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市原悦子主演ドラマ「岸壁の母」「必ず生きて帰って」と、息子を見送る母 無事を信じて息子の新二を想う母・いせの愛…いよいよ物語は佳境に! 毎週月~金曜夕方5時 放送中!新二役・大和田獏のコメントが到着!『市原さんの優しい表情が忘れられません』©松竹BS松竹東急(BS260ch・全国無料放送)で、毎週月~金曜夕方5時に放送中の「岸壁の母」(1977年・全40話)。8月2日(金)放送の第30話から物語はいよいよ佳境を迎えます。「岸壁の母」は、実在の人物・端野いせをモデルにした作品で、戦時中に女手一つで息子を育てる母の姿が描かれます。主人公の母・端野いせ役を務めるのは、「家政婦は見た!」シリーズで25年にわたり主演を務め、映画『黒い雨』で第13回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞するなど、数多くの映画・ドラマ・舞台で功績を残した名優・市原悦子。いせは、酒乱の夫に先立たれ義母から再婚を強いられていたところ、一人息子の新二を連れて逃げるように故郷の函館を後にして上京。しかし、働こうにも職はなく、食べるにも事欠く日が続き、これ以上、息子に惨めな思いをさせるくらいなら、いっそ二人で…と、東京湾の岸壁に立つことも…。しかし、死ぬくらいならどんな苦しみにも耐えられると決心し、懸命に新二を育てていきます。また、二葉百合子が歌う主題歌「岸壁の母」は、多数の演歌歌手によってカバーされるなど、国民的な大ヒット曲として、今もなお歌い継がれる名曲です。岸壁に立ち息子の帰りを待つ母の姿が目に浮かぶ歌詞が、ドラマにいっそう味わい深さをもたらします。昭和52年(1977年)に制作された本作ですが、子どもを想う母の心、誰かを想う心は、令和の時代も変わらず人々の胸にあります。また、1日1日を生きるため懸命に前を向き、命をかけて息子を守ろうとする強い母の姿に、きっと多くの人が勇気づけられるはずです。ぜひ昭和の名作「岸壁の母」をBS松竹東急でお楽しみください。端野 新二(青年期)役・大和田獏コメント―――大和田さんが演じた新二と母役の市原悦子さんとのやりとりは本当の親子のような情が感じられます。撮影当時の市原さんとのエピソード等があればお聞かせください。市原さんは心からの演技をなさる名優で一つ一つのシーンが勉強になりました。回を重ねて行く度に本当の親子の様な情を感じていました。明るい方で歌がお好きで撮影の合間に2人で歌った事も覚えています。―――母の自分を想う気持ちは分かりつつも自ら志願兵となる新二の気持ちについて、演じられた当時と今とで感じ方は変化されましたか。当時は若い私でしたが、戦争の悲惨さ残酷さが強く響きました。その思いは今も変わりません。―――「岸壁の母」は47年前の作品のため、今では配慮により表現しがたいエピソードも多くあります。昭和と現在のドラマの違いをどう思われますか。現代はコンプライアンスが厳しく言われ、少々描き辛い事もあるかも知れないと思います。―――子を想い無事を信じて帰りを待ち続ける母の心は普遍的な愛と感じました。大和田さんが「岸壁の母」の中で特に母の愛を感じた箇所をお聞かせいただけますか。中学生の新ニが学校から帰って来て鴨居にぶら下がって母に甘えるシーンの市原さんの優しい表情が忘れられません。―――最後に「岸壁の母」をご覧のみなさまにメッセージをお願いします。現代も世界の至る所で戦争は起こっています。このドラマは時を超えて戦争の恐ろしさと親子の愛と尊さを伝えてくれると思います。どうぞハンカチを握りしめてご覧頂ければ幸いです。大和田獏BS松竹東急編成制作局・総合編成部吉備涼子コメント終戦から79年を迎える今夏に「岸壁の母」を放送しています。市原悦子さん演じるいせの母の愛は現在も変わらず見る人の心に響きます。戦時下でひたむきに一人息子の無事を祈り生きる姿や、かわいらしくも哀しみを帯びた市原さん独特の語りに引き込まれる作品です。普通に暮らせる日常の尊さ、戦争はあってはならないことだと改めて感じました。いせの息子・新二役の大和田さんが寄せてくださったコメントとあわせて「岸壁の母」の放送をぜひご覧ください。作品解説◆出演◆市原悦子、中野健、大和田獏 ほか◆今後の物語の展開◆いせは新二が招集される日が一日でも延びることを願っていた。しかし新二は友人たちが志願していく姿を目にしてにじっとしていられず、いせの知らぬ間に大学を退学し、満州の軍需工場で働く手続きをとっていた。いせは新二に生きて帰ることを固く約束させ、新二の恋人ののぶ子とともに出発を見送る。やがて昭和十九年のサイパン島陥落後は空襲がいっそう激しくなり、いせの生きがいは新二の手紙だけとなり…。©松竹番組概要【番組名】「岸壁の母」【放送日時】毎週月~金曜夕方5時~放送中【放送局】 BS松竹東急(BS260ch・全国無料放送)【局公式X】 @BS260_official 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2024年08月01日木南晴夏が主演を務める「セクシー田中さん」の8話が12月10日に放送。田中さんが一緒に出かけた笙野の母・悦子に伝えた、朱里からもらった言葉に「泣いた」「心を動かされた」などの声が上がっている。芦原妃名子の同名漫画が原作の本作は、登場人物たちの出会いがポジティブな化学反応を起こしていく物語。ベリーダンサーとして活動する主人公・田中さんを木南晴夏、田中さんの同僚で彼女のファン・倉橋朱里を生見愛瑠、女性への偏見が強かったものの田中さんとの出会いで大きく変化中の商社マン・笙野浩介を毎熊克哉、笙野の母親・悦子を市毛良枝、笙野の同僚で朱里を好きな小西を前田公輝、田中さんの憧れの人でサバランの店主・三好を安田顕、ベリーダンススクールの講師・Miki先生を高橋メアリージュンが演じている。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。田中さん(木南晴夏)に心無い言葉をかけた男たちに立ち向かった笙野(毎熊克哉)は、うっかり転んで靭帯を損傷。四十肩の時助けてもらったお礼に、今度は田中さんが笙野の家事を助けることに。するとそこに、笙野の母・悦子(市毛良枝)が突然やって来て、田中さんを家政婦と勘違いする。しかし田中さんと意気投合した悦子は、一緒に歌舞伎を見に行く約束をしてウキウキ。一方で笙野に若い女性とのお見合いを勧める。また、田中さんが慣れないメイクで笙野とのデートに挑んでしまったことを知った朱里(生見愛瑠)は、プチプラメイクで田中さんを変身させようとするが、得意のモテメイクは田中さんには合わなかった。そこでリベンジを誓った朱里は、小西(前田公輝)の協力も得て、田中さんに似合うメイクを研究することに。そして、メイクの楽しさを知った朱里に変身させてもらった田中さんは、悦子との待ち合わせ場所に向かう。そんな中、笙野は頑固な父・正晴(螢雪次朗)と悦子の間に、何かあったのではないかと心配しており――というのが8話の展開。メイクで変身した田中さんは、洋服も朱里に選んでもらい、いつもとは違う雰囲気をまとい悦子と会う。悦子も田中さんの変化に驚きを隠せない。歌舞伎が満席で見られなかったふたりは、素敵なレストランでおしゃれなスイーツを楽しむ。そこで悦子は、友人と遊びに行きたかったのに夫に反対されて行けなかった出来事や、やりたいことをやってこなかった過去について後悔の気持ちを吐露。そんな悦子にSNSでは「笙野のお母さんに共感した。入退院繰り返しながら子育てだったんでずっと自分がやりたいことは我慢して、子どもが大学入ってからは少し出かけたりできたけど数年で全て諦めたから。こういう気持ちをドラマで描いてくれたのは始めてだったから嬉しかった」や「笙野のお母さん、家の為に人生の楽しいことをどれ程諦めさせられてきたんだろう」、「笙野のお母さんの話で倍泣いた」などの声が上がっている。その後、今日のやりたいことが思いつかない悦子に、田中さんは映画を観ようと提案する。映画を色に喩えて、悦子に選んでもらう田中さん。悦子が選んだのはイランの映画だった。そして田中さんは、朱里に言われた言葉をアレンジして悦子に「今日、友達が言ってたんですけど。ずっと来たかった場所に来られた、カフェで食べたケーキが美味しかった、好きな色のスカーフを見つけた、初めての国の文化に触れた。一つひとつは些細だけど、たくさん集めれば生きる理由になるよって」と伝える。そして、その言葉を聞いた悦子は、さっきは自分には勿体無いと眺めるだけで終わっていたスカーフを思い出し「今度はスカーフ手に取ってみようかしら」と答えるのだった。そんな田中さんから悦子へと渡された朱里の言葉に「あかん「一つひとつは些細なことでも、集めれば生きる理由になる」って言葉を思い返してたらベッドの中で一人涙ちょろりしてる。現代社会で悩んでる全ての人に見てほしいドラマ」や「朱里ちゃんの一つ一つは些細な事でも集めれば生きる理由になるって言葉に凄く心を動かされたなぁ」、「「ひとつひとつは些細だけど、集めると生きる理由になる」に泣いた。毎日ドラマで泣きすぎている。けど幸せである」などの声が上がっている。【第9話あらすじ】母・悦子から勧められた女性・ふみか(朝倉あき)とお見合いすることになった笙野。ふみかの体調や母のことを思いやる姿、家庭への価値観に好感を持ち、結婚を前提に付き合うことになる。その話を小西から聞いた田中さんは、動揺を隠せない。そして、田中さんはクリスマスイベントで一緒にステージに立つ約束をしたにも関わらず顔を見せない笙野を待ちながら、ひたすら練習を続ける。そんな姿を見た三好(安田顕)は、「笙野くんの代わりに俺が出ちゃダメかな?」と田中さんを誘う。一方、朱里は老人ホームのメイクボランティアに参加し、さらにメイクの仕事にやりがいを感じていた。徐々に距離を縮めていた小西からはついに「付き合って」と告白され――。「セクシー田中さん」は毎週日曜22時30分~日テレ系にて放送中。(シネマカフェ編集部)
2023年12月11日女性アクション派俳優として知られ、2023年現在は『花創作家』として活動する、志穂美悦子さん。同年10月29日に、68歳の誕生日を迎えたことを自身のInstagramで報告しました。その際に投稿された、志穂美さんの全身写真がネットで話題になっています。志穂美悦子、68歳『筋肉バキバキ』写真に反響志穂美さんが公開したのは、トレーニング器具などが設置されている場所で撮影した1枚。マッスルポーズを取り、68歳とは思えないほどの若々しさを見せる、志穂美さんの写真がこちらです!※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 この投稿をInstagramで見る 志穂美 悦子 Official(@etsuko_shihomi)がシェアした投稿 腕や肩の筋肉が美しく浮き上がっており、見ているだけで惚れ惚れしてしまう肉体美ですね。志穂美さんは、いろいろと『やりたいこと』があるようで、身体づくりをしているのだとか。投稿文では、誕生日を迎えて「この1年はさらにアグレッシブに」と抱負をつづっていました。志穂美さんの全身写真には、驚く声が多数上がっています。・悦っちゃんかっこいい!同世代として尊敬します。・お誕生日おめでとうございます。素晴らしい肉体美!・永遠の憧れです。「すごい!」のひと言…。また、夫であるミュージシャンの長渕剛さんのファンからのコメントも。長渕さんも、SNSなどで自身の肉体美を披露していることから、「ご夫婦で素敵」「剛さんもビックリな上腕二頭筋」などの声が寄せられていました。長渕剛の現在の姿が、66歳とは思えない肉体美年齢を重ねると、体力が衰えていき、身体を鍛えることが難しくなっていくものです。そんな中『やりたいこと』のために、トレーニングに励む志穂美さんの姿は、とてもキラキラして見えますね![文・構成/grape編集部]
2023年10月30日年上の素敵なお姉様を招き、お話を伺う「乙女談義」。今回は、過去の名作シリーズをお届けします。女優の市原悦子さんと、料理家の鈴木登紀子さんです。市原悦子「『家政婦は見た!』のお話は、労働者へのエールなんですよ」作品を選ぶとき、役柄が孤独だったり、重く、暗く、不幸な題材に興味を持ちますね。『家政婦は見た!』もそうですよ。あれは働く女の原点を描いている物語。主人公の石崎秋子さんは、バーゲンを漁ってブラウスを買って、それを着て家政婦の仕事に行くわけだけど、お給料は日当だから風邪をひいたらもらえない。体を大事にして、とにかく一日一日働くんだっていう女性。彼女には、夫も子供もいない、猫しかいない。孤独なんですよ。あれは、体を使って汗をかきながら働いている、しかも定収入のない不安定な人たちへの、“元気に頑張ってね”という、エールがこもった作品。社会的に弱い立場の人たちが、エリートに対して憤る。松本清張作品の根本はそこなんです。でもそれをマジメに理屈っぽくやっても、ちょっとね。よくあの作品はユーモラスだと言われましたが、そんな狙いはなかったんですよ。でも人間って一生懸命になり、そして健気だと、おかしいものなんじゃないですか(笑)。いちはら・えつこ女優。千葉県生まれ。俳優座出身。舞台や映画、テレビ、ラジオと幅広く活躍。アニメ『まんが日本昔ばなし』での声の芝居や、ドラマシリーズ『家政婦は見た!』などで知られる。2019年1月に逝去。’15年2月に連載に登場。初出は1943号。鈴木登紀子「長い人生を豊かにするためには、“好きなこと”を見つけましょう」好きこそものの上手なれ、と言いますが、私は小さい頃から母のお手伝いをしていたことで料理を好きになり、40代でそれが仕事になりました。今でも自宅で料理教室を開き、テレビで料理を作ったり、本にまとめたり。毎日好きなことができて、本当に幸せだと思いながら過ごしています。これを読んでいる皆さんは、今はお仕事を一生懸命になさっていることでしょう。でもそれとは別に、何か好きなことを見つけるといいと思いますよ。誰でも、好きなことをしているときは、幸せでしょう?人生はとても長いもの。夢中になれるものを持っていると、年をとったときでも、豊かな時間が過ごせると思いますよ。好きなことは、いくつあってもいいです。若い頃は旅行も好きで、毎年スイスに主人と二人で出かけてました。それもとっても楽しかった。でも今思うのは、美味しい料理を食べることが一番楽しい。娘に「食べすぎちゃダメ」って言われるけど、セーブできなくて困っております。やめられないわね。すずき・ときこ料理研究家。1924年、青森県生まれ。テレビ『きょうの料理』や『あさイチ』(共にNHK総合)などで活躍。『誰も教えなくなった、料理きほんのき』(小学館)など著書多数。2020年12月に逝去。’14年2月に連載に登場。初出は1894号。※『anan』2023年7月26日号より。写真・中島慶子ヘア&メイク・山本理恵(Team/市原さん)(by anan編集部)
2023年07月22日ライオン株式会社(代表取締役社長・掬川 正純)は、青森県黒石市と国立大学法人弘前大学(以下、弘前大学)と共同で、黒石市内の全小学校を対象に、子供の歯並び(歯列)と生活習慣の関係性に関する調査研究を実施いたしました。本調査は、お口を起点とした健康増進に向けた取組みの一環として、2019年から2021年までの3年間で実施。調査結果から、「歯と顎の大きさが合わずに歯が部分的に重なる状態(叢生)と口呼吸」、「叢生と猫背」に関連性がある可能性が認められました。このような市内全小学校を対象とした経年調査は、全国としてもめずらしい試みとなります。■研究背景当社は、「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」をパーパスに掲げ、お口から健康寿命への貢献を目指した取組みを実施しています。歯並び(歯列)やかみ合わせ(咬合)が悪いと、咀嚼に影響が出るだけではなく、例えば、歯が重なった部分が清掃しにくくなり、むし歯などに罹患するリスクが高くなる可能性があります。成長過程における歯並びや咬合の悪化については、この時期の生活習慣や癖との関連が指摘されていますが、科学的エビデンスは不十分な状況です。そこで、歯並びへの影響が大きい永久歯への生え変わり時期である小児期に着目し、姿勢や生活習慣との関係性を明らかにすることを目的に、調査研究を実施することといたしました。本研究は、2015年に健康都市宣言を掲げ、学校における健康教育に積極的な取組みを実施している黒石市、健康長寿社会に対する研究に取組む弘前大学と共同で実施いたしました。■研究内容黒石市内の全小学校3年生~6年生の児童を対象に、2019年から2021年の3年間で実施いたしました(※1)。年度ごとに歯並び状態の写真を撮影し、立ち姿勢の測定データや生活習慣・癖に関するアンケート、学校歯科健診データとの関連性を分析しました。歯並びの状態については、文献情報を元に判定基準を設定し、歯列不正の状態を判定しました。姿勢については、立ち姿勢判別システムを活用し、猫背や反り腰の判別をしました。生活習慣アンケートについては、対象となる児童の保護者に、児童の口まわりの状態や習慣、食事に関する癖や習慣等を中心とした設問に回答していただきました。複数年参加された児童の保護者には、お口のケアに関する意識・行動変容についてのアンケートにも回答いただきました。(※1) 対象:保護者と本人の同意が得られた黒石市内の小学3~6年生(2019年度は小学4~6年生)■研究結果本調査は、乳歯から永久歯への生え変わりが進み、歯並びの状態が比較的安定してくる小学5、6年生を対象に解析しました。その結果、解析対象とした児童の半数以上が歯列不正を有し、その中でも、歯と顎の大きさが合わずに歯が部分的に重なる状態(叢生)の割合が最も多いことが確認されました(図1)。図1 各歯列不正者の割合(歯並び状態の写真撮影結果 n=193, 小学5、6年生を対象とし歯列矯正者は除外)さらに、立ち姿勢の測定データから、猫背と判別された児童において、叢生の割合が高い傾向が確認されました(図2)。また、生活習慣のアンケート結果から、睡眠時に「口がよく開いている」、「時々開いている」と回答した児童において、叢生の割合が有意に高い結果となりました(図3)。図2 叢生と姿勢の関連性 (立ち姿勢測定データ n=144)図3 叢生と睡眠時口呼吸の関連性 (生活習慣アンケート結果 n=179)また、生活習慣のアンケートを通じて、本取組みに参加した児童の保護者から、お口のケアに対する行動や意識の変容に繋がったという内容の回答もいただきました(図4)。図4 生活習慣アンケート 自由回答結果の一部抜粋 本調査で得られた結果は、調査に参加いただいた学校における口腔保健指導や各家庭へのフィードバック等に活用され、学童期からの健康づくりに役立てていただいております。本取組みは2年間の継続が決定しており、今回の調査で見出した歯並びと生活習慣や癖の因果関係を明らかにする予定です。当社は、オーラルヘルスケア領域の基本的考え方に基づく全ての企業活動を「LIONオーラルヘルスイニシアチブ」(※2)として順次展開しております。本取組みも、「LIONオーラルヘルスイニシアチブ」の一つとして、今後もお口を起点とした健康寿命延伸実現への貢献を目指してまいります。(※2) 当社の中長期経営戦略フレーム「Vision2030」実現に向けたオーラルヘルス領域活動の総称。概要については、2022年8月8日発表(関連情報参照)。【関連情報】・2030年に向けた「LIONオーラルヘルスイニシアチブ」設定のお知らせ: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年10月19日宝塚歌劇団月組トップスター・珠城りょうの退団公演となる『桜嵐記(おうらんき)』、『Dream Chaser』が、5月15日(土)より兵庫・宝塚大劇場にて開幕する。入団9年目でのトップ就任から4年余り。珠城のラストステージにかける思いを聞いた。宝塚歌劇月組 ロマン・トラジック『桜嵐記(おうらんき)』/スーパー・ファンタジー『Dream Chaser』ぴあ貸切公演チケット情報上田久美子が作・演出を手掛ける『桜嵐記』は、南北朝の動乱期に生きた武将・楠木正行(まさつら)の生き様を描いた物語。「オーソドックスな、古き良き宝塚の美しい和物芝居の世界観」で表現される。上田が描く正行は「幹が太く、まっすぐな木をイメージされていて、そこに温かさと包容力があるような人」と語る珠城。集大成として演じるにあたり「男役としての力量をすごく試されている役であり、作品だなと思っています。正行は、何のために自分が戦っているのかという答えを、父の教えのもとに歩んできた中で最終的に見つけ出して突き進んでいく。そこを丁寧に描かれているのでしっかり表現していきたいです」と力を込める。さらに、正行の生き様には共感できる部分も多いという。「特に身分や立場が違う人に対して平等に接する精神は素敵だなと思います。立場関係なく、人と人として接することは、私もずっと大事にしてきたこと。きっと、私の退団と重ねてご覧になる方が多いかなと思いますが、私自身はただただ、楠木正行の人生を生ききることに集中したい。たくさんの人に出会い、いろんな影響を受けて変化していくところを丁寧に演じたいなと思っています」。中村暁が手掛けるショー『Dream Chaser』は、“夢を追うひたむきな情熱”をテーマに、多彩なシーンを展開する。「中村先生には、 “未来への希望”が見えるショーにしたいという思いだけお伝えしました」とショーへの思いを語る珠城。「主題歌も、まさしく私が思い描いていたような世界観で、爽やかで明るいけど、どこか切なくて、でもすごく心に温かいものが残るような曲。全体を通しても、すごく宝塚らしいショーに仕上がると思います。お客様には“男役・珠城りょう”の姿を心に刻んでいただければうれしいです」。9年目でのトップ就任は人知れぬ苦悩もあったはず。しかし、それが珠城の原動力でもあった。「未熟なのは自分が一番よく分かっていたのですが、私がトップに立ったことで月組の質が落ちたと言われるのだけは絶対に嫌だと。今の月組を守りぬいて、素敵な組だねと言っていただけるようにしたいという気持ちでした。それに、ファンの皆様、月組生からいただく愛情に応えていきたいと常々思っていました。男役が大好きで、今までいろいろと挑戦していく中で男役を追求してきましたが、最終的に卒業するときにどんな珠城りょうになっているのか、自分でも楽しみにしています」。公演は5月15日(土)から6月21日(月)まで宝塚大劇場、7月10日(土)から8月15日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。兵庫公演のチケットは4月24日(土)一般発売。5月25日(火)15:30はぴあ貸切公演。取材・文:黒石悦子
2021年04月23日宝塚歌劇団花組の新作『アウグストゥス-尊厳ある者-』、『Cool Beast‼』が、4月2日(金)より兵庫・宝塚大劇場にて開幕する。トップスター・柚香光に話を聞いた。宝塚歌劇花組 ドラマ・ヒストリ『アウグストゥス-尊厳ある者-』/パッショネイト・ファンタジー『Cool Beast!!』ぴあ貸切公演 チケット情報本作の主人公は、ローマ史上初の皇帝となり、「尊厳者」を意味する“アウグストゥス”の称号を贈られたオクタヴィアヌス帝。若き英雄の姿を、フィクションと史実とを織り交ぜて描いた作品だ。「オクタヴィアヌスが成熟する前の未熟な部分が描かれていて、“若さゆえの青さ”がテーマになっています。賢くて聡明な、政治のお手本となるようなシステムを残された方でも、それまでには道を踏み外しそうになったり、己の感情に飲み込まれそうになったりしながら、いろんな人の教えを得て成長された。美化された英雄伝ではなく、そんな人間らしい部分に魅力を感じています」。鋭い眼差しをまっすぐに向けるポスタービジュアル。そこには“憎しみ”の感情が込められているという。「オクタヴィアヌスは、基本的には戦うよりも頭脳を使って人と分かり合うということを選びますが、その彼が、憎しみに傾いたときの瞬間を撮りました。いろんなメッセージが作品に込められている中で、“憎しみ”がひとつのキーワードになっています。希望や願い、夢が欲に変わり、それが叶わないときに憎しみが生まれる。いろんな感情の連動が演じる上で大切だと感じています」。『Cool Beast‼』は、美しく心優しい“野獣”が見た夢を、ストーリー仕立てで綴るラテンショー。「お客さまにはいろんな表情を楽しんでいただけると思います。また、久しぶりのエネルギッシュなラテンショーで、私たちも新鮮に感じています」。その中でも「長年夢見ていた裸足で踊るシーン」に注目してほしいと語る。「男役は基本的に足首まで固定されるようなシューズやブーツを履き、足首や足裏が固められた状態で舞台に立ちますが、裸足ではそれが解き放たれることになります。そうなれば身体の稼働や躍動がまったく変わってきますので、一度足が自由な状態で、いつも以上に自由に音楽を感じ、踊ってみたいなと思っていました。音楽も『水の戯れ』という美しい旋律の曲が使われています。デュエットでお見せしますので、ぜひ楽しみにしていただきたいです」。昨年、トップ就任が決まるもコロナ禍により大劇場お披露目公演が延期になるなど不測の事態が起きたが、柚香は「気付きの多い時間だった」と振り返る。「私たちがいかに恵まれた環境の中で過ごさせていただいているのか、どれだけ多くの方に大切に思っていただいているのか、心の底から実感しました。恥ずかしながら、こういう経験がなければこれほどまで思えなかったのではないかなと思いますので、今後、自分が道を歩んでいくうえで、大切な時間になったと思います」。公演は、4月2日(金)から5月10日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、5月28日(金)から7月4日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。4月15日(木)15:30ぴあ貸切公演、チケットは4月3日(土)一般発売。取材・文:黒石悦子
2021年04月02日このほど、令和2年度の大阪文化祭賞を受賞した個性派俳優・工藤俊作。彼がプロデュースするプロジェクトKUTO-10の第20回公演となる舞台『かもめごっこ』が、3月18日に大阪・ウイングフィールドにて開幕した。【動画配信】工藤俊作プロデュース プロジェクトKUTO-10第20回公演「かもめごっこ」チケット情報『かもめごっこ』は、焚火の事務所の三枝希望が脚本、劇団●太陽族の岩崎正裕が演出を手掛ける新作。創立50年を迎えたアマチュア劇団「タチバナ演劇研究所」の人間模様を描いた群像劇で、「チェーホフ作品の登場人物らしき人々で遊ぶから、『かもめごっこ』とした」と、作家の三枝はコメントしている。物語は、5年ぶりに活動を再開した「タチバナ演劇研究所」が、公民館での上演を終えたところから始まる。劇団のメンバーたちが、慰労会と称して山の中の旅館へ向かうが、到着するなり代表のタチバナから解散が伝えられる。その言葉に揺れ動く劇団員たち。彼らの心に呼応するかのように、地面が大きく揺れ始める。代表のタチバナ、その妻で主演女優のテンコ、かつてテンコと恋人関係にあった俳優のミカミ、老役者のキヨシ、家を飛び出し成り行きで音響を任されたマコト、どうしても入団試験を受けて役者になりたいマコトの姉・カズコ、声優志望でタチバナにアプローチをかける若い女ユリエ、ユリエに好意を寄せる作家志望の男ゴトウ、公演の世話係をしていた女教師とその不倫相手オザワ…。小さなコミュニティの中、それぞれに葛藤や鬱憤を抱えた人たち。地震で身動きが取れなくなり、溜まっていた思いがふつふつと湧き出てくる。現状への不満、未来への不安、過去への執着。夢を見て真面目に生きているはずなのに、空回りするばかり。うまくいかないことを他人のせいにしたり、互いに人をあざ笑ったり。他人の粗は見えるけれど、自分のことは見えていない。その姿は滑稽に見えるが、彼らの放つ言葉はどこか自分に突き付けられているようで、じわじわと痛みを感じる。チェーホフ作品を知っていれば、それらしい言葉や設定を見つける楽しさもあるが、チェーホフ作品を知らずとも存分に楽しめる。夢に見切りをつけて新たな一歩を踏み出すのか、夢を追い続けるのか。一生懸命で、滑稽で、不器用な登場人物たちがもがきながらも、それぞれの形で進んでいく姿が愛おしい。東京公演は3月25日(木)から28日(日)まで、シアター711にて上演。オンラインはPIA LIVE STREAMにて3月31日(水)までアーカイブ配信中。取材・文:黒石悦子
2021年03月25日宝塚歌劇団で再演を重ねるたびに注目を集めてきたミュージカル『ロミオとジュリエット』が、8年ぶりに星組により上演される。2013年の新人公演でロミオを演じた礼真琴が、星組トップスターとして再びロミオ役に挑む。公演に向けて稽古を重ねる礼に話を聞いた。宝塚歌劇星組 宝塚大劇場公演 三井住友VISAカード ミュージカル『ロミオとジュリエット』ぴあ貸切公演チケット情報本作は、ウィリアム・シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を、2001年にフランスの作詞家・作曲家・演出家のジェラール・プレスギュルヴィックがミュージカル化。2010年に潤色・演出を小池修一郎が手掛け、日本初演。本作へは2010年、2013年に続き、3度目の出演となる礼は、今回の出演について楽しみな反面、プレッシャーも感じているという。「初演ではダンスで心情を表現する“愛”を演じさせていただき、皆様に名前を知っていただくきっかけになりました。2013年の再演ではロミオの親友ベンヴォーリオと“愛”を役替わりで、また新人公演ではロミオを演じさせていただき、もし出会わなければ今の私はいないと思う大切な作品。今回演じるにあたり、これまでとどう変えていくのか、どうすれば超えていくことができるのか、全員でもがきながらお稽古しています。役替わりで演じる人たちが多い中、私がロミオとしてしっかり立って、みんなを支えたいです。また、演出の小池先生が、私と舞空(瞳)の演じるロミオとジュリエットとして、お芝居の中で新たに動きをつけてくださっていますので、自分の身体に入っている経験と感覚を大事にしつつ、新たなものも取り入れていけたらと思います」。恋に落ちる若いふたりの愛の物語を軸に、モンタギュー家とキャピュレット家の対立や仲間との絆など、さまざまな視点から楽しめる本作。印象に残る場面や楽曲も多い。「ロミオのモンタギュー家は仲間同士の仲がいいイメージがあるので、そこを唯一出せる『世界の王』のシーンで、しっかり表現したいです。また、争いや憎しみ合う場面が多い分、ジュリエットと一緒に歌う『Aimer(エメ)』は心が救われる感覚になります。お客様にとってもホッとしていただける場面だと思いますので、その温かい部分を大切に演じたいです」。昨年2月より宝塚大劇場で行われたトップお披露目公演から約1年。コロナ禍で公演や稽古ができない期間もあったが「今年は皆様に感謝の気持ちをお返しできれば」と思いを語る。「4か月の自粛期間を経て舞台に立ったとき、これまでに味わったことのないほど、心の底から幸せを感じました。このような状況になり、皆様がさまざまな思いで戦いながら過ごす中でも、宝塚歌劇に想いを寄せてくださったり、励ましてくださったり。皆様に支えていただきながら公演を再開できていることを、一人ひとりが感じながらお稽古しています。今年はその感謝の気持ちを目いっぱいお返ししていきたいですし、昨年以上に笑顔があふれる瞬間がたくさんある一年にできればと思います」。公演は2月14日(日)から3月29日(月)兵庫・宝塚大劇場、4月16日(金)から5月23日(日)東京宝塚劇場にて。取材・文:黒石悦子
2021年02月09日新型コロナウイルスにより大きな打撃を受けた劇場文化の復活を祈願する『日本の劇場文化 復活祈願祭』が、11月3日に大阪・道頓堀で行われた。祈願祭に先立ち行われた記者会見では、発起人の歌舞伎俳優・市川海老蔵と、能楽師で人間国宝の大槻文藏、文楽の人形遣い・桐竹勘十郎、日本舞踊・上方舞の山村友五郎、落語家・桂米團治といった上方の伝統芸能を代表する面々が出席。今回の企画について海老蔵は「コロナ禍により、劇場文化に携わっている方々のみならず、多くの方々が大変な思いで日々生活をしており、また、劇場に足を運んでくださるお客様も少なくなっている状況で、今回の祈願祭を発足させていただきました。大阪万博が開催される予定の2025年は、道頓堀に劇場ができて400年という節目になります。そこに向けて、少しでも大阪の伝統文化がさらに豊かに、また、大阪のお客様が伝統文化を楽しんでいただけるようになることを切に願って、行わせていただくことになりました。今日を皮切りに、大阪の伝統文化のみならず、日本の伝統文化、エンタテインメントの発展につながることを願っています」と思いを語る。そんな海老蔵の思いに賛同した大槻文藏らも「世阿弥は『芸能は寿福増長のものであり、悪魔を払う力がある』と伝えております。芸能をご覧いただくことで、気持ちが和らぎ、安心していただくというような役目があると思っております」(文藏)「リモートでご覧いただく形も増えましたが、やはり舞台芸術は生で観るのが一番。皆さまの心の落ち着きが戻りましたら、ぜひ劇場に戻ってきていただきたいと切に願っております」(勘十郎)「演者だけでは劇場は成立しません。衣裳、小道具、かつらなど諸々のスタッフもですが、皆さまのお力添えが何よりも必要でございます。足をお運びいただけること、心よりお待ち申し上げております」(友五郎)「これから上方文化を盛り上げていくことによって、日本全体の舞台芸術が大きくなることを望んでおります」(米團治)などとコメントした。会見後には道頓堀の船上で市川海老蔵が演舞『迦具土之舞(かぐつちのまい)』(『SOU~創~』より 作:長田育恵)を披露。会見で「迦具土は火の神なので、復活祈願に火をつける意味を込めています」と語ったように、海老蔵演じる須佐之男命(すさのおのみこと)が、火の神々の力を得て悪神退治をする様を、迫力ある群舞で魅せた。船上式典には海老蔵の長女・市川ぼたん、長男・堀越勸玄も参加。ギャラリーに向かってひと言挨拶し、観客を沸かせた。取材・文:黒石悦子
2020年11月04日京都を拠点に活動する人気劇団・ヨーロッパ企画の生配信劇シリーズ「京都妖気保安協会」。その第4弾『鴨川ミッドサマードリーム』が、PIA LIVE STREAMにて10月4日(日)までアーカイブ配信されている。【動画配信】~ヨーロッパ企画の生配信劇シリーズ~『京都妖気保安協会』ケース4「鴨川ミッドサマードリーム」チケット情報この生配信劇シリーズは、7月より劇団の公式YouTubeチャンネルでスタート。コロナ禍の中で、ヨーロッパ企画ならではの表現を模索し、立ち上げられた企画だ。これまでに、運行する電車の中、レトロな銭湯、貴船の川床といった京都のさまざまなロケーションを舞台に、そこに出現する“妖気”をいい感じに保安する協会員と、それを取り巻く人たちの物語を展開。集大成となる今回は、ヨーロッパ企画が毎年の本公演で訪れている京都府立文化芸術会館が舞台となっている。本編では最初に第1弾から第3弾までのおさらいがあるため、これまでの配信を観ていなくても安心だ。『鴨川ミッドサマードリーム』は、妖精が惚れ薬を誤用したことにより巻き起こるカップルたちの恋騒動を描いた、シェイクスピアの『夏の夜の夢』がモチーフ。京都府立文化芸術会館に集まる妖気を保安するべく劇場へとやってきた保安協会員と、保安協会のインターン生として同行する史跡研究会の学生たち。彼らが調査を進める中、時空の歪みが発生。異世界で『夏の夜の夢』を上演していた劇団員が紛れ込み…。保安協会員や学生をはじめ、第1弾で物語の主軸を担った夫婦、保安協会員と犬猿の仲の骨董屋、天狗など、前作までに登場したキャラクターが勢ぞろいする他、時空の歪みをきっかけに出現する新たなキャラクターも加わり、ドタバタと展開していく。一人二役を担うヨーロッパ企画のメンバーは、画面から消えたと思えば、数秒後には別の人物として現れるという早替えの妙でも楽しませてくれる。ヨーロッパ企画の劇だけにユルい空気感は漂いながらも、緊張感ある生の息遣いと、映像でしか成し得ない演出。役者が客席、ロビー、舞台上…と、劇場内外を動き回る中で、緻密に構成されたカメラワーク。無観客で、映像で、劇場で、そして劇団でやる意味を追求したからこそ生まれたであろう本作。アフタートークまで視聴すれば、再び見直したくなること間違いない。PIA LIVE STREAMでは、10月4日(日)までアーカイブ配信中。視聴券の販売は4日(日)20時まで。取材・文:黒石悦子
2020年10月01日2019年に東京・日本科学未来館で開催され、27万人を動員した『マンモス展 -その「生命」は蘇るのか』が、7月31日(金)より大阪で開催される。展示構成監修を務めた作家・クリエイターのいとうせいこうに話を聞いた。約4000年前に絶滅したと言われている大型哺乳類のマンモス。本展では、2005年の「愛・地球博」で700万人が熱狂した「ユカギルマンモス」をはじめ、ロシアの永久凍土から発掘された世界初公開を含む貴重な冷凍標本を展示。古生物学や生命科学などのさまざまな角度から見つめ、マンモスの実像に迫る。本展の話を受けたいとうは、実際にロシア・サハ共和国を訪れ、知識を深めた。「僕が構成監修をするには、説得力を持たせないといけない。だからとにかく現地に行こう!と。20人ほどのスタッフが参加して、サハ共和国の首都、ヤクーツクにあるマンモスミュージアムの館長から話を聞いたり、標本を実際に触ったりすることで出てくるアイデアがたくさんありました。本当は結び付いていないことが、ある見方をすると結びついてくることがある。それが展覧会の面白いところで、このマンモス展はそれが割とうまくいっていると思います」。マイナス40度を超えるサハ共和国。その現地の環境や空気に触れ、感じたことも大きい。「写真を撮るために丘の上に行ったとき、下にある町のあちこちから犬の鳴き声が聞こえるんですね。犬との暮らしが見えたというか。その前に、1万数千年前の仔犬の標本の説明を受けていて、それが人間と犬が初めて共存し始めた頃のものだと聞いていたんです。だからその光景を見たときに、あの仔犬は遠い世界の、我々から全然関係のないものじゃないんだっていう“リアル”を感じて、過去と今がつながった。実際に行ってさまざまな情報を得ることはとても大事で、僕だけでなく現地に行ったスタッフそれぞれに得るものがあった。だからものすごく議論が過熱して、その熱の中で今回の展覧会ができたんです。観ていただいた方から“エモい”っていう感想をたくさんいただけたのは、みんなの熱い気持ちが伝わったんだと思います」。過去、現在、未来の3つの展示ゾーンで構成されている本展。その中で、いとうが“言葉”で来場者の想像力を掻き立てる。「“ここにあるものがどういうものを表していますか?”とか、呼び掛けるような言葉で気持ちに訴えたいなと。それによって、遠い世界の話ではなくて、地球温暖化のことを考えたり、自分の問題なんだと思ってもらえるんじゃないかな。“命”をひとつのテーマに、DNA、人類、地球の問題について考えられるものになっているので、いろんなところに引っかかってほしいなと思います。世代によって感じることが違うと思うので、ぜひ家族で観て、感想を言い合ってもらえたらうれしい。それが次の時代を生んでいくことにつながるので。それぞれに、自由に楽しんでほしいですね」。『マンモス展 -その「生命」は蘇るのか』は、7月31日(金)から9月22日(火・祝)まで大阪南港ATCギャラリーにて。チケット発売中。取材・文:黒石悦子
2020年07月21日■ 前回 までのあらすじ“部長”と一緒に「地球を笑顔で子育てできる星」にするため出動する魔法少女悦子(50歳過ぎ…)。今回の敵は公園に現れた「騒音怪人キンジョMAYワック」。子どもの遊び声がうるさいから転職活動に失敗したと思っている若者に乗り移ったのだった!》 公園で遊ぶ子どもの声がうるさい!?「騒音怪人キンジョMAYワック編ー1」 ■子どもを公園から追い出したらどうなる?■「子どもに禁止させる」では解決はできない次回も、魔法少女★悦子の活躍をお楽しみに!\「うちのダメ夫」が動画に!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪ 【魔法少女!?悦子 育児トラブルに出動中】 連載 「第1回」から読む ≫ 魔法少女が地球の子育てを救う!?「夜泣き怪人ナイトクライシャラップ編ー1」
2020年04月23日地球にひそかに送り込まれた「コドモウル星」の怪人たちによって、子育ては危機に瀕していた。そのとき、慈愛に満ちたひとりの少女(?)が地球の子育てを救うために立ち上がる!その少女の名は、魔法少女★悦子(年齢は50歳を過ぎていた…)▼ 第1回「魔法少女が地球の子育てを救う!?「夜泣き怪人ナイトクライシャラップ編ー1」」 ■魔法少女はパート中!■「公園で子どもが遊ぶ声がうるさい!」怪人が出現次回に続きます。→次回は4月23日(木)更新予定!\「うちのダメ夫」が動画に!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪ 【魔法少女!?悦子 育児トラブルに出動中】 連載 「第1回」から読む ≫ 魔法少女が地球の子育てを救う!?「夜泣き怪人ナイトクライシャラップ編ー1」
2020年04月22日■ 前回 までのあらすじ隣の部屋の赤ちゃんの泣き声に悩む女性のマイナスの心に「夜泣き怪人ナイトクライシャラップ」が忍び込む! しかし赤ちゃんのママも夫から「うるさくて眠れない」と言われ、つらい気持ちを抱えていた。そこに魔法少女★悦子が出動!》 赤ちゃんの夜泣きでご近所トラブルに!「夜泣き怪人ナイトクライシャラップ編ー2」」 ■赤ちゃんの夜泣きでつらい思いしていたのは…■孤独な育児を抜け出すには次回も、魔法少女★悦子の活躍をお楽しみに!\「うちのダメ夫」が動画に!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪ 【魔法少女!?悦子 育児トラブルに出動中】 連載 「第1回」から読む ≫ 魔法少女が地球の子育てを救う!?「夜泣き怪人ナイトクライシャラップ編ー1」
2020年03月19日■ 前回 までのあらすじ「コソダーテシヤースイ星」からやってきた“部長”の使命は「地球を笑顔で子育てできる星」にすること。「コドモウル星」の怪人たちによって今、地球の子育ては危機に瀕していたのだ。そのためのパートナーに選ばれたのは、50歳を過ぎた悦子だった…。》 魔法少女が地球の子育てを救う!?「夜泣き怪人ナイトクライシャラップ編ー1」 ■赤ちゃんの夜泣きでご近所トラブルが発生!?■「夜泣き」によって夫婦の仲も…次回は、魔法少女悦子の必殺技がさく裂!→更新は、3月19日(木)を予定しています。\「うちのダメ夫」が動画に!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪ 【魔法少女!?悦子 育児トラブルに出動中】 連載 「第1回」から読む ≫ 魔法少女が地球の子育てを救う!?「夜泣き怪人ナイトクライシャラップ編ー1」
2020年03月18日宝塚歌劇団星組新トップスター・礼真琴、新トップ娘役・舞空瞳の大劇場お披露目公演『眩耀(げんよう)の谷 ~舞い降りた新星~』『Ray -星の光線-』が、2月7日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。宝塚歌劇星組 幻想歌舞録『眩耀(げんよう)の谷 ~舞い降りた新星~』/Show Stars『Ray -星の光線-』チケット情報第一幕の『眩耀の谷 ~舞い降りた新星~』は、謝珠栄が作・演出・振付を手掛ける幻想的な歴史ファンタジー。舞台は紀元前の中国大陸。勢力を拡大する周王朝は、豊かな自然と土壌をもつ亜里の地にある小国「ブン」を攻略し、周の統治下に置いていた。亜里に遣わされた周の大夫、丹礼真(タンレイシン)は、その地の美しさに魅せられ、人々の力になりたいと意気込む。勇将管武将軍より、周国の宣王に敵意を燃やす者たちが潜む「眩耀の谷」を見つけ出し、和解を促すことが我々の務めだと言われた丹礼真は、身命を賭して任務をまっとうすることを誓うが…。民族音楽が流れる中、ブン族の民が舞い踊るプロローグは、まさに圧巻の一言。時には水が流れるようなしなやかさを、時には大地のエネルギーを感じるような力強さを感じる群舞に惹きこまれる。礼真琴が演じる丹礼真は、周国のため、亜里の地に住む人々のためにと理想に燃え、意気揚々と任務に就くが、ブン族の人々の真実を知ることで葛藤が生まれていく。何が正義なのか、信念とは何か…。そんな心の揺らぎや、苦しみを乗り越えて人間として成長していく様を、礼は情感豊かに表現している。トップ娘役の舞空は、ブン族16代目の王・麻蘭の妹で、盲目の舞姫・瞳花(トウカ)役。辛い人生を送り、光も希望も見失った彼女が、心優しい礼真により変化していく。その心の動きを繊細に表現する舞空。儚げながらも芯には強さを感じさせる。礼真が憧れる管武将軍役の愛月ひかるは、勇壮な佇まいやダイナミックな剣舞が目を引く。突如、礼真の前に現われる謎の男を演じる瀬央ゆりあの好演も光る。ファンタジー作品でありながら、寛容な心を持つこと、命の大切さ、争いの愚かさを訴えるメッセージ。彼らが発するリアルな言葉が胸を打つ、繊細かつ力強さのある作品だ。中村一徳が18年ぶりに星組大劇場公演の作・演出を手掛けるショー『Ray -星の光線-』は、新生星組お披露目にぴったりの、華やかでエネルギッシュなステージだ。クールなカッコよさで魅せたり、スタイリッシュに魅せたり、デュエットではしっとりと。群舞も多く、フィナーレまで目くるめくシーンが展開。星組のパワーを感じさせるショーになっている。公演は2月7日(金)から3月9日(月)まで、兵庫・宝塚大劇場、3月27日(金)から5月3日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは2月23日(日)一般発売。※ブン族のブンはさんずいに文の文字。取材・文:黒石悦子
2020年02月14日宝塚歌劇団星組新トップスター・礼真琴(れい・まこと)が、2月7日(金)に開幕する『眩耀(げんよう)の谷 ~舞い降りた新星~』『Ray -星の光線-』で、宝塚大劇場でのトップお披露目を迎える。「宝塚歌劇星組 幻想歌舞録『眩耀(げんよう)の谷 ~舞い降りた新星~』/Show Stars『Ray -星の光線-』」チケット情報謝珠栄が作・演出・振付を手掛ける『眩耀(げんよう)の谷 ~舞い降りた新星~』は、紀元前の中国大陸を舞台に繰り広げられる歴史ファンタジー。母国の周国と、その統治下にある“ブン族”(※)との間で葛藤する大夫・丹礼真(タンレイシン)を演じる。「丹礼真は、周王朝のすべてが正義だと信じていて、愛月ひかるさん演じる管武将軍のことを崇拝しているので、大夫に就任したときは“何でもできます!”というように意気揚々としています。でも、ブン族の聖地である“眩耀の谷”でいろんな人の生き様を見て、真実を知って、段々信じるべきものが分からなくなってくる。物語が展開していくにつれてもがき苦しむことになるので、演じていて苦しいです。でも私だけではなく、ひとりひとりがもがきながら真実や光を求めて戦っているようなお芝居です」。同じくお披露目となるトップ娘役・舞空瞳(まいそら・ひとみ)は、ブン族の舞姫・瞳花(トウカ)役。「彼女は盲目の役なので、全編通して目が合わない。でも、だからこそ瞳から感情が伝わってくるというか、訴える力がすごくあると思います。最初から恋仲ではありませんが、段々惹かれ合っていくところが深く出せたらと、試行錯誤しています」。一方、ショー『Ray -星の光線-』は、中村一徳が18年ぶりに星組大劇場公演の作・演出を手掛ける。「下級生までみんなが一緒に出る場面が多い」という中村演出。目まぐるしく展開しながら、最後まで楽しませてくれる。「ロックなプロローグで始まり、しっとり系もカッコいい曲もたくさんあります。中村先生のショーは、最後までワクワクさせてくれる演出になっていますので、お客様には最後まで気を抜かずに楽しんでいただきたいです」。また、見どころのひとつに男役の黒燕尾を挙げる。「副組長の美稀千種さんから最下級生まで、男役全員で踊ります。大階段での黒燕尾ですが、いつものクラシックな雰囲気とは少し違って、抜け感のあるオシャレな場面になっています」。トップとして、「今はやることがたくさんで、いっぱいいっぱい」と語りつつも、稽古場では視野を広く持つ。「最下級生にいたるまで、すごく前向きに取り組もうとしている姿が印象的。ひとりひとりが自由に、心から楽しめるような作品づくりができたらと思います。“引っ張っていこう!”というより、自分のやるべきことをしっかり務めることで、最終的に組を引っ張っていけたらと思います」。公演は2月7日(金)から3月9日(月)まで、兵庫・宝塚大劇場、3月27日(金)から5月3日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは2月23日(日)一般発売。※ブン族のブンは、さんずいに文が正しい表記となります。取材・文:黒石悦子
2020年02月05日兵庫・宝塚大劇場の2020年の幕開きを飾る宝塚歌劇雪組公演『ONCE UPON A TIME IN AMERICA(ワンス アポン ア タイム イン アメリカ)』が、1月1日に開幕した。「宝塚歌劇雪組 ミュージカル『ONCE UPON A TIME IN AMERICA(ワンス アポン ア タイム イン アメリカ)』」チケット情報1984年に公開されたセルジオ・レオーネ監督によるギャング映画を原作に、小池修一郎が脚本・演出を手がける本作。20世紀のアメリカ社会を背景に、ニューヨークの貧民街で暮らす移民の少年たちがギャングとして成りあがっていく様とその後を、友情や絆、恋模様を絡めて描いた物語だ。移民だからこその苦悩と夢、それゆえに手放してしまったもの…。この宝塚版では、トップスター・望海風斗が演じる主人公ヌードルスを軸に、登場人物それぞれの“生き様”が色濃く描き出されている。黒いスーツにソフト帽を被ったギャングたちが、クールな群舞を繰り広げるプロローグ。ダンディな色気で観客を惹きつけ、舞台は一転、1958年のニューヨーク・マンハッタンの場末、ローワー・イーストサイドの一角に立つダイナーへ。店主ファット・モーを訪ねてやって来た主人公ヌードルス。ふたりが25年ぶりの再会を果たすところから物語が始まり、そこから1920年代の少年期、1930年代の青年期の回想、そして1950年代の今(壮年期)へと、展開していく。ヌードルスを演じる望海は、その3世代を柔軟に演じ分けて魅せる。街では悪事を働きながらも、思いを寄せるデボラの前では“純”な一面を見せる少年期、罪を犯し、7年あまりの刑期を終えて仲間の元に戻った青年期、姿を隠して生きてきた壮年期は、哀切さを帯びた佇まいが印象的だ。孤独や葛藤を覚えるヌードルスを情感豊かに演じるとともに、抜群の歌唱力でも聴かせる望海。時が流れるとともに、ヌードルスと、それぞれの“夢”を求める仲間たちやデボラとの関係が変化していくのも見どころのひとつだ。デボラを演じるトップ娘役・真彩希帆も、バレエのレッスンに励み、スターになる夢を見る愛らしい少女時代から、芯の通った大人の女性へと成長していく様を見事に表現。歌唱のうまさも際立ち、ブロードウェイのスターとして劇場に立つ場面では、大階段いっぱいに広がるドレスをまとい、その美しさでも魅せる。少年期にヌードルスと出会い、行動を共にするマックスを演じるのは、彩風咲奈。非道なことに葛藤を覚えていくヌードルスに対し、仲間の中心となりどんなことをしてでも成功しようとするマックスを存在感たっぷりに表現。また、“裏”の顔を持つ全米運送組合のジミーを演じる彩凪翔、マックスが経営する潜り酒場のショースター・キャロルを演じる朝美絢らが繊細な演技で脇を固めている。アダルトな男の色気と、濃厚な人間ドラマ、そして宝塚ならではのショーアップされたシーンもあり。望海率いる充実の雪組が見応えたっぷりに仕上げた本作は、2月3日(月)まで、兵庫・宝塚大劇場、2月21日(金)から3月22日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは1月19日(日)一般発売。取材・文:黒石悦子
2020年01月09日2020年、宝塚大劇場の新たな年の幕開けを、トップスター・望海風斗率いる雪組が飾る。演目は、小池修一郎が脚本・演出を手がけるミュージカル『ONCE UPON A TIME IN AMERICA(ワンス アポン ア タイム イン アメリカ)』だ。「宝塚歌劇雪組『ONCE UPON A TIME IN AMERICA(ワンス アポン ア タイム イン アメリカ)』」チケット情報1984年に公開されたセルジオ・レオーネ監督による傑作ギャング映画をミュージカル化した本作。以前、小池が同作のファンであることを知り、「いつか宝塚で舞台化されることがあれば、ぜひその一員として出演したいと思っていました」と望海。物語は急成長を遂げる20世紀のアメリカを舞台に、ニューヨークの貧民街で暮らす移民の少年たちが、ギャングとして成りあがっていく様を少年期、青年期、壮年期を交錯させて描かれる。「ギャングにならざるを得なかった人たちの背景を描いた作品。移民たちが成功を目指すも、なかなかうまくいかない。当時のアメリカの中で、移民としてどう生き抜いてきたかというのをさまざまな立場から描いた“人生のドラマ”だと思います」。望海が演じる主人公・ヌードルスは、貧しいユダヤ系移民の二世。少年時代に仲間をギャングに殺され、逆上して刺殺したことから刑務所に入れられた過去を持つ。「発散するタイプではなく、我慢強くて、どこか孤独を感じるような人物。仲間を殺されたときなど要所要所で狂気を見せる一方で、普段は何を思っているか分からないような部分があるので、そのバランスをうまく表現していきたいです」。ギャングでありながら、「“黒い”部分はあまり意識していません」と役作りについて語る望海。「裏社会で生きながらも、いつかはそこから抜け出したいと思っているのがヌードルスで、アメリカを憎んで恨み続けて、いつか勝ちたいと思っているのが彩風(咲奈)演じる仲間のマックス。同じギャングでも、どちらかというとマックスのほうが“黒い役”なので、その対比をしっかりとお見せしたいと思います」。2019年を振り返り「ふり幅の広い役をさせていただき、柔軟性がついた一年でした」と語る望海。2020年は「どんなことにも挑戦する気持ちを忘れず、トップとして強くありたい」と力を込める。「トップになって1年目はみんなに支えてもらい、2年目は組でいろんなことに挑戦させていただきました。来年はトップとして根っこのような強さを持って立ち、みんなが安心して舞台で自由にできるような年にしたいです」。公演は1月1日(水・祝)から2月3日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、2月21日(金)から3月22日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは1月19日(日)発売開始。取材・文:黒石悦子
2019年12月19日カツァリスと広瀬悦子のヴィルトゥオーゾ・デュオによる快進撃が止まらない。これまでにも数々の名演を聴かせてくれてきた彼らの今年のメニューは、2020年に生誕250年を迎えるベートーヴェンだ。しかも、ベートーヴェンが「第九」を作曲するはるか以前にそのメロディを刻み込んだ「合唱幻想曲」を冒頭に置いた、リスト編曲による2台ピアノ版「第九」なのだから楽しみだ。しかも「合唱幻想曲」の編曲者がハンス・フォン・ビューローというのも興味深い。ここに来て古の名指揮者の名前が出てくるところにもクラシックの奥深さが感じられる。一方「第九」をピアノ用に編曲したのはご存知の大ピアニストにして作曲家のフランツ・リストだ。彼はベートーヴェンの9つの交響曲すべてをピアノ用に編曲し、さらに「第九」についてはその規模の大きさを考慮したのか、わざわざ2台ピアノ用の編曲作品まで手掛けている。今回のプログラムで楽しめるのがまさにその、2台ピアノ版「第九」だ。これを2人のヴィルトゥオーゾが演奏するのはリストの思惑通り。オーケストラにも匹敵する圧倒的な「第九」に期待したい。●公演概要12月11日(水)浜離宮朝日ホール「シプリアン・カツァリス&広瀬悦子2台ピアノリサイタル」●シプリアン・カツァリス(ピアノ)ピアニスト。1951年フランスマルセイユ生まれのギリシア系。64年に13歳でパリ音楽院に入学。74年ジョルジュ・シフラ国際コンクールに優勝。80年代初頭から始まったリスト編曲カツァリス補筆のベートーヴェン交響曲全曲録音で、一躍その名が世界に広がる。ショパン演奏に対する評価は高く、90年からショパン・コンクールの審査員に招待される。超絶技巧の曲からバッハまでレパートリーは広く、最近はカツァリス・ピアノ五重奏団も結成。●広瀬悦子(ピアノ)(c)Jean-Baptiste Millot1979年生まれ、愛知県名古屋出身の女性ピアニスト。3歳からピアノを始め、1994年にパリ・エコールノルマル音楽院に入学。96年に同院を首席で卒業後、パリ国立高等音楽院に入学。99年に首席卒業とともにダニエル・マーニュ賞を受賞。99年のマルタ・アルゲリッチ国際コンクールでの優勝をはじめ、数々の国際コンクールで優秀な成績を収める。2001年にはシャルル・デュトワ指揮のN響と共演、日本でのオーケストラ・デビューを果たす。2004年2月、『シャコンヌ』でCDデビュー。2010年の5枚目『ショパン:バラード&ノクターン』は、仏レーベル〈MIRARE〉初の日本人アーティスト作として話題に。以降、世界を舞台に活躍中。
2019年12月05日宝塚歌劇宙組公演『El Japon(エル ハポン) -イスパニアのサムライ-』『アクアヴィーテ(aquavitae)!!』~生命の水~が、11月15日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。宝塚歌劇宙組『El Japon(エル ハポン) -イスパニアのサムライ-』『アクアヴィーテ(aquavitae)!!』~生命の水~チケット情報『El Japon』は、スペイン南部の町コリア・デル・リオに「サムライの末裔」を自認する“ハポン(日本)”姓の人々が実在することに着想を得て作られた、オリジナル・ミュージカル。なぜ遠い異国の地に日本の侍の伝説が残ったのか…。慶長遣欧使節団としてイスパニア(スペイン)に派遣されることになった夢想願流剣術の名手・蒲田治道を主人公に、侍の心情や異文化との出会いが描かれる。和と洋の世界観を融合させた意欲作。プロローグでは、扇を手にした娘たちがしなやかな舞で観客を作品世界へと誘う。物語は、仙台藩主・伊達政宗がイスパニアとの貿易交渉のため、使節団を派遣するところから始まる。約1年をかけてイスパニアに到着するも、国王フェリペ3世との交渉は膠着。使節団は修道院で無為な日々を過ごすことになる。ある日、奴隷として売られ脱走した日本人少女を助けた治道は、彼女を匿う場所を探して宿屋を営む女性カタリナと知り合う…。日本で愛する人を助けることができず、悔恨の念にさいなまれながら生きる治道。トップスター・真風涼帆が、そんな彼の“影”の部分を繊細に表現。また、剣術の名手だけに立ち廻りのシーンも多く、キレのある殺陣も見どころのひとつとなっている。その治道の心を動かす女性カタリナを、トップ娘役の星風まどかが好演。カタリナも愛する人を亡くしたことを悔やんで生きている女性だが、大農場主フェルディナンドによる嫌がらせや邪な欲望にも、凜とした態度で立ち向かう強さを持つ。強さの裏に辛い過去を抱えるふたりが出会い、それぞれがその傷を克服していくという内面の変化が描かれているとともに、弱きを助け、強きを挫くヒロイックな展開が爽快だ。また、治道の窮地を救う謎の男アレハンドロを演じる芹香斗亜は西部劇のガンマンのようなクールな佇まいで魅せるが、コミカルな一面とのギャップでも楽しませてくれる。第2幕のショー『アクアヴィーテ(aquavitae)!!』は、ウイスキーをテーマに展開。ゴールドの煌びやかな衣装をまとい、アダルトでクールに魅せるプロローグ。勢いのあるナンバーでグイグイとその世界に観客を惹きつけ、エネルギッシュで刺激的なシーンが次々と繰り広げられていく。公演は12月15日(日)まで、兵庫・宝塚大劇場、2020年1月3日(金)から2月16日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは12月1日(日)一般発売。取材・文:黒石悦子
2019年11月22日宝塚歌劇月組公演『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』が、10月4日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。日本オーストリア友好150周年記念として贈る本作は、『エリザベート』や『モーツァルト!』など、日本でも人気の大ヒットミュージカルを生み出したウィーン劇場協会が2017年に現代のオーストリアを題材に制作した作品。オーストリア以外の国では初上演となる。宝塚歌劇月組 日本オーストリア友好150周年記念 UCCミュージカル『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』チケット情報舞台はウィーンにある老舗の四つ星ホテル「ホテル・エードラー」。ホテルの御曹司ジョージ・エードラーとハリウッド女優エマ・カーターとの恋と葛藤を軸に、家族への愛、故郷への想いを描いたハートウォーミングな物語だ。映像を取り入れた演出で、幕開きからワクワクさせられる。楽曲には、オーストリアの国民的シンガーソングライター、ラインハルト・フェンドリッヒのヒット曲を使用。心弾むものからうっとりするものまで、耳なじみのいい、バラエティに富んだ楽曲の数々が物語を彩る。役者それぞれの個性はもちろん、組の一体感やパワーを感じるような、華やかで躍動感あふれるレビューシーンも満載だ。『エリザベート』を想起させるセリフがあったりと、ウィーンミュージカルならではの洒落っ気ある笑いでも楽しませてくれる。トップスター・珠城りょうが演じるジョージは、伝統と格式を重んじる両親に対して、現代的な感覚を持つ跡取り。「今の時代に合わせて変えていくべき」と、ホテルはもちろん、ウィーンの街を思い行動する、芯のある人物だ。従業員のミスを大きな心でフォローする余裕を持ちながらも、美園さくら演じるエマへの思いに苦しくなったりと、おおらかさと真っ直ぐさを持ちあわせたキャラクターは、珠城のハマリ役。エマを演じる美園は、ハリウッド女優としての息苦しさと、故郷の空気に触れて心が解放されていく様を繊細に表現している。さらに、エマを利用して稼ごうとする豪腕なマネージャー・リチャード役の月城かなと、一見紳士的でありながらもダメッぷりが愛らしい父親ヴォルフガング役の鳳月杏、太陽のような明るさをもち、“マッチョ”ナンバーで楽しませてくれるアルゼンチン代表サッカー選手・パブロ役の暁千星など、それぞれに個性あふれるキャラクターを好演している。故郷を思う気持ちにあふれた、家族に会いたくなるような、温かい気持ちになれるミュージカル『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』は、11月11日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、11月29日(金)から12月28日(土)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは10月20日(日)一般発売。取材・文:黒石悦子
2019年10月11日トップスター・明日海(あすみ)りおの退団公演となる宝塚歌劇団花組公演、ミュージカル『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』、レヴューロマン『シャルム!』が、8月23日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。宝塚歌劇花組 宝塚大劇場公演 三井住友VISAカード シアター Musical『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』/三井住友VISAカード シアター レヴューロマン『シャルム!』チケット情報『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』は、19世紀半ばの大英帝国が舞台。世界初の万国博覧会が大成功を収めたロンドンでは、異国からの珍しい植物が大ブームとなっていた。ある深い霧の夜、植物研究科のハーヴィーは、枯れ果てた屋敷の庭で“青い薔薇の精”エリュと出会い、かつてこの屋敷に住んでいたシャーロットという少女にまつわる話を知ることになる…。人々が現実だと信じている世界と、目に見えない異次元の世界とを交錯させながら描く本作。美しく幻想的な世界観の中で明日海が扮するエリュは、自然界の掟に背いた罪により、霧に包まれた闇の中で孤独に生きる。悲しみの“青色”に染まったエリュは、気高くも寂しげな空気をまとい、50年もの間、シャーロットを思い続ける。人間離れした妖しげな美しさ、愁いを帯びた佇まい、内に秘めた熱い想い…。圧倒的な歌唱力でも魅せ、男役の集大成として、明日海の魅力が存分に引き出された役となっている。シャーロットを演じるのは、本作で大劇場お披露目となるトップ娘役・華優希(はな・ゆうき)。無邪気で愛らしい少女時代から落ち着きのある老年までを演じているが、その演じ分けは目を見張るものがある。また、次期トップスターが発表されている柚香光(ゆずか・れい)は、植物学者のハーヴィー役。唯一精霊たちとコミュニケーションが取れる人間で、最初は彼らの存在に戸惑いながらも、友情を築き上げていく様を丁寧に表現している。第2幕の『シャルム!』は、花と光の都パリの地下都市を舞台に繰り広げられるレヴュー。華優希扮する愛らしい少女に誘われ、若者たちがマンホールの中に足を踏み入れると、そこには豪華絢爛な世界が広がる…。アダルトな雰囲気のプロローグから目くるめくシーンが展開。明日海をはじめとする花組生の色香に目を奪われながら、組子に囲まれサヨナラを思わせる場面、柚香との絡みも印象的な黒燕尾の場面など、ラストステージならではの演出に心を揺さぶられる。公演は9月30日(月)まで宝塚大劇場、10月18日(金)から11月24日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは9月15日(日)発売開始。取材・文:黒石悦子
2019年08月30日宝塚歌劇団花組トップスター明日海りおの退団公演となるミュージカル『A Fairy Tale-青い薔薇の精-』、レヴューロマン『シャルム!』が、8月23日(金)より兵庫・宝塚大劇場にて幕を開ける。「宝塚が大好きで、男役が何より好きでした」という明日海のラストステージにかける想いを聞いた。宝塚歌劇花組 宝塚大劇場公演 三井住友VISAカード シアター Musical『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』/三井住友VISAカード シアター レヴューロマン『シャルム!』チケット情報『A Fairy Tale-青い薔薇の精-』で演じるのは、青い薔薇の咲く禁断の園に生きる精霊エリュ。幻想的な世界観の中、人々が現実だと信じている世界と、異次元の世界とを交錯させながら人間と精霊との交流を描き出す。「エリュは、他の精霊たちよりも少しプライドが高く、周りから一目置かれているような存在で、人間よりも自分のほうが優れているという意識があります。そんなエリュが、“精霊が大好き”という少女シャーロットと出会い、そのまっすぐさに惹かれていきます」。自然界では、人間に姿を見られると、大人になる前に忘れてもらわなければならないという掟があるが、「忘れてほしくない」エリュは、掟を破ってしまう。「思いが強すぎるという点では良くない精霊で(笑)、プロローグでは霧の中でしか生きられない状態から描かれます。ミステリアスで、人間ではない者のすごみや、切なさが表現できたらと思います。(作・演出の)植田景子先生が描かれる作品は、繊細な心の動きや感情の豊かさが必要とされます。私はすごく芝居が好きでこれまでも男役に対してこだわりを強く持って演じてきましたので、技術でというよりは、自分のすべてを役に預けて表現していきたいと思います」。稲葉太地が作・演出を手がけるショー『シャルム!』は、パリを舞台にした華やかなレヴュー。集大成ならではの、男役の魅力がたっぷりと堪能できるショーになりそうだ。「アダルトな雰囲気のプロローグから、スーツにハットの場面、軍服を着た中詰、黒燕尾など、宝塚歌劇の王道の中に、花組のいろんな面が見えるものになっています。トップになって初めてのショーも稲葉先生で、そのときは“ひな鳥”をイメージしたようなキラキラしたプロローグだったのですが、それから5年が経ち、このように変化しましたという姿を楽しんでいただければと思います」。2014年のトップ就任から5年あまり、トップスターとして花組を牽引してきた明日海。「たくさんのお役と素敵な作品に出会うことができ、その中で悩んだり、打ちひしがれたりと、常に自分との戦いでした。でもやっぱり、宝塚が大好きで、男役が何よりも好きという思いでここまでやってきました。卒業する日までは、公演のこと、サヨナラショーのことに専念して、自分が納得するものに仕上げたいと思います」。公演は8月23日(金)から9月30日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、10月18日(金)から11月24日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは9月15日(日)発売開始。取材・文:黒石悦子
2019年08月20日日本演劇界を代表する演出家・栗山民也と、数々の映画賞で主演男優賞に輝き、今最も注目を集める若手俳優・菅田将暉が初タッグで『カリギュラ』に挑む。公演に向けて、菅田が意気込みを語った。「カリギュラ」チケット情報『カリギュラ』は、20世紀のフランス文学界を代表するアルベール・カミュによる傑作戯曲。カミュ自身が『異邦人』『シーシュポスの神話』とともに“不条理三部作”と位置付けた作品で、暴君として知られるローマ帝国第3代皇帝カリギュラを題材にした物語だ。デビュー10周年を迎えた菅田、そのひとつの区切りとして挑む暴君カリギュラに、「学ぶことがたくさんありそう」と期待を募らせる。「最近気が付くと、正解でも不正解でもない大きなものと闘う役が多くて、カリギュラはそれを締めくくるような人物というか。30歳になる前の今のうちにやりたいなっていう思いはありました。カリギュラって何かの象徴なんでしょうね。自分でもいろんな発見があるんだろうなと、楽しみです。この作品を経て次の10年が見えてくるような気もするし、下手したら、もうお芝居はいいやってなるかもしれない(笑)。それくらいの気合で臨みたいと思います」。映像での活躍が著しい菅田だが、2、3年に一度は舞台に立ちたいとも語る。「舞台と映像で違うのは、やはり“生”のエネルギー。お客様が目の前にいるから、エネルギーの方向性が違うように思います。あと、僕は普段、一回やると同じことをしたいとは思わないんですけど、なぜか舞台は飽きがこないんですよ。だからこれまでも楽しんで演じてこられましたし、今回の作品も、スチール撮影のときから音楽、スモーク、照明、衣裳で作り込んで、ひとつのお芝居を作るような感覚でしたので、すごくワクワクしました」。演出家・栗山民也との初タッグについては「以前、栗山さんが演出された『夢の裂け目』を拝見して、役者陣や空間に対しての愛情やリスペクトを感じました。今回、どんな演出をつけていただけるのか、楽しみです」と語りつつ、「栗山さんとタッグを組めるのも、大先輩方と共演できるのも、いろんな可能性に満ちているなと思います。型にはまらず、自分なりの道を探していきたいと思います」と意気込みを見せた。公演は11月9日(土)から24日(日)東京・新国立劇場 中劇場を皮切りに4都市で上演。関西公演は12月5日(木)から8日(日)兵庫・神戸国際会館こくさいホールにて上演、チケットは8月17日(土)発売開始。文:黒石悦子
2019年08月06日トップスター・紅ゆずる、トップ娘役・綺咲愛里の退団公演となる宝塚歌劇団星組公演『GOD OF STARS -食聖-』『Eclair Brillant(エクレール ブリアン)』が、7月12日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。宝塚歌劇星組 ミュージカル・フルコース『GOD OF STARS-食聖-』/スペース・レビュー・ファンタジア『Eclair Brillant(エクレール ブリアン)』チケット情報『GOD OF STARS -食聖-』は、現代のアジアを舞台に繰り広げる、アジアン・クッキング・コメディ。上海の総合料理チェーンの三ツ星天才料理人として世界にその名を馳せるホン・シンシン。しかし彼の傲慢な振る舞いに呆れた同店CEOのエリックは、ホンの弟子リー・ロンロンに声を掛ける…。エリックの策略により築き上げてきたものすべてを失ったホンは、シンガポールの下町で屋台を切り盛りする娘アイリーン・チョウとその仲間たちに助けられ、反発し合いながらも次第に心を通わせていく。そして、世界最高の料理人を決める“ゴッド・オブ・スターズ”に挑むことに…。クールな二枚目も、おどけた三枚目も変幻自在の演技で魅了してきた唯一無二のトップスター。その紅の集大成として、彼女の個性が存分に発揮される絶好のステージが用意された。演じる天才料理人のホンは、自信家で傍若無人。エラそうな態度を取りながらも、アイリーンの店を繁盛させて“一番”になるために的確なアドバイスをしたりと、根は熱い。そんなホンを紅は、ぶっきらぼうで、カッコよく、面白く、時にドジっぷりを発揮し…と、コロコロと表情豊かに多面的な魅力で惹きつける。綺咲が演じるアイリーンは、屋台街にある自身の店を守るべく奮闘する娘。気が強く、店や家族を守るためには自分の身体を張ってでも戦いに挑んでいくような女性を、綺咲はまっすぐに、それでいて愛らしく魅せる。次期トップスターが発表されている礼真琴は、ホンの弟子であり、後にホンと料理対決することになるリー・ロンロン役。実力はありながらも自信を持てないへなちょこのリーが、憧れの女性を前に一変する様をコミカルに表現。シャレの利いたセリフでも楽しませてくれる。そんな個々の奮闘もありながら、星組の集団の力を見せつけるような場面もたっぷり。明るく賑やかに、今の星組の集大成を堪能できるステージとなっている。第2幕のショーは、宇宙から舞い降りた青年が、世界各地を舞台に舞い踊る姿を描いた美しくゴージャスなレビュー。紅がしっとり歌い上げるソロ、客席降り、黒燕尾での男役群舞など見せ場も盛りだくさん。ときにスタイリッシュに、クールに、情熱的に…とさまざまな表情を魅せながら展開している。公演は8月19日(月)まで兵庫・宝塚大劇場にて上演中。東京公演は9月6日(金)から10月13日(日)まで東京宝塚劇場にて。東京公演のチケットは8月4日(日)発売開始。取材・文:黒石悦子
2019年07月19日大阪を拠点に、“全国規模の在阪劇団”を目標にかかげる劇団壱劇屋。近年、セリフを使わずに殺陣だけで物語を紡いでいく「Wordless×殺陣芝居」シリーズを確立。今年3月に大阪・HEP HALLで4日間に渡り上演された『猩獣(しょうじゅう)』では、2000人越えの動員を記録するなど、注目を集めている。そんな彼らが、新作『Pickaroon!(ピカルーン)』ではその制約を解き放ち、セリフのある殺陣芝居を上演。7月5日(金)の開幕に向けて、ABCホールでゲネプロが行われた。劇団壱劇屋「Pickaroon!」チケット情報本作は、記憶を失くした少女と彼女を取り巻く7人の盗賊の物語。義賊の力石、口に特殊な金属を付けた異様な風体の由良、兄妹盗賊の陸上角(おがうえかく)、陸上飛(おがうえとび)、筆で描いた者の姿に成り代わることができる伊武、紙を自在に操る紙研(しげん)、圧倒的な力を発揮する不動の男虎(おのとら)。単独で悪名を重ねてきた彼らが、ひょんなことからひとりの赤子を手にし、“御姫”と名付けて7人で見守り、育てることになる。そんな彼らに目をつけ、少女となった御姫を奪おうと企む国の執政官・佐久間は、人並み外れた嗅覚を持つ腹心・勝又と共に、彼らを追い詰めていく…。作・演出も手がける竹村晋太朗をはじめ、山本貴大、小林嵩平、西分綾香ら劇団員と、劇団Patchの竹下健人、墨絵師で本作の宣伝ビジュアルなども手がける御歌頭(おかず)、クールな佇まいの実力派女優・立花明依が、御姫を守る7人の盗賊に扮し、舞台を所狭しと駆けめぐる。そのスピード感あふれるアクションの数々に圧倒、7人がズラリと一列に並んだ姿は惚れぼれするほどのカッコよさだ。主役は不在、個性の異なるキャラクターたちが、それぞれの見せ場で、圧倒的な熱量を持って魅せていく。また、御姫を演じるのは、ローティーン向けファッション雑誌「nicola(ニコラ)」専属モデルで初舞台の池未来実。持ち前の透明感と初々しさで、愛らしくも儚げな少女を演じている。これまでの「Wordless×殺陣芝居」で培われたであろう表現力の豊かさに言葉の力が加わり、壱劇屋の新たな魅力が生み出された本公演は、7月5日(金)から7日(日)まで大阪・ABC HALL、7月26日(金)から29日(日)まで東京・池袋シアターグリーンBIG TREE THEATERにて上演。取材・文:黒石悦子
2019年07月05日2011年、小池修一郎の脚本・演出により宝塚歌劇団でミュージカル化され、星組で初演された『オーシャンズ11』。2013年には花組で再演、共に好評を博した本作が、6年ぶりに宙組で上演。4月19日、兵庫・宝塚大劇場にて幕を開けた。本公演は第105期初舞台生40名のお披露目公演でもあり、幕開きには初舞台生が口上を行い、ショーではラインダンスを披露している。宝塚歌劇宙組 ミュージカル『オーシャンズ11』チケット情報原作は、ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツなど豪華キャストの共演で話題を呼んだ同名映画。ラスヴェガス最高のカジノホテルを舞台に、ダニー・オーシャンと10人の仲間が金庫破りに挑むスリリングなエンタテインメント大作だ。服役中の天才詐欺師ダニー・オーシャンは、仮釈放になると同時に、ラスヴェガスへと向かう。愛する妻テスをホテル王テリー・ベネディクトから取り戻すとともに、カジノから売上金を奪うために…。第一幕はダニーの仲間探しとベネディクトのたくらみを中心に展開。トップスター真風涼帆(まかぜ・すずほ)演じるダニーが仮釈放され、芹香斗亜(せりか・とあ)演じる昔馴染みのラスティーと再会。冷酷非情な裏の顔を持つホテル王ベネディクトにひと泡吹かせるべく、金庫破りの計画を実行する仲間を集めていく。役者がそろった第二幕は、カジノに潜入し、計画を実行していく様子が描かれる。カジノに張り巡らされたセキュリティを次々と突破し、ベネディクトを追い詰めていく様は痛快だ。“チョイ悪”ダニーをはじめ、ダンディでクールな男たちがズラリと並ぶ様に惚れぼれ。ダニー役の真風は、余裕のあるアダルトな色気をまとって魅せ、ラスティー役の芹香は頭のキレっぷりとユルさが絶妙。初演の新人公演でも同役を演じたふたりの息はピッタリだ。ダニーの妻テスを演じのトップ娘役星風まどかも、洗練された知的な女性を表現。ベネディクト役の桜木みなとは、表情や佇まいで繊細にヒールなキャラクターを作りこんでいる。ほか、カジノのディーラーやマジシャンなどの多彩なキャラクターを、個性豊かな宙組生が好演。個々の魅力、そして組としての魅力が存分に味わえるステージとなっている。兵庫公演は5月27日(月)まで上演中。その後、6月14日(金)から7月21日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは5月19日(日)より一般発売開始。取材・文:黒石悦子
2019年04月26日2017年に京都で2か月間の期間限定公演として関西初演を果たした劇団四季のミュージカル『ノートルダムの鐘』が、大反響を受けて再び京都劇場に登場する。初演から主人公カジモド役を務めるひとり、飯田達郎に作品の魅力を聞いた。劇団四季「ノートルダムの鐘」チケット情報原作は「レ・ミゼラブル」でも知られる世界的文豪ヴィクトル・ユゴーの代表作のひとつで、15世紀末のパリを舞台に繰り広げられる愛の物語。ノートルダム大聖堂の鐘楼に住むカジモド、大聖堂大助祭フロロー、警備隊長フィーバス、そしてこの3人が同時に愛してしまうジプシーの娘エスメラルダを中心に展開し、人間誰しもが抱える“明と暗”を繊細に描き出している。カジモドは醜い容貌からノートルダム大聖堂に閉じ込められ、いつも自由になることを夢見ながら鐘突きとして日々暮らす青年。初演から200回以上カジモドを演じている飯田は自分とカジモドがどんどん重なっていくと語る。「最初に台本を読んだときにカジモドと僕の間にあった曇りガラスみたいなものが、次第にスーッと消えていき、ピタッと重なることがあった。カジモドは身体的にも障害があって、その表現も難しかったのですが、今となっては顎を曲げて歌ったほうが高い声が出たり、普段の生活でもカジモドの気持ちで考えたりと、役が染み付いています(笑)。初演から一緒に作品に携わってきた尊敬する先輩の芝清道さんからは、“一生に一役はピタッとハマる役がくる。それがカジモドなのかもしれないね”と言っていただき、すごくうれしかったですし、それを信じてもっといいものを作っていきたいと思います」。現在は名古屋で上演中だが、その開幕前には海外のクリエイティブスタッフが来日し、ブラッシュアップ稽古を行った。特に、フロローとカジモドの関係性がよりリアリティを持ったものになったという。「父親代わりでもあるフロローの暴力性がより際立っています。最初はそんなフロローに従順だったカジモドが、エスメラルダと出会い、自分の意思で愛する人を守ろうと行動する。最初に絶対的な力の差を見せることで、物語が進んだときのカジモドの成長や、フロローの幼稚さがより浮き立つようになったんじゃないかなと思います」。宿命とどう向き合うのか、他者を認めることができるか。美と醜、愛と欲、善と悪など、相反する特徴を持ったキャラクターたちが織りなす人間ドラマに、さまざまなメッセージが込められている。「何をもって“人間”とするか、淘汰される人たちは何をもって“怪物”とされるか。エンディングを迎えるまでは、登場人物それぞれが自分の正義を貫き、歪みを生み出してしまうこともありますが、最後には、他者同士が理解し合って、分かり合える温かい未来がくると願おうという曲があり、救い、希望、祈りなどの思いが込められている。領土、宗教、肌の色など、さまざまなものの違いで争いが起きる世界。そういうものを超越した普遍的なテーマを感じていただけると思います」。公演は7月28日(日)から11月30日(土)まで、京都劇場にて。4月13日(土)一般発売開始。取材・文:黒石悦子
2019年04月12日