その多くは、お子さんのためというより、もともと絵本が好きだった水野さんとご主人がそれぞれ買い集めていたものだ。
「主人はイラストレーターなので、仕事の資料として絵本を山ほど持っていたんですよね。子どもには絵本を毎日たくさん読んであげたいなぁと思っています。私のほうがやる気満々(笑)。たまに主人と役を割り振って読んでみるのもいいかなって(笑)。
今、子どもが寝る前によく読み聞かせしているのは、出産後に主人の父からもらった『あかちゃんとあそぶ絵本』という全4冊の絵本セット。二つ折りになったページを開くと、夜が明けて、太陽が出るとか、子どもがアッと驚くようなしかけがあって楽しいです。うちの子はその中でも『あけてみたいな』という一冊が気に入っていますね」
水野さん自身がそうであったように、絵本は、その子が将来、本好きになるきっかけにもなる。
そして物語を読んで得たものは、決して空想の世界だけにとどまらない。
「私は大人になったいまも、ファンタジーの要素がある話が好きなんです。それもやっぱり、子どもの頃に絵本にいっぱい触れていたことが影響しているのかもしれない。本の世界にひたって、いろんなことを疑似体験すると、何より心が強くなると思うんですよ。
たとえば、童話の『青い鳥』を読めば、チルチルとミチルに自分を投影しながら、幸せの青い鳥を探すための冒険の旅に出て、最後は自分たちの部屋の鳥かごの中に青い羽を見つけることができる。主人公と一緒に大変な経験をした後に、感動と達成感が味わえるんです。そういうことの積み重ねって、きっと実生活にも反映されてくるはず。子どもながらに『大丈夫!チャレンジしてみよう!』っていう勇気が生まれると思います」
【 水野美紀さん、これもオススメ 】
思いやったり、ケンカしたり……
リアルに描く“友達”という距離感
『ふたりは ともだち』
作:アーノルド・ローベル訳:三木卓¥950/文化出版局
いつも友達の “がまくん” を思いやる心優しい “かえるくん” と、わがままいっぱいで甘えん坊だけど、放っておけない可愛らしさがある “かえるくん”。性格は全然違うけれど、一緒にいると、しっくりはまる凸凹コンビの日常。
仲良しの “がまくん” と “かえるくん” を主人公にしたユーモラスな友情物語を5編収録。最後のお話「おてがみ」は小学生の教科書に採用されています。