厚生労働省が「母乳バンク」を全国に整備する方針へ!
そのため、感染症のリスクが否定できないという問題もあり、もらい乳を実施していない施設も多々あります。
私が働いていたNICUでは、もらい乳が必要だと判断された場合、母乳を提供してくださるママの感染症の有無を確認し、母乳を必要としている赤ちゃんのママ、双方に個別で説明をおこない、同意書をとったうえでもらい乳をしていましたよ。
母乳バンクでの徹底管理
母乳バンクで取り扱われる母乳はドナーからの提供によるものですが、ドナー登録にはいくつかの条件があり、指定された施設での検診が必要になります。母乳を提供する際にも家族を含めたその時点での健康状態の確認がおこなわれます。
そして、提供された母乳は殺菌処理の前に細菌検査をおこない、母乳に病原菌が含まれていないことを確認します。そして、62.5℃、30分の低温殺菌処理をおこない、その後、あらためて細菌検査で細菌がまったく検出されないことを確認し、冷凍保存されます。
このように徹底管理された母乳バンクのドナーミルクは、一般的に安全であると受け止められています。ですので、日本小児科学会でも早産・極低出生体重児の経腸栄養に関して、「自母乳が不足する場合や得られない場合,次の選択肢は認可された母乳バンクで低温殺菌されたドナーミルクである」と提言しています。
ドナーになりたいママはたくさんいるけれど…
日本母乳バンク協会では、ドナー登録、ドナーミルクの殺菌処理、ドナーミルクの他施設への無償提供、地域の母乳バンク設立への働きかけ、研究などさまざまな活動がおこなわれています。このような活動に賛同するママたちも増え、ドナー登録をする方も200人を超えたとのこと。しかし、現行の母乳バンクではキャパシティの問題もあり、ドナー登録を制限しているそうです。
こうした状況の中、育児用品を取り扱うピジョン株式会社が、日本母乳バンク協会への経済的支援に手を挙げ、2020年春から会社の一部スペースを「東日本橋 母乳バンク」として使用することになりました。現在の母乳バンクが年間80人の赤ちゃんにしか対応できていないのに対し、新しい母乳バンクは年間200人に応えていく予定だそうです。
母乳バンクが全国に整備されるのはいつ?
極低出生体重児を産んで、母乳を与えたいのに母乳が出ない(与えられない)