日本人に多い「過剰適応」とは?精神科医・名越康文先生が解説
昨年から今年にかけて、人気女性アナウンサーや女優たちが、自身の“黒い感情”を次々とさらけだすと、「闇キャラ」と称され話題になった。容姿にも恵まれ、地位や収入面でも成功したと思われる立場にあっても、自分の存在意義が見いだせない、人生にむなしさを覚える、などと感じる彼女たちの心の内に驚かされると同時に、ネット上でその発言を支持する声の多さから、「心の闇」を抱える人たちが多く存在することも浮き彫りとなった。
「“心の闇”は、もはや特殊なケースを指す言葉ではなくなっています。しかし、けっして軽傷というわけではない。うまく表現ができないだけで、そうとうな苦しみを抱える人の数は増えていると思います」
そう語るのは、精神科医の名越康文先生。「心の闇」という言葉は、’97年(平成9年)の神戸連続児童殺傷事件を機に世に広まったが、20年以上たった現在はその意味合いも変わり、普通の人が“普通に”心に抱える“生きづらさ”を指すことが多いという。
「自分では気に留めていないつもりの小さな苦しさが積み重なり、いつの間にかパンク寸前まできて、自分でも抑えられなくなってしまった、という状態が近いかもしれません。