連載記事:パパ小児科医の子ども健康事典
【医師監修】水ほうができる夏風邪「手足口病? ヘルパンギーナ?」症状、診断、治療<パパ小児科医の子ども健康事典 第21話>
イラスト:ぺぷり
だんだん夏が近づいてきて、手足口病やヘルパンギーナといった夏風邪にも流行の兆しがみられてきました。この2つはエンテロウイルス属というグループが原因となっており、症状には似たところもいくつかあります。それぞれどのような病気でしょうか。
■手足口病「症状、診断、合併症、治療」
【症状】
まず手足口病はその名のとおり、手、足、口に水ほうができる病気です。数mmくらいの小さな発疹が手の先、足の先にでき口の中には口内炎ができます。
発熱を認める場合もありますが、平熱~微熱程度のこともあります。
【診断】
発疹は、ときに太ももやおしりにもできますが、手足口に発疹が分布することでおおよそ診断がつきます。何か特別な検査をするわけではなく、流行状況や症状の判断です。
同じように小さな水ほうを認める病気として、水痘(みずぼうそう)がありますが、2つの主な見分け方は次の3点です。
1.水痘はランダムに発疹が出る
手足口病は分布が偏っていますが、水痘は頭皮や陰部を含め全身に発疹が出るところが異なります。
2.水痘は急に広がる
水痘は1日、または数時間で一気に発疹の数が増えます。数個あるなと思っていたら数時間後に数十個になっていることもざらです。手足口病はここまでスピードは早くありません。
3.水痘ワクチンを2回接種していたら水痘の可能性は低い
水痘はワクチンで防げる病気です。ただし1回だけの接種の場合、水痘の症状が軽くなるため、手足口病との区別が難しい時もあります。
【合併症】
合併症として髄膜炎を起こします。
髄膜炎は激しい頭痛と繰り返すおう吐を認めて脱水を起こすので入院が必要となることが多いですが、後遺症を残すことはまれです。
ときに足や手の爪が変形することがありますが、これは一過性のものですので様子見でOKです。
【治療】
発熱も発疹もとくに治療は必要なく数日で改善していきますが、口内炎がひどい場合、水分がとれず脱水をおこします。
手足口病そのもので入院することはほぼありませんが、脱水により入院が必要となることがあります。柑橘(かんきつ)類や塩辛いものなど口にしみるものは避けて、イオン飲料などでこまめに水分摂取して脱水を予防してください。
クリニックでは口内炎に対しての塗り薬を処方することもできます。