コミックエッセイ こうして赤子を授かった~中村こてつ不妊治療体験記~
疲弊する私たちの心… 不妊治療中の夫婦の気持ち【こうして赤子を授かった~中村こてつ不妊治療体験記~ 第37話】
『うん。地の底をはいずり回って、必死に何かにしがみついて立ち上がろうとしているよ。少しは成長しているかなぁ、私』
…なんて打つはずもなく、『遊びに行けるのを楽しみにしてるね』と。
こんなこともありました。
ゴールデンウィークにオットの地元に帰省したとき、オットの親友家族たちとBBQをしました。その当時42歳のオット。親友の中には、成人を迎えた息子さんがいる人もいました。私が結婚した当初、小学生だった娘さんは、高校3年生になって彼氏の話をしていました。
宴もたけなわ、ほどよく酔っ払い、ふわふわしていた私の耳に隣の会話が聞こえてきました。
「自分の子どもたちが結婚したら…」
「早く孫が欲しい…」
親友たちがその話をしている最中、オットは愛犬と追いかけっこをして遊んでいました。無心に。楽しそうに。そう見えるように。親友たちのその会話にオットが混ざることはありませんでした。
子育ての話をする友だちの会話から、何かの用事にかこつけてそっとフェードアウトしたり、表情を読み取られないように上手な顔で端っこに座っていたりすることを私はよくやっていました。
オットを見ていて、そのときの自分を思い出しました。不妊でつらい想いをするのは女性だけではないようです。愛犬と遊ぶオットの声を聞きながら、もう片方の耳では、親友たちの子どもの話を聞いていました。
猛烈に切なくなりました。オットを早く「お父さん」にしてあげたいとすごくすごく思いました。泣きそうになるのをぐっとこらえて、その後はあおるように飲み続けました。
不妊治療を始めてから、意識していなくとも『子ども』というキーワードが目につき、耳に入るようになりました。自分に関係がなくとも、胸を締め付けられたり、モヤッとしたり、心がざわりとしたりすることもあります。
誰も悪くない。そう分かっているので、そんな出来事があるたびに、心が少し疲れてしまうのです。前向きにいきたい、と意識しても、無意識に疲れてしまうのです。
※私が長男を妊娠するために不妊治療をしていたのは、2005年11月~2008年10月のことです。また、この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
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