ソニア リキエル(Sonia Rykiel)は、パリ・ファッション・ウィークで2017-18年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。今シーズンは、アーティストのニキ・ド・サンファルに想いを馳せた。アート活動を通して女性の人権を唱えるニキを花のモチーフで象徴化させた。ソニア リキエルのアイコンであるリップモチーフと重ね合わせたプリントパンツやシャツは、ポップな仕上がり。また、ランウェイに飾られたニキによるハート型オブジェと連動させ、プリーツ加工でくちゃくちゃとさせたドレスも存在する。彼女の制作活動をイメージしたドレスも登場。キャンバス風の白地素材に、色を入れ絵を描くように、装飾を施したドレス。曲線的にランダムに配されたローエッジのフリルは、女性の官能性を表したもので、女性のパワーを詩的に表現したのだろうか、アクセントにはミリタリー調の金ボタンが用いられている。シルエットはフルレングスのロングスタイルで、立ち襟でその長さを強調させた。また、ソニア リキエルのコードとなったツイードは、ニキの作品からインスピレーションを得てサイケデリックなカラーで表現。赤、白、黄の鮮やかな色彩が交わったツイードは、ドレスとなり、ジャケットとなり形を変えて登場する。さらに、テキスタイルの枠を超えて、アグレッシブにファッションに携わるピースも。ツイードを砕いて編み糸にして、ニットやドレスの刺繍糸として採用し、あえて糸を垂らしてたままの花のモチーフを描いたニットやドレスもラインナップした。装いは全て纏う者=女性を意識して制作されている。身体を包み込み安心感を与える毛布のようなビッグサイズコート、ゴムウエストで活動しやすいジョガーパンツ。パッチワークしてデザイン性を加えたミリタリージャケットやデニムジャケットも提案されている。
2017年03月10日川久保玲によるコム デ ギャルソン(COMME des GARCONS)が3月4日、パリ・モンマルトルの麓にある劇場、エリゼ・モンマルトルを会場に2017-18年秋冬コレクションショーを行った。コレクションテーマは「the Future of Silhouette」。未来のシルエットを独自の解釈で造形的に表現した。使用された素材は、フロッキー加工シートやラミネートシート、リサイクルフェルト、中綿素材など、織られていない“アンファブリック”なものばかり。大きな作品ではシルエットの維持が難しくなるが、軽い素材には芯地を用いて張りを出し、重い素材には樹脂で固めた土台を用いている。シリコンでレース模様を描いたドレスや、ドレープパーツを飾ったクラフト紙のドレスなど、独創的な作品で構成。それぞれがテーマを共有しない、個別に存在するアイテムに見えるものの、巨大なシルエットという共通項だけで互いに響き合っている。モデルのアンナ・クリーヴランド(Anna Cleveland)によるダンスを交えた動きも独特で、コレクション全体に物語性を感じさせた。たった18体ではあったが、強烈な世界観を頭に焼き付け、不思議な余韻を残す結果となった。またパリコレクション会期中には、5月4日からNYメトロポリタン美術館で開催される回顧展「Art of the In-Between(間の技)」のプレス発表も開催され、展覧会への期待を大いに募らせた。
2017年03月09日カラー(kolor)は、パリ・ファッション・ウィーク期間中に、プレゼンテーション形式で2017-18年秋冬コレクションを発表した。これまでインスタレーション形式でパリでウィメンズコレクションを発表してきたカラーであったが、今季はモデルシューティングをその場で行うという新しい演出のもの最新コレクションを紹介した。場所はPalais de Tokyoで、2017年3月5日(日)のことである。パリでの新しい展開をスタートさせた、デザイナー阿部潤一が追い求めたのは、美しさとエレガンスである。甘く、優しく、ロマンチックに。そんな典型的なスタイルではなく、不完全さや未完成さを一つの軸として、女性らしさの探求をスタートさせた。最も多く用いられた手法がパッチワークである。コートやジャケットには、ランダムに異素材が配されていて、ラペルから胸元までファーで覆った温かみの溢れるものもある。真っ赤なドレスにはリボンとレースをコンビネーションさせて。コーデュロイのパンツには、サイドにリボンのように異素材を組み合わせてアクセントを加えた。また、メタリックカラーと蛍光色の差し方もポイントに。クラシカルなコートには、蛍光色を纏ったフーディを差し込んだ。また、Pコートにはゴールド&シルバーで鎖のようなものをペイント。どこかで時間が止まってしまったかのような、不完全なメタルカラープリントが裾に配されていた。ショート丈ジャケットまたはトップスに、スカート、ファー付きフラットサンダル……が基本のスタイル。シューティング時にモデルたちが、身体をくねらせまた左右に振り返り、ふわりとスカートを揺れ動かせていたのが印象に残る。
2017年03月09日マリメッコ(marimekko)は、2017-18年秋冬コレクションをパリ・ファッション・ウィーク期間中の2017年3月5日(日)に発表した。フィンランド独立100周年のアニバーサリーイヤーとなる2017年。マリメッコはそれを祝し、フィンランドアート、建築、そして母国の自然が文化全体へ与える影響について改めて見直し、クリエーションに取り組んだ。今季は、モデルプレゼンテーションに加え、スウェーデンのファッションシーンで活躍する写真家のKacper Kasprzykによるムービーを交えて展開。このムービーは、ヘルシンキの各所で撮影されたもので、スカンディナヴィアの雄大な自然も捉えられている。新作のプリントも豊かな自然に呼応するように、表情豊かで多種多様だ。モノトーンで描かれた幾何学的なモチーフやフラワープリント、深みのある色合いのウニッコも登場している。シックなプリントにシンクロして、装いそのものも落ち着いた印象だ。アイコンとなるシャツは、スリット入りのロングドレスや、チュニックとワンピースの狭間くらいの丈感と量感のロングトップスなど、フォルム違いでバリエーション豊かなラインナップだ。また、コットンシリーズに加えてファブリックそのものも種類豊富に。膝下で切り替えフレアに仕立てたクロップドパンツや、タック入りのワイドパンツはレザーで製作。ボアコートや、ボリューミーなロングダウンも揃っている。スタイルはロングシルエットがムードで、ロングシャツ×ロングパンツの組み合わせが繰り返される。インナーにハイネックトップス、足元はブーツをチョイスすれば、より一層細く長いシルエットが完成する。
2017年03月09日バレンシアガ(BALENCIAGA)は、2017-18年秋冬ウィメンズコレクションをフランス・パリで発表した。メゾン100周年を迎える今季は、クリストバル・バレンシアガのクチュールドレスを再解釈したオートクチュールドレスがランウェイに並んだ。バックスタイルにはコレクションの詳細またはロゴが配され、アニバーサリーを記念している。レディ・トゥ・ウェアの起点もメゾンの伝統に重んじた。ルックブック(コレクションルックをまとめたカタログ写真集のようなもの)が存在しない昔から、クリストバルはモデルの着用写真を記録していたという。その写真とまた同時代の写真を改めて振り返り、風が吹いた際に女性がコートを抑える姿に目を向けた。このジェスチャーが、デムナ・ヴァザリアの変形シルエット創造の魂に火をつける。ダッフルコートやPコート、マウンテンパーカー、ダウンジャケットなどあらゆるアウターは、身体を包み込むほどボリューミー。ボタンを留めると、片手でアウターを抑えたときのように、左右どちらかにより不均衡なフォルムになる。また、いくつかの洋服は一緒に取り付けられていて、コートの中にスカートが、ワンピースの中にワンピースが…といった具合に予想外のところから別のアイテムが登場する。奇想天外な発想にも感じられるが、全て着る人によって様々な着方を楽しんで欲しいという純粋なメッセージに基づいてデザインされている。日常の中に存在するあらゆるアイテムも導かれるように集まってくる。カーカーペットから着想を得た、ロゴ入りのラバー風の素材はブラウスやスカートに融合。スペアタイヤを保管する袋はバッグに、サイドミラーはクラッチへ。タイピンや鍵といった細かなものたちは、アクセサリーへと変わっている。さらに、子供服のイメージからミニドレスも作られた。まるで小さい洋服を無理やり着てしまったかのようにバッグスタイルは開いていて、チャーミングな演出が施されている。
2017年03月08日エルメス(HERMÈS)の2017-18年秋冬コレクションが、日本時間の2017年3月7日(火)0時30分より、フランス・パリで発表。ファッションプレスでは、その様子をライブ配信する。上質なテキスタイルにメゾンの伝統と新しいエッセンスを乗せ、毎シーズン心躍るワードローブを披露してくれるエルメス。2017年春夏コレクションでは、季節感のある鮮やかなカラーを、ブラックやチャコールといった落ち着きのあるカラーと同居させ、爽やかなアイテムを提案していた。最新コレクションでは、どんな洋服を見せてくれるのか、期待が高まる。【詳細】エルメス 2017-18年秋冬コレクション ライブ配信日本時間:2017年3月7日(火)0:30現地時間:2017年3月6日(月)16:30
2017年03月08日アクネ ストゥディオズ(Acne Studios)は、2017-18年秋冬ウィメンズコレクションをパリ・ファッション・ウィーク5日目の2017年3月4日(土)に発表した。ロマンティックでフェミニン、それでいてプレイフルなコレクションを目指した、今季の鍵となるのは、ロングラインのドレスである。量感と流れるようなラインを保ちつつも、袖を通す人のことを考えられた、コンパクトで着心地のよいサイズ感。バックスタイルは大きくラウンド型にカットして女性らしさを追いかけながらも、縫いかけ風のステッチや十字型のパッチワークでクラフト感のある遊び心が投じられている。ドレスと交わるアイテムも同様に、ロングラインで、ジョニー・ヨハンソンらしいポップな精神に溢れている。テイラードを長く引き伸ばしたようなガウンコートや、後ろ前逆転させてしまったドレス。スエードコートは、ワックス加工が施されていて、服地の上で味わい深い色の変化がある。フレアパンツにはランダムに花模様をプリントして、あえてチュニックと合わせてロング×ロングのセットアップに。ストライプシャツは崩れたように変形させて、折り紙のように織り込んだ高い襟を添えた。繰り返しコーディネートされたビッグサイズのイヤリングは、土から成形してその後エナメルやメタリックで作り出したもの。左右非対称であったり、大きな凹凸があったり、温かみのある仕上がりで、同じく左右非対称なカラーサングラスとの相性がとても良い。
2017年03月08日コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)の2017-18年秋冬コレクションが、パリ・ファッション・ウィーク5日目の2017年3月4日(土)に発表された。ドレスの上に不規則に並ぶこぶ。大きく膨らんだもの、小さくさりげなく存在するもの、様々な凹凸がドレスの上に存在している。もちろん女性らしさを感じさせるような、身体のラインに即してものではなく、太ももあたりでいきなりくびれたり、ボリュームの欲しくないはずのウエスト辺りで膨らんだり。不規則で気まぐれな動線が身体上を走り、今まで見たことのあるもの・繰り返される出来事とは異なる新しいものを作り出す。球体が連なったもの、菱形や三角形のピースが並んだもの。その唯一無二の形状を作り上げる構成要素そのものも多種多様である。素材は、厚手のフェルト風のもの、ペイントを施した起毛素材、レース、段ボール紙のようにシワ加工を施したものなど、統一感なくあらゆる方面から寄せ集まったという具合で、形状だけでなくテキスタイルもバリエーション豊かだ。彫刻またはアートピースのような最新ルックをかろうじで服らしい服に見せるのは、ウエストラインに配されたベルベットリボンやレザーのベルトだ。彼らの存在が腰の位置を示し、ファッションであることを改めて気付かせてくれる。他と一線を引いたのは、フィナーレにかけて登場した服らしい2ピース。1つは溶接で様々なパーツを貼り付けたような、上半身がメルティングしている黒いロングコート風のもの。そしてもう一つは、ラストルックを飾ったホワイトコットンのドレスで、他の硬質なピースとは異なり、ポンポンと跳ね動き女性らしい可憐さを身に着けている。
2017年03月08日女優の本田翼が、ロエベ(LOEWE)2017-18年秋冬コレクションのファッションショーに出席。パリコレクション初参加という本田翼は、ロエベの白い総レースドレスに身を包み、アイコンバッグ「パズル バッグ」をクラッチ風に携えていた。シューズにも黒をチョイスし、モノトーンでまとめたコーディネートを披露した。フロントローでショーを鑑賞した本田は、クリエイティブ ディレクターのジョナサン・アンダーソンとも対面。「初めてのパリコレクションに緊張もしましたが、とても楽しかった」とコメントしている。
2017年03月07日ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)は、パリ・ファッション・ウィーク4日目の2017年3月3日(金)に2017-18年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。今シーズンは、パナソニックの世界初4K60p記録ができる、最新ミラーレス一眼カメラ「LUMIX DC-GH5」を複数台使用してリアルタイム発信を行った。高精細・高画質の映像により、パリの会場から最新ルックをライブで届け、新しいファッションの楽しみ方を提案する。発信方法は新しく現代的であるが、クリエーションそのものは山本耀司のDNAが生きるもので、ブランドの根底を示している。黒い布、その一枚のテキスタイルで作るアシンメトリーシルエット、優美さを象徴するドレープ、体の部位を曖昧にするフォルム、そして、一度見ただけでは判別できないレイヤード。その複雑なキャラクターは、生地を折り重ね、捻り、ひっかけ作り出されている。一見すると無造作にも見えるが、すべて計算の賜物。ドレスの胸元に寄せたドレープやショルダーラインに宿った量感は、女性を華やかに見せてくれるし、ワンピースやトップスを横切るよう斜めに、また裾をたくし上げたギャザーは細く華奢にみせてくれる。また、スッと伸びたプリーツをあえてほどいて斜めに配したり、たくし上げたり、その上から刺繍をすることで生地そのものの複雑性を増し、意志を宿したかのような存在感を放つ。メインパレットは黒一つ。だからこそ、時折ペイントや刺繍で差し込まれたパープル、レッド、グリーンの鮮やかさが際立っている。ラストにかけては生地の凹凸や量感など全てで排除されたすっきりとしたテーラードを。様々なデザイン性がなくなったとき、ただ残るアシンメトリーなシルエットがとても強い意志を放っている。
2017年03月07日アンダーカバー(UNDERCOVER)は、2017-18年秋冬ウィメンズコレクションをパリ・ファッション・ウィーク4日目の2017年3月3日(金)に発表した。会場は凱旋門からほど近い、コンサートなどを行うシアターだった。デザイナーの高橋盾は、理想郷に住む新人類を今シーズン描く。シアターのステージやライティングを用いて、それぞれの役職・階級に該当する人物を音楽の転調と共に、ストーリー仕立てで紹介していく。始まりは貴族たちの登場であった。蝶のようなマスクを着けた女性が4人。ベースはエンパイアラインのエレガントなドレスで、一人ひとり生地が異なり、お気に入りのカラーと素材で仕立ててもらったような個性がある。共通しているのはボリューミーなアーム。シルクやプリーツのオーガンザ、ファーなど異なる素材で作られたアームが、権力・地位の象徴と言わんばかりに存在を放っている。その後は守衛、軍隊、不良少女、遊牧民、僧侶、扇動者、聖歌隊、新種族、王室と身分・階級の異なる住人たちが数人ずつ紹介されていく。フリルやファーのアーム、ラペルのパッチワークなどで再構築されたミリタリージャケットを合わせているのは軍隊・守衛でないか…。ナイロンアウターやリブなどのディテールを残したロングコートを纏ったのは僧侶ではないか…。現代の我々が想像できるヒントをわずかに残し、彼らのコスチュームが観客を楽しませてくれる。ラストは王室の人々ともにフィナーレへ。これまでよりも最も量感のあるドレスを纏った知的な女性たちとその先導を歩く王女とみられる女性。羊のようなヘアスタイルとふわりと広がったドレスを身に着けていて、ブランド内で度々登場するモチーフ・graceをほのかに感じさせる。神秘的で優雅で、それでいてしっとりとした女性が舞い踊り、静かにレッドカーテンの奥へ下がると、夢の地が幻のように消え、今季のアンダーカバーのショーも終わりを迎えた。
2017年03月07日イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)は、パリ・ファッション・ウィーク4日目の2017年3月3日(金)に2017-18年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。テーマは「Chromatic Fantasia-極光色-」。波打つように揺らめき、輝きながら変化を遂げるオーロラ。今季は、その幻想的な光景から着想を得て「AURORAL」シリーズを生み出した。ブラックからグリーンへ、パープルからブラックへ見る角度によって色彩の深みが変化するテキスタイルは、ウルトラスエードをスリット状にし、織り込んだもの。オーロラの下で育ったシェットランド産の原毛を5色に染め上げ1本の糸に配合させた直線的なコート。裏地がよく見えるフーディなどが用いられ、豊かな色彩のコンビネーションで視覚的な楽しみをもたらしてくれる。また、特殊なのりをプリントし高温で膨らませたベイクド ストレッチシリーズは、大きなウェーブとボーダー柄を組み合わせてリズミカルな表情を引き出した。一方、折り目が織り込まれた状態で蒸気で縮めるスチーム ストレッチシリーズは発展し、四角い布から流動形のプリーツを作り出すことに成功した。この生地は、ショーの中盤から登場するのだが、曲線的な表現がとても巧み。ヘムラインや裾、襟元などで花のようにふわっと開く。このアウターとドレスを合わせてスタイリングすると、花束のようにゴージャスで優雅な佇まいに。また、今シーズンもユナイテッド ヌードと共同開発による「ISSEY MIYAKE × UN」からシューズが到着。洋服同様見る角度によってソールの色が変化する「WAVE」と波形カットのスニーカー「BUZZ」の2種類がラインナップしている。
2017年03月06日リック・オウエンス(Rick Owens)の2017-18年秋冬ウィメンズコレクションが、パリ・ファッション・ウィーク3日目の2017年3月2日(木)に発表された。まずはヘッドピースだ。全ルック一貫して用いられたこのアクセサリーは、耳のように左右対称に天に向かって垂直立ちしているもの、養蜂用の帽子を想起させるネットを組み込んだ顔全体を覆うものなどいくつかのパターンが用意されている。辛うじて理解できるのは、トップスのアーム部分からインスピレーションを得たのではないかということ。リブのようなものが存在し、それが垂れ流れたりピンと張った状態だったりして頭の上に乗っている。洋服はベル型のポンチョ風トップス・アウターがメインのようである。腕全体を覆い隠すかのように、ボディにプラスオンでかませた布地が緩い三角形のような形状を作っている。素材はキルティングダウン、ウール、レザー、それに加えて、おそらく起毛させたウールやスウェット地などが揃っていて、それらが難解なパズルのようにパッチワークされている。カラーはブラック、カーキ、イエロー、ワイン、ベージュなど。メンズと一貫したテーマやキーワードを持つリック・オウエンスであるが、ボトムスはメンズコレクションの影響を感じた。実はジャンプスーツであったワイドなパンツが、ウィメンズにも同じようなデザインで登場していて、トップスをひっくり返したような不可解な布地がウエスト下に存在している。身体を覆う一つの服地の中には、ポコッとした膨らみと第2の皮膚とも言えようフィット感が共存していて、四肢や人間の形を無視した状態で対象的なフォルムが並んでいる。テキスタイルをひねり、折りたたみ、ねじり、引っ張り……様々な形で手を加えてうねりのような、波のような緩い曲線を創り上げている。ボトムスはスリットの入ったロングスカートが多く、歩みに合わせてひらひらと舞う布地がほんのりとフェミニズムを感じさせた。
2017年03月06日メゾン マルジェラ(Maison Margiela)は、パリ・ファッション・ウィーク2日目の2017年3月1日(水)に2017-18年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。オートクチュール「アーティザナルコレクション」のエッセンスをプレタポルテとして表現するクリエイティブ・ディレクターのジョン・ガリアーノであるが、今季は皮をむく・はぎ取るという意味を持つ「デコルティケ」の手法で、洋服そのものの本質を突く。本来目立たないはずのシーム、スレットといった洋服のパーツや輪郭を際立たせ、本来隠れている裏地や構造を明らかにする。チェック柄の裏地のトレンチコート、オーバーサイズコート、ロングドレスといったオーセンティックなアイテムは、表面的なものはそぎ落とすようにカットアウトされ(時にカットアウトした上からオーガンザを充てて)内側の構造を立体的にみえるようにデザインされた。インに差し込んだエレガンスなドレスなどは、美しいプリントと色彩がアウターの上から判別することができ、より一層フェミニニティで魅力的に映る。そして、2つのものを繋ぎ合わせる「スプライシング」という手法も特徴的だ。ただただ異なるもの同士をパッチワークするのではなく、異なる時代・キャラクターのものを共存させる。例えば、40年代をイメージしたデイドレスに、その下着となるランジェリードレスを合わせ、パーツは全て幾何学的に配置する。それがバイアスカットで仕立てものとストレートカットで仕立てたもののマッチングであれば、ドレスの上に波打つようにドレープが生まれより表情に深みが増している。そして、今季もう一つ投下されたのは「デクタージュ」法。切り抜くという意味を持つこの手法は、主にデニムパンツなどに用いられポケットを切り取るように仕上げた。ベースとなるデニムパンツは、コレクションのキーワードの一つである1940~50年代ミューズ マリリン・モンローが着用したものをイメージしており、ハイウエストとヒップにフィットとしたサイズ感が古き良きアメリカンスタイルを思わせる。マリリンの影響はプリントになっても登場。彼女の顔をスクリーンプリントし、さらに引き延ばしてドット柄にみせてカットソーなどにあしらっている。そのスクリーンプリントの上から、輝くドット刺繍を配したオーガンザをかましたドレスは、異なる性格のドットが重なり合い幻想的でユニークに映る。
2017年03月06日アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)は、2017-18年秋冬ウィメンズコレクションをパリ・ファッション・ウィーク3日目の2017年3月2日(木)に発表した。ロマンティックで開放的なシーズンである。「True Black」をキーワードに、パンクの精神と表裏一体なロマンチシズムを謳った昨シーズンと比べると、ストレートに甘さを表現しているように映る。ランウェイには、ペールトーンのピンクやブルー、ホワイトが溢れている。レース、オーガンザといった軽やかなテキスタイルが舞い、フリルやギャザーと交わり優雅に揺れている。左右均衡を崩したアイコニックなシルエットは、アシンメトリーなカッティングや左右どちらかに寄せたギャザー、また片方だけタックインしたスタイリングなどで受け継がれているが、その存在感を薄めてしまうほど、ふわりと広がる動線とフォルムが主流である。スリムパンツとロングブーツ、ブラックでまとめたロックなスタイルには、花刺繍を添えたブラウスやドレスを。前後逆転させたクラシカルなベストには、フリルブラウスなどを合わせて、フェミニニティを足し算する。シャツやブラウスから伸びた長いリボンやレースのヘッドピースから流れたリボンは、より一層フェミニニティを助長する。印象的に差し込まれたのは、ボルドー、パープル、キャメルと高貴な色で揃えたベルベット。そしてボリュームファーやフェザーも大きな存在感だ。しかしながら、いずれもロマンティックな世界を壊すことなく上品な佇まいである。
2017年03月05日ネヘラ(NEHERA)は、2017-18年秋冬ウィメンズコレクションをパリ・ファッション・ウィーク2日目の2017年3月1日(水)に発表した。今シーズンのネヘラは、ネヘラのシグネチャーといえるマニッシュなスタイルやワークウェアにのせて女性の美しさや官能性を定義する。フェミニニティとは遠い男性的なウェアをボリュームコントロールと再構築によって、エレガンスへと昇華させる。テイラードジャケットは、アシンメトリーなカッティングによりボタン位置をずらした。身体を横切るようにラップされた前身頃は、カシュクールのような形状になっている。ピンストライプのトレンチコートは、ボリュームをアレンジして、スクエア型のボディに。アームに取り付けたジップやボタンディテールが、ざっくりとした印象の中に手の込んだ女性らしい要素を吹き込む。コートやジャケットは、前後逆転させてバックスタイルにあるはずのハーフベルトを前身頃のボタン位置にオン。ブロークンダメージを与えたニットに至っては、ショルダーラインを越えてバッグスタイルの高い位置に、羽根のようなショルダーポイントを合わせた。いずれも本来あるべきところからは姿を消し、ないはずの場所に何かが存在することで神秘性が増している。印象的に用いられたのは、レザーのグローブ。エプロンと並んでワークの香りがするこのアイコンを、あえてフェミニンな花柄ワンピースや膝下丈のドレスなどとマッチさせた。肘上まで覆う重量感のある佇まいは、肌を見せない禁欲的な要素を持ち合わせつつも、プロテクションの役割を担い繊細さの中に強さを投じている。
2017年03月05日アンリアレイジ(ANREALAGE)は、2017-18年秋冬ウィメンズコレクションをパリ・ファッション・ウィーク初日の2017年2月28日(火)に発表した。周り続け転換の多いファッションの世界。その姿を木の年輪に例えた今シーズンのテーマは「Roll」。コレクションの真髄を象徴的に切り取ったのは、彫刻家・名和晃平 / SANDWICHとの協業による2体である。本来、洋服はロール状に巻かれた布を引っ張り出し裁断して作るものだが、今回はこの発想からは脱し、ロール状態のままの布から洋服の形を作り出した。巻かれたデニムは300メートルにも及び、これをドリルを装着したロボットアームによって削り出す。3D技術を取り入れながら逆転の発想で生まれたドレスは、彫刻のように硬質でありながらも波のような流れるラインが描かれている。テクスチャーは重層的で、同時に歳月の重なりを語りかけてくる木々のような温かみがある。この2ピースの登場から始まったショー。会場中央には、このデニムドレス制作時に出た切削屑で作られた青い海が広がっていた。この海を囲むようにランウェイを歩くモデルたち。続くのは、オーガンザリボンテープが幾重にも巻かれ、木の幹のような円柱型をしたフェミニンなドレスであった。その後は、ここ数シーズンとは異なり、シティに馴染むパンツやドレスといった‟着られる=Ready to wear”が並んだ。年輪柄のニットドレス、レーザー加工で年輪模様を焼き付けたデニムワイドパンツ、1本のテープ状の布をジップやボタンで巻き付け作り出したドレス。ユニークなのは、フェルト地を99枚も重ねたグレーのドレス。ロール状にしたフェルトをドレープの陰影が出るように作り上げたもので、3D技術によって仕上げた、技術力の塊のようなピースである。
2017年03月04日キッチュなグラフィックと独特な色使いでじわじわと人気を集めるブランド、「VL by VEE」の動向を追うべし!2016年秋冬の展示会で迎えてくれたのはデザイナーのVEE(ウィー)さん。のほほんとした喋り方と柔らかい笑顔がブランドの印象通り、とてもキュートなレディです。自身でグラフィックのデザインやルックのディレクションを手がけているそう。キラキラしたホログラム、虹色のビームが差し込む未知のプラネット、光の粒がきらめく宇宙で、ワクワクする様な「SPACE PARTY」をイメージした2016年秋冬シーズン。服には宇宙に関連したモチーフがたくさん隠れています。デニムのステッチは光線のように点々としていたり、銀河のように輝く刺繍、惑星ワッペンまで!どことなく漂うレトロな雰囲気にVL by VEEらしいいたずらなアクセントが加わることで、宇宙カワイイ世界観の完成。VEEさんも着用していたオリジナルグラフィックのスウェットはテーマであるSPACE PARTYさながらの風景が描かれています。ウサギのような謎の宇宙人と猫ちゃんたちが愉快に踊る惑星からは、不思議な音色が聞こえてきそう。展示会場にはVEEさんによる原画が飾られていました。今展開中の春夏アイテムは「THE LADY / Crossing The Border」のイメージにぴったりだったのでデニムのセットアップやリボンのサンダルを企画にピックアップ。スタイリングによって見え方が180度変わる遊びがいのある服たちをぜひチェックして!SPACE PARTYからイメージを膨らませて、秋冬はどんなレディに変身できるかな?VL by VEE 2016AW イメージヴィジュアルPhoto : Gunn LeeStyling : NonnonHair : Yuka TamuraMakeup : Tanin KhunkraiModel : Primmy Patnasiri VL by VEEタイ/バンコク在住のデザイナー VEE(ウィー)が手掛けるブランド。 コンセプトは「Relax&Charming」 ポップでどこかクラシカルな洋服は、明るくてハッピーな気分にさせてくれる。VEE (ウィー)タイ人の父と日本人の母をもつ。日本留学中にデザインや染織を学び、現在はバンコクに住みながら活動。ハンドメイドにこだわるチャーミングな洋服作りを続けている。タイではファッションデザイナーにとどまらず、数々の DIY の書籍の作者としても活躍中。2007年自身のファッションブランド「VL」を設立2011年古着をリメイクしたライン「VL’s Gumgum」をスタート2014年ブランド名を「VL」から「VL by VEE」に変更。春夏シーズンよりオリジナルテキスタイル作りもスタート。2012年How to リメイクを教える書籍『Vintage Veemake』(2015 年に台湾でも出版)と『Clothes to you Veemake』をリリース2014年刺繍を教える書籍『Mamuangchan Veemake』をリリースHP / Facebook / Instagram / TwitterText. Azu Satoh
2017年03月04日サルヴァトーレ フェラガモ(Salvatore Ferragamo)は、ミラノ・ファッションウィーク5日目の2017年2月26日(日)に、2017-18年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。目指したのは、ブランドの伝統を引き出し、女性らしさとダイナミズムを備えたデイタイムとイブニングの装いだ。今シーズンのサルヴァトーレ フェラガモを象徴するのは、ダイナミックなカッティングによる新しいシルエットの提案である。ジャケットにあしらわれたのは、揺れ動く襟とフードを合体させた花びらのような襟元。顔を覆うほどの高さとボリュームのあるディテールがシーズンアイコンの存在を放つ。また、ワンピースは袖とスカーフを組み合わせて流れるようなシルエットに。後身頃のみロングマントになったテーラードジャケットや、レザーと別素材(ウールのような質感)をインサイドアウトの手法で外側・内側のテキスタイルを見せたドレスも存在する。ベースとなるのは、流線的なIライン。程よいフィット感でタイトになりすぎない、ロングスカートやセンタープレスパンツなどが揃っている。前後・左右に配されたスリットや縦縞のステッチ、パイピングなどは、シルエットの優美さを印象的に切り取る役割だ。色彩は、ブラック、ベージュなど伝統に重んじたクラシックなカラーをセレクト。ペールトーンのパープルやライトブルーなどを用いて、ゼブラやレオパードといったアニマル模様も描かれてる。目新しく感じたのは、レジャー着想のアクティブウェア。ビッグボリュームのキルティングコートがランウェイを訪れた。シューズは、アーカイブを紐解き新たな形状で蘇らせて。アイコンであるソフトソフィアバッグも新色と新素材を融合させてアップデートして登場している。
2017年03月03日ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)の2017-18年秋冬ウィメンズコレクションが、イタリア・ミラノで発表された。記憶に新しい、1月に発表された2017-18年秋冬メンズコレクション。アメリカ人歌手オースティン・マホーンのオープニングアクトで幕開けし、世界各国のミレニアルズたちがモデルとして登場したショーが、パワーアップしてウィメンズコレクションへ。日本からは、日本人アーティストとして初めて水曜日のカンパネラのコムアイがモデルとして参加した。ランウェイに溢れる、性別・国籍・年代を越えた様々な人々。モデル、女優、ファッションアイコンなど様々なシーンで活躍するミレニアルズ(1980~1990年生まれで2000年以降に成人をむかえた世代)は、親子、恋人同士、兄弟など様々な人間関係を示しながらランウェイを闊歩する。共通しているのは、ファッションを楽しんでいることとポジティブなマインドであること。ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナが唱え続けている、家族、愛といったキーワードが表現されている。シーズンピースは、若い世代をしっかりと捉えたもので、オーバーサイズのデニムジャケットやダウンコート、フラットサンダルなどストリートテイストを含んでいる。中には、ティーンエージャー憧れのジャスティン・ビーバープリントのTシャツも。メンズコレクション同様に、ぬいぐるみのようなシロクマが付いたスタジャンや、ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナにとって家族であるペットたちをモチーフにしたであろうアニマルウェアなど、アイキャッチなアイテムが揃っている。今シーズンの洋服で綴る物語は、宇宙への旅。デザイナーたちが宇宙飛行士になった姿や惑星、星などがスパンコール刺繍やプリントで描かれ、服地の上でストーリーを奏でている。ブランドのアイコンである、プリンセスルックや花柄ドレスなどは、フェミニンでドラマティックに。タキシードなどクラシックウェアも豊富に揃え、洋服そのものの多様性を楽しんでいる。
2017年03月02日MSGM(エムエスジーエム)の2017-18年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッションウィーク5日目の2017年2月26日(日)に発表された。マッシュアップのスタンスがより強く、自信に満ちたアプローチで行われたように感じる。ブランドの根底にある、異なる要素の組み合わせてつくる真新しいもの。今季は、スタイルのミックスマッチだけでなく、色柄を巧みに組み合わせて‟新感覚”を構築している。2部屋に分かれていたショー会場は、赤の間・青の間に区切られていて、会場全体がそれぞれの色で包みこまれていた。コレクションピースも連動するように、赤と青、そしてイエローを含めた3色が効果的に用いられていた。森や花々といったボタニカルモチーフは本来の優しさを消し去るように、ビビッドカラーで描かれ、今季最も重量級のファーコートもこれら3色に染められていた。洋服や小物に配された、ジグザグ模様はラインごとに色を変え、チェッカーフラッグはプリーツの上に乗り、それぞれの個性を強烈に発揮する。また、鷲のような大きな鳥もアイコンとなり、ビーズ刺繍でレザージャケットや花模様のワンピースの上に鎮座している。定番のブランドロゴは、ニットスカートのサイドにテープのようにあしらわれたり、ストレートパンツの裾に隠れたり、デザイン違いで揃えて覆うようにスウェットトップスに配されたり……。スタイルはスポーツミックスが引き続き、チュールのフレアワンピースにはビッグサイズのスタジャンを、ピンストライプのロングコートには大きな「M」ロゴのキャップを。フリルたっぷりのフェミニンワンピースにも、袖口にストライプ模様を添えてアクティブさを与えている。
2017年03月02日トラサルディ(TRUSSARDI)の2017-18年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッションウィーク5日目の2017年2月26日(日)に発表された。メンズモデル、そしてブランドのロゴにもなっているシグネチャーのグレイハウンド犬もランウェイに登場した、今シーズンのトラサルディ。レザーをベースマテリアルとし、ベルベットやシフォンを取り込んで表現の幅を広げ、モダンに進化させたセットアップの提案をしている。パンツスーツは、ボトムスをクロップド丈にして軽さを出し、ソックスやタイツとのコンビネーションを披露。ラペルを剥いだダブルのスーツや、胸下でカットオフしたショートジャケットスーツなど、フレッシュなデザインアイデアを投じたものもある。スカートモデルからは、フレアスカートにレザーパッチを加えて、同じレザー地のジャケットと組み合わせたセットアップが仲間入りしている。レザー、ベルベット、ニットなど厚手のテキスタイルが多いため、小花柄のロングワンピースやドット柄のブラウスとなったシフォンが、軽快な風を吹かせる。また、金刺繍のエンブレムも象徴的なポイントとなって、ブランドロゴの「T」を象ったモチーフがコートのバッグスタイルやトップスの胸元から顔をのぞかせていた。メンズは、伝統的なジャケットスタイルに、セーターを合わせた温かみのある装い。ウィメンズと金刺繍のエンブレムを共通させて、統一感のあるコーディネートを展開している。
2017年03月01日ジル・サンダー(JIL SANDER)の2017-18年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッションウィーク4日目の2017年2月25日(土)に発表された。昨シーズンに引き続き、ジル・サンダーのアイコンとなっているのはビッグショルダーの存在である。しかし、以前とは代わりラインはなだらかに、川のようにボリュームを流し肩の位置を大きく落としたドロップスタイルへと進化。この特徴的なディテールは、マスキュリニティを代表するテーラードジャケットとコートの上から顔を出している。胸上は男性的な印象が強いが、ウエストラインなどはきゅっと絞られ、ダーツ・タックなどの手法を取り入れ、胸下はフェミニンさも宿している。そんなデザインとシンクロするかのように、静かなブラックが、レモンイエロー、ライトブルー、パウダーピンクなどの淡い色彩と出会い溶け合っている。素材は、ダブルフェイスのカシミヤやウールフェルトなど、温かみのあるものを基軸に、ツヤ・光沢感、キルティングによる凹凸感などで遊びを加えた。ドレスラインは、ウエスト下に配した帯のようなリボンや、膝上まで入ったスリットなど、重心を下げた位置にデザイン性を持たせたものが多く揃っている。シューズは頑丈なラバーをつま先に添えて。ブーティとパンプスの狭間のような、愛らしいシルエットで登場だ。シルクスカーフをストラップに見立てたかのようなショルダーバッグも効果的にコーディネートされている。
2017年03月01日ヴェルサーチ(VERSACE)の2017-18年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッションウィーク3日目の2017年2月24日(金)に発表された。数シーズン続いたスポーツテイストの流れは姿を消し、今季のヴェルサーチはテーラードとドレスのコンビネーションで成り立っている。会場には、平等を意味する「Equality」のボイスがこだま。相反するものを対峙をさせたシーズンピースをより印象的にみせている。テーラードジャケットやロングコートは、ショルダー部分は張ったようにがっちり。反してウエストへかけては、砂時計のシルエットのようにシェイプされていて、1枚の洋服の上で、シルエットの強弱がドラマティックに描かれている。そういったマスキュリンな要素の強いウェアに、花柄・チュール・フリルといったフェミニニティを直球勝負でぶつけるのがユニークである。また、ファーコートやシアリングジャケットなどのボリュームアウターには、Iラインのシースルードレス。ブラック&ホワイトのシックな色彩には、パンチの効いたイエローやレッド。そういった具合に、素材、フォルム、色彩などあらゆる面から両極のものをランウェイの上で出会わせ、ナチュラルに溶け合わせている。エッセンスとしては、ストリートの影響が見受けられる。ドナテラからのポジティブなメッセージ、勇気を意味する「COURAGE」や絆・忠誠心を意味する「LOYALTY」、平等を意味する「EQUALITY」のロゴを配したニット帽を筆頭に、フーディートップス、デニムジャケット、ダウンコートなど。また、スプラッシュペイント調のビーズ刺繍や、スパンコールで描いた格子柄、ロープを張り巡らせたような幾何学模様など、手の込んだ装飾・パターンが揃っているのも特徴である。
2017年02月28日ディーゼル ブラック ゴールド(DIESEL BLACK GOLD)の2017-18年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッションウィーク3日目の2017年2月24日(金)に発表された。今季のディーゼル ブラック ゴールドの演出は、迫力があった。コンクリートむき出しの広大なスペースに鳴り響く重低音。サイドからは真っ赤なライトが照らされている。モデルたちは空間を存分に楽しむように、右から左へ大きく移りダイナミックな動きをみせる。新コレクションも同様に、昨シーズンの甘さは取っ払いハードでクールな印象だ。90年代のエッセンスとノスタルジーな思想で幅を広げた新作は、ロング&リーンなシルエットがポイントである。揃うのは、ロングレングスのコートやカーディガン、ドレスなど、Iラインを強調するアイテム。この延長線で、垂れ下がったマフラーや肘の辺りまで覆うニットグローブといった小物が提案されている。アイコンであるデニムやレザージャケットは、ロングシルエットのドレスルックへと進化し、ベアタイプやサロペットタイプなど、様々なフォルムのワンピースが揃っている。カラーは控えてシックに。ブラックやブラウンなどのダークトーンがメインとなり、同系色でまとめられている。同じトーンの色味の中では、パッチワークをしたり、ジップやドローコードを配したりと、いくつかのアレンジが存在し、それぞれの個性を構築している。アクセントとして採り入れられたニットのホワイトや幾何学模様は、どこか禁欲的なムードのある世界に、安心感と優しさをもたらしている。
2017年02月27日ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)の2017-18年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッションウィーク最終日である2017年2月27日(月)に発表された。美しい色彩が感じられるシーズンである。ルビーレッド、アメジストパープル、エメラルドグリーン、宝石のように希少性を持ったジュエルカラーがランウェイに舞い降りている。キルトサテンやベルベットの上に乗れば輝きは増し、柔らかなモヘアの上に乗ればよりラグジュアリーに変化を遂げる。ドレスラインへ移り変わる頃、これらの色彩は装飾になり、ビジューやスパンコールとなって服地を彩る。繊細なピースから生まれる抽象的なモチーフは、詩的で絵画のような魅力を持つ。鮮やかな色彩とエレガントなテキスタイルにこだわりを持った今季は、模様は控えめだ。代わりに、生地そのものの立体感や光沢感は際立ち、間に差し込まれたジャカードが一層プレシャスな存在へと昇華する。反してシルエット遊びは、自由にのびのびと。四方八方にスリットを配したスカートは流動的に動きながらも丸みを帯びた佇まい。パンツは、タイパンツのように一枚布をかませたものや、前から見るとプリーツスカートのように生地をあてがったモデル、ロングスカートほど量感のあるフレアタイプなど、様々なフォルムが揃っている。合わせたジャケットは、ショート丈でコンパクト。前下がりのシュッとしたカッティングが洗練さへ繋げていて、袖口にプリーツ地を立体的にあしらった装飾性を持ったものも存在する。
2017年02月27日アンテプリマ(ANTEPRIMA)の2017-18年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッションウィーク2日目の2017年2月23日(木)に発表された。「スタンダードからは遠いスタンダード」一つの矛盾の中に存在する、新しい定番を追い求める旅が、今季の起点である。シーズンピースはカシミヤを筆頭とした上質な素材で仕立てられていて、ブラック・ホワイト・キャメル・ブラウンといった落ち着いた色味を基調としている。そのためか、群を抜いた奇抜さはない。しかし、前から見て後ろから見て横から見て……角度を変えて観察するととてもユニークな仕掛け満ち満ちている。まずはシルエットの遊びだ。キーワードの一つはボリュームと不均衡さ。筒のようなビックアームのジャケット、四方に広がった襟のダウンジャケットなど、一部分をデフォルメしたアウターしかり、前後または左右で長さを変えたアシンメトリーコートももちろんその仲間である。シンプルなイエローワンピースなどは、アーム部分を長方形型に整え、アンチスタンダードに。背中からまるで羽根のようにひらひらと布地を貼り付けたドレスなども存在する。また、エイティーズを彷彿とするグラフィックも一役担う。モノトーンで描かれたストライプ、横縞に並べたトライバルパターン。ボリュームシルエットの中で色柄がうごめけば、それだけでシーズンピースはエクスクルーシブな印象へと変わる。アンテプリマのアイコンともいえる、ワイヤーバッグは今季控えめで、代わって登場したのはレザーバッグである。ジャバラ柄のラウンドシルエット、素材違いのポケットを付けたショルダーストラップバッグ。また、ビッグサイズのトートバッグは、光沢素材が用いられていて、一際存在感を放っている。
2017年02月27日フェンディ(FENDI)の2017-18年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッションウィーク2日目の2017年2月23日(木)に発表された。今シーズン、フェンディのミューズとなったのは夜明けの街に佇む女性である。シーズンを彩るのは、数々のジオメトリックパターン。オーストラリア・ウィーンのレンガ作りに着想を得たものから、18世紀のイタリアで生まれたペーパーデザイン、さらにはダフルFを筆頭としたフェンディを象徴する伝統的なグラフィックまでがデザインとして用いられている。ニットにはカットアウトとしてくり抜くにようにそれらを描き、ファーコートにはパッチワークの技法でエレガントに模様を添える。シーズン全体は落ち着きがあり、かっちりとした印象。プリンス オブ ウェールズやヘリンボーンのウールで仕立てたスクエアショルダーのジャケットやコートが多く登場していて、すっきりとしたシルエットのパテントレザーのコートやファーコートと交わっている。アウターと合わせたトップスやスカートなどは、シースルー素材やフレアなラインが取り入れられ柔らかいタッチ。サイドに切り込みを入れたシフォンブラウスは、前身頃のみをタックインしてバックスタイルをふんわりと。ノースリーブドレスも脇下をカットして、綺麗なAラインを作り出している。花刺繍を添えたオーガンザドレスやチュールのドレスは、布地が風にたなびき、より透明感が増しているようだ。ほんのりと夜の香りを残すのは、パテントレザーのレッドブーツ。ほぼ全てのルックに起用されていてシーズンを象徴する存在となっている。ニューバッグは、ダブルハンドルのボックス型バッグ。フェンディアイコンの「キャナイ」「ピーカブー」なども新デザインと素材で展開されている。
2017年02月27日エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)の2017-18年秋冬コレクションが、ミラノ・ファッションウィーク3日目の2107年2月24日(金)に発表された。今シーズンの起点となったのは、多様性。都市に住む女性たちの様々な思考やテイストを考慮しクリエーションに励む。シーズンウェアはバリエーション豊かで、クラシックとモダンがコントラストを描くように融合。そこに、スポーツテイストやヤングジェネレーションを捉えるアイキャッチな要素を取り入れている。しかしながら、ベースとなるのはアルマーニの定番であるジャケットスタイルである。男性的でありフェミ二二ティも備えたパンツスーツ。ジャケットには、大きなボタンやリボンのアップリケを飾り、レッドやフューシャピンクなどのビビットカラーを取り入れて、デザインの幅を広げる。定番アイテムから新たな可能性を抽出するのは、質感での遊びである。ベルベットやパテントといった光沢素材、シースルーのPVC、様々な毛足の長さのファー。そして、それらを素材のキャラクターに関係なく、一着の中で、また時にコーディネートの中でミックスさせる。ファーのホワイトコートにはシースルーパンツを、シンプルなウールコートにビッグファーの帽子を。そこに加えたフレッシュさが、ロゴ・キャラクターウェアである。ブランドの頭文字EAをアーティーに描いたトップス、くまモチーフのジャケット、7のロゴ入りニット。また男女ペアルックで登場した、ポンチョ型ダウンも新鮮な印象だ。フィナーレへ向けてはドレスの提案を。シーズンムードを反映した、ポップなカラーリングで種類豊富なウェアを揃えた。シャンデリアのように輝くスパンコールの装飾がポイントになっていて、エレガントなドレスの中で流れるように配され、流星のような輝きを放っている。また当ショーには日本からのセレブリティとして佐々木希が来場した。エンポリオ・アルマーニ2017年春夏コレクションの軽やかな赤いシフォンドレスと同じく今期のアイテムであるスタッズのついたハードなレザージャケットを合わせた姿でショーに華を添えた。
2017年02月26日