前回、「幼児期(4歳~10歳)の子供にとっては、お母さんが考えている以上に『書くこと』のハードルは高いものなんです」と、教えてくださったのは、花まる学習会の竹谷 和(たけたに かず)さん。
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花まる学習会の現場で語彙(ごい)や言葉のセンスを磨くコースを担当してきた「書く力」を育てるプロフェッショナルです。引き続きお話しを聞きました。
■ポイント1.間違いを指摘する方法
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作文の大前提として、「正確な日本語で書けているのか?」ということがあります。けれども、幼児期の子どもの作文は、ママから見れば、きっと「間違いだらけ」「指摘したい点だらけ」でしょう。子どもに間違いを指摘するときのコツを教えていただきました。
「この場合、
伝える順序が大切です。いきなり間違いを指摘されるばかりだと、子どもは否定された気持ちになり、指摘を受け入れられません。まずは、ママ自身が、その作文を読んで、どう心が動いたか、
肯定的な側面から伝えてあげてください」(竹谷さん)
たとえば、友人に手紙の返信を書くようなつもりで、「ここが、おもしろかったんだよ」といったママの気持ちを伝えます。これは「良い・悪い」という「評価」ではありませんし、「最初の一言」があるのとないのとでは、大違いです。
「『最初の一言』を添えることで、子どもは『話を聞く』という受け入れ態勢ができます。
人は、否定ばかりしてくる人の言葉を聞こうなんて思いませんからね(笑)」(竹谷さん)。
【声かけ例】
・○○ちゃんは、こんなふうに、感じたんだね
・ママは、こんなふうに感じたよ
■ポイント2.その年齢ならではの十全さ
「子どもの作文を読むときに意識していただきたいのは、子どもは、
大人とはまったく違う時間を生きているということです」(竹谷さん)。
たとえば、夏休みだから! と張りきっていろいろなところに連れて行ったのに、子どもが書いた作文は、「動物園のゾウがおしっこをしていてそれが見ていた人にかかった」みたいなことだったりする。思わず、「そこかい!」っと、ツッコミたくなりますよね…。
「子どもの作文を読むとき、『われわれが彼らの
価値観に寄り添えるか』は、とても大事なポイントです。もし、子どもがゾウのおしっこのことを熱心に書いていたのであれば、その子の視点と興味は、そこにある。それを大人が『そんなこと書いちゃダメ』というのでは、文章を書く意味がないんです」(竹谷さん)
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その子が持っている、視点、つまり
感性を大人が認める。たとえ、大人が「それ!?」と言いたくなってしまうテーマだとしても(笑)、その子が本当に興味を持って書いたものなのであれば、それが、その子にとって一番大切なテーマである…。
そんなふうに大人側が、心から思えること。
「たとえば、ある1年生の男の子が『ぼくは、きのう学校のかえりに、ぎん色のビービーだんを見つけてひろいました。どうしてかというとめったに見つけられないからです。』こんな風に書いてきたときに、『え? だから何?』と言ってしまうのか、『え! すごいラッキーじゃん!』と返せるか。
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これは、ある種の意識改革に近いのかもしれませんね。作文に登場するのは、その子の体験したことのなかでも、印象に残っている場面です。その子の興味関心というフィルターを通過したものなわけで、大人の価値観とは当然異なります。そういう作品は、言い換えれば、十全に幼児期を過ごし、子ども同士の社会を生きていることの証です」(竹谷さん)
この記事を書いている筆者自身、「これは、すごく難しいかも!」と、感じました。
なぜなら、私は「こうあるべき」といった「枠に当てはめられる教育」を受けてきたからです。
まずは、「自分が受けてきた教育というのは、どうだったのだろう?」「子どもを枠に当てはめることばかりに躍起となっている私って、どうなんだろう?」「どうしたら、この意識を、変えていけるのだろう?」といったあたりから、自問自答を始める必要がありそうです。
そして、子どもの作文のなかに、その年齢ならではの十全さを見つけることができてきたら、その部分にスポットを当てられるような声かけができるようになりたいと思います。
【声かけのポイント】
たとえば、「ぎんいろのビービーだんなんて、いいなあ!」と言われたら、この子は「そうでしょー!」と鼻高々ですね。その子が、何をおもしろいと思って書いたのかを想像し、伝えると、「書いてよかったなあ」と思えます。