握れない、つかめないとなる前にやるべき「握力トレ」
そして運動機能が衰えると、“フレイル”に陥ってしまいます」(横山先生・以下同)
フレイルとは、日本老年医学会が提唱した概念で、健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことをいう。
フレイルのリスクを軽減するために、順天堂大学医学部健康スポーツ室が考案したのが「長生き部屋トレ」だ。
「大学病院の健康スポーツ室が医学的エビデンスに基づいて開発したトレーニング法で、元々はスポーツ室を利用している方たちに向けて、自宅でも安全に行えるようにと体操を動画で公開したのがきっかけです。健康寿命(医療や介護に依存しないで自立した生活ができる生存期間)を延ばすカギを握るのは『脚の筋力』『バランス力』『柔軟力』『握力』の4つ。長生き部屋トレではこれらを鍛えることを目標としています。シンプルな動作ですが、週2〜3回、無理のない範囲で続けることで、やった分だけ体に変化が表れてきます」
筋肉は30歳前後をピークに衰えてくる。40歳以降では、運動習慣がないと年1%の割合で減少していく。手首から肘につながっている前腕筋は「握る」「投げる」「指を動かす」など手の動きに欠かせない筋肉だ。