妊娠中、おなかが常にパンパンに張っている感覚…「羊水過多症」かも?
常位胎盤早期剥離と臍帯脱出はいずれも母子の生命に危険が及ぶため、直ちに専門的な治療が必要です。出産後は伸び切った子宮筋がゆっくり戻ることで、出血が多くなる弛緩出血などが起こる原因となります。
羊水過多(症)の治療
羊水過多が起きる原因によって治療方針は異なります。妊婦さんの症状を軽減させ、妊娠期間を少しでも延長するために、羊水穿刺をして羊水を抜く羊水除去をすることもあります。妊婦さんのおなかに注射針を刺して、エコー(超音波診断装置)で胎児や胎盤に刺さらないように観察しながら、羊水を抜きます。おなかの張りを抑えることを目的に、子宮収縮抑制剤(リトドリン、ウテメリン®)を投与して妊娠期間の延長を試みるため、一時的に入院管理が必要なこともあります。
各々の病院や地域の連携体制によって多少異なりますが、かかりつけの産婦人科が小規模のクリニックや産院の場合、母体や赤ちゃんが早急に高度な医療を受けられるように、NICU(新生児集中治療室)が併設された規模の大きい病院などへ転院もしくは母体搬送されることがあります。
まとめ
妊娠週数に関係なく、羊水量が800mlを超える場合を羊水過多といい、症状を伴う場合を羊水過多症といいます。経腹超音波検査(経腹エコー)で、羊水量を簡易的に測定して診断されます。羊水量が正常かどうかについては、妊婦健診の際に担当医へ聞いてみましょう。
<参考>
産婦人科診療ガイドライン産科編2017
監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生
順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。
著者:助産師 古谷真紀
一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー
大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。