インフル大流行のなか「せき止め」が在庫不足に…解消は来春以降か
医療機関で処方される薬のうち在庫不足が顕著なのは、せき止め薬のメジコン、アストミン、痰を切る薬のムコダイン、感冒薬のPL配合顆粒、抗生物質などです」
ここ数年の新型コロナの流行や、今シーズンのインフルエンザの流行が例年よりも早くに始まったことなどが供給不足の一因となっているのは明らかだ。さらに「日本の医薬品の製造体制に根本的な問題がある」と坂巻さんは言う。
「相次いで発覚しているジェネリック医薬品メーカーの不祥事が挙げられます。’20年末に小林化工が製造した水虫の薬に睡眠薬の成分が混入し、服用した2人が亡くなる事故があり、ジェネリック事業から撤退しました。続いてジェネリック最大手の日医工が、出荷段階で不適合の製品を、本来の手順に従わずに再製造するなどして出荷していたことが発覚。最近では、今年10月に沢井製薬で胃薬の品質検査において不正が発覚しました。ジェネリックメーカー以外でも査察や内部告発が相次ぎ、15社に業務停止命令の行政処分が下っているのです。当然、問題のあった製品の出荷は停止されています」
そのような状況だからといって、同じ成分の薬を製造しているメーカーに不足した薬の注文が殺到すれば、製造ラインがパンクしてしまう。