理化学研究所(理研)は10月30日、絶縁性の高い磁性体「磁性絶縁体」において磁壁が金属的性質を持つことを、走査型マイクロ波インピーダンス顕微鏡を用いて観測することに成功したと発表した。同成果は創発物性科学研究センター強相関界面研究グループの藤岡淳客員研究員と上田健太郎研修生、創発物性科学研究センターの十倉好紀センター長、米国スタンフォード大学のジーシュン・シェン教授らの国際共同研究グループによるもので、10月29日付の米科学誌「Science」に掲載された。今回の研究では、絶縁性を持ち磁気的界面の伝導性の比が最も高い磁性絶縁体であるパイロクロア型イリジウム酸化物「ネオジウムイリジウム酸化物(Nd2Ir2O7)」表面の伝導特性を、走査型マイクロ波インピーダンス顕微鏡を利用し評価した。磁場をかけずに温度を下げるゼロ磁場冷却を行った後、温度が上昇していく昇温過程でインピーダンスを測定すると、常に磁性をもつ金属である常磁性金属から強い反磁性をもつ絶縁体である反強磁性絶縁体への転移温度以下ではインピーダンスは急に増加し、最低温では三桁ほど大きな値を示す。このとき、絶縁性の高い固体中に、磁壁の金属的性質といえる100nm以下の幅を持つ細線状の金属状態がランダムに分布しているのが観測された。一方、9Tの磁場を加えて温度を下げる磁場冷却を行った後に磁場をゼロに戻してから、昇温過程のインピーダンスを測定すると、ゼロ磁場冷却時よりもインピーダンスの増加が大きくなり、最低温においては二桁以上大きな値を示した。このとき、顕微鏡画像では磁壁の金属的性質を示す細線が消えており、磁場によって磁区がひとつに揃えられることで磁壁が消失することが分かった。同研究グループは今後、固体中における磁性と電子状態に関する基礎的な理解を深めていくとともに、金属的磁壁を利用した新しい磁気メモリーの実現につながることが期待できるとしている。
2015年10月30日中部電力と豊電子工業は10月19日、自動車工場などの生産工程において、金属製品を短時間で均一に加熱できる「超高速昇温コンパクト炉(HDサーモジェネレーター)」を共同で開発したと発表した。これまで、金属製品を加熱する工程では、大型炉では加熱までに時間がかかるものの均一しやすい一方で、IH式の炉などでは短時間加熱ができるものの製品の表面での温度の不均一が生じるといった課題があった。今回開発された超高速昇温コンパクト炉は、200℃以上の高温の水蒸気や熱風を製品にあてると同時に電気ヒータを併用することなどで、10kg程度までの金属製品を250℃まで均一に加熱する際の時間を、従来炉の10分の1となる約3分に短縮することを可能とした(この際の温度差は15℃程度)。また、サイズも設置面積が1m×1.5mと、従来加熱装置費で約20分の1と、省スペース化を実現。製品を1個単位で加熱することも可能なため、少量多品種の加工にも対応するという。なお、同開発品は、2015年11月から価格900万円(税別・工事費別)にて豊電子工業より年間500台を目標に販売する予定だという。
2015年10月19日東京工業大学は9月4日、半金属であるビスマスを薄膜化すると、その電気的な性質を半導体に変えられることを実証したと発表した。同成果は東京工業大学大学院理工学研究科の平原徹 准教授、東京大学の長谷川修司 教授、自然科学研究機構分子科学研究所の田中清尚 准教授、木村真一准教授(現大阪大学教授)、お茶の水女子大学の小林功佳 教授らの共同研究によるもの。9月3日に米国物理学会誌「Physical Review Letters」で公開された。ビスマスはシリコンなどの半導体中の電子より高速に移動できるディラック電子を有している。1960年代にこのビスマスを薄膜にすることで半導体化できることが理論的に予想されていたが、実験ではこれまで確認されていなかった。今回、同研究グループは分子科学研究所の放射光施設UVSORで、偏光可変の低エネルギー角度分光電子分光装置を用いて、高品質のビスマス薄膜を観測。その結果、ビスマス薄膜が半導体になっていることが確認された。また、理論では予想されていなかった表面や界面の電子でが関係した新しい現象も発見したという。同研究グループは今回の成果について「今後はビスマス内部の高移動度のディラック電子を利用した高速デバイスの開発、さらにビスマスの表面や界面に存在する電子を利用した極薄ナノデバイス開発という応用研究へと進展することが期待できる。」としている。
2015年09月07日熊本大学は8月20日、東邦金属と共同で線径0.05mm(50μm)の耐熱マグネシウム合金極細ワイヤの製造技術を開発したと発表した。同マグネシウム合金は、2001年に同大で開発され、「KUMADAI耐熱マグネシウム合金」と呼ばれており、一般的な金属材料製造法でも室温で510MPaの耐力が、250℃の高温でも250MPaを超える高い耐力を得つつ、難燃化も実現している。今回の線径0.05mmは、東邦金属が難加工材であるタングステンワイヤの製造で培ってきた独自の伸線加工技術を基にして、適切な伸線条件および伸線ダイスの材質と形状の最適化により実現したもの。このワイヤの活用先としては、精密溶接や3Dプリンタ用の原料、生体吸収性ステントなどの循環器用医療機器、生体吸収性の縫合糸や血管結合具などの外科・インプラント用医療機器、燃料電池の電極材料などが期待されているという。なお、研究グル―プでは、今後、共同研究を加速させ、さらなる極細化の技術開発を進めていくとしているほか、2012年に開発された「KUMADAI不燃マグネシウム合金」など、ほかの合金への展開、生体吸収性医療機器などの応用製品の開発などを進めていく予定としている。
2015年08月21日大日本印刷(DNP)は7月31日、金属とプラスチックなどの異なる素材を接着できるフィルム2種を開発したと発表した。今回、開発したのは「DNP熱溶着フィルム」と「DNP粘接着フィルム」の2種類で、7月より量産を開始する。「DNP熱溶着フィルム」は電子機器や事務機器などに広く使用されているオレフィン系樹脂と金属の接着に適しており、DNPが製造しているリチウムイオン電池のバッテリーパウチで樹脂層と金属の接着で使用実績があるという。熱で溶着する樹脂をフィルム状にしたもので、通常温度では固形化しているため、接着剤のはみ出しによるべたつきを防ぎ、残留溶剤やガスの発生を軽減することができる。一方の「DNP粘接着フィルム」は耐熱性に優れ温度変化が激しい環境でも性能の劣化が少なく、また接着強度が高いため、自動車や飛行機などに採用されている炭素繊維強化プラスチックと金属の接着に適している。熱で接着するタイプのほか、熱に弱い素材向けに、紫外線などの光で硬化するタイプが用意されている。同社は今後、両製品を電子機器や事務機器、産業機器メーカーなどを中心に販売し、2018年に50億円の売り上げを目指すとしている。
2015年07月31日物質・材料研究機構(NIMS)と京都大学は6月26日、金属基板の上で超分子を用いた人工分子モーターを作製し、その回転方向を制御することに成功したと発表した。同成果は物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)の内橋隆 MANA研究者、ジョナサン・ヒル MANA研究者、中山知信 ユニット長、クリスチャン・ヨアヒム MANA主任研究者(フランスCEMES/CNRSグループリーダー兼任)らのグループと、京都大学化学研究所の小野輝男 教授らによるもので、米化学会発行の「Nano Letters」に掲載された。生体内のATP合成酵素などに代表される分子モーターは、回転子などの部品が分子によって構成されており、回転動作を行うことでエネルギーの生成や消費を行い、生命活動の基礎を担っている。化学合成の手法を用いることで溶液中で人工分子モーターを作製に成功した例は多く報告されており、固体基板上で作製した例もいくつか報告されている。しかし、人工分子モーターではモーターを構成する部位が共有結合という強い結合によって結び付けられていることから、モーターの回転方向を反転させることが難しく、挙動の柔軟性に問題があった。今回の研究では、超分子を分子モーターの構成部品に用いることでこの問題を解決した。超分子は複数の分子が共有結合より弱い水素結合などによって結ぶついており、分子の設計によってその結合力を調整することができる。研究では、ポルフィリンという有機分子に3本の「足」をつけ、さらに結合のための「手」を1つつけることで、2つのポルフィリン分子が結合して超分子を作り、さらに基板上で滑らかに動くように設計。この超分子に電流を注入したところ、分離することなく全体で回転運動をし、注入する電流の電圧を負の値にすると超分子内で分子同士の結合の組み替えが起こり、回転方向を反転させることができたという。同研究グループは「今後は、さらに複数の超分子を組み合わせてより複雑で高機能なナノスケールの機械的システムの構築を目指す」とコメント。また、今回開発した人工分子モーターが、自己組織化や自己修復の性質を持つため、周りの刺激に応じて自らの機能を変化させていく、生物のような柔軟なシステムの構築に開発につながる可能性があるとしている。
2015年06月29日分子科学研究所(IMS)は4月14日、β-カロテンが優れた金属捕捉機能をもつことを発見し、2個のβ-カロテン分子が最大で10個の金属原子を挟み込み、サヤエンドウのような形状をもつ分子を形成することを実証したと発表した。同成果は、IMSの村橋哲郎 教授(現 東京工業大学大学院理工学研究科 教授)およびIMSの柳井毅 准教授らの研究グループによるもの。詳細は「Nature Communications」に掲載された。天然に広く分布している有機色素の一種であるカロテン類は、特異なπ-共役構造を持っており、その構造に基づいてさまざまな機能を発現することが知られているが、金属捕捉機能については、よくわかっていないというのが現状である。今回、研究グループはカロテン分子が連続した炭素-炭素二重結合を用いて多数の金属原子を捕捉する可能性に着眼し、実験と理論の両面での実証を行ったという。その結果、2つのβ-カロテン分子が、10個の金属原子を連結させながら挟み込み、安定なサヤエンドウ状の化合物を形成することが可能であることを発見したという。また、この反応は可視光の照射下で促進されることも確認したという。さらに、この化合物は複数の金属原子を出し入れする性質を持つことも発見。実際にパラジウム原子と白金原子がβ-カロテンに挟み込まれた化合物も合成できることを確認したほか、β-カロテン分子の間に挟まれた金属原子の数が変わると色が大きく変化する性質を持つことも確認し、理論的な計算からこの要因を解明したとする。なお研究グループでは、今回の成果について、カロテン類の機能性金属クラスター触媒や材料の開発などといった新たな化学利用につながる可能性が示されたとコメントしている。
2015年04月16日オリックス・レンテックは4月14日、NTTデータエンジニアリングシステムズと連携して日本で5台目となるEOS製の金属3Dプリンタ「M290」を導入し、2015年5月より造形受託サービスを開始すると発表した。同サービス「M290」を活用し、試作品などを造形する。鋳造などの工法よりも工程が少なく短時間で造形できるため、同サービスを利用することで製品開発の効率化につなげることができる。また、オリックス・レンテックは東京都町田市に「Tokyo 3D Lab.」を開設し、「M290」の見学スペースや打ち合わせコーナーを設置する。「M290」の造形サイズは250×250×325mmで、同サービスではマルエージング鋼、ステンレス合金、ニッケル基超合金(インコネル)の計3種類の材料を扱う予定。
2015年04月14日TANAKAホールディングは4月6日、田中貴金属グループの製造事業を展開する田中貴金属工業が、2015年4月から、イットリウム系超電導線材用の銅配向金属基板の専用生産ラインを構築し、量産体制を確立したことを発表した。今回の取り組みは、同社が中部電力、鹿児島大学との共同開発により2008年よりサンプル出荷を行ってきた超電導線材の「銅配向金属基板」の、製造設備条件の最適化を図ることで長尺基板製造が可能になったことを受け、国内外の需要に迅速に対応することを目的に実施されたもの。これにより、長距離大容量送電系統の安定化が求められる送電ケーブルや、高磁場を必要とする磁気共鳴画像装置(MRI)、核磁気共鳴分析機器(NMR)、大型船舶のモーターなどの分野での活用が見込めるようになるという。なお田中貴金属工業では、2020年までに年間12億円の売り上げを目指すとしている。
2015年04月07日東北大学と大阪大学の研究グループは、従来の物質とは全く異なる新しい状態をもつトポロジカル絶縁体と普通の金属を接合させることによって、普通の金属にトポロジカルな性質を付与する「トポロジカル近接効果」という新しい現象を発見し、質量のない高速のディラック電子をトポロジカル絶縁体の外に取り出すことに成功したと発表した。同研究グループは、東北大学大学院理学研究科の佐藤宇史准教授、同原子分子材料科学高等研究機構の高橋隆教授、大阪大学産業科学研究所の小口多美夫教授、および同研究所の安藤陽一教授らが参加。同成果は、次世代省エネルギー電子機器を支えるスピントロ二クス材料技術とその産業化に大きく貢献することが期待される。今回の開発で、東北大学と大阪大学の共同研究グループは、2010年に同グループが発見したTlBiSe2(Tl:タリウム、Bi:ビスマス、Se:セレン)というトポロジカル絶縁体の上に、2原子層のBi超薄膜を接合し、スピン分解光電子分光という手法を用いて、ディラック錐とBi超薄膜のエネルギー状態を高精度で調べた。その結果、Bi超薄膜によってディラック錐のエネルギー状態が劇的な影響を受け、もともとトポロジカル絶縁体の表面に局在していたディラック電子がBi側に移動する「トポロジカル近接効果」が起こっていることを初めて突き止めました。今回の発見は、「トポロジカル絶縁体のディラック電子は表面に束縛されて結晶外に取り出せない」というこれまでの常識を覆すとともに、「トポロジカル表面状態を実空間で操作する」という、全く新しい概念を提案するもの。今後、トポロジカル近接効果を積極的に活用する事で、例えば、ありふれた金属にトポロジカルな性質を意図的に付加して、スピントロニクス素子の性能を格段に向上するといった応用が期待される。また、今回の成果を基にさまざまなトポロジカル物質の開発が進めば、トポロジカル絶縁体を利用した次世代省エネデバイスの実現に向けての研究が大きく進展すると期待される。なお、同成果は、英国科学雑誌「Nature Communications(ネイチャーコミュニケーションズ)」オンライン版で公開されている。
2015年03月16日GEオイル&ガスは2月26日、新潟県刈羽事業所に金属3Dプリンタを導入し、エネルギー産業用プラントにおいて用いられる特殊仕様のコントロールバルブ部品の製造を開始したと発表した。今回導入された3Dプリンタは松浦機械製作所の「LUMIX Avance-25」。同機はファイバーレーザーによる積層造形とマシニングセンターによる金属切削加工という工程を1台で行う事ができる。金属3Dプリンタを導入したことによって、従来法では製造が困難であった中空構造、曲面形状やメッシュなど、複雑な造形が可能となることから、バルブ部品設計の自由度が大幅に向上した。また、一体成型が可能となったことで複数の加工プロセスが不要となり、従来の製造法では約3カ月必要とされていた形状の部品の製造が約2週間でできるなど、製造日数の短縮化や低コスト化が実現した。GEはこれまでにも米国本社で航空機エンジン部品の製造などに金属加工用の3Dプリンタを用いてきた。国内ではGEヘルスケアの日野工場で樹脂加工用の3Dプリンタを導入しているが、日本において金属3Dプリンタを導入するのは今回が初めてとなった。
2015年02月26日早稲田大学(早大)は、金属ナノ粒子の電界トラップを用いることで、配線上に一度クラック(亀裂)が生じた場合でも、自己修復する金属配線を実現したと発表した。同成果は、同大 理工学術院 基幹理工学部機械科学・航空学科の岩瀬英治准教授、同大大学院 基幹理工学研究科修士1年の古志知也氏らによるもの。詳細は、1月18日~22日にポルトガルのエストリルで開催された国際学会「MEMS2015(The 28th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems)」にて発表された。今回、研究グループでは、金属配線に自己修復機能を付与することによって、高い導電率と高い伸縮耐性を兼ね備えた配線を実現しようと試みた。これは、伸縮配線を実現するために、従来の研究では"材料"や"形状"に着目したアプローチが試みられてきたのに対し、"機能"に着目した新たなアプローチであるという。まず、厚さ100nmの金配線、および金属ナノ粒子を分散した液体として半径20nmの金ナノ粒子分散水溶液を用いて、自己修復機能を確認するために、ガラス基板上に幅が一定のクラック(亀裂)をもつ金配線を作製した。金属配線は、金属ナノ粒子を含む液体で覆われている。そして、そのクラック部のある金属配線に電圧を印加した。すると、クラック部にのみ電界が生じ、金属ナノ粒子⼦がクラック部に引き寄せられる力(誘電泳動力)が働いた。通常の状態で、金属ナノ粒子はファンデルワールス力や静電反発力を受け液中に分散しているが、電圧の印加により誘電泳動力が大きくなると、クラック部に集められる電界トラップ現象が生じる。そのため、クラック部のみに金属ナノ粒子が集まり、集まった金属ナノ粒子によりクラック部が架橋され、金属配線が修復されるという。一度クラックが修復してしまうと、金属配線がつながり電界が生じなくなるため、それ以上過度な修復は行われない。また、金属ナノ粒子はファンデルワールス力や静電反発力を受け液中に分散しているため、クラック部以外の金属配線部に金属ナノ粒子が吸着することもないとしている。研究グループでは、さらに大きなクラック幅の修復の実現や、さらに高い自己修復機能を目指して改良を行っている。また、現状の構成では液体の封止が必要となるが、液体の封止が構造上、製造上問題になることも考えられるため、金属ナノ粒子をゲル中に分散させた構成での自己修復機能の研究を試みている。
2015年02月19日住友化学は2月3日、日立金属の化合物半導体材料事業を買収すると発表した。買収時期は4月1日を予定している。今回の買収により住友化学は日立金属の窒化ガリウム基板・エピウエハ、ガリウムヒ素エピウエハなどに係る事業を取得することとなる。化合物半導体は、シリコンなどの単元素の半導体に比べて電子移動速度が速く、高速・高周波動作、受発光などの特性がある。住友化学は「情報電子化学部門の長期事業ポートフォリオで、次世代パワーデバイス向け化合物半導体材料を有望分野と位置づけており、今回の買収を通じて事業を一層強化し、同分野に置けるリーディング・カンパニーを目指してまいります」とコメントしている。
2015年02月03日東北大学は1月29日、ビスマス(Bi)金属薄膜の端(エッジ)で、電子の運動方向と連動してスピンの向きが揃うラシュバ効果が起きていることを突き止めたと発表した。同成果は、同大 原子分子材料科学高等研究機構の高山あかり研究員(現 東京大学大学院 理学系研究科 助教)、高橋隆教授、同大大学院 理学研究科の佐藤宇史准教授、大阪大学 産業科学研究所の小口多美夫教授らによるもの。詳細は、米国物理学誌「Physical Review Letters」のオンライン版に掲載された。ラシュバ効果は、磁石の性質を持っていない物質でも、電子のスピンの向きを揃えることができるため、次世代スピントロニクスデバイスの動作メカニズムとして注目されている。これまで、さまざまな物質で薄膜表面のラシュバ効果は観測されており、それを利用した素子の作成も研究されているが、ラシュバ効果が表面や界面などの2次元面で発生する現象であることから、小型化には限界があると考えられていた。研究グループは、スピン分解光電子分光法という手法を用いて、Bi金属薄膜の電子スピン状態の観測を試みた。重い金属であるBiは、その表面において強いラシュバ効果を示すことが知られていたが、今回、Bi原子層薄膜の最表面のエッジ構造に着目して測定を行った。エッジ構造は、試料全体から見るとほんの少ししか存在しないため、これまで観測することが非常に難しいとされていたが、高感度のスピン分解光電子分光装置を用い、試料作成方法を工夫することで、エッジ構造の電子スピン状態の観測に成功した。その結果、エッジに存在する電子がラシュバ効果を示し、さらにその大きさがこれまで観測されていた表面でのラシュバ効果よりも大きいことを発見した。今回の研究で観測されたエッジでのラシュバ効果は、表面でのラシュバ効果よりも少ない電力で特定方向にスピンを揃えることができ、1次元のエッジでスピンの方向が制御できるため素子の小型化が期待できるなど、小型で省エネルギーなスピントロニクス素子の開発に道を拓くものであるとコメントしている。
2015年02月02日ユニットコムは28日、ハンディタイプの金属探知機「G016 GC-101H(NT)」をパソコン工房の通販サイト内雑貨専門店「Nantena」にて発売した。価格は税別1,680円。片手で操作できるハンディタイプの金属探知機。検出できる金属との距離は、クギでは1~3cm、直径2cmの鉄球では6cm程度で反応するという。手元のスイッチにより。金属に反応するとアラームで知らせるタイプと、バイブレーションで知らせるタイプという2種類の動作モードを切り替えられる。電源は角型6F22(9V)電池で動作する。本体サイズはW375×D33×H75mm。重量は187g。
2015年01月28日サイバネットシステムは1月13日、スイス・KEY to METALSが販売する金属・ポリマー材料データベース「Total Materia」をANSYS Workbenchに対応させた「CYBERNET Total Materia」を販売開始すると発表した。同製品は、解析エンジニア向けの材料データベースで、2012年に販売を開始した金属材料データベース「CYBERNET KEY to METALS」の後継製品にあたり、ポリマー材料データ3.9万種が新たに追加された。金属材料データも増強されており、データの種類は計22万種以上となった。さらに、各国の規格データ(59規格)の材料特性も備えている。価格は金属材料データベースのみを搭載した「CYBERNET Total Materia Design」が27万円(税抜き)、金属・ポリマー材料データベースを搭載した「CYBERNET Materia Design PREMIUM」が40万円(税抜き)となっている。
2015年01月13日富士通研究所は12月3日、IDカードやウェアラブル機器、金属部品など、電波の制限を受けていた素材に装着して利用可能な小型薄型のRFIDタグを開発したと発表した。RFIDタグは、取り付け物体の種類を選ばず、かつ、取り付け場所の対象を広げられるように小型薄型であることが求められている。しかし、金属や人体は電波を飛ばしにくくする性質があるため、RFIDタグを取り付ける対象が金属や身に着けるIDカードなどの場合、直接取り付けるとうまく電波が飛ばず通信できないという課題があった。そこで、従来は、RFIDタグと、取り付け対象との間に空間を確保するための部材(スペーサ)を入れ一定の厚さを確保して、金属や人体の影響を低減させることにより、数mといった通信距離を実現していた。例えば、スペーサの厚さを1mmとして通信距離を2m以上にするためには、電波の波長の制約からRFIDタグの長さを75mm(電波の波長である約300mmの1/4)以上にする必要があった。一方、同じ通信距離でRFIDタグの長さをその半分の33mm(波長の1/8)と小型にすることも可能だが、その場合スペーサの厚さを5mm以上にする必要があった。つまり、従来のRFIDタグはタグの長さと、スペーサの厚さとの間にトレードオフの関係があり、また、電波の波長に依存するという制約があるため、小型と薄型の両立が困難だった。今回、RFIDタグをゴムやプラスチックなどの薄い樹脂に巻き付けて、両端を重ねたループ状にする新たな構造で電波を放射する技術を開発し、波長の制約をなくすことに成功にした。開発したタグを金属に直接取り付けた場合、ループ形状に沿った形で大きな電流(ループ電流)が流れるようになり、その電流の一部が取り付けた金属側に漏れるようになる。これにより、ループ電流から発生する本来の電波と、貼り付けた金属に漏れた電流から発生する新たな電波の2つが合成され、金属の上方に放射される。また、目標とするタグの大きさに応じて、RFIDタグ両端の重なる部分の長さと厚みを適度に調整することで、漏れた電流の度合い(合成された電波のバランス)を最適化することができ、通信距離を最大化させることができる。つまり、貼り付けた金属をアンテナの一部として機能させることで、数mといった距離の通信が可能となるという。一方、金属ではないプラスチック製のIDカードや段ボールなどに取り付ける際は、ループ電流から発生する電波のみで動作し、RFIDタグの周囲には、電波の放射を妨げる金属物体がないので、電波がループ状に効率良く広がるため、金属と同様の通信が可能となる。また、人体には水分が多く含まれており、電気を帯びやすい構造なので、金属と同様に扱うことができる。タグを内蔵したIDカードを身に着けた時は、金属に貼り付け時と同じ動作をすることで、人体に貼り付けた影響を軽減することができるとしている。同技術によって、電波の制約をなくし、取り付ける素材を選ばず、どこにでも装着可能な、長さ30mm、厚さ0.5mmの世界最小の薄型RFIDタグを実現した。これにより、装着可能な対象が広がり、例えば、機械部品の管理や、身に着けたIDカードによる入退室管理など、さまざまな場面におけるRFIDの利用が可能となる。今後、さらに量産が容易となる方式の開発を進め、2015年度中の実用化を目指すとコメントしている。
2014年12月04日東北大学と中央大学、岡山理科大学、名古屋大学は11月24日、有機金属中の電子の動きをレーザ光の照射によって凍結・秩序化することに成功したと発表した。同成果は、東北大学 大学院理学研究科の岩井伸一郎教授、石原純夫教授、中央大学 理工学部の米満賢治教授、岡山理科大学 大学院理学研究科の山本薫准教授、名古屋大学 大学院工学研究科の岸田英夫教授、東北大学 金属材料研究所の佐々木孝彦教授らによるもの。詳細は、英国科学雑誌「Nature Communications」に掲載された。一般に、光の照射は固体物質を加熱する。これは、物質を構成する電子や原子が光から運動エネルギーを得て、動きやすくなるためである。一方、真空中の孤立原子では、レーザ光の照射によって原子が"止まる"という現象(レーザ冷却)が知られている。レーザ冷却は、気相の原子に特有の仕組み(ドップラー冷却)によるものである。このため、光によって固体中の電子の運動を止めるためには全く異なる原理が必要となる。この固体中の電子を"止める"方法は、30年以上前に提案されていた。金属に電場を印加すれば、電子は加速され、電場の向きを反転させれば電子もそれに追随して向きを変える。また、電子が追いつけないほど素早く電場の向きを変え続けると、電子はどちらの方向へ動いたらよいのかわからなくなって、結局止まってしまうと考えられていた。電子の動きが追随できないほど素早く電場の向きを変えるためには、1秒間に百~千兆(1014~1015)回のスイッチングが必要となるが、この周波数はちょうど光の振動数に相当する。つまり、物質に光を照射すれば、電子に高周波数の交流電場をかけることができる。しかし、理論計算によればこうした高周波の電場によって電子を止めるためには、物質の破壊限界をはるかに超える強い光が必要となる。このため、物質を壊さずに電子を止めることは現実的には不可能だった。そこで、研究グループは7フェムト秒(fs)という極めて短いパルス幅の赤外(中心波長1.7μm)レーザ光を開発した。この波長の光において、7fsという時間は電場の振動の1.5周期しか含まない。また、7fsは原子が動く時間スケールよりも短いので、物質が原子の熱振動によって温度が上がったり、原子移動によって物質が壊れる暇もない。この短パルスを用いることによって、試料を壊したり、極端な高温にすることなく10MV/cmの大きな電場を印加することが可能になった。そして、典型的な有機金属の1つであり、BEDT-TTF分子とI3分子が層状に積層した電荷移動錯体である2次元有機金属(α-(BEDT-TTF)2I3)中の電子の動きをこのフェムト秒レーザ光を照射して凍結、秩序化することに成功したという。研究グループでは、より強度が大きく、よりパルス幅の短い光の開発を行っている。この新しい光によって、将来、物質の中の多数の電子を止めるだけでなく、好きな方向に動かしたり、並び方を変えたりすることによって、物質の色、電気抵抗、磁性を瞬時に自在にデザインすることが可能になることが期待できるとコメントしている。
2014年11月26日TANAKAホールディングスは11月18日、田中貴金属グループの製造事業を展開する田中貴金属工業が、粉末焼結式積層法による3Dプリンタに対応する白金基金属ガラスの粉末を開発し、造形に成功したと発表した。また、白金およびイリジウム添加ニッケル基合金の白金族金属粉末材料も開発し、造形物の作製に成功した。田中貴金属工業は、2004年に白金基金属ガラスの組成で特許を取得しているが、今回、独自の加工設備を用いて粒径や流動性などを調整することで、既存の粉末焼結式積層法に用いられる3Dプリンタ装置で使用可能な白金基金属ガラスの粉体化に成功した。加えて、白金とイリジウム添加ニッケル基合金の2種の粉末材料も併せて開発した。また、大阪府立産業技術総合研究所と共同研究を行い、粉末の材質と、形状に適したレーザエネルギーの照射条件を解明することにより、白金、白金基金属ガラス、イリジウム添加ニッケル基合金の造形物の作製に成功した。3Dプリンタを用いた白金基金属ガラスの造形は世界初になるという。これにより、田中貴金属工業では、白金族金属粉末材料の提供に加え、ユーザーの要望に合わせた白金族金属粉末の粒径サイズ加工、白金族合金製造における組成の提案、および造形物の製造を実施するとしている。これまで、白金族金属は高融点で耐久性があるが、特に合金は切削加工や塑性加工などの加工性が低いものも多く、既存の造形法では形状に限りがあった。これらの材料を3Dプリンタでの造形を可能にすることで、複雑形状の造形や、溶融温度が異なる異種材料を複合した製品の作製が可能になる。今回の開発により、耐食性が要求される医療材料の多品種少量製造や、耐熱性が要求される自動車産業および航空宇宙産業分野における、特殊部品の工業用製品の展開が期待されるという。田中貴金属工業は、3Dプリンタ用白金族金属粉末材料の提供で、2020年度までに年間売上4億円を目指すとしている。
2014年11月18日宇部興産機械は、東洋機械金属との業務提携により、中型機「UB500iC」ダイカストマシンを共同開発したと発表した。同製品は両社が長年培った技術力・ノウハウを結集した新高剛性型締機構を新たに設計開発したモデルで、2013年10月に販売開始した小型機「UB350iC」に続くものとなる。射出システムには宇部興産機械が開発した電動サーボバルブを使ったリアルタイムフィードバックシステムを搭載するなど、高機能、高剛性、高コストパフォーマンスを実現しており、宇部興産機械の中国現地法人である宇部興産機械(上海)(USH)にて製造する。初号機の出荷は2015年6月の予定で、USHにて中国国内へ販売する他、韓国、東南アジア、インドなどにも順次販売し、2015年度の販売目標は20台となっている。なお、11月13日~15日 パシフィコ横浜にて開催される「2014 日本ダイカスト会議・展示会」で詳細を発表する予定。
2014年11月10日TANAKAホールディングスは11月4日、田中貴金属グループの製造事業を展開する田中貴金属工業が、スパークプラグの外側電極材として、白金合金とニッケルをクラッド(異種金属接合)したチップを発表した。自動車エンジンなどに用いられるスパークプラグの放電部となる電極には、長寿命化を図るために白金合金チップが使われている。従来製品はチップ全体が白金合金の無垢材だったが、同製品はクラッド技術を活用することで、放電に寄与する部分にだけ白金合金を使用し、放電に寄与しない部分を電極の台座と同じニッケルで構成することができる。これにより、従来製品と同じパフォーマンスを有しながら、材料コストを最大で5割削減することができる。開発にあたっては、2010年から大阪大学 マテリアル生産科学専攻の藤本公三教授、福本信次准教授と共同で、接合のプロセスウィンドウや、生産ラインでの接合モニタ因子などの接合条件についての研究を行い、同接合方法の実用性を確認してきたという。なお、2015年1月よりサンプル出荷を開始する。また、同製品はバリエーションとしてテープ形状でクラッド材を提供することも可能であり、顧客のプラグ設計と生産プロセスに合わせた製品形状、サイズに対応するとしている。
2014年11月05日TANAKAホールディングスは10月29日、田中貴金属グループの製造事業を展開する田中貴金属工業が、光電変換波長域を1000nm以上にまで長波長化した色素増感型太陽電池用のルテニウム錯体色素「DX」の提供を開始すると発表した。同製品は、内閣府最先端研究開発支援プログラム(FIRST)の中心研究者である東京大学 先端科学技術研究センターの瀬川浩司教授らが技術開発した色素増感型太陽電池用の増感色素で、従来から用いられているルテニウム増感色素が吸収できなかった近赤外光を効率良く吸収し、光電変換することを可能にした次世代増感色素である。具体的には、スピン反転励起の利用により、従来の増感色素に比べ発電波長域を長波長側に200nm程度拡張することに成功した。その結果、太陽電池の光電流値が25%以上向上し、「DX」シリーズを用いた高性能太陽電池では、有機系太陽電池として世界最高の30mA/cm2以上の光電流と10.0%以上の高い変換効率が得られるようになった。「DX」は、従来の増感色素に比べて可視光より長波長の近赤外線も高効率で光電変換できるため、屋外光による発電にも適している。また、CYC-B11などの可視領域に特化した色素と組み合わせることにより、さらなる高変換効率を達成できるタンデムセルが開発されているという。今後、田中貴金属工業は、東京大学からライセンスを受け、「DX」の国際特許を共同出願し、2015年1月から製造販売する。また、田中貴金属工業と東大は、「DX」のさらなる高効率化とともに高耐久化を目指して開発を進めていくとしている。
2014年10月30日日立金属は10月21日、ワコーと共同で、鉛フリー圧電薄膜を用いた3軸角速度センサを開発したと発表した。圧電薄膜は、加えられた圧力を電圧に、また加えられた電圧を圧力に変換する圧電効果を持つ圧電体を薄く形成したもので、一般的にチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のような鉛を含んだ材料が用いられており、自動車の姿勢検知やデジタルカメラの手振れ検知に利用される角速度センサ、インクジェットプリンタヘッドなど幅広い分野で用いられている。しかし、近年、環境保全の観点からさまざまな部品などで鉛フリー化が進められており、圧電薄膜にも鉛フリー化が求められていた。これまで鉛フリーの材料を用いた圧電薄膜では、充分な圧電特性を満たすことが難しい、ならびに微細加工が難しいといった課題があったが、今回、両社は鉛フリーの圧電材料として、環境親和性に優れたニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)を用いて、PZT薄膜センサと同等レベルの角速度検知特性を実現したという。今回の開発では、日立金属が圧電薄膜製膜からセンサ素子作製までの工程を担い、ワコーが素子設計およびセンサ特性評価を実施したとのこと。具体的には、日立金属が2010年(当時は日立電線)に実現した圧電特性100pm/V以上を持った鉛フリーKNN圧電薄膜技術に新たに開発した、「6インチサイズでの製膜技術」「薄膜微細加工技術」「電極形成技術」などの角速度センサ素子作製に必要となる各種要素技術を組み合わせることで、3軸角速度センサの開発を実現したという。また、既存のPZT薄膜センサでは素子作製工程で260℃以上の温度が加わると脱分極が起こり、素子特性が劣化するという問題があったが、今回の鉛フリーKNN圧電薄膜センサでは、400℃の温度を加えても特性が劣化しないことを確認しており、はんだリフロー工程においても環境親和性の高いはんだ材料を選定することが可能になるとしている。なお、日立金属では、10月28日から29日にかけて開催される国際学会「PiezoMEMS 2014 」にて、今回の成果の詳細を報告する予定だという。
2014年10月21日住友金属鉱山は10月20日、2次電池用正極材料であるニッケル酸リチウムの生産設備の増強投資を決定したと発表した。同材料はパナソニックと共同開発したもので、パナソニックの円筒型リチウムイオン2次電池として米Tesla Motorsが製造・販売するプレミアム4ドアセダン「モデルS」に採用されているという。今回の増産はそうした車載用途での今後の需要増に対応することを目的に決定したもの。同社の磯浦工場を中心に生産能力の強化が行われる予定で、投資額は約150億円、2015年12月の完成が見込まれている。この結果、同社のニッケル酸リチウムの生産能力は現在の850t/月から1850t/月に増加することとなるという。
2014年10月21日慶応義塾大学(慶応大)は10月8日、規則的に並んだシリコン原子が、中心の金属原子を丸くカゴ状に取り囲む、新たなナノ物質である金属内包シリコンナノクラスタを気相合成し、固体表面上で薄膜化する技術を開発したと発表した。同成果は、同大 理工学部の中嶋敦教授らによるもの。詳細は、英国王立化学会の学術誌「Nanoscale」に近日中に掲載される。ナノクラスタは、数個~1000個程度の原子・分子が集合した数nmほどの大きさの超微粒子である。その物理・化学的性質を原子数や組成、荷電状態によって制御できることが特徴で、触媒、電子デバイス、磁気デバイスなどへの応用が期待されている。特にエレクトロニクス分野では、シリコンなど半導体材料のナノクラスタを積み木のように組み上げて、新たな機能を持つ超微細構造を生み出す技術が注目されている。その中で、ナノクラスタを固体表面で固定し薄膜化する技術は、その基盤となる技術の1つと言える。しかし、気相合成ナノクラスタの構造や荷電状態は、固体表面上で変化しやすく、本来の構造や性質・機能を保持しつつ固体材料化することは極めて困難だった。今回、研究グループでは、16個のシリコン原子が、中心にある1個のタンタル原子を丸くカゴ状に包み込む金属内包シリコンクラスタ(Ta@Si16ナノクラスタ)を気相合成した。さらに、炭素フラーレン(C60)で表面修飾した基板上にTa@Si16ナノクラスタを蒸着し、C60とTa@Si16ナノクラスタの共有結合により複合体化することで、Ta@Si16ナノクラスタを固体表面に固定し薄膜化することに成功した。このとき、ナノクラスタの構造と荷電状態が薄膜化前と変わらずに保持されていることも、実験と理論の両面から実証したとしている。
2014年10月09日ゼブラは8月7日、油性マーカー「マッキーペイントマーカー」を全国の文具取扱店にて発売する。○色が濃い物にもはっきり書ける油性マーカー同商品は、金属やゴムなど色が濃い物にも明るくはっきり書ける油性マーカー。ユーザーの、「黒い物に書いても下地が透けずに濃くはっきりした線が書きたい」「暗いところでも目立つ線をいろいろな素材に書けるマッキーはないか」という声に応え、開発された。インクに下地を隠す成分(酸化チタン・アルミ成分)が入っており、それが書いた対象物の上に乗り、その上に色材が乗る仕組みを採用。金属製品や黒いゴム、ガラス瓶、プラスチックなどに書いても、下地に影響されずに濃くはっきりした線が書けるという。マッキーの個性である太細両方のチップを搭載し、1本でさまざまなシーンで使用可能。他社従来の同タイプのマーカーは片方のチップのみのため、業界初とのこと。匂いが少なく、人や環境に配慮した油性アルコール系インクを使用。他社従来品のインクに含まれるVOCは不使用となる。家庭での工作・プラモデル塗装・園芸や、工場・工事現場での部品・資材へのマーキングや塗装に適した仕上がりになっているとのこと。「マッキーペイントマーカー」は、太字8mm/細字2mmで、価格は302円(税込)。「マッキーペイントマーカー極細」は、細字1.2mm/極細0.7mmで、価格は248円(税込)。ともに不透明インク・耐水性で、インク色は白、銀、金、黄、ピンク。
2014年07月22日住友金属鉱山と田中貴金属工業は27日、2014年11月1日付で住友金属鉱山の純金積立事業を会社分割(吸収分割)により田中貴金属に移管することを決定したと発表した。事業移管の目的として住友金属鉱山は、事業の選択と集中を進める中、個人向け金リテール事業からの撤退を決定し、純金積立事業を田中貴金属に移管することとしたと説明。「田中貴金属は、国内における純金積立のパイオニアであり、最多の契約件数を有する貴金属業界の大手であることから、移管先として最適と判断した」としている。一方、田中貴金属では、貴金属の資産向けビジネスに注力する企業として、「今後とも金、プラチナ、銀の貴金属リテール事業の拡大・強化をめざしており、その一環として今回の事業移管に合意した」としている。事業移管日(分割効力発生日)は2014年11月1日。分割の方式は、住友金属鉱山を分割会社、田中貴金属を承継会社とする吸収分割の方式によって行う。承継会社が承継する権利義務については、住友金属鉱山が純金積立事業に関して有する資産および負債を田中貴金属が承継するとしている。
2014年01月27日田中貴金属工業、ニューロング精密工業、太陽化学工業の3社は、サブミクロンサイズの金粒子を用いた低温接合材料「AuRoFUSE(オーロフューズ)」の微細複合パターンを、高精細スクリーン印刷によって基板上に一括形成できる技術を開発、2013年12月4日より提供を開始したと発表した。AuRoFUSEは、サブミクロンサイズの粒径に制御した金粒子に、有機溶剤を混ぜたペースト状の接合材料で、一度200℃まで加熱すると溶剤が蒸発し、荷重を掛けなくても金粒子が焼結接合し、300℃の温度下においても約30MPaの接合強度を維持することが可能という特徴をもっている。一方、MEMSデバイスの製造では、デバイスの高機能化が求められるようになってきており、WLPパッケージに実装が必要となるなど、実装コストの上昇や歩留まりの向上への対応が必要となってきた。今回の開発に際し、AuRoFUSEをスクリーン印刷して形成した封止枠では、熱圧着(200℃、100MPa)で金粒子焼結体が変形した結果、緻密化し、高真空気密封止が達成されることを確認したほか、金粒子焼結体は、基板表面の凹凸を吸収できる圧縮変形能を有しているため、従来は必須であった接合前のCMPを軽減することが可能となり、製品歩留りの向上を図ることが可能であることも確認されたという。また、パッケージの小型化には、印刷幅を狭くすることで対応可能であり、将来的に同技術の汎用性は高いと考えられるという。さらに、ダイボンド材として主に用いられるスズ系および金系ハンダは、溶融温度までの耐熱性を有しているものの、さらなる高性能が期待される次世代パワーデバイスのダイボンド材としてはさまざまな課題があり、そうした課題をAuRoFUSEを用いることで解消することが可能になるとも説明している。なお田中貴金属工業では、2009年12月よりAuRoFUSEのサンプル提供を行ってきたが、同技術の提供を始めるにあたって、AuRoFUSEを年間200kg製造できる量産体制を構築したとしており、今後、材料単体で提供することや、同技術のように組み合わせ技術としてAuRoFUSEを提供することで、AuRoFUSEの売り上げを2020年までに年間20億円に引き上げることを目指すとしている。
2013年12月04日田中貴金属ジュエリーが経営するGINZA TANAKAは、ウォルト・ディズニー・ジャパン(以下、ディズニー)と商品ライセンス契約を締結し、期間限定商品「ディズニー 純金製小判 2013年度版」を14日より発売した。販売期間は2014年6月30日まで。今回発売した「ディズニー 純金製小判 2013年度版」は、ディズニーの2013年テーマ「Happiness is a state of mind.幸せは心の中にある」をモチーフとしたもの。日本の伝統である小判特有の茣蓙目(ござめ)模様を全体にあしらい、中央にはメインアートのハピネスバルーンを配した。また、通常家紋が刻印される部分には、左右にミッキーとミニー、上下に彼らの友達のドナルドとデイジーのシルエットをデザインし、ディズニーの仲間たちが、大空に浮かぶハピネスバルーンに乗って幸せを運ぶ様子を描いたという。参考価格は、5グラムが4万7,000円、10グラムが8万9,300円、30グラムが26万7,900円。さらに、同商品50枚と専用のオリジナルデザイン千両箱がセットになった「ディズニー 純金製小判 2013年度版 千両箱」を特別価格で販売する。同千両箱は、裏蓋部分に金箔の背景とディズニーの人気キャラクターたちが集合したカラーイラストを描いたほか、外側の留め具部分にミッキーのシルエットを16カ所デザインしている。参考価格は、5グラム×50枚が223万2,500円、10グラム×50枚が423万円、30グラム×50枚が1,269万円。同社は併せて、7月中旬に「ディズニー 純金製大判 2013年度版」を発売すると発表。重量は100グラムで、参考価格は89万3,000円。こちらも50枚購入するとオリジナルデザイン千両箱がセットになる。「ディズニー 純金製大判 2013年度版 千両箱」の参考価格は4,230万円。なお、小判および大判の価格は金相場により変動する。参考価格は、2013年6月の相場を参考に金税込小売価格4,700円/グラムで計算している。また、千両箱セットは受注製作のため、注文後引渡しまでに約40日かかるとしている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2013年06月14日田中貴金属工業株式会社は、殺菌や消臭などの用途で幅広く使われているオゾン水を、従来の技術より40倍高い効率で生成できる「白金系電極」の開発に成功した。家電製品や自動車、医療施設、食品から排水処理まで幅広い分野の殺菌・消臭用途に導入可能だという。今回開発した電極は、水を電気分解し、高効率でオゾンを生成できる白金系電極。今までの白金電極では、オゾン生成効率が低いという問題があったが、白金をベースとした新たな触媒層を構築したことにより、従来の40倍という高い生成効率を世界で初めて実現したという。また、現在のオゾン生成方式(電解法)を採用している殺菌水や洗浄水といった用途では、今回開発した白金系電極に代替することで消費電力を抑えられるため、ランニングコストも10分の1以下に減らすことが可能とのこと。この白金系電極で生成できるオゾン水は、殺菌や消臭、ウイルスの不活性化などが可能な、非常に酸化力の強い物質。常温で自然に酸素に分解されるため、家電製品や自動車、医療施設など身近な殺菌・消臭のほか、排水処理や半導体製造プロセスでの洗浄など幅広い用途で使われている。同社では引き続き、白金系電極の技術改良を進めながら、サンプル提供を行い、2013年中の量産化を目指す。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年04月04日