遊ぶ力を伸ばすおもちゃと奪うおもちゃ【保育士おとーちゃんコラム6】
その対象が食器や食べ物ということになるので、大人としては困惑してしまいますが、遊びとしてその発達の機能、楽しさを十分に満たすことができれば、何度も注意するという場面を回避できるかもしれません。
どうやって満たすの?どんな遊びを取り入れたらいい?
例えば、丸や四角、三角の穴が空いている箱に対応する積み木を入れて遊ぶ「型落とし」というおもちゃがあります。
もっとシンプルに、空いたミルク缶にボールや積み木を落とすといったものでもいいでしょう。この段階の子に、こういったおもちゃを提供すると、楽しみながらその獲得した能力を発揮することができ、同時にその能力を存分に使いたいという欲求も満たされます。そこでその気持ちが満たされれば、多少なりとも食事のときにわざと食器を落とすといったようなことを減らせるかもしれません。
モノを投げたくなるという発達段階も同様です。お手玉やボール、またそれらを投げて遊べる場所などを用意してみます。遊びとしてその能力、欲求を満たしてあげることで、その獲得されたチカラを使って楽しく遊べ、同時にその能力をより伸ばすことができます。
意外と知られていませんが、2歳前後には叩くという能力が獲得されて、それが楽しくなってしまう時期があります。このとき、叩くおもちゃがあると実によく遊びます。しかし、そういったモノがないと、周りにあるもので手当たりしだいに叩く姿がでてしまうことになるので、大人としては困ってしまうということが起こりやすいです。
これら例で挙げたものに限らず、子どもの遊びというのは、実はこのようにほぼ全てが発達に即して発展していきます。
室内での遊びにしても、戸外での遊びにしても同様です。それまで「できなかったことができるようになった」というのは、子どもにとって新鮮な経験であり、楽しみとなります。こういうことが子ども自身の成長の喜びというものかと思います。
まとめ
刺激により子どもをおもしろがらせてしまうおもちゃというのは、こうした遊びの原点とはまた別の所にあるものです。
しかし、いまはそうした刺激を発するものがおもちゃに限らずあふれています。それらが絶対に良くないというわけではありませんが、そればかりになってしまうのも考え物です。