私は53歳の専業主婦。大家族の肝っ玉母ちゃんとして、我が家を取り仕切っています。ある日、夫と一緒に、義父の米寿のお祝いを買いに出掛けたときのこと。夫のとんでもない買い物に、さすがの私もびっくりして言葉が出ませんでした。
滅多に買い物になど出掛けない私たち夫婦。実は夫の趣味はイマイチで、過去にもらったプレゼントも微妙なものばかり……。義父のプレゼントを、夫には任せておけません!
160万のくたびれた高級時計!?
たくさんのお店をまわったものの、これだ! というプレゼントは見つからず……私たちはヘトヘト。ひと休みしようと裏路地にあるカフェに入ろうとしたところ、小さな時計屋さんを発見しました。
ちょっと見てみようと言って、夫はさっさと店へ。なんだか嫌な予感がしたので、私も後を追って店に入りました。どうやらこのお店、一見さんお断りの会員制のよう。定員さんが止めるのもきかず、夫はショーケースをじっくり見て回ります。
しばらくして夫が「これは!」 と声を上げたので近づいてみると、そこにはくたびれた腕時計が……。どうしても欲しいと言ってしつこく交渉し、夫はその腕時計を購入したのです。
理解に苦しむものの「この時計をお父さんにプレゼントしたら、絶対喜ぶよ!」 と、ひとりで盛り上がる夫。まさかこんなにくたびれた腕時計をプレゼントにするつもりだと思っていなかった私は一瞬慌てましたが、言っても聞かないので諦めることにしました。
手付金を払い、後日取りに行くことにして店を後にしたのです。
夫が企んだこととは…
米寿のお祝いが近づくにつれ、本当にあの時計でいいのか迷いが生じ始めた私……。最後の念押しと思い「このプレゼントで本当に良いのか」と夫に尋ねてみました。
すると夫は「え?気づいてなかったの?」と驚いた顔。そして私に腕時計を選んだわけを話してくれました。
それを聞いて私はびっくり仰天! 義父にプレゼントするのが楽しみになりました。
そしていよいよ、腕時計を受け取りに行く日。やってきた私たちの顔を見て、店員さんは満面の笑みで早速支払いを求めてきましたが、夫はそんな大金は持参していません。
その代わりに、夫の後ろには同行した警官が。なんとこの店、盗品を流す店だったのです。