連載記事:榊原先生、教えて! 子どもの体の不思議
「虫歯になるのはどうして?」子どもの虫歯、口臭、よだれの不思議【榊原先生、教えて! 子どもの体の不思議 第6回】
■赤ちゃんのよだれ「どうしてたくさんよだれが出るの?」
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――先生、もうひとつお聞きしたいのが「よだれかけ」というものがあるくらい、赤ちゃんはたくさんよだれを出しますよね。どうしてあんなにたくさんよだれが出るのでしょうか?
榊原先生:これは、子どもだけがたくさん出ているわけではないんです。体格に差はありますが、基本的には大人も子どもも唾液腺の働きに差はないので、同じように出ているんです。
――え! 大人も赤ちゃんのように、たくさん唾液を出しているんですか?
榊原先生:出しています。例えば体重50kgの大人が1日に出している唾液量は1~1.5Lといわれています。
――1~1.5L! 1日に飲んだほうがいいといわれる水分量とほぼ同じですね…!
榊原先生:どうして赤ちゃんは、たくさんよだれを出しているように見えるのか。それは大人はよだれが出ていると恥ずかしくて、飲み込むからです。
――飲み込む…(ごくり)。
榊原先生:大人はよだれが出ていると「恥ずかしい」という感覚がありますよね。だから出そうと思ったら無意識に飲み込んでいます。もし口から出てしまったときも急いで拭き取りますよね。
でも、赤ちゃんはよだれが出ていることを気にしません。口元もゆるみやすいので、だらだらと出てしまう。ただそれだけのことなんです。これは汗についても同じことがいえます。大人は拭き取るけれど、子どもは汗をかきっぱなしですよね。
――なるほど。気にしているか、気にしてないかの違いなんですね。
榊原先生: たまに電車の中で寝ていて、口からよだれがだら~っと出ている人をみかけますね。寝ているから、出ていることに気付いていない。唾液は自動的に出てくるものなので、たれてしまうのは自然なことです。大人も子どもも同じなんですね。
「親に虫歯がなくても、虫歯の元になる菌はうつる」と考えると、食器を分けたり、手を洗うといった日々の管理がすごく大切だと感じました。
また赤ちゃんの口がくさくないのは菌が少ないから…という事実にも納得。
口臭がほとんどないのは赤ちゃん時代のほんのひとときと考えると、生後数カ月の期間が貴重に思えてくるかもしれませんね。
次回は
「男の子、女の子にまつわる不思議」についてお話をうかがいます。お楽しみに!
参考図書:
『大人が知らない子どもの体の不思議』(講談社)
榊原洋一著
子どもと大人はどう違うのか。それは単に大きさだけの違いではありません。どうして夜泣きをするの? どうして寝相が悪いの? どうして落ち着きがないの? 子育て中に親が抱く「答えが見つかりにくい質問」にエビデンスの精神で解答することを試みました。子どもの心と体の不思議を理解する、手助けとなる一冊。