2023年9月16日(土)より、渋谷区立松濤美術館では、『杉本博司本歌取り東下り』展が開催される。西国・姫路で始まった杉本博司(1948-)の『杉本博司 本歌取り―日本文化の伝承と飛翔』展が、東国・東京で開催されることから、『東下り』と題された美術展だ。そもそも「本歌取り」とは、有名な和歌の一部に、時代精神やオリジナリティを加えて新たな作品をつくる和歌の制作技法のことをいう。杉本は、日本文化の本質的営みを「本歌取り」と捉え、自身の作品に援用してきた。サンフランシスコの自然史美術館のジオラマ写真で、中国宋時代の画家・牧谿による水墨画の世界を再構築した《カリフォルニア・コンドル》などはその代表例だが、今回は「東下り」という同展ならではの新作《富士山図屏風》の初公開も。こちらは「赤富士」の別名で知られる葛飾北斎の《冨嶽三十六景凱風快晴》を本歌とした作品で、東国への旅の途中に誰もが目にする富士山を、赤富士が描かれたと推測される山梨県の三つ峠から写真に捉えた、雄大にして厳かな作品だ。その他、文字の起源や意味の考察として、写真暗室で、印画紙の上に現像液や定着液に浸した筆で文字を書いたシリーズ「Brush Impression」や、同展の舞台・渋谷区立松濤美術館を設計した白井晟一(1905-1983)の世界を「本歌」とした展示も実現。さらに、主人に猛毒だと言われた「附子」(実際は砂糖)を食べ尽くしてしまった太郎冠者と次郎冠者が言い訳のために、主人の掛け軸や茶碗を壊し、「死んで詫びようと附子を食べたが死ねない」と泣く狂言演目『附子(ぶす)』の本歌として、それまで公開される機会の少なかった、8mを超える絵巻の全9場面で構成される《法師物語絵巻》全場面を一挙公開。また、杉本が『附子』の本歌と捉えた《法師物語絵巻》中の「死に薬」の場面は、11月9日(木)、渋谷区文化総合センター大和田4Fのさくらホールにて、杉本博司独自の解釈による『死に薬~「附子」より』として上演される。(出演:野村万作、野村裕基ほか)。この他、杉本博司のスペシャルトークや記念講演会、館内建築ツアーなど、様々なイベントが開催されるので、詳細は美術館ホームページで確認を。<開催情報>『杉本博司本歌取り 東下り』会期:2023年9月16日(土)~2023年11月12日(日)※会期中展示替えあり会場:渋谷区立松濤美術館時間:10:00~18:00、金曜は20:00まで(入館は閉館30分前まで)休館日:月曜 (9月18日、10月9日は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)料金:一般1,000円、大学800円、 高校・60歳以上500円、中小100円※土日祝は中小無料、金曜は渋谷区民無料美術館公式サイト:
2023年09月01日東京都内の和食居酒屋「UZU」の勝手口に入っていったのは安倍昭恵夫人(57)だった――。大手紙の政治部記者はこう語る。「安倍首相が国民へ不要不急の外出の自粛を呼びかけていたにもかかわらず、昭恵夫人はタレントらとレストランで私的な『桜を見る会』を開催したり、3月中旬には大分県の神社を団体で参拝したりしていたことも発覚しました。そのたびに首相は苦しい弁明をせざるをえませんでした。官邸からは『安倍首相のために、緊急事態宣言が解除された後も、夫人には、軽率な外出は控えてほしい』という声が上がっていたのです」だが自ら経営する「UZU」が約2カ月ぶりに営業を再開することが決まると、昭恵夫人も自粛を継続することはできなかったのだ。本誌が店にミニバンでやってきた夫人を目撃したのは、再開初日である6月1日夜。運転手は、野菜が入っていると思われるいくつかの段ボールを運び入れていた。「酒豪として知られる昭恵夫人ですが、“自分らしくいられる場所”が2つあるそうです。1つは学生時代から通っているワインバー、そしてもう1つがUZUです。『首相夫人なのに』と批判されつつも、彼女が経営を続けていたことからも並々ならぬ愛着を感じます」(政治評論家・有馬晴海さん)居酒屋おかみとしては店再開に胸をときめかせてもいただろう。だが彼女の表情は鼻まで覆い隠す大きなマスクのため、見ることができない。不織布素材の品のようで、夫がつけ続けている“アベノマスク”ではなかった。「昨年10月、即位礼正殿の儀にひざ丈のドレスで参列して批判を受けたことも記憶に新しいですが、夫人はファッションに強いこだわりがあります。夫人の美意識にはアベノマスクはそぐわなかったということなのでしょう」(前出・政治部記者)昭恵夫人は、毎年参加していた山形県のスキーイベント出席を「今回ばかりはやめてほしい」と、首相に止められたという。またかつて実行委員会の名誉会長を務めていた『ミャンマー祭り』も5月末に開催予定だったが、秋へ延期となっている。「毎年楽しみにしている行事が次々と延期や中止を余儀なくされていることで、コロナ対策を指揮している首相へも不満を募らせているのかもしれません」(前出・政治部記者)かつて首相と夫人を引き合わせた元・山口新聞東京支局長の濱岡博司氏は、こう語る。「昭恵さんと姑・洋子さんの仲もうまくいっていないと聞きますし、確かに悪条件はあります。しかし私は『離婚はない』とみています。もともとは晋ちゃんが昭恵さんにベタ惚れで結婚していますし、国会でも晋ちゃんは、昭恵さんのことを突っ込まれてかなり本気で怒っていますからね。(昭恵さんを)見放すことはできないと、本人は考えていると思います」この日、夫人がUZUを後にしたのは閉店時間の22時少し前。店の前で数分、スタッフに指示を与えると、待たせていたミニバンに乗り込む。マスクを外していたその顔からは、おかみの務めを果たした満足感が伝わってきた。「女性自身」2020年6月23・30日号 掲載
2020年06月10日展覧会「飄々表具─杉本博司の表具表現世界─」が、京都の細見美術館にて開催。臨時休館に伴い休止していたが、2020年5月26日(火)から再開し、会期を延長して9月6日(日)まで開催する。杉本博司が見せる“表具”の世界《ジオラマ》《劇場》《海景》といった写真シリーズで知られる現代美術作家・杉本博司。その活動は写真だけにとどまらず、建築や庭園、古今東西の古美術の蒐集など多岐にわたる。「飄々表具─杉本博司の表具表現世界─」は、京都市京セラ美術館オープンに伴う連動企画。杉本の視点から、“表具”をテーマとした展示を行う。表具とは、布や紙、織物の骨董“古裂(こぎれ)”などを用いて作品を掛軸などに仕立てることだ。表具は美術品を保護し、引き立てるのみならず、古裂それ自体も鑑賞されるものとして愛好されてきた。杉本は古裂を用いて自身の作品や蒐集品を表具に仕立てており、これらは「杉本表具」と呼ばれている。写真や蒐集品を「杉本表具」として展示そうした表具を取りあげる本展は、全2部での構成。第一部では、《華厳滝図》をはじめとする自身の写真を、掛軸や屏風、額といったさまざまなフレームで飾った作品を展示する。続く第二部では、細見美術館の所蔵作品と「杉本表具」をあわせて紹介。 白髪一雄の《墨筆抽象画》やアンディー・ウォーホールの《罐鈴汁缶》などを、杉本ならではの感性で表具へと仕立てた作品を、細見コレクションとともに楽しめる。展覧会概要展覧会「飄々表具─杉本博司の表具表現世界─」会期:2020年5月26日(火)再開~9月6日(日) ※会期延長※当初、2020年4月4日(土)〜6月21日(日)を予定していたが、4月9日(木)から5月25日(月)まで全館臨時休館。5月26日(火)より再開。※展示再開後は、引き続き前期展示。展示替えスケジュールは、細見美術館公式ホームページにて告知。※細見美術館再開に伴い、アートキューブショップ、カフェキューブも5月26日(火)より営業再開。営業時間は10:00~16:00(L.O. 15:30)。※茶室「古香庵」・トラットリアenは、当面の間臨時休業。会場:細見美術館住所:京都府京都市左京区岡崎最勝寺町6-3TEL:075-752-5555開館時間:10:00〜16:00(入館は閉館30分前まで)休館日:月曜日入館料:一般 1,400円、学生 1,100円※団体受付は不可。
2020年03月07日フランス・ヴェルサイユ宮殿の現代美術プロジェクトとして、日本の現代美術作家・杉本博司の展覧会「SUGIMOTO VERSAILLES 展(仮)」を、10月16日から翌2019年1月20日まで開催する。©château de Versailles Thomas Garnier Vue arienne du Temple de l’amour au domaine de Trianon2008年より、ヴェルサイユ宮殿では年一回、国内外のアーティストによる展覧会を企画。2008年にジェフ・クーンズ(Jeff Koons)、2009年にグザヴィエ・ヴェイヤン(Xavier Veilhan)、2010年に村上隆、2011年にベルナール・ヴネ(Bernar Venet)、2012年にジョアンナ・ヴァスコンセロス(Joana Vasconcelos)、2013年にジュゼッペ・ペノーネ(Giuseppe Penone)、2014年にリー・ウーファン(Lee Ufan)、2015年にアニッシュ・カプーア(Anish Kapoor)、2016年にオラファー・エリアソン(Olafur Eliasson)、そして2017年にはグループ展「Voyage d’Hiver/冬の旅」を開催し、それぞれの作品とヴェルサイユ宮殿、庭園との間に独自の対話を生み出してきた。第11回目となる、2018年の招聘作家に選ばれた杉本博司は、かつて王族のプライベートな場所として用いられていたトリアノン離宮を選び、主にプチ・トリアノンのフォリー(装飾的建築)および庭園にて作品を発表する。ルイ14世によって作られたこの区域には、グラン・トリアノンと呼ばれる大理石の宮殿が建てられた。その後、ルイ16世王妃、マリー・アントワネットがヴェルサイユ宮殿での窮屈な生活から逃れるため、この区域を改造し、プチ・トリアノンを隠れ家として用いるようになり、この地にフォリーや劇場、そして村里まで有するロマンティックな庭園を作らせた。杉本博司は、ヴェルサイユを象徴する場所のひとつであるこのトリアノン離宮を初めて使用し、アート、建築、ライブパフォーマンスで構成される展覧会を行う。Versailles Sugimoto 9434 ©Tadzio「ヴェルサイユに杉本博司を招聘することは、この偉大なる日本人アーティストの特異性を形成する折衷主義を迎え入れることでもあります。ルイ14世からナポレオン、マリー・アントワネットからオルレアン公へと受け継がれ、それぞれの時代の創作を生み出してきたトリアノン離宮が初めて使用され、杉本博司が現代的な解釈をもたらします。『ジャポニズム 2018』が開催される今年、ここヴェルサイユにて、杉本は日本とフランスの文化的関連性を明示するのです」と、ヴェルサイユ宮殿美術館館長カトリーヌ・ぺガールは語っている。杉本博司は、「私のアーティストとしての活動は2次元を扱う写真から始まった。その後使いにくい美術館空間での展覧会という難行苦行を重ね、自らが望む3次元空間を創出する為に建築家となった。3次元空間が出来てみると、その空間に時間の要素を加えた演劇に興味が向いていった。私のアーティストとしての一生は予定調和へと向かわずに支離滅裂へと向かっているようだ。この与えられた機会に感謝し、私自身を整理して、私の活動をどのように統合できるかを検討することにした」とコメントしている。キュレーションは、ヴェルサイユ現代美術展キュレーターであるアルフレッド・パックマン(Alfred Pacquement)と、パリの現代美術館パレ・ド・トーキョーの館長であるジャン・ド・ロワジー(Jean de Loisy)が務める。また本展覧会情報は、CHÂTEAU DE VERSAILLES公式HPでも確認できる。【展覧会情報】SUGIMOTO VERSAILLES 展(仮)会期:10月16日〜2019年1月20日会場:CHÂTEAU DE VERSAILLES
2018年08月02日冬至光遥拝隧道 / ©小田原文化財団/Odawara Art Foundation写真家であり伝統芸能や古美術にも造詣が深い現代美術家の杉本博司が、私財を投じた一大プロジェクト「小田原文化財団 江之浦測候所」が、構想から施工まで20年を経て、10月9日から一般公開をスタートした。相模湾を一望する丘の上に広がり、写真作品や古美術品を展示するギャラリー棟や茶室、光学硝子舞台など複数の建築を持つ「江之浦測候所」の見どころを紹介しよう。丘の斜面から迫り出すように設計され、客席からは硝子舞台が水面に浮いているように見える「光学硝子舞台」の壇上に上がった杉本は「ここから見える海の景色は、子どもの頃に見た私の原風景です。江之浦測候所は、“世界や宇宙と自分との距離を測る場所”という意味を込めて「測候所」と名づけました。ここには、私が個人的に集めてきた古美術品を多数展示していますが、そうすることで“古代的な感性”を現代によみがえらせることができたらと思っています」と語った。「光学硝子舞台」に設置されたローマ円形劇場の遺跡を再現した観客席からは、水平線をバックに風を感じながら舞台を観ることができ、さらに、そのすぐそばには、冬至の日の出の軸線に合わせてつくられた約70メートルの隧道(「冬至光遥拝隧道」)が通っている。江之浦測候所には、このように自然と芸術が織り成す絶景が“観測”できる作品(装置)が点在しているのだ。「冬至光遥拝隧道」と対を成すコンセプトで造られた「夏至光遥拝ギャラリー」は、自立する37枚の硝子板を窓に使用した建築で、夏至の朝、海から登る太陽光が数分間に渡ってこの空間を駆け抜けるよう設計されている。100メートルのギャラリー内には、杉本の代表作である「海景」シリーズが展示され、先端部には相模湾を見渡せる展望スペースが併設されている。江之浦測候所に移築・再建された建造物や石塔、石などはすべて杉本の蒐集品であるが、杉本曰く「江之浦測候所を造っていく過程で、物が自ずから自分の置かれるべき場所に集まってきた」のだそうだ。室町時代に建てられ、東京の根津美術館から寄贈・再建された「明月門」、江戸城石垣に使われていた巨石を据えて造った「石舞台」。また、茶室「雨聴天」の庭にある「石造鳥居」は、山形県小立部落にある重要文化財指定のものに準じて作ったものだという。開館直前に手に入れた法隆寺の若草伽藍礎石など、造園の隅々にまで杉本の美意識が徹底されているので見逃せない。歴史的遺物と最新の建築技術が融合されて完成した「小田原文化財団 江之浦測候所」は、これからも進化していくことだろう。この空間をどのように運営していくか、との質問に対し杉本は「使っていきながらどうするかを考えます。寿命と資金が続く限り、より多くの作品を造っていきたいです」と子供のように無邪気な笑顔を浮かべて語った。【施設情報】小田原文化財団 江之浦測候所住所:神奈川県小田原市江之浦362-1開館:4~10月=1日3回(10:00、13:00、16:00)/11~3月=1日2回(10:00、13:00) ※定員制休館日:水曜日(2018年2月より、火・水曜日休館に変更)料金:3,000円(中学生未満入館不可)入館方法:完全予約制(公式サイトより予約)
2017年10月14日東京・恵比寿の東京都写真美術館が総合開館20周年を迎え、9月3日にリニューアルオープンした。これを記念し11月13日まで「杉本博司ロスト・ヒューマン」展を開催中。現代美術作家・杉本博司による、人類と文明の終焉という壮大なテーマを掲げたインスタレーションを展開する。約2年にわたる大規模改修工事を経てリニューアルオープンを遂げた東京都写真美術館。英語館名「Tokyo Photographic Art Museum」の頭文字を取った「トップミュージアム(TOP MUSEUM)」を新愛称に、以前よりも明るく開放的に生まれ変わった1、2階のエントランスや、2階エントランスへの映像・音響機器の新規導入、1階には美術館初出店となるカフェ「メゾン・イチ」もオープンした。リニューアル後第1回目に開催されている「杉本博司ロスト・ヒューマン」展では、世界初発表となる新シリーズ〈廃墟劇場〉に加え、本邦初公開の〈今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない〉、新インスタレーション〈仏の海〉の3シリーズを会場2フロアにわたって展示。綺麗に改装されたばかりなのに申し訳ないと杉本が語るのは、本展コンセプトが “この世の終わり”であるという所以だ。〈今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない〉は、2014年にパリのパレ・ド・トーキョーで開催された同テーマの展覧会を、東京開催に合わせて日本版として再構築。3階の展示室を埋め尽くす錆びた塗炭は、その殆どがパリで集められたものだという。文明が終わる33のシナリオに付随するのは、自身の作品や蒐集した古美術、化石、書籍、歴史的資料など。シナリオはすべて一人称で描かれ、「理想主義者」「養蜂家」「世界保健機関事務局長」などその立場は実に様々。空想めいた物語は時に滑稽でありながら、展示物が歴史的背景を色濃く映し出し現実味を帯びてくる。2階の展示室は大きく2つにセパレート。仄暗い空間の中に足を踏み入れると、世界初公開となる写真作品〈廃墟劇場〉が姿を現す。1970年代から杉本が制作している〈劇場〉が発展した新シリーズで、廃墟と化したアメリカ各地の劇場を訪れ、自らスクリーンを貼り直し、持ち込んだプロジェクターで災害や天変地異、核戦争などを描いた“ディザスター・ムービー”を上映、映画1本分の光量で長時間露光した作品だ。写真の中のスクリーンはまるで内側から蛍光灯を当てたかの如く白く輝き、朽ち果ててゆく劇場の華やかな装飾を隅々まで露呈する。そして最後に登場するのは、10年以上にわたり杉本が取り組んできた〈仏の海〉。文明の終わりを感じさせる本展を、「最後は仏様の救いで締め括ってほしい」という杉本の意図が込められた構成だ。これは京都の蓮華王院本堂(通称、三十三間堂)の千手観音を、創建当時の理想的な光で見てみたいとの想いから誕生した作品であり、夏の10日間、早朝5時半より3時間の入堂許可のもと撮影を遂行。朝日を浴びて輝く千本仏は想像を絶する美しさだったといい、輝く仏像に囲まれひとり佇んだとき、「死とはこのように訪れるものなのだ」と予感したという。モノクロに映し出された千本仏は、蛍光灯の光に晒され肉眼で見るそれよりも、ずっとリアルで厳かである。杉本は本展を、「写真からもアートからもはみ出した展覧会になったと思う」と話す。「〈今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない〉は、こうなってはいけないという警鐘を鳴らす意味を持つ。学者が論文で発表するのとは違った形で、アーティストとして、“モノ”に語らせアートとして表現することで問題を提起したかった。シナリオを33で構成したのは、〈仏の海〉の三十三間堂との関連で仏教的数字と絡めたから。いわゆるネガティブ・プレゼンテーションだが、人類と文明が遺物となってしまわないよう、みなさんに考えてもらうきっかけになれば」とコメントしている。【展覧会情報】リニューアル・オープン 総合開館20周年記念「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展会場:東京都写真美術館2階・3階展示室住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内会期:9月3日~11月13日時間:10:00~18:00※木、金曜日は20:00まで(ただし9月9日、10日は21:00まで))※入館は閉館の30分前まで料金:一般1,000円、学生800円、中高生・65歳以上700円休館日:月曜日(ただし9月19日、10月10日は開館し、9月20日、10月11日は休館)
2016年09月07日「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展が、9月3日から11月13日まで、東京・恵比寿の東京都写真美術館で開催される。1948年に東京に生まれた杉本博司は、アメリカ・カリフォルニア州のアートセンター・カレッジ・オブ・デザインで写真を学び、「ジオラマ」「劇場」「海景」シリーズなどの大型カメラで撮影された精緻な写真作品を制作して、国際的に高い評価を確立した写真家で現代美術家。その作品は、ニューヨークのメトロポリタン美術館やニューヨーク近代美術館(MoMA)、ロンドンのテート・ギャラリーなど世界中の美術館に所蔵されている。また、近年は活動の範囲を広げ、執筆や設計も手掛けている杉本は、2008年に建築設計事務所「新素材研究所」を建築家の榊田倫之と設立。これまでに静岡のIZU PHOTO MUSEUMや東京・六本木のLondon Galleryの内装を担当している。来年の2月には、展示室の改装を手掛ける静岡のMOA美術館がリニューアル・オープンするほか、同年秋には、ランドスケープ全体を設計した神奈川の小田原文化財団 江之浦測候所の開館が予定されている。杉本の世界観や歴史観に迫る本展では、2014年にパリの美術館、パレ・ド・トーキョー(Palais de Tokyo)で開催された「Lost Human Genetic Archive」展のインスタレーションを東京ヴァージョンとして新たに展開。人類の死滅を想定し、遺物となった歴史や文明について、「比較宗教学者」「宇宙物理学者」といった33の視点から考察する。会場では、「今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない」「廃墟劇場」「仏の海」の3シリーズを展示。今回、世界で初めて公開される「廃墟劇場」は、1970年代から制作しているシリーズ「劇場」が発展したもので、実際に廃墟と化した劇場で杉本が自らスクリーンを貼り直して映画を投影し、作品1本分の光量で露光した作品だ。また、「仏の海」は、10年以上にわたって杉本が取り組んできた、京都の蓮華王院本堂(通称、三十三間堂)の千手観音を撮影したシリーズで、今回は同シリーズの大判作品による新たなインスタレーションが展示される。なお、本展は、大規模改修事業を経て9月3日にリニューアル・オープンする東京都写真美術館の総合開館20周年を記念して行われるもの。同館では、「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展の開催を皮切りに、総合開館20周年を記念した展覧会やワークショップ、イベント、国際シンポジウムが行われる予定だ。また、同館では、総合開館20周年にあわせて新しいシンボルマークとロゴタイプを制作。シンボルマークは、アーティストデュオ・ネルホル(Nerhol)として活動中の田中義久が手掛け、ロゴタイプは、文字に関わるデザインの企画や制作を手掛ける字游工房が担当した。さらに、新たに同館の愛称が、英語館名「Tokyo Photographic Art Museum」の頭文字から「トップミュージアム」に決定した。東京都写真美術館 シンボルマーク【イベント情報】リニューアル・オープン 総合開館20周年記念「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展会場:東京都写真美術館2階・3階展示室住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内会期:9月3日~11月13日時間:10:00~18:00※木、金曜日は20:00まで※入館は閉館の30分前まで料金:一般1,000円、学生800円、中高生・65歳以上700円休館日:月曜日(ただし9月19日、10月10日は開館し、9月20日、10月11日は休館)
2016年06月29日現代美術作家・杉本博司の個展「Hiroshi Sugimoto“In Praise of Shadows”」が、12月12日から16年2月28日までコスチューム ナショナル(CoSTUME NATIONAL)の青山旗艦店にて開催される。杉本博司は、哲学に基づいた考察と精緻な写真技術によって“時間”、“光”、“モダニズム”をテーマにした数々の名作を生み出してきた世界的に著名な現代美術作家。これまでに、毎日芸術賞や、ハッセルブラッド国際写真賞を受賞した他、紫綬褒章やフランス芸術文化勲章オフェシェも受勲している。同展では、蝋燭の一生を撮ったシリーズ作品「陰翳礼賛」が展示される。同シリーズは、和蝋燭に火を灯し、火が燃え尽きるまでシャッターを開いたまま長時間露光することによって撮影されたもの。火は風に煽られて揺れ動き、常に形を変えていく。燃える蝋燭に合わせてゆらめく幻の蝋燭となった写真が、仄暗い闇の中で現実との境界を曖昧にしていく。【イベント情報】「Hiroshi Sugimoto“In Praise of Shadows”」会場:コスチューム ナショナル青山旗艦店住所:東京都港区南青山5-4-30会期:12月12日~16年2月28日時間:11:00~19:00
2015年12月10日現代美術家の杉本博司による大規模展「杉本博司 趣味と芸術-味占郷/今昔三部作」が、10月28日から12月23日まで千葉県の千葉市美術館にて開催される。同展は、千葉市美術館の開館20周年を記念して開催されるもの。1996年に開館記念展の第2弾として開催された「Tranquility -静謐」展の招待作家の1人であった杉本博司を迎え、現代美術の枠を超えたアプローチを行う「趣味と芸術」と、代表作3シリーズを展示する「今昔三部作」の2構成で展開される。展示室7階の「趣味と芸術」では、『婦人画報』で連載中の「謎の割烹 味占郷」の中で杉本が、各界の著名人をもてなすためにそのゲストにふさわしい掛軸と置物を選んで構成する床飾りを再現。平安時代から江戸時代までの古物を始め、西洋伝来の品物や昭和の珍品など、杉本が趣味として集めていた名品・珍品を組み合わせて自らが27の床のしつらえをつくりあげる。8階の「今昔三部作」では、80年代から90年代初頭にかけて世界的な名声を得るきっかけとなった、杉本博司の代表作とも言える3つの写真シリーズ、「ジオラマ」、「劇場」、「海景」の大判プリント16点を展示。これらのシリーズは90年代中頃以降も撮影され続けており、同展では、幅4mを超えるジオラマシリーズの最新作「オリンピック雨林」や、縦版型による劇場シリーズの最新作「テアトロ・デイ・ロッツィ、シエナ」などの日本初公開作品を含む初期作から最新作までが一挙に展開される。【イベント情報】「杉本博司 趣味と芸術-味占郷/今昔三部作」会場:千葉市美術館住所:千葉県千葉市中央区中央3-10-8会期:10月28日~12月23日時間:10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで、入館は閉館の30分前まで)料金:一般1,200円、大学生700円、高校生以下、及び障害者手帳の保持者とその付添1名は無料 ※11月3日は開館20周年記念日につき観覧無料休館日:11月2日、12月7日
2015年10月18日東京都・銀座のギャラリー小柳では、「UNSOLD - 杉本博司/ソフィ・カル/青柳龍太」を開催している。開催期間は2015年1月31日まで(日月祝と12月13日は休廊、12月27日~1月12日は冬季休廊)、開場時間は11:00~19:00、入場無料。同展では、奇妙な縁で出会った杉本博司、ソフィ・カル、青柳龍太というアーティスト3人が2013年3月17日、秘密裏に靖国神社の蚤の市に参加し、そのときの売れ残りをそれぞれ陳列し、ギャラリー空間にインスタレーションとして再現している。"ソフィの陳列は、中古品で構成され、由来書きは無く、「本当の話」のエピソードを書き、それにリンクした物を並べた。10点を108,500円で売り、13点は売れ残った。杉本の陳列は、本物の古物と彼の作品ひとつで構成され、それぞれに由来書きを付けたが、それはまゆつばの由来ばかり。4点を67,000円で売り、12点は売れ残った。龍太の陳列は、彼が蚤の市でいつものように扱っている骨董ともインスタレーションとも思えるスタイルで、それにまつわる説明は全く無し。9点を740,000円で売り、10点は売れ残った。午後になって、グループを引き連れたアメリカ人のガイドが私たちの前を通りがかり言った。「ここは、見る価値はなさそうだ」"なお、杉本博司やソフィ・カルといえば国際的に活躍する著名な現代美術作家だが、本人たちの弁によるいつもとは少し変わったプロフィールを紹介しておこう。「杉本博司は1948年、台東区御徒町生まれ。1970年、美術家を志し渡米。1978年、名門ソナベント・ギャラリーに属すれど食えず、1980年に骨董屋「みんげい」を始める。当時、日本全国の蚤の市を巡る。1995年のメトロポリタン美術館での個展以後、作品で食えるようになるも長年の習性はぬけず古物を買い漁り今に至る。ソフィ・カルは1953年、フランス・パリ生まれ。10代の終わりから7年もの間、放浪生活を送り、26歳でパリに戻る。その頃より制作を始め、1980年より展覧会へ出品。自らの体験をもとに事実とフィクションを織り交ぜ、テキストと写真、映像を組み合わせたインスタレーション作品を制作している。青柳龍太は1976年、大阪生まれ。ラサール高校卒業後、美術家を志し多摩美術大学に進学。2005年よりコンセプチュアルなインスタレーション作品の発表を開始。2010年より神楽坂にて骨董、ガラクタ、オブジェを展示、販売する店を始める」
2014年12月25日「コスチュームナショナル(CoSTUME NATIONAL)」は、南青山の旗艦店内のギャラリー「LAB」で、現代美術家、杉本博司の個展「Architecture of Time」を開催している。2014年1月13日まで。コスチュームナショナルは、杉本が構成・演出・美術を手掛ける人形浄瑠璃「曾根崎心中」を舞台化した「杉本文楽・曾根崎心中・付り観音廻り」の2013秋ヨーロッパ3都市公演をサポートしている。本展はこの公演を記念して実施され、レンズの焦点を無限遠の2倍に設定し、全体をぼかす独特の技法で撮影される「建築(Architecture)」シリーズの作品を展示している。同店では2011年のオープン以来、併設されているバーの壁に杉本博司の同シリーズをディスプレイしている、【イベント情報】Hiroshi Sugimoto: Architecture of Time会場: LAB / CoSTUME NATIONAL住所:東京都港区南青山5-4-30 CoSTUME NATIONAL Aoyama Complex1階期間: 2014年1月13日まで時間:11:00から19:00
2013年10月21日