連載記事:パパ小児科医の子ども健康事典
【医師監修】熱中症、喘息、周期性嘔吐症…運動会でおこりやすいトラブル<パパ小児科医の子ども健康事典 第2話>
■「喘息」は運動により引き起こされることも
気管支喘息はダニや動物の毛、運動場の砂埃などが引き金になるほか、運動そのものがきっかけになることがあります。
© yagi_meimei2001
運動誘発喘息といい、
運動後に激しいせき込みや呼吸困難感があるときは運動によって引き起こされている喘息の可能性もあります。
これは練習の時点ですでにその徴候は出ています。走ったあとに咳き込んだりするようであれば、医師に相談しましょう。
喘息の治療をすることで、せき込みがなくなるほか、運動のパフォーマンスもあがり「走ってもしんどくない」「こんなに早く走れると思ってなかった」と驚かれることがあります。子ども自身が運動は苦手と思っていても、実は喘息が関係していたケースがあります。
■「周期性嘔吐症」(自家中毒)は心身への負荷が原因に
聞き慣れない病名かもしれませんが、子どもによく生じるもので、周期性嘔吐症という病気があります。繰り返しの嘔吐が突然始まり顔色不良、倦怠感を伴います。いわゆる感染性胃腸炎による嘔吐とは異なるもので、体や心にストレス負荷がかかった時に起こりやすいです。
つまり風邪や疲れなど体調不良の時や運動会や発表会で不安や緊張があるとき、逆に遠足前でワクワクして興奮していても起こりやすいのです。
これまで発表会などの緊張する状況で嘔吐が見られた子には、同様のことが起こるかもしれません。治療は繰り返す嘔吐による脱水が心配されますので、点滴をすることが多いです(軽症の場合点滴しないこともあります)。
点滴をすると比較的早くケロッと元気になるのが特徴で、急にしんどくなる反面良くなるのも早いのです。疲れていたり、食事が十分にとれなかったりしていると起こりやすいので、当日まで体調を十分に整えてあげてください。
※嘔吐にはさまざまな原因がありますので、まずは医療機関で診断を受けてください。
運動会時期の受診では「明日運動会に行けますか?」「6年生最後の運動会なのでどうしても行かせてあげたいんです」など切実な訴えがあり、苦しい判断を迫られるときもあります。
何か起きてからでは遅いですから、本当にしんどければ本番であっても休ませる勇気が必要ですし、当日元気に行けるよう、
疲れているときは練習を休むことも大事だと子ども達にも教えてあげてください。
安全を確保して、子どもたちにとっても、保護者にとっても運動会がいい思い出になりますように。