クロエが2024年フォールコレクションのルック画像を公開しました。PHOTOGRAPHED BY DREW VICKERS/Courtesy of Chloéクロエでの旅を始めるにあたり、私は直感的にメゾンの歴史のスピリットとコードを受け入れました。私が感じ、愛するクロエ・ウーマンのソウルをキャプチャーしたいのです。私にとって、それは原点回帰を意味し、Karl Lagerfeld(カール・ラガーフェルド)による1970年代のクロエのコレクションのような、メゾンにとって正に決定的な瞬間に焦点を当てることでした。PHOTOGRAPHED BY DREW VICKERS/Courtesy of Chloéメゾンの創業以来、クロエは、ストレートかつエッセンシャル、リアルで活気に満ちた女性の視点を持ち続けてきました。それは、あなたを変身させるものではなく、ありのままの自分でいること、自分らしく生きることを可能にするものです。私の目標は、女性たちに語りかけ、誠実でパーソナルな服、流動性と構造で遊ぶシルエットであり、動きに溢れていて、無造作な感覚のある服を求める彼女たちの望みを叶えることです。PHOTOGRAPHED BY DREW VICKERS/Courtesy of Chloé今回の2024年フォールコレクションは、3月に発表した2024年秋冬コレクションの前にデザインしたものです。それはプロローグ、イントロダクション、ファウンデーションであり、メゾンを再びそのルーツに回帰させること、メゾンの新たなスタートを意味します。タイムレスかつシーズナルな表現と、クロエの持つパリジャン・スピリットがワードローブの主たるアイデアです。コアとなるのは、機能的かつオーセンティックなアウターウエア、メゾンのルーツと深く結びついたケープ、クロエのDNAに深く刻み込まれた、流れるようなシルエットのシグネチャーブラウス、サルトリアテーラリング、アイコニックなデニム、ニットウエアです。アクセサリーは、70年代のブーツ、クロッグ、ウェッジ、そして、使い込むほどに味わいが増すよう天然なめし革とパティーヌ加工を用いたエモーショナルなバッグが、メゾンの新たなアイコンとなります。ジュエリーには、メゾンのアイロニックなアイコンであるパイナップルや馬、バナナといったモチーフが登場します。PHOTOGRAPHED BY DREW VICKERS/Courtesy of Chloéルーツへの回帰は、ウエアにフォーカスをしながらも、ウエアだけではなく、シルクモスリン、ジョーゼット、シルクジャカードからコットンギャバジン、レースやギピュールから、柔らかくしっとりとしたレザーまで、クロエの特徴的なファブリックのライブラリーに関するものでもあります。また、Gaby Aghion(ギャビー・アギョン)の愛するロゼやコニャック、ニュアンスホワイト、ブラックから、タンやベージュの繊細なシェードまで、様々なカラーパレットを探求しています。PHOTOGRAPHED BY DREW VICKERS/Courtesy of Chloéクロエ・ウーマンには親近感と爽やかさがあり、それは私にとって今も、そしてこれからもずっと重要なものです。彼女の鼓動、自然な美しさ、輝き、本能的なエネルギー-彼女は絶え間なく進化を続けています。着飾ることは、人生で経験する様々な変化を通して、自分自身を発見することです。女性として私たちは進化し、クロエも私たちとともに進化する。再出発とは、過去をやり直すことではなく、そのスピリットを今に持ち込むことなのです。PHOTOGRAPHED BY DREW VICKERS/Courtesy of Chloé私は、女性が今日、どう感じたいかを先取りしたいと思っています。クロエ・ウーマンに、ありのままの自分自身でいることを実感して欲しい、そして、クロエのスピリットとバイタリティに触れて欲しいです。それは、喜び、直感、自由に満ちたワードローブで、私たちの相反するもの、矛盾するものすべてをとらえることなのです。PHOTOGRAPHED BY DREW VICKERS/Courtesy of Chloéクロエについてクロエは1952年、エジプト生まれのパリジェンヌ、ギャビー・アギョンによって設立されました。彼女は、レディ・トゥ・ウエアのパイオニアとして、当時のフォーマルなファッションから女性を解放しました。真の先見の明を持ったギャビー・アギョンは、女性は自分らしくあるべきだと信じていました。今日、クロエはフランスを代表するラグジュアリーファッションメゾンとなり、シェミナ・カマリのクリエイティブ・ディレクションのもと、自由な精神を持ち合わせたフェミニニティとエフォートレスという創業者のビジョンを継承しています。シェミナ・カマリについて1981年ドイツ生まれのシェミナ・カマリは、ロンドンのセントラル・セント・マーチンズ芸術大学でLouise Wilson(ルイーズ・ウィルソン)教授のもと、ファッションの修士号を取得しました。彼女は、クロエでの長期在籍を含め、20年以上のキャリアを積んでいます。Phoebe Philo(フィービー・ファイロ)のチームの一員としてメゾンでのキャリアをスタートさせ、その後2012年にClare Waight Keller(クレア・ワイト・ケラー)のデザイン・ディレクターとしてクロエに復帰しました。最近では、2016年からサンローランのAnthony Vaccarello(アンソニー・ヴァカレロ)のウィメンズ・レディ・トゥ・ウエアのデザイン・ディレクターを務め、2023年10月9日、カマリはクロエの新クリエイティブ・ディレクターに就任しました。
2024年04月24日兵庫県・淡路島から出航している「うずしおクルーズ」を運営するジョイポート淡路島株式会社は、2024年4月20日(土)~5月31日(金)「こいのぼりクルーズ」を初開催いたします。子どもたちの健やかな成長を願って、元気な鯉のぼりを揚げるのは、この時期ならではの家族の楽しいイベントです。うずしおクルーズ遊覧船に掲揚された鯉のぼりが、地域住民をはじめ観光客の方々もその景観を楽しんでいただき、季節の風物詩として地域の名物になるよう願っています。また、年間を通じて最大級の渦が発生する「春の大潮」シーズンを迎えております。この機会に日本で見られる世界一の自然現象である渦潮を、淡路島うずしおクルーズで体験してください。家族の絆、渦潮と共に未来へ力強く泳ぎます■背景子どもの健やかな成長を願って、「こいのぼり」を飾ってあげたいと考えるパパ・ママは多いと思いますが、最近では、住宅の事情などで目にする機会が減ってしまったため、鯉のぼりを揚げる時期や理由などを知らない人も増えているのではないでしょうか。子どもたちに美しい日本の原風景や昔ながらの行事を旅先では届けたい、そんな想いから企画しました。■概要期間:2024年4月20日(土)~5月31日(金)まで日時:うずしおクルーズ運航時(雨天・荒天中止)場所:兵庫県南あわじ市福良港(道の駅福良)内容:うずしおクルーズ遊覧船に色とりどりの鯉のぼりを掲揚しております。春の風を受けて大空を舞う泳ぐ姿は圧巻。家族の絆を深める機会として、渦潮と共に渦巻く感動をお楽しみください。■「こどもの日」限定のスペシャルイベント1. 抽選で「職業体験・キッズ船長になろう!」をプレゼント子どもたちに普段はなじみの少ない旅客船に乗船する機会を提供し、職業体験を通じて子どもたちが船や海に親しみを持つきっかけとなり、理解を深めてもらうことなどを目的として実施いたします。開催日: 2024年5月5日(日)10時00分~12時15分頃集合場所: 南あわじ市福良港うずしおドームなないろ館3階(道の駅福良)所要時間: 2時間15分(乗船時間含む)対象: 小学生(3年生以上)のお子様と保護者様定員: 小学生5名と保護者様(上限15名)体験内容: 操舵室で船長の仕事にチャレンジ。子どもたちの知的好奇心を刺激するプログラムをご用意しました。応募締め切り: 2024年4月25日(木)【ご注意】・乗船料は別途必要です。公式ホームページより5月5日(日)10時50分発便をご予約ください。・安全上の理由からお子様だけでの乗船はできません。・その他、詳細は応募ページをご確認ください。・応募ページのみの受付となります。2. RIB(リジットハル・インフレータブル・ボート)でお見送り欧米で人気のあるRIBに鯉のぼりを掲揚。遊覧船に並走する出港イベントをお楽しみください。(雨天・荒天中止)3. 風車をプレゼント乗船する子どもたちに桟橋で風車をプレゼント。大空を泳ぐ鯉のぼりと共にお楽しみください(無くなり次第終了)■淡路島うずしおクルーズのオススメポイント・乗船者満足度は95%以上(自社アンケート/回答者数 19,200名/回答期間 2023年1月~2023年12月/5段階評価で4点以上が95.7%)・淡路島観光地ランキングNo.1(じゃらん.net、Google、Tripadvisor/2024年2月20日時点/自社調べ)・観潮船で唯一の船上ガイド:渦潮を観るだけではなく、史跡や景観、旬の食材や近隣の観光情報など今しか聞けない情報が満載です。【基本情報】淡路島から世界最大級の渦潮を「咸臨丸」「日本丸」の大型帆船で体験する約1時間のクルージングです。営業日・出航時間 : HPにて要確認料金 : 中学生以上 2,500円、小学生 1,000円、幼児 大人1名につき1名無料場所 : 南あわじ市福良港うずしおドームなないろ館(道の駅福良)(出典元の情報/画像より一部抜粋)(最新情報や詳細は公式サイトをご確認ください)出典:プレスリリース
2024年04月16日ミルク(MILK)の2024年夏コレクションが発表された。“架空の〇〇”を表現今シーズンのミルクは、ガーリーでシックな雰囲気漂うコレクションを展開。架空のカフェや新聞といったモチーフを採用し、暑い夏でも思わず笑みが零れてしまうようなアイテムを提案する。“不思議な缶”を散りばめたドレス注目は、外国の缶ドリンクをパロディした“不思議な缶”モチーフのドレス。飲むと真実を話してしまう“Tulip Truth”や、意中の人と両想いになる“FiZZ”など、『不思議の国のアリス』の“ドリンクミー”のエピソードを着想源に、遊び心に溢れた架空のドリンクをドレス全面に散りばめた。ドリンクは、スーパーマーケットやビールの売り子であるバドワイザーガールから購入するもの。そこで、“おもてなし”というキーワードに着目し、ドレスやスカートのデザインにコンパニオンモチーフを落とし込んだ。ブルーとホワイトを基調にしたドレスはその好例。フロントにフリルやゴールドのボタンを配し、ウエストはベルトでマークした、ガーリーな印象を与える1着だ。“チェリーの物語”を綴った新聞モチーフとあるチェリーにまつわる物語を散りばめた、架空の新聞柄にも注目したい。銃の弾が尽きた猟師が代わりにチェリーの種を使って鹿を撃つと、鹿からチェリーが生えてしまった...といったブラックジョークを意識した童話風の話が綴られている。“MILK”のロゴやさくらんぼの絵柄と合わせて、ワンピースやスカートに施されている。夏にぴったりなセーラーカラーセーラーカラーは、夏に欠かせないマリンスタイルの定番。今季は「アンニュイサマー(Ennui Summer)」をキーワードに、きらきらと眩しい夏の日差しを感じながらも、どこか気だるげな雰囲気を併せ持ったアイテムが登場する。たとえばショート丈のワンピースは、ふんわりとしたパフスリーブやスカートが魅力的。ドレープを多めにすることで、クールになりすぎないガーリーな1着に仕上げている。
2024年04月14日株式会社クルーズプラネット(本社:東京都千代田区 代表取締役社長:小林 敦)は、2024年4月13日(土)に名古屋駅そばのウインクあいちで、世界の主要なクルーズ会社を一堂に会したイベント「クルーズフェスティバル名古屋2024」を開催します。本イベントでは主要クルーズ会社のセミナーやブース、特別講演、カジノ疑似体験など、クルーズ旅行の魅力を存分にお楽しみいただけます。クルーズに興味をお持ちの方から、クルーズファンの方まで幅広い層にむけてのイベントとなり、変化のスピードが速いクルーズ旅行の最新情報をお届けいたします。当日は那覇に寄港中のクイーン・エリザベスからのLIVE中継も予定しています。イベントサイトURL MSCベリッシマ<イベントの概要>開催日:2024年4月13日(土)時間 :11:00~17:00会場 :ウインクあいち 8F(愛知県産業労働センター)入場料:無料(入退場自由)<イベントハイライト>・セミナークルーズについて、各船会社のプレゼンテーション・ブース世界の主要船会社、航空会社、港湾関係など各ブースで最新情報とご相談受付・相談エリア当日限定特別商品の予約受付、初心者から上級者までの船旅アドバイス・講演クルーズライター上田寿美子氏によるスペシャルトーク・クルーズオークションその場限りのクルーズ即売会・大抽せん会クルーズ旅行も当たる!?大抽せん会・擬似クルーズ体験グラスタワーやカジノ疑似体験・展示PUNIP cruisesさんによる「船の絵コーナー」・ライブ中継当日那覇港寄港中の「クイーン・エリザベス」船上LIVE中継クルーズ疑似体験!グラスタワー ※2019年開催時の様子セミナー会場では各社の最新情報を ※2019年開催時の様子<メインステージセミナー>開始時間 講演・イベント内容11:00 オープニング11:05 初めてクルーズのすすめ11:35 ロイヤル・カリビアン・インターナショナル12:05 MSCクルーズ12:35 プリンセス・クルーズ13:05 エミレーツ航空13:35 バイキング・クルーズ14:10 クイーン・エリザベス船上ライブ14:20 キュナード・ライン14:45 クイーン・エリザベス船上ライブ中継14:55 オーシャニアクルーズ、リージェントセブンシーズクルーズ15:35 コスタクルーズ16:05 クルーズライター上田寿美子さんスペシャルトーク16:30 大抽せん会16:55 閉会のご挨拶<サブステージ>11:05 セレブリティ・クルーズ11:35 キュナード・ライン12:05 オススメ地中海・エーゲ海クルーズ12:35 ノルウェージャンクルーズライン13:05 クルーズ博士の新造船講座13:35 ホーランド アメリカ ライン14:05 プリンセス・クルーズ14:35 カーニバル・クルーズ・ライン15:05 クルーズクイズ大会15:35 クルーズオークション※参加企業や登壇順、イベント内容は変更になる場合があります。最新情報はホームページをご確認ください。※クイーン・エリザベス船上ライブ中継について、通信環境エラーの際は事前録画をご視聴いただきます。<船内見学会の参加者募集!>クルーズフェスティバル名古屋2024来場者限定で「ノルウェージャン スピリット」船内見学会の参加者募集します。実施日時:10月3日(木)11:00~13:00開催場所:金城ふ頭(予定)募集人員:30名様(応募書多数の場合は抽せん)数々の船会社のブースでご相談も ※2019年開催時の様子主催:株式会社クルーズプラネット協賛企業・団体:コスタクルーズ、MSCクルーズ、ノルウェージャンクルーズライン、ロイヤル・カリビアン・インターナショナル、カーニバル・クルーズ・ライン、プリンセス・クルーズ、キュナード・ライン、オーシャニアクルーズ、リージェントセブンシーズクルーズ、ルフトナークルーズ、バイキング・クルーズ、ホーランド アメリカ ライン、セレブリティ クルーズ、エミレーツ航空、名古屋港、神戸港、沖縄県、DREAMBEER、MARUKO、KAGOME■クルーズフェスティバルとはクルーズ専門旅行会社クルーズプラネットが船旅周知の機会として2017年に始めたイベント。会場には世界の主要船社が集まり、各社の最新情報など船旅に必要な情報をプレゼン形式で発表。船社ブースも設けることから、直接お客様が船社に質問できる機会ともなっている。クルーズ未経験の方から、クルーズファンの方々まで幅広くクルーズの魅力を知っていただくことを目標としている。■クルーズプラネットについて日本国内の名高い「飛鳥II」を始めとする日本船や、世界のカジュアル客船からラグジュアリー客船までの幅広い客船を取り扱うクルーズ専門旅行会社。20年を超える歴史を通じて、お客様に高品質なクルーズ体験を手頃な価格でご提供してきました。乗船経験が豊富なスタッフが在籍し、クルーズの基本から最新のトレンド情報まで幅広くサポートします。また、格安航空券を活用したパッケージツアーや、特別なチャータークルーズの企画・実施も得意としています。株式会社エイチ・アイ・エスのグループ会社として、旅行の新たな可能性を日々探求しています。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年04月10日ミヤオ(MIYAO)の2024年秋冬コレクションを紹介。内に秘めた“何か”を表現大胆なチュール使いが目を惹く今季のミヤオ。しかしデザイナーの宮尾史郎は、視覚的な要素よりも先に「内に秘めたものを表現しようと思った」と語る。情熱なのか、愛なのか、哲学なのか、その実態を宮尾自身は積極的に追及しようとしない。“着る人と共鳴する”というブランドテーマのもと、その答えはファッションを楽しむ人々に託されているのかもしれない。たっぷりとしたチュール使いふんわりとフェミニンな表情を見せるナイロンチュールは、カーディガンやショートパンツ、スカートなど多様に用いられた。ニットカーディガンは、首周りにナイロンチュールを配したデザインのほか、フロントやスリーブなど部分的にナイロンチュールを付け加えたスタイルも見られる。チュールで生み出す大胆なフラワーモチーフまた、ナイロンチュール素材のみで製作されたトップスやロングスカートも登場。カーディガンと同じく装飾としてあしらわれたナイロンチュールは、ふんわりと立体的な花の形をかたどり、内側で燃える何かを放出するかのような、エネルギッシュな印象を与えている。フェミニンかつリラクシングに一方、フェミニンでありながらリラクシングな雰囲気を放つディテールが散見されたのも今季の特徴と言える。たとえば、リボンをあしらったワンピースやビスチェには、アセテートサテンを採用。絹のように心地良い肌触りと、絶妙な光沢感が魅力だ。また腰元のベルトをリボン結びにして着るコートは、落ち感のあるドロップショルダーに。特にショート丈のダブルブレストコートでは、肩に細かいギャザーを施すことでよりゆったりとしたショルダーラインを生み出していた。落ち着いたパレットで際立つ温度感カラーは、ブラックを中心にキャメルやブラウンなど、秋冬らしい落ち着いたパレットが主流。前述した涼しげなライトブルーのアセテートサテンのほか、情熱的なレッドのナイロンチュールに包まれたスタイルが、今シーズンのベーシックなカラーに、温度感のあるアクセントを添えていた。
2024年04月09日アクオド(ACUOD)の2024年秋冬コレクションが、2024年4月5日(金)、東京・南青山にて発表された。ランウェイには、バンド「フィアー・アンド・ロージング・イン・ラスベガス(Fear, and Loathing in Las Vegas)」のSo(ソウ)、ダンスボーカルグループ「バディーズ(BUDDiiS)」の岡本聖哉がスペシャルモデルとして登場した。魔法の世界を着想源に2024年春夏シーズンにブランド名を「アクオド」に改め、新たなスタートを切ったとき、そのテーマとしたのが、映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』であった。そして、「florescence(開花)」を掲げた今季は、「エンドゲーム」の先にある新たな世界への到達、自己の発見を表現することを試みたという。今季、具体的に着想源となったのが、映画『ハリーポッター』、アニメ『ブラッククローバー』や『マッシュル』である。いずれの作品も、魔法をめぐる物語で共通しているといえる。いわば、魔法という新しい世界への出発である。こうした雰囲気のなか、コレクションの軸となるのは学生を彷彿とさせるプレッピースタイルであり、テーラードコート、Vネックベストやカーディガン、シャツ、スラックスなどを展開している。プレッピーアイテムを軸としつつ、カラーリングはモノトーン、デザインはミニマルという、都会的な雰囲気を基調としている。色彩感を抑制したブラックとホワイトで全体をまとめつつ、テーラードコートやミリタリージャケットはオーバーサイズ、Vネックベストやシャツはロング丈と、ミニマルさゆえにシルエットを際立てつつ、パンツは長短ともに取り入れるなど、コーディネートで丈感のリズミカルな交錯を引き出した。とはいえ、デザイン性を極度に削ぎ落とすのではなく、随所にポイントとなるディテールも取り入れいるといえる。たとえば、フォルムを変え、レイヤードを引き立てるファスナーは、ボンバージャケットのスリーブ、ロング丈のベストやフーディのサイドなど、随所に取り入れられている。また、モノトーンがベースにありながら、魔法の世界を彷彿とさせるグラフィックも、ビスチェやネクタイといった細部に用いられた。ところで、着想源として挙げられた作品は、主人公に元来魔法の力が欠けていたことで共通すると言えそうだ。それは、今季のアクオドの鍵となっていたように思われる。実際、デザイナーのチャヌは、『ブラッククローバー』の主人公アスタの「諦めないのがオレの魔法だ」というセリフに共感を覚えたという。魔法の能力を持たないアスタが、自らの努力と決意で自身の力を開花するところに真の魔法を感じたチャヌにとって、新たな世界へと赴く「魔法」とは、誰にでも潜在するものであったはずだ。
2024年04月08日郵船クルーズ株式会社(本社:横浜市西区、代表取締役社長:遠藤 弘之)が運航する客船「飛鳥II」(50,444トン)が6年ぶりに「世界一周クルーズ」に出港します。今回のクルーズは、飛鳥クルーズとして通算23回目の世界一周となり、2024年4月5日(金)に横浜、4月6日(土)に神戸を出港し、アジア、南アフリカ、ヨーロッパ、北米大陸、そしてカリブ海、太平洋を経て7月13日(土)に横浜、7月14日(日)に神戸に帰港する横浜発着、神戸発着各100日間の船旅です。船内でゆったりとお過ごしいただいているうちに、リスボンの「発見のモニュメント」やニューヨークの「自由の女神」、ホノルルの「ダイヤモンドヘッド」など、憧れの名所が眼の前に現れるのも世界一周クルーズならではの醍醐味です。ご乗船のお客様には、人類最大の偉業ともいわれる大西洋と太平洋をつなぐパナマ運河の通航シーンもお楽しみいただきます。「飛鳥II」でしか体験できない世界中を暮らすように過ごせる100日間がいよいよスタートします。出港に先立ち、横浜市港湾局、神戸市港湾局による出港セレモニーが以下の通り予定されております。先着800名様に飛鳥クルーズオリジナルうちわとステッカーをプレゼントいたします。(各港各800部配布予定)【出港セレモニー(横浜港)】日時 :2024年4月5日(金)11:30~場所 :横浜港大さん橋国際客船ターミナル屋上 新港側出港式次第:11:30 セレモニー11:40 横浜市消防音楽隊による演奏12:00 出港【出港セレモニー(神戸港)】日時 :2024年4月6日(土)13:35~場所 :神戸港中突堤旅客ターミナル出港式次第:13:35 セレモニー13:45 神戸市消防音楽隊による演奏、神戸市消防艇による歓送放水14:00 出港※セレモニー開始時刻・内容は変更になることがあります。※当日の撮影をご希望の方は、横浜市港湾局、神戸市港湾局までお問合せください。飛鳥クルーズは、日本のお客様のライフスタイルや嗜好に合わせたクルーズを提供。現在日本籍最大の客船 「飛鳥II」で、約100日間の世界一周クルーズやアジア・オセアニア方面の海外ロングクルーズ、日本の夏祭りを巡るクルーズ等多岐にわたる航路を展開、2025年には新造客船「飛鳥III」の就航を迎える。“本物との出会いと感動を伝える”ことをブランドコンセプトに、飛鳥クルーズでしか得られない“最幸の時間”を創出し、日本のクルーズ文化の発展を目指しています。船籍 :日本船籍港(母港):横浜港総トン数 :50,444トン全長 :241m乗客数 :872名乗組員数 :約490名客室数 :436室(全室海側)飛鳥II 2024年世界一周クルーズ 参考資料■航海スケジュールAコース 2024年4月5日(金)~2024年7月13日(土) 横浜発着100日間Bコース 2024年4月6日(土)~2024年7月14日(日) 神戸発着100日間航海スケジュール■旅行代金旅行代金自由の女神と「飛鳥II」リスボンと「飛鳥II」 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年04月04日ジュン アシダ(jun ashida)の2024-25年秋冬コレクションが、2024年3月29日(金)、東京・六本木のグランドハイアット 東京にて開催された。メゾンの“あるべき姿”に立ち返るコレクション1963年のメゾン創立以来、日本のプレタポルテを常にリードしてきたジュン アシダ。「メゾンの創立60周年を経た今、改めてジュン アシダの"あるべき姿"は何かと考えた。あえてテーマは決めず、メゾンの核に触れるショーができれば。」デザイナー・芦田多恵のそんな言葉通り、今季は"高品質かつエレガント"というジュン アシダの服作りの主軸に立ち返る、原点回帰的なコレクションとなった。凛とした女性像まずは、ピンストライプを配したグレーのスーツからスタート。無駄のない細身のジャケットに、流れるようなシルエットのトラウザーを合わせたルックは、社会で活躍する凛とした女性の姿を思わせる。マニッシュな佇まいでありながら、淡いピンクの差し色とピンヒール、大きく胸元を裂いた肌見せによって、女性特有のやさしさや官能性も忘れてはいない。クラシックな色使い中盤からは、秋冬らしい深みのあるクラシックカラーがコレクションを彩った。紅葉を思わせる鮮烈なレッドや熟れた果実のようなオレンジ、稲穂のゴールドに、くすみがかったグリーンやブルー。渋さを孕みながらも、そのどれもが古臭くなく、堅苦しくなく、高品質な素材との相乗効果で洗練されたムードを奏でる。シアー素材をドッキング卓越した職人の技術に裏打ちされた、繊細な生地使いにも注目したい。中でも目を惹いたのが、肌を透かすレースと、ドット柄のシアー素材をドッキングさせたフェミニンなドレス。レース部分には、モデルの歩みに合わせて煌めくラメ糸を織り込んでおり、妖精の衣装のように儚げでロマンティックな表情を演出している。水面のような光沢を湛えてコレクションは終盤に向かうにつれ煌びやかさを増し、しっとりと光沢を湛えたサテンパンツや、メタリックな輝きを秘めたシルバーのオールインワン、そして星屑のように煌めくブラックのノーカラージャケットなどが提案された。フィナーレには、水面のような煌めきを纏ったシフォンのスリーブに、眩いばかりのスパンコールを繋ぎ合わせたアシンメトリーなドレスを披露。歩くたびにシアーなヴェールがしなやかに波打ち、うっとりするほど優雅にショーを締めくくった。
2024年04月01日タオ(TAO)は、2024-25年秋冬コレクションを、2024年3月27日(水)に発表した。優しくハッピーな気持ちを「白」で表現「ハピネス」をテーマに据えた今季は、優しく前向きな気持ちを「白」のカラーで表現した。「白」という色の持つ柔らかさやイノセントなイメージ、光そのもののような明るさがクリエーションに投影されている。多彩な「白」を見せる素材使い多彩な「白」の表情が、素材使いにより引き出されている。風合い豊かなシワ感の縮絨ウールのジャケットや、刺繍を施したウールコート、繊細な花柄レースを用いたワンピース、エレガントな花柄ジャカードのキルティングコート、ハリのあるシャツなど、それぞれの持つ「白」の色合いと質感を生かしたピースが披露されている。毛糸で花の絵を描くように仕上げたエンブロイダリー生地のトップスやスカートは、柔らかな浮遊感をまとって軽快な佇まいを演出する。異素材を切り替えたパッチワークドレスは「白」でグラデーションを生み出した。また、チェック柄のマリンスーツは生地の「白」と合わせたトーンで柄を施し、“無地”であるかのようなミニマルさを見せている。「黒」の劇的なコントラストまた、「白」と対照的な色である「黒」のピースが、コレクションに劇的なアクセントをもたらしていた。白のブラウスに合わせた黒のスカートや、黒のキルティングアウターなど、コントラストを効果的に効かせることで、「白」の明るさや澄んだイメージを際立たせている。可憐な装飾中綿素材で作ったハートを逆さにしたモチーフや、布地をぎゅっと集めて立体的に象った花の装飾が、チャーミングさや可憐さを演出している。ルックの印象を華やかに変化させるつけ襟も、クロシェ編みや刺繍を施したデザインなど多数登場していた。前シーズンに続きパトリック(PATRICK)とコラボレーションしたスニーカーには、ポンポンの装飾をプラス。ポンポンは取り外し可能になっており、着こなしにあわせ服にカスタムして楽しむこともできる。晴れやかにドレスアップドレスアップした装いが、晴れやかなムードを描き出していたのも印象的だ。デザイナーの栗原たおはクリエーションにあたり、“幸福の瞬間”から連想される要素の1つとしてウェディングドレスを思い浮かべたという。ダーツやギャザーによる緩急、立体的なパターンメイキングによる分量感により、ふんわりと空気を含むように仕上げたドレスやコート、セットアップが提案されている。小花模様の浮かぶ断ち切りの中綿素材で仕立てたドレスや、幾重にも生地を重ねて仕立てたボリュームのあるスカート、オーガンザやレースなど透け感のある生地を重ねてケープのようにまとったルックが、あたたかくも神秘的な存在感をまとっていた。
2024年03月30日ケイスケヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)の2024-25年秋冬コレクションを紹介。16年間通った立教学院が舞台今季のケイスケヨシダは、デザイナー・吉田圭佑が小学校から大学まで16年間通った立教学院が舞台。卒業した今でもなお、“大学で留年する夢を見る”ことから、茫洋とした不安や自信のなさを抱えていた学生時代を回顧したコレクションを完成させた。そして、深い思い入れのある立教大学 池袋キャンパスにて、ランウェイショーは幕を上げた。スクール ユニフォームを着想源に今季を体現するのが、吉田が学生時代に毎日着ていた制服に着想したルックだ。テーラードジャケットをはじめ、スクールセーターやパンツ、スカートといったスクールウェアを、オーバーサイズかつアンバランスにアレンジすることで、洗練されたルックへと昇華。中でも、細い身頃と太い袖を組み合わせた前傾姿勢のシルエットは、劣等感を感じていた学生時代の自身の姿を表現している。コレクション全体を通して、ネクタイやセーラーリボン、ランドセルなど学生を象徴する小物を取り入れているのも印象的。また、大学時代を共に過ごした児玉耀によるファッションブランド・フルス(fluss)とコラボレーションしたマフラーも披露された。聖歌隊や司祭服のクリスチャン要素さらに、キリスト教に基づいた教育を行う立教学院の校風を思わせるウェアも見逃せない。牧師が身に着けるブラックのマントや、首元まで隠せるサテンシャツ、ニットのロングカーディガン、真っ赤なポンチョといった礼拝堂の聖歌隊や司祭服からインスパイアされた衣服がランウェイで存在感を発揮していた。象徴的なパープル学生服に着想した、ブラックやグレー、ベージュ、ホワイトといったベーシックなカラーパレットを主に採用。そこに立教学院を象徴するパープルのサテンシャツやベロア生地のロングコート、鮮烈なレッドのセットアップなどの鮮やかな色彩が、大胆なアクセントを加えていた。
2024年03月27日兵庫県・淡路島岩屋港発の「明石海峡大橋クルーズ」を運営するジョイポート淡路島株式会社は、2024年4月~5月の7日間限定で「淡路島西海岸サンセットクルーズ」を開催いたします。淡路島西海岸で夕陽を堪能する75分のクルージングでは、プロの演奏家による船上ライブも楽しむことができます。現代社会の喧騒から解放する絶景と音色に包まれる特別な体験。ご自身へのご褒美や大切な方との思い出を綴る時間にご利用いただければと思っております。イベント概要開催日:4月13日(土)、20日(土)、27日(土)5月4日(土)、11日(土)、18日(土)、25日(土)出航場所:兵庫県淡路市岩屋1414-3(岩屋港)定員:150名出航時間:17時50分~18時25分(日により出航時間が異なります。申込ページでご確認ください。)所要時間:75分■料金乗船料:中学生以上 4,000円、小学生 2,000円、幼児 無料特典:就航3周年記念オリジナルグッズ、船内コーヒーサービス■申込方法WEB予約(クレジットカードによる事前決済)、空席があれば当日券購入も可能です。■見所(1)「日本の夕陽百選」に選ばれている淡路島西海岸の夕陽水平線や瀬戸内海の島々の間に夕陽が隠れる瞬間は、言葉では表せない美しさです。(2)プロの演奏家による船上ライブPASONAグループの地方創生プロジェクト「音楽島」のメンバーがバイオリンとピアノの生演奏を披露します。(3)明石海峡大橋のライトアップ世界最大級の吊り橋「明石海峡大橋」もライトアップされます。真下を通過する時の迫力と興奮は船上ならではの醍醐味です。【基本情報】世界最大級の吊り橋の明石海峡大橋や淡路島西海岸の景色を楽しむクルージングです。全便に船上ガイドが常駐し、船からの景観や、淡路島の歴史、旬の観光情報などをお届けし、知的欲求も満たすことができます。営業日: 公式ホームページをご確認ください。出航時刻: 1便目 11:00発、2便目 13:30発、3便目 15:30発料金: 中学生以上 2,500円、小学生 1,000円、幼児は大人1名につき1名無料、WEB予約は200円割引出航場所: 兵庫県淡路市岩屋港(タコステ前)(出典元の情報/画像より一部抜粋)(最新情報や詳細は公式サイトをご確認ください)※出典:プレスリリース
2024年03月26日ユキ トリヰ(YUKI TORII) の2024-25年秋冬コレクションが、2024年3月19日(火)に、東京・晴海トリトンスクエアにて発表された。“新しい自分”に出会える服「年齢に関係なく自分が好きなものを着て欲しい」デザイナー・鳥居ユキのそんな想いからスタートした今季は、フォーマルなモノトーンのジャケットスタイルからフェミニンな花柄ドレス、スポーティなジャージのセットアップまで、テイストの異なる多彩なスタイリングを提案。身に纏えば“新しい自分”に出会えるような、自由で遊び心に満ちたルックを披露した。奥深い光沢のブラックサテンコレクションは、奥深い光沢に心惹かれるブラックサテンからスタート。カラーにファーを配した艶やかなシングルブレストジャケットに、流麗なサテンスカートを合わせたオールブラックのファーストルックは、“強い女性像”を打ち出すモダンな佇まい。箔プリントのニットや、ビジューが煌めくクラッチバッグのみずみずしい煌めきが、軽やかなアクセントとなっている。オーガンジーが透けるパッチワーク毎シーズン人気を博しているパッチワークは今季も健在だ。とりわけ目を惹いたのが、ブラックのオーガンジーの上に、カジュアルなウォッシュデニムや、格子の大きさが異なるチェック柄のパーツを繋ぎ合わせたロングスカート。歩くとサイドのスリットからオーガンジーが透け、フェミニンな表情を演出する。“だまし絵プリント”のケーブルニットノルディック柄のケーブルニットは、よく見ると編み目がプリントされた“だまし絵”デザイン。重厚感のある見た目に反して、実際は薄手のカットソーとなっているので、本物のケーブルニットであれば着ぶくれしてしまいそうなモヘアニットベストやジレとの秋冬らしいレイヤードも、どこかすっきりと軽やかな印象だ。エレガントに解釈した迷彩エレガントなコレクションにカジュアルな風を吹き込む迷彩柄にも注目。ジャカード織の迷彩柄ニットブルゾンは、グリーン、ブラウンに加えてゴールドのラメ糸を織り込むことでスポーティーな迷彩のイメージをエレガントに再解釈。ボトムスには、シアーなシフォン素材のプリーツスカートを合わせ、さらにフェミニンに引き寄せた。“水の上を流れる花々”を表現毎シーズン、テーマを決めて展開している花柄のアイテム。今季は「フローイングフラワー」をイメージして、ロングドレスやパジャマパンツに彩り豊かなフラワープリントを施した。繊細なスパンコールを配したブルーのニットは煌めく水面を、ボトムスに配した赤や青のフラワープリントは水の上を流れる花々を思わせる。
2024年03月22日ピリングス(pillings)の2024-25年秋冬コレクションが、2024年3月18日(月)、東京・池袋の自由学園明日館にて発表された。宮沢賢治を出発点に隙間風の音がふとやむと、鐘の音が響き渡る。あたりがまばゆい光りに包まれると、ショーの幕が開けた。ピリングスの2024年秋冬コレクションの出発点となったのは、詩人であり童話作家の宮沢賢治。彼の作品や思考に見られるような、「わからないものをそのままに、不思議なものは不思議なまま楽しむ心」にヒントを得て、「創造することへのきっかけ」をコレクション内に落とし込んだ。“銀河のような柄”そんな今季のファーストルックに採用したのは、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を彷彿とさせるような“銀河のような柄”。宮沢賢治のことをふと考えるきっかけとなった夜行バスでの記憶をもとに、夜行バスのシートが流れ星に見えたことから採用した柄だ。夜行バスが駆け抜けるように、コレクションの幕開けを知らせるルックとして、似たような絵柄をあしらったニットを立て続けに登場させた。“気付きを促す”モチーフさて、今季大切にしているのは、定義づけたモチーフを知らしめるのではなく、見た人が創造するきっかけになるモチーフ並びにルックを提示すること。「何かに見えるな」という気づきを与え、思考を促すのだ。たとえば、ニットカーディガンなどに散りばめられたエンジェルを模した装飾は、見る者の想像力を掻き立てる。まるでエンジェルたちが浮遊しながらニットを編んでいるようにも見えるし、宮沢賢治の作品に描写される天使を元にしているのだろうと思いを巡らせることができるなど、様々な解釈が可能だ。無論、ここで述べていることが正ではない。ふっくらと歪なシルエットシルエットにも言及したい。度々登場し目を引いたのは、ウエストに大きな膨らみを持たせたパンツだ。ドレープがもたらすその形状は、「どこか嫌な布のかたまり」を表現。おさまりの悪さやわだかまりを抱えているかのような、そんなネガティブな感情を表している。なおこれらのアイテムは、前シーズンの“自分をぎゅっと包み込むようなニット”に連動して考案されたシルエットになる。力強く重厚感溢れるレザーコートデザイナーの村上亮太にとって、レザーコートは念願であり満を持した新鮮な試みとなった。重厚感のあるブラウンのレザーには、宮沢賢治の『よだかの星』に登場する“実にみにくい鳥”を焼き印であしらった。強靭な翼と鋭い口ばしまでもが再現されたアートとなっており、コート全体で力強さを放っていた。
2024年03月21日ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)の2024年秋冬コレクションが発表された。今季のビデオプレゼンテーションにおいても、2022年秋冬シーズン以来に続いて、音楽はダムタイプ(DUMB TYPE)の山中透による。夢という不可能性の空間「ぼくはその罠/夢であることを知りながら夢を/つい見てしまう/自分で自分にしかける奇妙な手品に/むしろ自然に/むしろ快く/ひっかかってゆく/──鏡の中にはいり込むのだ」──今季のドレスドアンドレスドは、デザイナーの北澤武志が見た夢を着想源としているという。それならばここで、清岡卓之の詩篇「ほぐれてくる昏睡」のこの一節にあるように、鏡の中の空間へと──それが夢であると知りながら──降りていってもいいだろう。ジークムント・フロイトに従うのならば、夢とは、欲望の充足である。しかし夢の中において、充足は快楽として表出することはなく、逆に夢を見る人の抑圧、検閲を受ける。こうして否認が働くため、夢の中では、欲望は自分の望まぬものとして表れる。その人の記憶を素材としつつも、ある要素が置換を受けたり、複数の要素が集まってひとつのイメージを作ったりすることで、夢はさまざまな記憶からひとつの物語を紡ぎだす。夢が往々にして非現実的な空間を織りなすのは、このためだといえる。光沢を帯びたシルクが凝固する──時計が溶解するサルバトール・ダリ的なイマージュにも比せられる、北澤の夢。柔らかな織物が固まるという、この矛盾。それは今季、凹凸感のあるハンマーサテンを用いたテーラリングとして表現されている。ワイドスラックスであれば流麗に波打つ、この柔らかなファブリックはここで、構築的なフォルムに仕立てたテーラードジャケットへと固化されているのだ。夢とはこのように、どういうわけか相反するものがともに成り立ってしまう、言うなれば不可能性の空間である。この空間は、しかし、北澤の夢にあってはある種の温かみを帯びている。白い布団に包まれる夢──端正に仕立てられたドレスシャツは、一見するときわめてフォーマルに思えるものの、しかし中綿が閉じ込められている。襟は硬く、しかし身体を包み込むボディやスリーブは柔らかい。そこには、硬さと柔らかさばかりでなく、覚醒時のドレッシーさと睡眠時のリラクシングさという矛盾もまた具現化されている。そして、夢の中であるモチーフが執拗に回帰するかのように──あるいは、鏡の空間の中のように──テーラリングは異なる素材で反復される。シングルブレストとダブルブレストのジャケットは、ハンマーサテンばかりでなく、ハリとドレープに秀でたウールギャバジン、ほどよい起毛感を持つコットンモールスキンで繰り返される。あるいはダブルブコートにおいては、首回りのシャツカラーが、トロンプ・ルイユのように白さを添える──あたかも、2022年秋冬シーズンのシャツカラーの記憶が、突如露わになるかのように。さて、睡眠中には欲望の充足が夢として表れるものの、目覚めているあいだは、夢に代わって幻想がその役割を担うことになる。今季のドレスドアンドレスドが、空想・幻想を意味する「Rêverie」をテーマとしたのは、夢のイマージュを、身にまとう衣服として具現化することを試みたからだといえる。それではなぜ、鏡の空間へと──夢が夢であると知りながら、むしろ自然に、快く──降りてゆくのか。イマージュとは、なるほど論理的には「不可能性の空間」に湧き起こるものの、主観的には、自らの自我を示し、存在を確立するものである。ならばドレスドアンドレスドにおいて、衣服とは、目覚めたままに見る夢の謂いにほかならなかったであろう。
2024年03月20日ソウシオオツキ(SOSHIOTSUKI)の2024年秋冬コレクションが、2024年3月16日(土)、東京の渋谷ヒカリエにて発表された。記憶と変奏「good memory」と題された今季のソウシオオツキは、洗練された佇まいのなかに、その裏側を仄めかすようなノスタルジックな表情が蠢くようである。たとえば、テーラリング。コレクションの基調となるジャケットは、端正なセットインショルダーとボクシーなシルエットで仕立てつつ、ラペルには裏地とポケットをあらわにすることで、奥深く眠っていた記憶に微かに光をあてているかのようだ。内側を曝けだす──それは、文字どおり衣服の表側と裏側を反転できるリバーシブルのウェアに、いっそう豊かにあらわれているといえる。ジャケットには、シルエットを作る曲線的なパターンやライニングの切り替え、内ポケットなど、衣服の構築性を内側から支える構造上の要素が、反転というひとひらの操作によって、造形性へと転換されていることが見て取れる。記憶とは、ある時の出来事が時を経て現れるものであり、あるいは過去を振り返ってみて事後的に立ち現れるものであるというように、必ず過去と現在──そして、未来?──を架橋するという、時間のアナクロニズムに棹さすものである。だから、バルカラーコートやテーラードジャケットなど、ドレープ感のあるファブリックを用いつつ、その分量を多く取ることで、さながら余韻を残すような、リラクシングな佇まいに仕上げられている。こうして、過去から現在に立ち現れる衣服は、原型とは異なる表情を帯びよう。ダブルブレストのスーツは、ハリのあるウールから一転し、光沢とドレープに秀でたファブリックへ。ショルダーも、些かドロップさせることで、テーラリングの構築性をリラックスさせているといえる。あるいは、デニムジャケットやデニムパンツは、グラデーションを帯びた表情に仕上げ、さながら経年変化を帯びたような佇まいへと昇華した。このように、テーラリングを基調とするクラシカルな佇まいのなかに、日本的な要素を随所に見て取ることができるように思われる。着物を彷彿とさせる、ショルダーの直線的なパターンやカシュクール風の前合わせは、その例だろう。あるいは、神社のしめ縄を彷彿とさせるディテールをあしらったニットやタッセル、光沢のあるシャツにのせた極彩色の花鳥など、洗練されたウェアにアクセントを添える装飾的な要素としても取り入れられている。
2024年03月19日チョノ(CHONO)の2024-25年秋冬コレクションが、「楽天ファッションウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」期間中の2024年3月16日(土)にオンライン形式で発表された。私のスタンダードは何か?今季掲げたテーマは「MY STANDARD」。あらゆるスタイルやカテゴリーが存在する中で“私のスタンダードは何か?”を探し求めた。無限大の選択肢があるこのファッションの世界では、ひとつの正解に辿りつくのが正しいとは限らず、探し求め続けることが大切なのではないか。そしてその先には、きっと自分にとっての至高のスタンダードがあるはずだからと。エレガンスへの熟考全体を俯瞰してみれば、決して派手に取り繕うのではなく、あくまで日常のありのまま、自分が好きなもの、気になるものを少しずつ取り入れたような印象を受ける。その中でまず目を留めるべきはエレガントなスタイルへの熟考。チュールテープとグロッシーな糸を組み合わせたファンシーツイードは、フーディー付きの軽いコートとふんわり広がるフレアのスカートのセットアップに仕立てられ、エレガントとカジュアルの“いいとこどり”を叶えた。また、タフタや二重織の生地には、オスカー・ワイルドによる短編小説「幸福な王子」に着想を得た宝石とツバメのモチーフをあしらって、遊びごころを加えた。エレガントなドレス、あるいはパディングのボリューミーなマフラーといったラグジュアリーを基盤にしているから、可愛すぎることはなく、程よくチャーミングな女性像も滲ませている。クラシックがもつ魅力の探求思い切りヴィンテージ、あるいはクラシックに振り切ってみるのはどうか。モノトーンのコントラストを意識したワンピースは、スカラ刺繍のカフやパールによって、そのムードを醸し出す。チュールでもパニエでもなく、スカートにレイヤリングされたフェザー調のジャカードは、新鮮な提案のひとつだろう。マニッシュなスタイルへの挑戦マニッシュなスタイルへの探求も忘れることなく、リラックスなシルエットのダブルジャケットとセンタープレスが効いたワイドパンツのスタイルも展開。使用した凹凸感のある星のトッド柄のファブリックからは、ほんのり愛嬌も感じられた。また、繊細で透け感のあるシアージャガードを用いたフェミニンなセットアップは、襟を立てたジャカードによって“かっこよさ”がプラスされている。
2024年03月19日ハイク(HYKE)の2024-25年秋冬コレクションが、楽天ファッション・ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)期間中の2024年3月15日(金)に発表された。40年代のアーミースタイル服飾史や古着などをデザインソースとして、テーマを設けずにコレクションを展開するハイク。今季は、1940年代から50年代に見られた米軍のシャツやパンツ、ジャケット、ヴィンテージのトレンチコートなどを着想源に、ハイク独自のエッセンスを加えたコレクションを提案していく。フェミニンに昇華特徴的なのが、ミリタリーウェアをフェミニンに昇華させている点。かっちりとした生地とミリタリーカラーを用いながら、ウエストベルトでボディラインを際立たせたり、ベアトップのビスチェでレイヤリングを叶えることで、エレガントなムードを演出している。また柔らかな生地をたっぷり使用し、空気をはらんだようなロングワンピースや、ミリタリーパーカーの上にボア付きニットを重ねたルックも登場した。ビューティフル・シューズとのコラボもビューティフル・シューズ(BEAUTIFUL SHOES)によるコラボレーションアイテムも必見。スクエアトゥのミュールサンダルと、前シーズンで披露されたサイドゴアブーツの筒丈を長くアップデートした新作が展開される予定だ。また、ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)とコラボレーションしたトレイルランニングに特化したプルオーバーパーカーやトラックパンツ、チャコリ(CHACOLI)とのレザー製ナップサックなども散見された。ベーシックトーンに彩りをカラーパレットは、ブラックやホワイト、グレー、ミリタリーカーキといった落ち着いた印象のベーシックトーンを採用。歩く度に揺れるオレンジニットのセットアップや、温かみのあるレッドコーラルのロングコートがコレクションに彩りをもたらしていた。
2024年03月18日マリメッコ(Marimekko)の2024-25年秋冬コレクションが、2024年3月15日(金)に、東京国立博物館 表慶館にて発表された。マリメッコ初、東京でのコレクション発表フィンランドを代表するデザインハウス・マリメッコが、ブランドを代表する定番柄「ウニッコ」の誕生60周年に合わせて、東京コレクションに初参加。ベーシックで実用的なシャツやドレス、デニムをキャンバスに、マリメッコらしい豊かで大胆な柄をのせて、喜びに満ち溢れたコレクションを展開した。60周年を迎える「ウニッコ」柄が主役ショーは、DJの生演奏による陽気な音楽と共に幕開け。まずは本コレクションの主役である「ウニッコ」柄のピースがランウェイを彩る。単に「ウニッコ」といってもその表現方法は実に多様で、たとえば花のモチーフを立体的に貼り付けたスカートや、花を大きく拡大して配したニット、あるいは小花柄のようにプリントしたパファージャケットなど、バリエーション豊かな手法で解釈された。ミニマルな服に楽し気な柄をのせてノースリーブのミニドレスやノーカラーブラウス、ストレートデニムなど、シルエットは全体を通して至極ミニマル、かつ実用的な印象。だが窮屈さは一切なく、その大胆な柄使いによって、ワークウェアがむしろ無邪気で楽しげなムードを醸し出している。ハリ感のあるヘビーウェイトのジャージードレスに「ウニッコ」柄を目一杯描いたルックはまさに、"個性的でありながらタイムレス"を体現したルックと言えるだろう。“揺れる”幾何学柄円を斜めに並べたような幾何学柄のワンピースも目を引いた。この円のモチーフは、胸元に配した何層もの縦のプリーツによって、角度によって歪んで見えるのがユニーク。モデルの歩みに合わせて柄が揺れ、トリックアートのような視覚効果を生み出している。穏やかなカラーパレットカラーはホワイトとブラックをベースに、秋冬らしいボルドーやベージュ、くすんだペールブルーといったカラーを織り交ぜているのが特徴。あくまで落ち着いたパレットにまとめられており、会場である表慶館の伝統的かつクラシカルな雰囲気と違和感なく溶け合っていた。「ウニッコ」モチーフを配したレザーバッグ最後に、コレクションを彩るバッグにも注目。今季は「ウニッコ」モチーフを立体的に配したレザーバッグが、スクエアシルエットのポシェットとミニサイズのバゲット型で登場した。
2024年03月18日コウタグシケン(Kota Gushiken)の2024-25年秋冬コレクションが2024年3月12日(火)、渋谷ヒカリエ「ヒカリエホール」にて発表された。初開催となるショーのテーマは「整理整頓」“Take knit easy!(気楽に行こう)”をモットーに、糸の新たな可能性を紡いでいるニットウェアブランド・コウタグシケン。2019年秋冬コレクションのデビュー以来、『モナリザ』やゴッホの『星月夜』など美術作品をデザインソースとするユニークなデザインと、自然体かつ抜け感を演出する編み手法で注目を集めている。そんなコウタグシケンのショーが初開催。今季のテーマはパリでの展示会に向け、目まぐるしく日々を過ごしたデザイナー・具志堅幸太が、この半年で唯一行った「整理整頓」だ。学生時代からの過去作品を振り返り、自身が苦手な整理整頓に取り組んだ“organiseid well”のコンセプトのもと、ブランドの自己紹介となり得るコレクションを展開する。芸人・ピースの又吉&好井がステージ上へホールに足を踏み入れると、“まるで展示会の会場”のようなステージが目に留まる。ショーは、芸人・ピースの又吉直樹と好井まさおとの電話からスタート。2人がステージ上へと現れ、“現在進行形の電話である”と観客は知ることとなった。そして、ステージにて開催されている今季の展示会へ参加し、2人のテンポの良い漫才とともにニットウェアを紹介していく。過去の自分との対峙今季のムードを体現しているのが、過去の自分を見つめ直し、再解釈したルックたちだ。たとえば、具志堅が大学の卒業制作として手掛けた“モナリザ”モチーフのニットウェア。モナリザを色濃く描いているのが特徴の定番モチーフだったが、今季はニットの配色と合わせ、明るいグリーンをメインに淡い色合いでまとめている。イギリスの伝統的なファッションブランド・ジャミーソンズ(Jamieson’s)とコラボレーションしたセーターも、前シーズンに続いて登場。袖と襟口以外は裏地を使用するという、斬新なフェアーアイル柄セーターをベストへとアップデートさせた。またブランド設立当初から創作してきた、“ざっくり編み”の鮮烈なレッドニットはポンチョへ変身。トップスとして着るのはもちろん、セーターやコートの上からすっぽり被るスタイリングも可能だ。1つのアイテムで多彩な着こなしを楽しめるのが、コウタグシケンの人気の理由といえるだろう。思いのままに具志堅が「最も挑戦的だった」と語るスカジャンは、“オーガナイズしきれなかった”ウェアの1つだ。自身の思いの矛先が向くままに、ニットを自在に編み上げて完成したという。イタリア製のキラキラ輝く糸を用い、表はブラック×ベージュ、裏はロゼカラーのリバーシブル仕様なのもポイントだ。さらに、1940年代のスーツを着想源にしたダブルジャケットとパンツのセットアップも披露。ニットならではの厚い生地感と、温かみのある雰囲気を纏うことができる。アーカイブ作品とともにカーテンに投影された今季のルック画像を見ていると、「グシケン…シケン…」のノイズが段々大きくなり暗転。カーテンが開き、コウタグシケンのアーカイブ作品が多数吊るされたステージにて、バンド・酩酊麻痺の歌唱が始まり、ライブ終了に伴いショーも幕を閉じた。
2024年03月18日ミスターイット(mister it.)は、2024-25年秋冬コレクションを2024年3月15日(金)に発表した。デイリーウェアにクチュールの要素を"HAUTE COUTURE FOR EVERYDAY LIFE"を掲げた今季。コートやジャケット、白シャツ、デニムパンツなどのデイリーウェアをベースにしつつ、ミスターイットの得意とするクチュールライクなエッセンスを織り交ぜたピースの数々が展開されている。構築的な仕立てベーシックなコートやテーラードジャケット、シャツワンピースはケープを重ねた二重構造に仕上げ、ドレスはペプラムとドレープを効かせるなど構築的な仕立てが目を引いた。デニムパンツは裾にボリュームを持たせ、脚の後ろでギュッとギャザーを寄せることでドレッシーな印象に仕上げている。しなやかなシルエット一方、柔らかくしなやかなデザインも散見されている。ナチュラルなベージュのオーガンザを重ねたスカートや、アウターの裾から長く伸びるチュールのトレーンなど、透け感のある素材で軽やかに仕上げたルックが登場。スモーキーなレッドのポンチョも、身体に馴染みつつ流れるような佇まいを見せる。また、白シャツには曲線的な前立てを重ね、裾のラインも曲線的に。後ろ裾にはたっぷりと生地を使い、歩くとふわりと空気を含むようなシルエットが優雅な余韻を残していった。華やかさをもたらすスカーフアイコニックなスカーフを用いたルックも多数登場。日々の着こなしにポイントとして用いられるスカーフが印象的に取り入れられることで日常の風景を思い起こさせ、スカーフが"毎日の中で華やかに装う"というテーマを象徴する役割を果たしていた。ベージュのジャケットに切り替えとして差し込まれたり、コーディネートのアクセントとしてタイツに柄を落とし込んだり。様々な柄を配置したスカーフのドレスや、落ち着いた色味のスカーフを用いたジャケットもまた、存在感を放っていた。立体ハートや三つ編みなどプレイフルにこの他にも、遊び心あふれるディテールが特別感を演出する。多くのルックで胸元を飾っていた“COUTURE RHYTHM”ロゴ入りのバンドは、どこか装いに緊張感をもたらすパーツとして機能していた。また、立体的なハートを連ねたドレスやストールはインパクトとともにプレイフルなムードを漂わせ、襟から伸びる三つ編みはベストやドレスの後ろ姿をチャーミングに装飾。洋服をかけたハンガーをバッグに見立てたチェーンバッグも、コーディネートのアイキャッチなアクセントとして用いられていた。
2024年03月18日ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)の2024-25年秋冬コレクションが、東京・国立競技場代々木第一体育館で発表された。ファッションが紡ぐ“物語性”ここ数シーズン、装飾を抑えたミニマムなコレクションを展開してきたミキオサカベだが、今季は打って変わってデコラティブなムードに。「プロダクトとしての機能性だけでなく、個人の記憶や思い入れと紐付く“物語性”を表現したい」というデザイナー・坂部三樹郎の思いから、装飾的でモードなファッションが数年ぶりに復活した。プレーンなルックからスタートまず登場したのは、ホワイトを基調としたプレーンなルック。これは先シーズンまでのミニマムなイメージを踏襲しつつ、今まで発表してきたアイテムを進化させたもの。“経年劣化”からインスピレーションを得てショルダー周りにほこりのようなディテールを施したジャケットなどがその一例だ。極端なシルエットと装飾「ファッションで物語を見せる」という坂部の言葉通り、ショーが進むにつれてアイテムの雰囲気ががらりと変化していく。個々のアイテムに向ける“ミクロ”な視点よりも、コレクション全体の流れを強く意識した“マクロ”な視点でクリエイションを展開する姿勢は、今季も健在のようだ。中盤に入ると、極端なまでにシルエットを誇張した存在感のあるルックが次々登場した。たとえば、引きずるほど裾を長く伸ばしたロングドレスは、袖も“超ロング丈”に。肩回りのシルエットもふっくらと立体的に強調して、身体と洋服のミスマッチさや違和感を際立たせる。グラウンズ(grounds)とコラボレーションした“ぷっくり厚底”のスニーカーもまた、誇張されたクリエーションを加速させる。スパンコールや光沢素材で煌びやかにさらに色調も、後半に向けて秋冬らしいマスタードやブラウン、ブラックといった重厚感のあるトーンへと移行。そんなダークトーンを活かして、ジャケットやパンツには夜空に輝く星のようなスパンコールたっぷりと装飾した。このほかにも、光沢素材をストライプ状に配したピエロ服のようなセットアップや、シルバーの星が煌めくパンツなど、煌びやかなアイテムが多数お目見え。モデルたちの顔に施されている、“ミラーボール”のようなメイクアップも印象的だ。ドラマティックな物語のフィナーレ次第に派手に、過剰になっていく衣装たち。ドラマティックな物語のフィナーレを飾るのは、プリーツにフリル、異素材ドッキングと、デコレーションの要素をこれでもかと詰め込んだボリューミーなドレスだ。たっぷりと布を湛えたスカートは、歩みとともに風を孕んで、コレクションのラストに相応しい存在感を放っていた。
2024年03月17日ミューラル(MURRAL)の2024-25秋冬コレクションが、2024年3月14日(金)に東京の代々木体育館にて発表された。削ぎ落とした先に浮かび上がる“純粋さ”ミューラル 2024-25秋冬コレクションの出発点となったのは、“純粋とは何か?”という漠然とした問い。それに対して、デザイナーの村松祐輔と関口愛弓は、“削ぎ落とした先に、浮かび上がってくるもの”であるという1つの答えを、衣服をもって提示する。夜のやさしさに包まれる純粋さを追い求める中で、ミューラルは“夜”に出会ったという。必要なものだけが存在し、必要な明かりだけが灯される夜。そんな夜を題材にした作品として、キース・ジャレットによるピアノソロアルバム「The Melody At Night, With You」がある。妻・ローズへの愛情と慈しみに満ちた彼の調べは、人間が持つ“愛する人と共にありたい”というまさに“純粋”な想いを呼び起こす。愛する人と共にこうした思考の中で、コレクションのテーマとして「WITH」が掲げられた。純粋な夜の中に浮かび上がる清らかな感情。その輝きは、デコラティブな装飾ではなく、無駄なものを削ぎ落とし洗練させることによって表現される。闇夜をうつしてファーストルックは、まっさらな濃紺の空をうつしたかのようなネイビーブラックのロングコートと端正なテーラードのレイヤードスタイル。生地の素材感や仕立てのクオリティが引き立つシンプルな品々だが、コートの中間部分には霞みがかったライトブルーやイエローのパターンが施されている。闇夜に灯されたあたたかな光が、周囲をほんのりと照らす様を彷彿とさせた。月の光が揺れる夜の暗さだけでなく、明るい部分にフォーカスしたルックも登場。流線的なドレープ調のドレスは、光沢感のある白いマテリアルが無垢な清光のように輝く。同じくホワイトカラーのアイテムでは、複数の箇所にボタンが配され、かけ方を変えれば異なる艶めきを魅せるであろうシャツやドレスが並んだ。記号的な温もり夜は空だけにあるものではない。夜景からは、人間の手による建築物の影が浮かび上がってくる。その形は無機質でありながら人間にしか作り出せないものでもあり、やはりどこか温もりのようなものが感じられる。そうした夜の人工物に見られる記号性は、キルティングによって再現。やわらかな立体感のあるベルベット素材をベースに、幾何学的なパターンを刺繍することで、相反する要素を一体の中に同居させた。これらは、スタンドカラーのアウターやフェミニンな印象を醸すキャミソールワンピース、ノーカラーのショートジャケットとして提案された。
2024年03月17日クイーン アンド ジャック(Queen&Jack)の2024年秋冬コレクションが、2024年3月14日(木)に渋谷ヒカリエにて発表された。イタリア南部世界遺産の街、マテーラでの記憶を着想源に今季のクイーンアンドジャックは、イタリア南部世界遺産の街、マテーラで見聞きし、食した記憶が着想源。マテーラには、幾重にも重なるようにして岩山を削って造った洞窟住居や洞窟レストランが点在する。そんな、クラシックさとモダンさが融合した、歴史ある街のユニークで幻想的な光景を、ブランドが得意とするスクール・スタイルにのせていく。なお今季は、新たにデザイナーに就任した富塚尚樹によるファーストコレクションとなる。“制服”をキーワードにコレクションには、“制服”という枠組みの中、スクールをモードへというコンセプトに沿うルックが登場。制服の定番スタイル、セーラー服を特徴づけるセーラーカラーは、ジャケットやロングコートなどにオン。チェック柄が目を引く、袖をレザーで切り替えたロングコートには、袖と同じくレザー素材のセーラーカラーを配した。またもともと軍服を起源としているPコートは、その原点に立ち返るかのようにミリタリー要素を強めているのが特徴。カーキにゴールドのボタン、ウエストには太めのベルトを配し、厳格で重厚な空気感をもたらした。イタリアの高級素材×チェック柄スクール・スタイルに欠かせないチェック柄にも注目したい。ツイードやウールにのせて、コレクションを華やぎをプラスした。たとえば、厚みのあるシャギービーバーの2層構造のスカートにはライトブルーをベースとしたチェック柄をあしらっている。またペプラムを配したかのようなブレザーも展開され、そこへあしらわれたチェック柄がどこかポップささえ感じさせた。ちなみに、チェック柄というと英国が有名だが、今回はイタリア・マテーラが着想源であること、またロロ・ピアーナ(Loro Piana)やカルロ・バルベラ(CARLO BARBERA)といった、メイド・イン・イタリーの高級素材を採用していることから、どこか英国らしいチェック柄とは一味違った印象に仕上げたかったと飯塚は語る。マテーラの石畳をキルティングで表現マテーラで歩いた石畳は、キルティングで表現。淡いブルーのキルティングに花の刺繍が施され、ふんわりとした裾とパフスリーブが印象的なドレスやジャケットとなって展開された。りんごをモチーフにさて、マテーラで食べたものすらもインスピレーション源となった今季のクイーン アンド ジャック。果たしてどのように表現されたのか、それはラストルックを見れば明らかとなる。マテーラのとある日、りんごのデザートを食べたことから、モデルに王林を迎え、りんごをモチーフにしたルックを作り上げたのだ。肩は焼きりんご風に、また首元にはりんごの皮を表すリボンを添え、“りんご尽くし”の1着に仕上げた。
2024年03月17日アキコアオキ(AKIKOAOKI)の2024-25年秋冬コレクションが、東京・国立代々木競技場第一体育館のバックヤードにて発表された。ユニフォームを“美しく着崩す”「服が脱げかけていたり、着崩れていたり、そんな"途中経過"にこそ美しさが宿るのではないか。」そう語るのはデザイナーの青木明子。家に帰って服を脱ぎ、肌を曝け出す──衣服という社会的記号を取り払い、解放されるそんな瞬間から、今季のインスピレーションを得たという。ベースとなるのは、社会を生きる人の“ユニフォーム"であるテーラードジャケットやワイシャツ。だがそのどれもが、セクシュアリティを伴って着崩れ、歪み、はだけている。コンクリート打ちっぱなしの会場の無機質で冷たい印象とは裏腹に、モデルたちが纏うピースは優しく穏やかな佇まいだ。“正統ではない”ドレーピングコレクション全体を通して散見されたのが、優雅なドレーピング。シャツの胸元やパンツの裾にあしらわれたドレープは、サテンやレースといったやわらかな布の動きと対話するように流れ、女性の身体に寄り添ってエレガントな表情を魅せる。これらはシルエットを形作るためにギャザーを寄せたものではなく、人の身体にのせてはじめて立体的になる作りになっているそうで、青木はこれを「正当なドレーピングではない」と表現していた。上下左右、裏表を逆にして表裏や上下が逆になったピースもユニーク。スーツはストライプのライニングをあえて表に出すことで、テーラリングが本来持つソリッドな雰囲気に遊び心をプラス。スラックスやペンシルスカートも同様に、中心をずらして歪ませたり、あるいはウエストを折り返して裏地を見せたりして、フォーマルを再解釈しているのが新鮮だ。官能的なランジェリーディテール艶やかなサテンのスリップドレスや大胆なカッティングを施したセカンドスキンのトップスなど、ランジェリーを思わせるセンシュアルなピースも登場した。肌をシアーに透かす繊細なレースのシャツは、スーツのディテールを配したタックパンツをコーディネートすることで、フェミニンとマニッシュの絶妙なバランスを保っている。シックなモノトーンのパレットカラーパレットは、ホワイト、ブラック、グレーといったシックなモノトーンカラーが中心。無彩であるがゆえに、ドレープが生み出す美しい歪みや異素材が織りなす繊細なニュアンスが、より際立っていたように思う。
2024年03月17日タエ アシダ(TAE ASHIDA)の2024-25年秋冬コレクションが、2024年3月14日(木)に六本木・グランド ハイアット 東京にて発表された。新しい時代へ汽笛の音や鳥のさえずりで幕を開けた今季のタエアシダ。ランウェイ全体を通して、あらゆる女性像にマッチする衣服を紹介し、新しい時代を作り上げていく。まず旅立ちを示唆するかのように、陽気なムードのシャツとグラデーションに染め上げたミディスカートといった軽やかな装いに身を包んだファーストルックが披露された。緩やかなシルエット今季のムードを象徴しているのが、緩やかなスタイリング。柔らかいベロア生地のボリュームスリーブジャケットには軽やかなワイドパンツを合わせ、リラクシングな印象を与えている。落ち着いたグレーのスウェットセットアップやボタンがアクセントになったタイトジャケット、チェック柄のロングコートにおいても、どこか気持ちに余裕のある“ゆとり”を感じられる。ツイード素材はエッジィに都会の喧騒や機械音がミックスされた音楽とともに、タエ アシダらしいツイード素材を用いたルックも散見された。今季はツイード生地に煌めくラメを織り込み、袖のサイドやスカートにフリンジをあしらうことで、エッジィな要素をプラス。鮮烈なレッドのショートジャケットとスカートのセットアップに加え、ブラックラメのロングコートなども登場した。輝きが揺らめくオケージョンドレスショーが終盤に向かうにつれて、段々とドレッシーなオケージョンドレスへ。とりわけ目を惹いたのは、見る角度によって多彩な輝きが揺らめくプリーツスカートだ。光沢のあるレザーを用いた青緑のワンショルダートップスと同じ模様で統一感を持たせつつ、個性的な1着へと昇華させていた。ラストルックには、胸元を大胆にカットし、Vラインに沿って羽根をあしらったブラックドレスがラインナップ。旅を経て成長し、また来季への新たな旅路につく様を表すかのように、今季のランウェイを締めくくった。
2024年03月17日ウィザード(wizzard)の2024-25年秋冬コレクションが、2024年3月14日(木)にオンライン形式で発表された。技巧的な魔術師魔術師という意味を持つウィザードが2024-25年秋冬コレクションのテーマに選んだのが、「クラフト(KRAFT)」。技能や技巧といった意味を持つその言葉は、超自然的な魔術とは対局にあるようにも捉えられるが、その一方で、ほんの少しの差異で成果物に大きな差が生じるということに思いを馳せれば、両者の繊細な空気感は呼応するところがあるのかもしれない。空気を変えるレイヤードスタイル技巧的な魔術師といったところか、ブランドが得意とするレイヤードスタイルが目を惹いた。ファーストルックはオールブラックスタイルで、重厚なレザーとボアを組み合わせたビッグシルエットのアウターを羽織っている。モデルが上着を何気なく脱いで椅子にかけると、その下に着ていたものの軽やかさに気が付く。ボリュームを持たせたアームがまるで空気を含んだように見えるシャツや、動くたびに裾が揺れるアシンメトリーなスカート。同じブラックという色味を共有しながらも、まったく印象の異なるアイテムが一体の中に同居する様は、さながら魔術のようである。そして同時に、計算しつくされたそれは技巧といって良いのだろう。混沌のパッチワーク複数のトップスを繋げたようなパッチワーク風のセーターからは、異なる性質がひとところに集まろうとするカオスが醸し出される。右半身は秋冬らしいイエローブラウンのハイネックセーターかと思えば、左半身は網目がボーダーを織りなすグレーのニット。異素材たちがざっくりとした太目の糸で繋ぎとめられ、さらに、どこかから拝借してきたかのようにフリンジやニットフリルが配されている。この混沌とした状態に心地よさを感じるように、モデルは音楽を聴きながら横たわっている。穏やかなシルエット気取らないリラクシングなシェイプも、今季特筆すべきポイント。“KRAFT”の文字を配したTシャツや、糸でサイドラインを施したトラックジャケットのセットアップなどは、実際の体よりも大きくみせるはずのビッグシルエットを、肩に落ち感を持たせることでその存在感を和らげ、やわらかなムードに昇華している。また、スポーティーな印象のアウター類には、襞襟のように装飾的なディテールやバルーンスリーブを加えたり、裏地にやわらかなファーを採用したりすることで、品や余裕を感じる穏やかな表情にまとめあげた。
2024年03月17日フォトコピュー(PHOTOCOPIEU)の2024-25年秋冬コレクションが、2024年3月14日(木)に渋谷ヒカリエ「ヒカリエホール」にて発表された。日常に潜む美東京ファッションウィークへ初参加となったフォトコピュー。今季の着想源は、北欧デザインの巨匠、アルヴァ・アアルトとその妻アイノだ。女性が働くのに多くの障壁があった時代、アルヴァを献身的に支えるアイノの姿に、デザイナー・竹内美彩は心を打たれたという。これを服に置き換えると、それぞれの労働にあったワークウェアは、人々に寄り添う一種の“オートクチュール”と言えるのではないか。そんな仮説を基に、日常の暮らしの中に埋もれてしまっている美を見つけ出すため、衣服を着る者の職業や性格といった具体的な人物像をイメージした“ペルソナ”に落とし込んだ。「世界のどこかにいる誰かのための服を作る」という竹内の想いをのせた、28体のマネキンを展示するインスタレーションが完成したのである。見過ごされがちなものへの愛竹内が目指したのは、日々の営みで見過ごされてしまったものの可視化。たとえば、ライトベージュのシンプルなセットアップには、透け感のある生地をスカートのように巻き付けたり、腰部分に“まるで枕”のようなフリル付きの布を垂らしている。また、ヴィンテージ花柄をゴブラン織で施したトップスを着た、毎週水曜日カフェにいるエミリアや、膝にポケットが付いたワークパンツを履く美容師のビルギッタなど、ルックから彼女たちの情景が思い浮かぶ。このような広く大衆的な衣服をインスピレーション源に、ハイエンドな素材を用い、絶妙なバランス感のあるルックを作り上げているのが特徴だ。生活感をプラス生活感のある小物も見逃せない。マネキンたちは、仕事用のトートバッグからカメラ型のショルダー、ワークジャケットのチャームが目を惹くポーチ、買い物の紙袋、カフェでもらったビニール袋まで、暮らしに根付いたアクセサリーを身に着けており、その実在するであろう人物をより身近に感じとることができた。生活を彩るベーシックトーンカラーパレットは、ホワイトやブラック、ダークブラウンといった生活に溶け込むベーシックトーンが主流。そこに立体レースが浮かび上がる赤のニットや胸元にシャーリングを施したロングワンピース、パープルに染め上げたデニムのセットアップなどが彩りを与え、洗練された女性像へと昇華させている。
2024年03月17日ヴィルドホワイレン(WILDFRÄULEIN)の2024年秋冬コレクションが、2024年3月13日(水)、東京・西武渋谷にて発表された。テーマは“MEMENTO MORI”。大切な“友人”に捧げるコレクションデザイナー・ループ志村にとって、最高の顧客であった女性への鎮魂歌となった今季のヴィルドホワイレン。彼女は毎日、彼のアトリエを訪ね、服が完成するまで決して帰ろうとしなかった。そんな彼女との愛しく懐かしい日々を偲ぶかのように、テーマに再生や復活という意味としての“MEMENTO MORI”を選択し、どこか儚く、それでいて力強さも感じられるコレクションを作り上げた。ボリューミーな首元首元に目線が集まるような、ボリューミーな襟やネックチューブ使いが印象的だった今季。中でも異素材を組み合わせたブラックのコートは、襟を極端に大きく設計。その大胆な襟が、目線を上へと向かわせる。さながら、天国にいる大事な人を無意識に見上げさせるようであった。バリエーション豊かなコートまた散見されたのは、様々な素材や形で提案されたコート。高い位置でウエストをマークしたレザー素材のロングコート、背面にベルトを配したシングルブレストコートなど、バリエーションは多岐にわたる。昔の記憶を表現する絵幼い頃から多ジャンルな芸術に囲まれて育ったループ志村は、コレクションアイテムに自らが描いた絵を多く落とし込んでいる。テーマともリンクするように、無意識に何かを再生させようという思いを抱きながら日頃創作活動を行っているという。今回は、一角獣のアートを採用したジャケットを展開。幼い時に絵本で見た一角獣が強く印象に残っていたと語るループ志村が、初めて描いた絵はドラゴンだった。そんな、実在しない、実際に見たこともないような“幻”を一角獣として描き出し、現実に“再生”させた。花柄モチーフ17世紀初頭、バロック美術において、“MEMENTO MORI”を表すモチーフとして花も多く取り上げらた。繊細な草花のジャカードを施した異素材をパッチワークのように組み合わせたコート、花柄ジャケット、花柄のジャカードを施したスカートなどが、そうした背景を思わせた。
2024年03月16日カナコ サカイ(KANAKO SAKAI)の2024年秋冬コレクションが、東京の渋谷ヒカリエにて、2024年3月13日(水)に発表された。ふれないできたものに向き合う「女性の乳房において愛と飢えが出会う」──精神分析を創始したジークムント・フロイトは、その著書『夢解釈』のなかでこう書いている。ひとりでは生きられない赤子、どうしようもなく助けのないこの存在は、その飢えを乳房で満たす。こうして赤子は、外部から差し伸べられた助け=愛を受け取り、他者と関係を取り結ぶことで、ようやく生きてゆけるようになる──。このストーリーを全面的に受け入れたくて、フロイトに言及したのではない。そうではなく、人との関係を織りなすうえでこうまで特権化されてしまう乳房というものこそ、今季、デザイナーのサカイカナコが、いわゆる「女性性」について考える回転扉となったからだ。「女性性」とはサカイにとって──幾分言いよどみつつも──これまで自分がふれないでおいたもの、であったという。サカイはコレクションを準備するにあたって、歴史家マリリン・ヤーロムの著書『乳房論』を手に取った。古代から現代にいたる乳房の文化をたどる同書において、乳房は赤子を養うものとして、男性に欲望されるものとして、あるいは隠すことを強いられるものとして登場する。つまり、乳房は女性のものであるはずが、つねに他者のもとにあったのだ。そしてそれは、「女性性」にも敷衍できることだろう。ヤーロムは書く──「自分の選択が実は自分本来の希望ではないことに気がつかぬまま、他の人を楽しませるために商品を選んでいる」。サカイが「女性性」を避けてきたのは、それがつねに、自分ならぬ存在によって課せられたものにほかならないからであった。だからこそ今季、サカイが試みたのは、他者の規定ゆえに遠ざけてきたものを自ら選び取り、向き合うこと。自身が得意としてきたクリーンな佇まいを軸とはしつつ、自身が苦手に思い続けてきた「女性的」な要素を取り入れることである。カナコ サカイを代表するアイテムが、洗練された佇まいのテーラリングであったり、すっとクリーンなラインを描くワイドスラックスであったりするならば、今季は対照的に、「女性的」とされてきた要素が数多く見られる。たとえば、コーンブラが鋭く突き出た、コルセットを彷彿とさせるビスチェ。ハート柄のカットアウトを施した、レザーやラメ素材のパンツ。テーラリングのフロントにあしらった、ドレスのような結び目。レースドレスのバックに入れた、大胆なカットアウト。あるいはトレンチコートやジレは、ヘリンボーンという重厚な素材ながら、レースを重ねたような軽やかな効果を醸しだす。もちろん、これまでのカナコ サカイのスタイルとは異なる要素を織り交ぜるなかにも、ブランドが重んじてきたエッセンスはたしかに底流している。たとえば、日本の職人の手仕事に支えられた素材。京都・丹後の民谷螺鈿が手がける「焼箔」の織物は、硫化し、鈍く七色を織りなす銀箔を織り込んだものであり、サカイ自身が得意とするテーラリングのロングコートや、今季を特徴付けるビスチェに用いられた。日本的なモチーフも、サカイが積極的に取り入れてきたものであった。今季はたとえば、ネクタイ、ブーツやミュールに用いた家紋柄・亀甲花菱を挙げることができる。六角形の伝統的な文様を採用しつつも、それをメタリックなきらめきへと昇華することで、ロックなスタッズを彷彿とさせる力強い表情を生みだしていると言えるだろう。あるいは、焼箔が織りなす曖昧なグラデーションも、偶然的な表情を愛でる日本的な感覚のあらわれであったはずだ。ところで、サカイは今季の製作に、草間彌生の身振りを重ねている。よく知られるように草間は、無数の突起物を生やした作品を手がけてきた。それは、自らが育った環境ゆえに刷り込まれた、性は隠すべきものだというファルスへの恐怖心を、ひたすら作品を作ることで克服しようとすることにほかならない。それならばサカイのコレクションとは、自分のものでありながら自分のもののようではなかったものを、自らなぞり直す試みであったのだ。
2024年03月16日ジョウタロウ サイトウ(JOTARO SAITO)の2024年秋冬コレクションが、2024年3月13日(水)、東京・表参道にて発表された。テーマは「日陰のプリズム(PRISM IN THE SHADE)」。陰翳が生む美しさ日本の伝統美とは、薄暗い灯りすなわちその陰翳の美しさから成り立っていると論じた谷崎潤一郎による「陰翳礼讃」。ジョウタロウ サイトウのモノ創りの一片にもあるという「陰翳礼讃」を、今季のテーマ「日陰のプリズム」として再解釈とアレンジを加え、現在におけるキモノのスタイルとして提案する。フラワーシルエットテーマに如実に沿うのは、光に充てられ生まれるドライフラワーのシルエット。どこか薄暗さを思わせるブラックとグレーをメインに彩られた着物に、縞模様と共にまるで影を落としたかのような柄に仕上げている。日陰のプリズム日陰の中でプリズムが生まれたかのような柄も目を惹く。ボカシの技法により、イエローやピンク、ミントといった光が、分散、屈折、全反射、複屈折したかのような様子を表した。なお帯は、ブラックとホワイトでシンプルに、フラワーシルエットをあしらっている。リアルクローズとしてリアルクローズとしてのキモノ・スタイルを提案するジョウタロウ サイトウは、日常着でも着れるよう、着物にフードを合わせたルックを展開。フードを目深に被りランウェイに現れたモデルは、まるで太陽を忍ぶように顔をフードの中に隠していた。光と陰を表す色彩光あるところには陰があり、陰あるところには当然光がある。ブラックやグレー、ネイビー、ボルドーといった落ち着いたカラーと相反するように、ヴィヴィッドな色彩も登場。プリズムボーダーと題したオレンジとブルーのボーダーがイエローの生地の上で映える1着は、鮮やかに周りを照らし、周囲に陰を生むかのような存在感を放っていた。
2024年03月16日