ananフェムケア連載「Femcare File」。今回は、“アイドル×健康課題”をテーマにした書籍を発表し、話題を呼んだ振付師の竹中夏海さんにお話を伺いました。振付師として10年以上、多くの女性アイドルと関わってきた竹中さんが感じた、自分らしい不調との向き合い方とは?低用量ピルに出合って生理中の生活が一変。’21年にアイドルと生理などタブー視されていたトピックを扱った著書『アイドル保健体育』を発表した振付師の竹中夏海さん。この本を書いたきっかけは?「生理の時に白い衣装を着るのが不安だったり、ステージでは気を張っているけど終わった瞬間、倒れ込んでしまう子がいたり…。振付師として10年以上、女性アイドルたちの不安や不調に直面して、モヤモヤが溜まりに溜まっていたんです。彼女たち自身も、支えるスタッフも、応援するファンも正しい知識を持ったほうがいいと感じ、アイドルを取り囲む人たちの中で抜け落ちていた生理についても可視化させたいと思いました」ある意味、アイドルの“生々しい部分”を書いた内容を、ファンはどう受け止めたのだろう。「ネガティブな反応はまったくありませんでした。むしろ『しんどい思いをしてほしくない』と、推しの健康を願う人が増えた実感があります。男性ファンには、推しにもフィジカルやメンタルのゆらぎがあるんだと知ったことで、身近にいる姉妹や職場の女性にも寄り添おうと思ってもらえたようで、本を書いた意義を感じました」本では専門家との対話を通じて、月経困難症には低用量ピルという解決方法があるといった具体的な提案もしている。実は自身も妊活中を除き、ピル服用者だという。「学生時代は貧血で倒れるほど経血量が多く、生理痛もひどい時は3日目まで家でうずくまっているような状態。PMSもこめかみを竹串で刺されているかのような頭痛があって、不調じゃない時のほうが少なかった。それでも、母も祖母も生理が重かったので、遺伝だから仕方ないと諦めていたんですけど、働くようになり自分が耐えれば済む問題ではなくなって…。生理によってパフォーマンスが下がると、人に迷惑をかけてしまう。これはいけないと思いピルを服用したら、それまでのツラさは一体何だったの!?というくらいラクになったんです。生理は我慢するものという思い込みがひっくりかえってびっくり!私自身の経験を踏まえて、痛みは我慢しなくていいし、ピルに対する偏見がなくなってほしいと思います」ピルによって月経困難症が改善し、高いパフォーマンスを保てるようになった竹中さん。自分らしく、イキイキと働くために大切感じていることがあるそう。「人に頼るってすごく大事だと思うんです。アイドルを見ていても、プロ意識が高い子ほど、周囲に相談できない。不調を訴えるとやる気がないと思われ、仕事を減らされると考えて怖いんですね。アイドルという職種に限らず、そういう空気が日本にはまだあるじゃないですか。テクノロジーの進化で解決できることもあるけど、やっぱり安心して人に頼ったり頼られたりできる雰囲気が、自分らしく働くためには欠かせない。そう思い、昨年アイドルのためのウェルネスジムを作りました。そこでは、体のメンテナンス法を学べ、臨床心理士のカウンセリングを受けることもできます。今後は、アイドルに限らず、さまざまな悩みを抱える女性が、不調と正しく向き合うために役立つ場を作っていけたらと思っています」たけなか・なつみ1984年6月10日生まれ、埼玉県出身。国民的アイドルや『ゴッドタン』のヒム子などの振付を手掛ける。2022年、所属先にかかわらず利用できるアイドル専用ジム「iウェルネス」をオープン。『anan』2023年2月1日号より。写真・YUHO取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2023年01月29日「いろいろなテーマの様々なサウンドの楽曲が生まれ、まるで短編映画集みたいと感じました。ひとつひとつを小さな穴からのぞく、みたいなイメージが浮かび、『Into The Time Hole』というタイトルにしました。聴く人が、のぞく度に夢中になれるような時間が流れていると感じてくれたら嬉しい」と松尾レミさん。収録曲11曲の中で最初にできたのは「風は呼んでいる」。ふたりの地元、abn 長野朝日放送開局30周年テーマソング。お祭り、お祝いソングではなく、きっちりGLIM SPANKYならではのグルーヴ感あふれるR&Rになっていて気持ちいい、そしてカッコいい。「どんどん新しいことに挑戦していこう、というテーマが私たちのいつもの曲作りとも合ったので、自由にやりました。『古い地図は信じない』というワードが出てくるのですが、私たちは’60年代、’70年代の文化が好きで、古いものをカッコいいとして発信しているのに、そんな相反するフレーズをあえて言う言葉の重さも込めた感じですね」(松尾さん・Vo/Gt)ほかのアーティスト同様、この2年半は思うようにライブやイベントには出られなかった。しかしその不自由をバネに、ふたりはまったく未経験のことにチャレンジ。その成果もこのアルバムの核になっている。「ミュージシャンを集めてのレコーディングが自由にできなかったので、ずっとやってみたかった《打ち込み》にトライする機会がもらえて楽しかったですね。僕らのリスナーは、生演奏が聴きたい人が多いので、めっちゃ打ち込みに対するハードルが高いんですよ(笑)。試行錯誤しながらですが、CDとして出せるレベルにはブラッシュアップできていると思います」(亀本寛貴さん・Gt)生演奏にこだわるアナログ派でバンドマンイメージな亀本さんが、パソコンを駆使して打ち込みサウンドを存分に使用したことにもびっくりしたけど、片や松尾さんもデビュー8年目にして初体験、なことが。今まで頑なに使わなかった《イヤーモニター》(歌声や演奏を直接聴ける、耳に装着するモニター)ではじめてライブを行った。歌へのアプローチも変わったようだ。「ライブ会場でのコンサートができなかったので、配信ライブをすることになって。観てくれる人に、できる限り本当のライブに近いクオリティで届けたくて、イヤモニにはじめてチャレンジしました。いざ使ってみたら、歌がぐっとリアリティを持って聞こえるんです。表現ももっと感情的にとか、もっとガッといこうとか、こだわって歌ったりする場面も多かったですね。その経験がアルバム制作にも、すごく反映されていると思います」(松尾さん)打ち込みとかイヤモニとか、専門用語が登場したけど、ふたりの果敢なチャレンジまでもが入った新作で、変化した歌声とサウンドをじっくり味わいたくなった。この挑戦を経てさらに成長したライブツアーも決定。生のステージでふたりの熱いパフォーマンスが見たい!6th Album『Into The Time Hole』。新曲「形ないもの」ほか11曲収録。【初回限定盤(CD+DVD)】2020年に開催した初のオンラインLIVEの模様を収録。¥5,170【通常版(CD)】¥2,970(UNIVERSAL MUSIC JAPAN)グリムスパンキー松尾レミ(Vo/Gt)、亀本寛貴(Gt)のロックユニット。松尾の力強いハスキーボイスとブルージーな亀本のギターで多くの人の心を掴んでいる。11~12月に全国ツアーも開催。※『anan』2022年8月10日号より。写真・YUHO取材、文・北條尚子(by anan編集部)
2022年08月08日