館「宝来館」の女将・岩崎昭子さんらも登壇。被災地の現状の報告などが予定されている。2月12日に行われた記者会見で「人が人を思いやれる、心の支援が実感できる、そんな演奏会にしたいです。国境や年代、プロ・アマを越えて、ドリームオーケストラが凄い演奏をしてくれるでしょう。復興に向けては、まだまだ時間がかかります。これからの支援も誓い合えるような機会にもしたい」と語った佐渡裕。昨年8月には「佐渡裕被災地訪問プロジェクト」として福島県いわき市、岩手県釜石市・大槌町で演奏会を開催するなど、様々な復興支援に尽力してきたマエストロが、音楽を通じて、パリから被災地に向けて力強いエールを発信する。「3.11メモリアルコンサート」は、3月11日(日)にパリ・ユネスコ本部にて開催される。当日の会場ロビーでは、東北復興写真展も同時開催。コンサートの入場料、寄付金による収益は、全額、日本ユネスコ協会連盟(教育復興プロジェクト)、明友館を通じて、経済的に困っている家庭への支援として、子供たちの奨学金に充てられる。
2012年02月14日