20〜30人に1人の女性が多嚢胞性卵巣症候群!?妊娠への影響は…?
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は早ければ10代のうちから発症している可能性あります。発症して間もないうちは排卵障害もそれほど進んでいないので、自然妊娠も可能ですが、年数重ねるごとに排卵障害が進んでいくので自然妊娠は難しくなります。症状に気づいて早めに治療を受けることができれば、妊娠の可能性は高くなります。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の治療
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)では、排卵に問題があることが多いため、排卵を誘発させていく治療をしていきます。その他には、体外受精が行われます。
1)排卵誘発剤を使う
クロミフェンという排卵誘発剤を内服することで、約50%に排卵の効果が現れます。排卵誘発剤の内服による効果がない場合は、注射によるゴナドトロピン療法という排卵誘発剤を使います。
卵巣には成長できずにいる卵胞がたくさん待機しているので、排卵誘発剤の注射によってたくさんの卵胞が1度に成長することがあります。
そのため、1度に複数の卵子が排卵される可能性があり、多胎妊娠のリスクが高くなります。
また、たくさんの卵胞が大きくなると、卵巣が大きく腫れておなかに水が溜まる卵巣過剰刺激症候群を引き起こしてしまう恐れがあります。そのため、内服や注射による治療で排卵がうまくいかないときには、手術や体外受精をすすめられることがあります。
2)卵巣に小さな穴をいくつか開ける手術をする
卵巣に穴を開けることで、自然な排卵を促すことになり、排卵誘発剤の効果も得られやすくなります。手術となると恐怖感がありますが、腹腔鏡を使った手術なので、傷は小さいです。さらに手術がうまくいけば自然な排卵が復活するので、排卵誘発剤のデメリットである卵巣過剰刺激症候群や多胎妊娠のリスクもありません。ただし効果は、半年~1年程度で、手術前の状態に戻ってしまうデメリットがあります。
3)糖尿病の薬を使う
インスリン分泌に異常がある人には、糖尿病の治療薬のメトフォルミン(メルビン、グリコラン)が排卵しにくい状態を改善することが期待できます。
インスリンの分泌量を抑えることで、卵巣内の男性ホルモンの分泌も減少し、排卵しやすくなるのです。
4)体外受精をおこなう
排卵誘発剤や手術の効果があまりない場合には、医師から体外受精の話があるかもしれません。