オムロンは9月16日、産業用ロボットメーカーの米アデプト テクノロジー(アデプト)を約2億100万ドルで買収すると発表した。公開買付けは9月23日(米国時間)に開始し、10月22日(米国時間)に終了する予定。アデプトはロボット制御する技術やビジョンセンサー技術に強みを持つ。特に、ロボット制御技術では、高速性となめらかな軌跡制御を両立させる技術を保有しており、繰り返し精度において業界最速クラスの性能を実現している。オムロンは自社の制御機器とオートメーション技術にアデプトのロボット技術を取り込むことで、自動車、デジタルデバイス、食品飲料などの産業に向けた「新しいオートメーションの創造」を推進し、産業の抱える課題に応えるためのソリューションを、メンテナンスやサポートと共に提供するとしている。
2015年09月16日三井住友海上火災保険(以下、三井住友海上)は8日、英国の損害保険会社Amlin(アムリン)社を完全子会社化する手続きを開始することで合意したと発表した。買収総額は約6,240億円(普通株式約6,350億円、アドバイザリー費用等約70億円)。○事業基盤の強化、海外事業の規模・収益拡大を図るAmlin社は、英国ロイズ保険市場で第2位の大手シンジケートを保有し、スイス・バミューダを拠点とする再保険会社およびベネルクス地域を本拠地とする保険会社を傘下に持つ保険グループ。三井住友海上および同社の親会社であるMS&ADホールディングスは、今回、Amlin社をMS&ADグループに迎えることで、保険・金融グループとしての地位を磐石なものとし、海外事業の規模・収益の拡大を図るという。買収により、地理的ポートフォリオとリスクの分散、元受・受再の種目間バランスの向上を実現し、事業基盤の強化を目指す。また、両社の持つネットワークや知見を融合させることで、新たな事業や施策を進めていくとしている。2014年度のMS&ADグループとAmlin社の単純合算値に基づく正味収入保険料は約3兆3,578億円、純利益は約1,795億円。買収完了時期は2016年1~3月を予定している。
2015年09月09日キーサイト・テクノロジー(キーサイト)は8月17日、無線通信の研究開発向けソフトウェアの大手サプライヤーであるAniteを約6億ドルで買収したと発表した。同買収は、無線通信ビジネスの成長とソフトウェア製品の拡大という同社の戦略を推進するものとなる。キーサイトは「Aniteの買収は、キーサイトの無線通信のポートフォリオを強化し、当社がソフトウェアを中心とするソリューション企業へ移行するために、ソフトウェア製品の拡充を促進するものです。この統合により、お互いの強みを補完しあい、お客様に優れた価値とさらなる可能性を提供していきます。私たちは、Aniteがキーサイトに加わることを大変喜ばしく思っています。」とコメントしている。
2015年08月17日オムロンは7月30日、米モーション制御機器メーカー・デルタ タウ データ システムズ(DT)を買収すると発表した。なお、株式の取得は9月初旬に完了する見込み。DTは、モーション制御に特化したコントローラーの専業メーカー。高水準のモーション制御を可能とするコントローラー「PMAC」を開発、製造・販売しており、米韓を中心とする半導体・液晶ディスプレイ製造装置や、工作機、包装機メーカーに提供している。オムロンは「製造装置を駆動させるモーション制御分野における技術開発力とエンジニアリング力の強化を図るとともに、両社の製品・技術を組み合わせた最適なモーション制御ソリューションを、両社の販売網を通じてグローバルに提供していきます。」とコメントしている。
2015年07月31日明治安田生命保険はこのたび、米国の上場生命保険グループである「StanCorpFinancialGroup,Inc」(以下スタンコープ社)を買収する手続きを開始することについて、24日(米国時間7月23日)、スタンコープ社と合意したと発表した。今後、スタンコープ社株主総会での承認や日米関係当局による認可などを条件に、スタンコープ社は明治安田生命保険の完全子会社となる予定だという。このたびの買収は、友好的なものであり、スタンコープ社の取締役会は全会一致で賛同しているという。○海外保険事業の規模・収益の飛躍的拡大を図る明治安田生命保険は、2014年3月に公表した「明治安田NEXTチャレンジプログラム(2014~2016年度中期経営計画)」において、将来にわたり顧客に確かな安心と豊かさを届けるため、国内生命保険事業における商品・サービスの拡充を図るとともに、海外保険事業の積極展開を通じてグループ全体での成長軌道の確保をめざしているという。そのため、明治安田生命保険の海外保険事業においては、既存投資先5ヵ国6社の収益拡大に向け、商品・販売チャネル、IT・事務サービス、リスク管理等を中心に、同社知見の活用を通じた投資先の企業価値向上に資する取組みを推進している。また、さらなるグローバルな成長機会の追求に向け、各国の生命保険市場の発展段階や地域分散等もふまえ、新興国・先進国双方における新規投資先の開拓を推進してきたとしている。米国生命保険市場に関しては、明治安田生命保険は1976年に日本の生命保険会社として初めて進出して以来、40年近い経験を有しているという。同市場は収入保険料ベースで約66兆円の規模を擁する世界最大の市場だが、同社としては、人口増加と堅調な経済成長を背景に中長期にわたり安定成長が期待できると考えているとしている。なかでも中間所得層市場は保障ギャップ(保障ニーズと加入実態の乖離)が大きく、高い潜在成長が見込まれており、この層への保障提供手段としては、団体生命保険が個人生命保険を上回る世帯加入率を有し中核的地位にあることから、同社はこの分野にも着目してきたとしている。スタンコープ社は、創業100年以上の歴史を持ち、団体保険分野で全米トップクラスの生命保険会社だという。米国全土で事業展開しており、団体保険分野での強固な事業基盤を背景として安定的な成長性・収益性と高い健全性を有しているとしている。また、明治安田生命保険と同様に顧客志向を経営理念として掲げるなど、生命保険事業経営について明治安田生命保険と共通の考え方をもつ会社だとしている。明治安田生命保険は、このたびの買収により、海外保険事業の規模・収益の飛躍的拡大を図り、グループ全体での収益拡大と事業ポートフォリオの多様化(事業リスクの分散)を通じて、契約者利益のさらなる向上をめざしていくとしている。
2015年07月27日ロームは7月23日、アイルランドに本社を置くPowervationの買収を7月22日付で完了したと発表した。買収額は約7000万ドル(約86億円)。Powervationはデジタル電源制御LSIの開発と販売を行うファブレス半導体会社で、高精度のリアルタイム自動補正機能を持つシステム電源に関する独自技術を保有している。ロームは、同買収によって今後の需要拡大が見込まれる電源LSIのラインアップの拡大を図るとともに、自動車をはじめとする幅広い市場でのニーズの高まりが予想される高精度のデジタル電源の基本技術を獲得し、電源LSIに関連する総合的なソリューションを強化し、競争力の向上を図るとしている。今後、Powervationはロームの完全子会社となり、ロームは電源LSIエンジニアを派遣してデジタル電源LSI開発を加速させる。なお、ロームは同買収が当面の連結業績に与える影響は軽微なものであるとしている。
2015年07月24日米ルグラン ノースアメリカは6月16日(現地時間)、 データセンターインフラソリューションの専業メーカーの米ラリタンを買収する最終契約を締結したと発表した。買収の範囲はラリタン社のインテリジェント電源管理とKVMビジネスで、データセンターインフラ管理(DCIM)ソフトウェアビジネスはラリタンの戦略パートナーとして設立される新会社サンバードソフトウェア(Sunbird Software)にスピンオフされる。なお、ラリタンの創業者でCEOのチンイ・シュウ氏は新会社の会長に就任する。ラリタンは電源管理とKVMハードウェア事業に引き続き集中し、サンバードソフトウェア社は新会社としてDCIM市場に集中し、ソフトウェア販売の成長を推進しつつ、ラリタンとのビジネス上の強い関係を維持していくという。今回の買収で、ルグランは消費電力を監視・管理するためのソリューションを新たに加えることにより、サステナビリティーへの取組みを強化する。チンイ・シュウ氏は「ルグランはラリタンの現在の従業員や技術力、ブランドの価値を最大限に発揮し、インテリジェント電源管理ビジネスにとっての活躍の場を与えてくれるでしょう。なぜならラリタンの製品は現在のルグランの製品ポートフォリオを補完し、強化するからです。加えて、ラリタンの企業文化はルグランの企業文化に良く調和します。それは顧客中心であること、極めて誠実であること、イノベーションをベースにしたビジネスへのアプローチ です。成功を収めているDCIMビジネスをラリタンから独立させることで、新会社サンバードソフトウェアはDCIM市場でのリーダーとしてのポジションをさらに強化し、ソフトウェア開発、販売、サービスの促進に集中できます」と語っている。
2015年06月17日米Microsoftは2日、To-Doリストアプリ「Wunderlist」を開発する独6Wunderkinderを買収したと発表した。買収金額など詳細は非公開。Wunderlistは仕事、家事、ショッピングなどさまざまなタスク向けのTo-Doリストアプリ。期限の設定、リマインド、リストのグループ化、割り当て、メンバーとの共有、To-Doリストの印刷、ハッシュタグなどの機能を備える。iOS、Android、Kindle Fire、Mac OS、Windowsなどに対応、モバイル端末やデスクトップから自分のTo-Doリストにアクセスできる。基本的機能を備える無料版のほか、利用できるファイル形式やサイズが強化されている有料版「Pro」、ビジネス向けの有料版「Wondrlist for Business」もあり、Google、IBMなどが利用している。6Wunderkinderによると、同アプリは2010年に公開以来1,300万人以上のユーザーが利用しており、これまでに10億件以上のTo-Doが作成されたという。MicrosoftはWunderlistの買収について、「モバイルファースト、クラウドファースト向けに生産性製品を再構築する戦略に合うものだ」と狙いを説明している。ここでは「Office」「OneNote」「Skype for Business」などの既存製品に加えて、2月に買収したカレンダーアプリの「Sunrise」、2014年末に買収したメールアプリの「Accompli」などを揃える。今後Wonderlistの技術をMicrosoftのアプリとサービスに組み込むとしているが、それ以上の詳細な予定については明かしていない。6Wunderkinderは、買収後も創業者兼CEOのChristian Reber氏が引き続きチームと製品戦略を統括し、Microsoftの一部となることで新しい新機能を迅速に開発できるとしている。またパートナーとのエコシステムも継続して拡大していくという。なお、買収後も当面は無料版、有料版の変更はなく、これまで通りの価格で利用できるという。(記事提供: AndroWire編集部)
2015年06月03日米インテルは6月1日、米アルテラを167億ドル(約2兆円)で買収すると発表した。FPGA(field-programmable gate array)に強みを持つアルテラを傘下に収めることで、データセンターやIoT事業を強化する。具体的には、インテルのXeonプロセッサとアルテラのFPGAを組み合わせた製品を提供する予定だという。インテルは今回の買収について「ネットワーク、大規模データセンター、IoT分野の顧客に向け、より低コストで高パフォーマンスの製品を提供できるようになる。これは『ムーアの法則』で約束されていることであり、インテルとアルテラが手を結ぶことによって実現する。」とコメントしている。
2015年06月02日米IntelがFPGA(Field Programmable Gate Array)大手の米Alteraを買収する。6月1日(現地時間)にIntelとAlteraが買収合意を発表した。1株あたり54ドルの現金による取引で、買収総額は167億ドルになる。Alteraが手掛けるFPGAチップは大規模データセンターに導入される事例が増加しており、今後の爆発的な成長が予想されるInternet of Things (IoT)市場向けにも有効な技術になると期待されている。成長戦略の一環としてAlteraを買収するIntelは、Xeonプロセッサと組み合わせて、高度なカスタマイズに対応する統合製品を提供する計画を明らかにしている。CPUとFPGAのコパッケージまたは統合によって、データセンターのTCO(総保有コスト)を抑えながら、カスタマーIPやアルゴリズムの実装に素早く対応できるようになり、画像認識、セキュリティ、ビッグデータといった分野で飛躍的なパフォーマンスの向上が期待できる。Intelの予想では、2020年までにクラウドサービスプロバイダのサーバノードの最大1/3でFPGAが活用される。
2015年06月02日富士フイルムは5月13日、米医療ITシステムメーカーTeraMedicaを買収したと発表した。2001年に設立されたTeraMedicaは異なるメーカーの医用画像情報システムや各臨床部門システムに管理されている診断画像や各種動画などの診療情報を効率的に管理・保管する「Vendor Neutral Archive(VNA)」を提供している。米国の大手病院と協力して開発したというTeraMedicaのVNAは、そのシステム設計と拡張性を高く評価されており、全世界で合計300以上の病院へ導入された実績をもつ。富士フイルムは2013年から米国においてTeraMedicaと販売提携を行っており、今回の買収によってVNAの導入を加速させるとともに、富士フイルムの情報システムと組み合わせることで、今まで以上に効率的なソリューションを提案し、積極的にグローバル展開を推進していくとしている。
2015年05月13日米通信大手のVerizon Communicationsが米インターネットサービス大手AOLを1株50ドル、総額約44億ドルで買収する。5月12日(現地時間)にVerizonが買収合意契約の締結を発表した。規制当局からの承認を必要とする買収だが、今夏中に全ての手続きが完了する見通しだという。AOLはVerizonの完全子会社になり、AOLの会長兼CEOであるTim Armstrong氏が引き続きAOL事業を率いる。AOLはパソコン通信サービスでスタートし、世界最大のインターネット接続サービスに成長。ITバブルの崩壊で業績を悪化させ、またオープンなWebへの対応も遅れて低迷したが、2009年にGoogleで米州事業を率いていたTim Armstrong氏が会長兼CEOに就任し、ブランド力に富むデジタルメディア企業として再成長し始めた。Huffington Post、TechCrunch、Engadget、MAKERS、AOL.comといったコンテンツブランドを保有しており、現在こうしたPC時代から続くデジタルコンテンツ事業と広告事業のモバイルへの移行を推進している。一方、米最大規模の携帯キャリアであるVerizon Wirelessを持つVerizonはLTEネットワークを中心に、多様なデバイスにビデオやデジタルコンテンツを提供する戦略を進めており、デジタルメディアのマルチスクリーンへの展開がVerizonとAOLを結びつけた。
2015年05月13日米Lenovoは30日(現地時間)、同社が米IBMのPC事業を買収してから10周年を迎えたことを発表した。2005年5月1日に中国の聯想集団(Lenovo Group)が、IBM PC事業買収の手続き完了を発表。2006年にLenovoブランドのPCを全世界で発売した。2011年1月にはNECと合弁会社「Lenovo NEC Holdings B.V.」を設立し、「NEC レノボ・ジャパン」グループが発足した。その後も2014年にはIBMのx86サーバ事業やMotorola Mobilityを買収している。LenovoによるとIBMのPC事業を買収する前、同社の市場シェアは2.3%で世界9位、売り上げは30億ドルだったが、2015年現在の市場シェアは20%、売り上げは10年間で約13倍の390億ドルに達したという。また、スマートフォンでは世界3位、x86サーバでも世界3位の市場シェアを持つまでに成長したとしている。Lenovoでは、10周年のマイルストーンを迎え、2015年5月28日にテクノロジーカンファレンス「Lenovo Tech World」を開催する。スマートフォンやウェアラブルデバイス、スマートコネクッテドデバイスといった将来を見据えた製品のビジョンを示すとともに、研究・開発を進めているコンセプトモデルの披露を予定するという。○レノボ・ジャパン設立10周年の記念キャンペーンまた、Lenovoの日本法人である「レノボ・ジャパン」も設立10周年を迎え、これを記念したキャンペーンを行う。特設サイトで出題されたクイズに答えて、「レノボ・ショッピングEメール・ニュース」に登録すると、Windows 8.1を搭載したThinkPadやThinkCentreのカスタマイズモデルが最大60,000円オフとなる「10周年記念特別キーポン」がプレゼントされる。キャンペーン期間は2015年5月21日まで。
2015年05月01日●iPhoneのカメラが大きく進化?米AppleがイスラエルのLinX Computational Imagingを買収したと米Wall Street Journalが4月14日(米国時間)に報じた。同紙が関係者の話として伝えるところによれば、買収金額は2,000万ドル程度が提案されていたようだ。現在LinXのWebサイトは半分壊れた状態で詳しい情報はほとんど残っていないが、WSJによれば、同社はスマートフォンやタブレット向けに複数の小型カメラセンサーを用いて3D映像の取得が可能な仕組みを開発しているという。これが具体的にどのような技術で、買収後のAppleからどのような製品が出てくる可能性があるのかを考えてみる。○LinXのカメラ技術でどういったことが可能になる?現在LinXのサイトそのものには記載されていないようだが、BusinessWireには同社が昨年2014年6月に配信したプレスリリースが残っており、これで製品や技術の概要を知ることができる。リリースにも記載されているが、昨今のスマートフォンやタブレット向けカメラはイメージセンサーの高解像度化や高級化路線が一段落し、新たな差別化ポイントを模索する段階に入りつつある。画質もさることながら、既存のイメージセンサーと有り余るプロセッサパワーを使って、いかに画像にさまざまな後処理を施すかという部分に力が注がれている。そこで登場したのがLinXの「アレイ(Array)カメラ」であり、1つではなく複数のイメージセンサーを組み合わせて一度に複数の画像情報を取得することで、従来のカメラにはないさまざまな仕掛けを可能にする。具体的には、複数のイメージセンサーを用いることにより撮影対象のかなり正確な"深度"情報の取得が可能になり、映像のピクセル間に存在する距離を認識して空間マッピングが可能になる。この情報を利用すれば、例えば撮影画像のオブジェクト間の距離やサイズが正確にわかるようになるほか、手前のオブジェクト(人物など)のみを抽出して別の背景と合成したり、あるいはフォーカスをかける対象を撮影後に変更したりと、従来のカメラ撮影では難しかった加工が容易になる。またイメージセンサーの数が増えることで、暗所撮影などで問題になるノイズ除去の精度が上がったり、スマートフォンに搭載される小型のカメラモジュールでデジタル一眼レフに近い画質の再現が可能であったりと、カメラそのものの性能が向上するというメリットがある。イメージセンサーから得られる情報が増えることで、おそらくは従来のHDRで不自然だった合成処理も、より自然なものに仕上がるという効果も期待できるだろう。●iPhoneに3Dカメラが搭載!?○搭載の進む3Dカメラ技術、以前に買収したPrimeSenseとの違い深度情報を得て空間把握が可能な「3Dカメラ」がコンシューマの世界に入ってきたのは比較的最近のことだ。最もメジャーなものは「3Dモーションセンサー」として人体の動きでゲーム機へのUI入力が可能な「Kinect for Xbox 360」で、Microsoftから2010年に発売された。Kinect for Xbox 360では現在Apple傘下にあるイスラエルのPrimeSenseが開発した技術が用いられている。現在のMicrosoft Kinectでは別の技術が用いられているが、PrimeSenseの技術では赤外線(InfraRed)照射装置とそれを受光する"深度センサー"、そして通常の周辺画像を取得するイメージセンサーとマイクを組み合わせることで、音声コマンドと人体モーションによるゲーム機の操作を可能としていた。3Dカメラの実現方式はさまざまなメーカーや研究所によって開発され数多存在するが、そのうちの多くはPrimeSenseが用いている「赤外線(IR)」+「深度センサー」の組み合わせというケースが多い。昨年末に対応製品(Dell Venue 8 7000 Series)が登場して話題になったIntelの「RealSense」もまた、このIR+深度センサーを用いた方式で、先ほど紹介したLinXが実現できる距離計測や後加工といった仕組みを実装している。Intelは2015 International CESにおいて、このRealSenseカメラを用いて3Dオブジェクトを"スキャン"し、3Dプリンタでこのスキャンしたオブジェクトを出力するデモを行っている。RealSense技術を採用したスマートフォンやタブレットを手に、3D印刷したいオブジェクトの周囲をまわることでその形状や表面の色(質感)データの取得が可能になるが、これは加速度センサーなどを組み合わせることで撮影画像をリアルタイムで合成し、ソフトウェアでモデリングデータを自動生成することで実現している。そしてIRを用いない方式の3Dカメラとしては、今回のLinXやPelican Imagingの技術が挙げられる。IR方式の3Dカメラにはいくつか弱点があり、まず屋外のような光の強い場所では測定誤差が大きいこと、そして赤外線照射距離の問題で数メートル~数十メートル程度の距離のオブジェクトの深度しか測れない。照射距離や時間を増やせば対応可能だが、モバイル端末ではバッテリ消費やモジュールサイズの問題もあり難しい。一方でLinXやPelicanが採用する方式は「複数の格子(Array)状のイメージセンサーを組み合わせて画像を同時撮影」する手法で3Dカメラの「深度情報取得」を実現しており、IRにまつわる問題を解決できるほか、屋内外のどちらでも比較的高品質な画像を取得可能になっている。●3DカメラはいつiPhoneに搭載されるかアレイカメラ方式の弱点としては、カメラモジュールのコストが高くなることが1点挙げられる。現在スマートフォンやタブレットに搭載されているイメージセンサーはハイエンドのものでも単価は10ドル未満であり、これとレンズやLEDフラッシュと組み合わせて搭載したとしても、製品全体のBOM (Bill Of Material)に占める割合はそれほど大きくない。現在タブレットへの採用が少しずつ進みつつあるRealSenseでも若干割高ではあるものの、それほどコストに大きなインパクトを与えるものではないと考えられる。ただし筆者が聞くところ、Pelicanのような専用カメラモジュールの場合はこれらに比べ2~3倍程度のコストを要するとのことで、これほどではないとしても、LinXの技術の採用はコスト上昇要因の1つとなるかもしれない。アレイカメラ方式のもう1つの問題として、処理加工のためにプロセッサパワーを非常に多く消費するという特徴が挙げられる。写真1枚撮影するだけで大量のデータが取得され、これを一度に処理しないといけないため、特にGPUに大きな負荷をかける。前出Pelicanのケースでは、デモ機に用いていたSnapdragon 805ではすでに重い状態で、商用化にはこれより1~2世代後のプロセッサが必要だと感じたレベルだった。おそらく現行で市場に存在するハイエンドのスマートフォンでも重い処理で、LinXにおいても同種の制限が存在するとすれば、実際にApple製品に搭載されるのは早くて2016年か2017年以降となると予想する。○AppleはLinXの技術をどのように製品に組み込むか現時点で買収済みのPrimeSenseの技術を採用した製品が市場投入されていない状態だが、Appleは近い将来にLinXの技術を採用した製品を市場投入してくることだろう。PrimeSenseはモバイル端末というよりもむしろ、デスクトップ環境やリビングルームでの「3Dモーションセンシング」に活用してくると考えられ、例えば今年後半にもAppleによる製品投入が噂されている「新型Apple TV」のUIに採用される可能性もゼロではない。前出のように、パフォーマンス的理由やBOMに与えるコストインパクトから、LinXの技術をiPhoneやiPadといったiOSデバイスに搭載してくるのは早くて来年2016年以降とみられる。AppleがLinXをiOSデバイスに採用する大きなメリットの1つが「カメラモジュールの薄型化」にある。LinXによれば、画質を上げるためにイメージセンサーのサイズを大きくするとレンズの厚みが増える問題が出てくる。ところが、同社の技術のように大型イメージセンサーを複数の小型のイメージセンサーの組み合わせで置き換えることで、このレンズ部分の薄型化が可能になり、カメラモジュール全体の薄型化を実現できるという。iPhone 6をよく利用するユーザーならご存じだと思うが、同製品は本体薄型化の弊害として「レンズ部分が飛び出ている」という、非常にデザインとしては"いただけない"ものになっている。英ロンドンでハイエンドスマートフォンの新製品「P8」を発表した中国のHuaweiは、「iPhone 6のようにレンズが飛び出していない」という点をセールスポイントに製品をアピールしていたりと、すでに多くがネタに使うようなデザイン上のウィークポイントだ。ゆえにLinXの採用はiPhoneのさらなる薄型化を実現する可能性も秘めており、さらに「カメラの新しい使い方の提案」も可能にするなど、大きな差別化ポイントとして機能するとみられる。いずれにせよ、非常に楽しみな動きだ。
2015年04月17日ミクシィは19日、チケットフリマサービスを運営するフンザの全株式を取得すると発表した。買収額は115億円。将来的にmixiと連携し、ユーザーのライブエンタテインメント体験の向上、主催者公式のチケットマーケットプレイスの実現を目指す。フンザが運営する「チケットキャンプ」は、コンサートや演劇、スポーツなどの公演チケットをユーザー同士で取引するサービス。チケット購入者が行けなくなってしまったチケットをファンに譲るという、ファン同士のチケット流通が行われている。同サービスは2013年の開始以降、利用者数は伸びており、また、国内のライブ・エンタテインメント市場も拡大を続けている。買収の目的についてミクシィは、チケットを気軽に取引できる文化を創っていくことで、イベント自体の活性化およびライブ・エンタテインメント市場拡大への貢献できると判断したという。また、SNS「mixi」で培い、「モンスターストライク」を飛躍させたマーケティング・アプリ開発・カスタマーサポート等のノウハウを提供し、フンザのサービス開発力・チケットフリマサービス運営ノウハウとの融合により、事業の拡大を目指す。
2015年03月19日日本IBMは3月16日、米IBMがコロラド州デンバーに拠点を置くAlchemyAPIを買収したと発表した。買収条件は明らかにされていない。AlchemyAPIはディープ・ラーニングによるリアルタイム・テキスト分析やコンピューター・ビジョンを提供する企業。今回の買収により、AlchemyAPIを利用していた4万人の開発者がIBM Watsonの開発者コミュニティーに加わることとなる。また、AlchemyAPIのディープ・ラーニング技術をWatsonに統合することで、Watsonの能力強化を図るほか、新たな種類のテキストおよび画像認識を処理する言語分析APIや、画像データから重要な詳細情報の検出、ラベル付け、抽出を自動的に行う能力など、顧客や開発者、パートナーなどに提供されるコグニティブ・コンピューティングAPIの数と種類が大幅に拡充されるという。IBMは「引き続きWatsonのコア・テクノロジーとクラウド開発プラットフォームへの投資を行い、Watsonエコシステムのさらなる強化を図ることで、サード・パーティー組織がWatsonを利用して新たなビジネスやソリューションを創出できるようにします」とコメントしている。
2015年03月16日英ARM社は2月17日、IoT向けセキュリティソフトウェア企業の蘭Offsparkを買収すると発表した。Offsparkは、IoT向けの組み込み型トランスポートレイヤセキュリティ(TLS)ソリューション「PolarSSL」を開発する。PolarSSLは、センサーモジュール、通信モジュール、スマートフォンなどのデバイスに採用されている。ARMは、ARM mbedプラットフォームにおいて、PolarSSLを通信セキュリティ/ソフトウェア暗号化戦略の中心として統合。PolarSSLのブランド名を「ARM mbed TLS」と改名する。技術はオープンソースで提供し、開発者が商業目的で利用できる。ARM mbed TLSは、スタンドアロンまたはmbed OSの一部として、組み込みデバイスに最適化した最新のTLS/DTLSサポートを提供するほか、mbed OSのCryptoboxと併用したよりセキュアな環境を提供する。また、組み込みデバイスだけにターゲットを絞らず、非組み込みデバイスに対応する機能も拡張していく方針だ。ARMは、Apache 2.0ライセンス下でmbed TLS、Threadなどの主要技術を含むmbed OSを2015年後半にリリースする。mbed TLS 1.3.10は、すでにGPL下で既存のPolarSSLユーザにpolarssl.orgを通じて公開されている。
2015年02月18日日立製作所の米国子会社であるHitachi Data Systemsは2月10日(現地時間)、ビッグデータの分析ソフトウェアを開発・提供するPentahoを買収することで合意したと発表した。両社は今後、2015年6月末までの買収完了に向けた手続きを進める。日立は今回の買収により、ペンタホのビッグデータ分析ソフトウェアと技術・ノウハウを獲得し、日立のITプラットフォームやデータ管理技術などと連携させることで、新たなビッグデータ利活用基盤を構築する。この基盤を活用し、日立グループが展開するエネルギーや交通、ヘルスケアなどのインフラシステムと組み合わせた新たなサービスを開発するとともに、グローバルなコンサルティングネットワークなども活用し、社会イノベーション事業のグローバル展開を加速していくという。
2015年02月12日LINEは10日、子会社のLINE Payを通じて、開発者向けクレジットカード決済サービスを提供するウェブペイ・ホールディングスを買収することに合意した発表した。同社の買収により、LINEプラットフォームの中核的な位置づけの送金・決済サービス「LINE Pay」の強化を図る。ウェブペイ・ホールディングスは、EC サイトやウェブサービス、モバイルアプリを対象とした開発者向けクレジットカード決済サービス「WebPay」を提供する企業。資本金は10万円。2013年10月の設立と日は浅いが、数時間で組み込める簡単なAPI、最短3営業日の審査期間、カード情報を加盟店側で処理・伝送・保存しない安全な決済システムを特長としたサービスを提供し、内外で高く評価されているという。LINEは事業戦略上、「LIFE」をテーマに生活に密着したプラットフォームの構築を目指しており、なかでも決済・送金サービスの「LINE Pay」はLINEプラットフォーム内外の様々なコンテンツ・サービスをつなぐ中核的な存在として位置づけている。同社では、このLINEプラットフォームの拡大にあたり、「LINE Pay」の事業化を加速させるために、今回の買収にいたったと説明している。(記事提供: AndroWire編集部)
2015年02月10日Googleがスマートフォン向け写真・動画管理アプリ「Odysee」提供するOdysee社を買収したことが明らかになった。Odyseeがウェブサイト上で明らかにした。Odyseeのウェブサイトでは次のようなメッセージが掲載されている。「OdyseeのチームはGoogle+のチームに加わることにうれしく思っている。Odyseeのビジョンは誰もが制限なく思い出を保存し、どこからでもそこにアクセスするためのもっとも簡単な手段になることでした。私たちは人々に愛される製品づくりにGoogleで引き続き携われることをうれしく思っています」。なお、Odyseeのサービスの今後についても言及しており、2月23日まではサービスを継続し、その後すぐつにすべての写真、ビデオをダウンロード可能なアーカイブとして利用できるようになるという。(記事提供: AndroWire編集部)
2015年02月10日住友化学は2月3日、日立金属の化合物半導体材料事業を買収すると発表した。買収時期は4月1日を予定している。今回の買収により住友化学は日立金属の窒化ガリウム基板・エピウエハ、ガリウムヒ素エピウエハなどに係る事業を取得することとなる。化合物半導体は、シリコンなどの単元素の半導体に比べて電子移動速度が速く、高速・高周波動作、受発光などの特性がある。住友化学は「情報電子化学部門の長期事業ポートフォリオで、次世代パワーデバイス向け化合物半導体材料を有望分野と位置づけており、今回の買収を通じて事業を一層強化し、同分野に置けるリーディング・カンパニーを目指してまいります」とコメントしている。
2015年02月03日アドビ システムズは、2014年12月に発表したフォトストックコンテンツ販売サイト「Fotolia(フォトリア)」の買収を完了したことを明らかにした。今後、Fotoliaは「Adobe Creative Cloud」に統合され、Creative Cloud会員は3,500万点以上の画像や映像へのアクセスおよび購入が可能となる。このたびアドビが買収を完了した「Fotolia」は、2004年に創立され、ニューヨーク、パリ、ベルリンに事業拠点を置き、23カ国(14カ国の言語)でフォトストックコンテンツ販売サイトを運営する企業。このたびの買収により、Fotoliaは「Adobe Creative Cloud」に統合され、現会員を含めてCreative Cloudのメンバーシップ加入者は、Fotoliaが扱う3,500万点以上のロイヤリティフリー素材(写真、イラスト、ベクター、動画)へのアクセスおよび購入が可能となり、デザイン作業を大幅に簡素化して工程を短縮できるとしている。また、同社はFotoliaを誰でも利用できる「独立したストックサービス」としても継続的に提供していくということだ。なお、アドビのデジタルメディア事業部門担当シニアバイスプレジデントであるデイビッド ワドワーニ氏は、今回の買収について「アドビは現在、ストックコンテンツ売買の大幅な簡素化に取り組んでいます。Fotoliaは、Creative Cloudがクリエイターにとって、グローバルコミュティ向けのアセット売買、才能発掘、作品宣伝のためのマーケットプレイスとなることを支援します。」とコメントしている。
2015年01月30日米Appleが英国の音楽利用動向解析サービス企業を買収したと話題になっている。これはオンラインでの音楽販売状況やSNSでの話題度、海賊版ダウンロードの利用動向などを提供する「Musicmetric」サービスを提供する英Semetricで、複数の報道によれば買収金額は5000万米ドル程度だという。同社は音楽ストリーミングを提供するSpotifyなどとも提携しており、AppleがBeats買収後に同分野でのプレゼンス拡大のために活用するとみられている。同件はMusicallyやWall Street Journalが報じている。それによれば、Semetricは1月12日(英国時間)に登記上の住所を英ロンドンにあるApple Europeのオフィスへと移しており、さらに新しいディレクターに米Appleで海外担当ディレクターのGene Daniel Levoff氏が就任しているという。少なくともLevoff氏は昨年2014年10月にSemetricのボードメンバーに名を連ねており、この時点で買収は進んでおり、1月の動きはその総括にあたるものと考えられる。Semetricは2008年にMusicmetricのサービスを開始し、Spotifyなどオンラインでの音楽配信サービスの市場が拡大するのに合わせ、その業容を拡大させてきた。直近では2013年1月に480万ドル規模の資金調達に成功しているほか、そのサービス内容も音楽だけでなく、TVや映画、ゲーム、書籍など、オンラインで流通し得るコンテンツを広くカバーしている。だがコア事業は依然として音楽分野であり、特に配信事業者や業界関係者らが利用する専用ツール「Musicmetric Pro」へのアクセス権販売が主な収益源となる。当然ながら、Appleの狙いはSemetricのMusicmetric技術を取り込んだ自身の音楽配信事業の強化だ。Appleは従来のiTunesによるダウンロード販売だけでなく、昨年2014年5月に約30億ドルでの正式買収を発表したBeats Electronicsの音楽配信事業「Beats Music」のテコ入れだ。Appleにとっては音楽ストリーミング参入は業界でも最後発となり、すでにSpotify、Pandora、Rdioなど業界ライバルが存在する世界においてAppleブランド以外の差別化要因が必要となる。これにMusicmetricを組み合わせることで、より精度の高いお勧め機能やソーシャル連動機能、さらには音楽権利者へのフィードバックや広告販売ツールへの活用など、プラットフォーム化を行っていくとみられる。買収のタイミングから判断して、この成果は早ければ今夏か次のiOSバージョンが発表されるくらいには何らかの形で発表されることになるかもしれない。直近の影響としては、SemetricのMusicmetricサービスは間もなく終了し、完全にAppleの一部として存在することが予想される。例えばAppleが2013年に買収したTwitterトレンド解析ツールを提供するTopsyは、Apple買収後すぐに有料のProアカウント新規販売を終了し、サービスをフェードアウトしている。Musicmetricも同様になるとみられ、おそらくは同種のサービスを提供する事業者にとっては顧客拡大のチャンスとなるだろう。先ほどのMusicallyの報道によれば、Spotifyが昨年The Echo Nestという同種のサービス企業を買収した際、ライバルの音楽ストリーミング事業者がThe Echo Nestとの契約を打ち切っているという。
2015年01月26日ブラックベリーは14日、サムスン電子からの買収打診を受け、身売りに向けた協議を進めているという報道について、同社と協議した事実はないとし否定した。本件はロイター通信の報道がもとになっている。ロイター通信は14日、サムスン電子が最大で75億ドル(約8800億円)でブラックベリーに買収提案を行い、両社の幹部がすでに同件についての協議を行ったと報じていた。これに対して、ブラックベリーでは、協議を持った事実はないと否定。また、噂や憶測についてコメントはしないと方針を表明した。ブラックベリーはQWERTY配列の物理キーボードを備えたのが特徴のスマートフォンを展開。スマートフォン黎明期には市場シェアの多くを占め、存在感を発揮したが、近年はその存在感が失われている。昨年10月にはレノボからの買収提案に関する報道も行われ、身売りに関する話題が増えている。
2015年01月15日Infineon Technologiesは1月14日、International Rectifier(IR)の買収が完了したと発表した。Infineonは、必要とされる許認可と、IRの株主からの承認が得られたことにより、IRを2015年1月13日付で統合した。両社にはさまざまな補完する要素があり、今回の買収で製品ポートフォリオの充実に加え、特に米国・アジア地域の中小企業ユーザーを中心に販路拡大が実現する。また、パワーマネジメントシステムに関するノウハウも強化される他、化合物半導体であるGaNに関連した先端知識が加わることにより、パワー半導体分野のノウハウも充実する。さらに、生産分野での規模の経済効果が高まることにより、企業としての競争力が強化されるとコメントしている。
2015年01月15日LINEは12月19日、マイクロソフトからMixRadio事業を買収することについて合意したと発表した。MixRadioは、世界31カ国数百万人のリスナーを抱えるモバイルに最適化されたラジオ型音楽配信サービス。音楽ファンは自分専用のラジオチャンネルをつくり、自分好みに合わせた独自のプレイリストをストリーミングで配信できる。家庭用のオーディオや、急速に成長するウェアラブル市場といった新しいデバイスやプラットフォームにサービスを拡大しているほか、次世代のラジオ型音楽配信サービスの提供を目指して、独自のレコメンド・エンジンを先日公開した。MixRadio事業チームは、さらなる事業拡大と発展に向けて「LINEが最適なパートナーである」としており、開発チームはMixRadioの首脳陣とスタッフと共に新設会社へ参加する。本拠地は引き続き英国のブリストルとなる。今後も同社は、サードパーティーとして、引き続きマイクロソフトと提携し、スマートフォン「Lumia」でラジオ型音楽配信サービスを提供していく。
2014年12月22日LINEは18日、米Microsoftからラジオ型音楽配信サービスのMixRadio事業を買収することで合意に達したと発表した。買収額ほか買収の具体的な目的については不明。MixRadioはパーソナライズ化できるのが特徴のラジオ型音楽配信サービス。ユーザーは、自分専用のラジオチャンネルをつくり、自分の好みにあわせた独自のプレイリストをストリーミングで配信することができる。また、音楽の専門家で構成されるチームが制作した様々なジャンル、ムード、シチュエーションを網羅した数百のプレイリストを利用できる。オフラインでプレイリストを再生できるオプションも提供する。LINEは、音楽とエンタテイメントは生活に欠かせないものであるという認識のもと同事業を買収したとしているが、具体的な用途については明示していない。同社のリリース上では、Mixradioはサードパーティーとして、引き続きMicrosoftと提携し、スマートフォン「Lumia」でサービスを提供していくとしている。(記事提供: AndroWire編集部)
2014年12月19日LINEは12月18日、米Microsoftからラジオ型音楽配信サービス「MixRadio」を買収すると発表した。買収金額は明らかにされていない。MixRadioは、国内で提供予定の「LINE MUSIC」とは別のサービスとなる。MixRadioは世界31カ国で展開され、数百万人のリスナーを持つというモバイル端末向けのラジオ型音楽配信サービス。利用料は無料で、キュレーションチームが用意したプレイリストをストリーミング再生できるほか、ユーザーが自分専用のチャンネルをつくって配信を行うことも可能だ。Microsoftは2014年4月にNokiaのモバイル事業を買収した際に、MixRadioを傘下に収めていた。
2014年12月19日村田製作所の子会社Murata Electronics North Americaは12月12日(現地時間)、Peregrine Semiconductorの買収が完了したと発表した。Peregrineの独自プロセス技術である「UltraCMOS」は、高周波特性の良いRF部品を安価に提供する技術であり、同技術を採用したRFスイッチは、村田製作所のRFモジュールにもこれまで使用されている。また、Peregrineは村田製作所のRFフロントエンドモジュールにおける主要サプライヤの1社であり、これまでも協業により数多くの製品を開発してきた。今回の買収により、RF部品用の半導体プロセス開発、半導体設計、回路設計、モジュール設計まで一貫した開発体制が確立することが可能となり、今後、市場要求をより一層的確、かつ迅速に製品開発に反映させ、これまで以上に顧客ニーズに適合した最先端製品を、スピード感をもって提供していくことが可能になると同社では説明している。さらに、供給の柔軟性、供給力を確保することができ、この面においてもユーザーへ貢献していくとコメントしている。
2014年12月15日Microsoftは12月1日(現地時間)、モバイルデバイス向けのメールアプリケーションをリリースしているAcompliを買収したことを発表した。国内ではあまり聞かないソフトウェアベンダーだが、複数のメールアカウント管理やメールの振り分け、カレンダーの管理、各オンラインストレージを1つのアプリケーションで操作できるという特徴を備えている。一見すれば何ら珍しい出来事ではない。2010年代を振り返っても2011年にはSkypeを85億ドルで、2013年にはNokiaの携帯端末事業を37億9000万ユーロで買収している。さらに振り返れば、ビジネスユーザーご愛用のPowerPointですら、1987年当時のForethoughtを買収して自社製品としたものだ。このようにMicrosoftが買収した企業・事業部門は100を超える。今回のポイントは"今さら"メールクライアントを買収した点だ。しかも創業2年にも満たない企業をである。このたびMicrosoftがAcompliを買収したのは、自社アプリケーションの開発が何らかの暗礁に乗り上げていたことが理由ではないだろうか。WordやExcelといったOfficeアプリケーションはすでにiOSやAndroid向けにリリース済み(Androidはプレビュー版)。だが、Outlookに相当するアプリケーションはいまだ噂にも上らない。MicrosoftはExchange ServerやOutlook.comといったメール製品・サービスをリリースしているが、モバイルデバイスからのアクセスは他社製アプリケーションに任せてきた。だが、定番のGmailはExchange Serverのサポートを2013年1月で終了し、見直しを求められていたものの、CEOの交代など社内事情により素早い判断を下せていない。そのため、Acompliを自社アプリケーションとして迎え入れるのは自然な流れともいえる。さらに、Acompliは既存の機能を取り下げるようなことはないという。つまり、Exchange ServerやOutlook.comはもちろん、GoogleやiCloud(Apple)など他社のサービスもサポートするということだ。以前のMicrosoftでは思いも寄らないような出来事だが、同社CEOであるSatya Nadella氏の戦略と照らし合わせれば不思議ではない。もう1つ狙いはメールビジネスの拡大ではないだろうか。個人ではSNSやIMによるコミュニケーションが主流になりつつあるが、ビジネスシーンはいまだメールを使うシーンが多い。MicrosoftはAcompliをモバイルデバイス向けメインクライアントに沿えることで、彼らビジネスユーザーの取り込みとExchange Serverをさらに押し上げるため意図があるのだろう。他方でGoogleがリリースした「Inbox by Gmail」のように、メールに対するアプローチが変化しつつある流れも見逃せない。同アプリケーションは、メールをTODOやリマインダーのように操作し、操作名称もDone(完了)やSnooze(保留)といったものに置き換わっている。このような変化はInbox by Gmailに限らない。Web版Gmailのカテゴリ表示やDropboxがリリースする「Mailbox」も似た機能を備えてきたが、Inbox by Gmailはさらに先を行く概念を盛り込んだメールクライアントである。ただ、新しい概念やUIが使いやすいか否かは別問題で、筆者もiOS上で1カ月ほど使ってみたが、現時点では以前のGmailクライアントに戻してしまった。このように変わるもの・変わらざるものを求めるユーザーへの回答として、MicrosoftがAcompliをどのようなアプリケーションに進化させるのか、実に興味深い。阿久津良和(Cactus)
2014年12月08日