連載記事:「ちゃんと失敗する子」の育て方
「そんなことしちゃダメ!」と言いがちな親たちへ【「ちゃんと失敗する子」の育て方 Vol.3】
■普段の生活でできる「感覚」の磨き方
「感覚を磨くことが、これからは大切」と言われても、従来の教育で育ってきた筆者には、正直ピンときません。どうしたら良いのでしょうか?
「子どもの感覚を磨くためのひとつが
『つくる遊び』です」(西郡さん)。とりわけ自然の中で日が暮れるまで遊ぶような「外遊び」の経験が、何より子どもたちの「感覚」を磨くそう。
「できあがった施設のなかで、用意された遊具を使って遊ぶことよりも、何もない野原で拾った棒切れ一本を使って、どんな遊びをしようかと考えることのほうが、子どもの『感覚』を磨きます」(西郡さん)
クリエィティブともいえる遊び。
「
自分で考えて遊びを『つくる』という試行錯誤を繰り返すことによって、『感覚』は磨かれていくのです」(西郡さん)
■子どもが楽しく遊んで入ればOK
遊びが、感覚を磨く。こんなふうに書くと、「子どもを思いっきり遊ばせなきゃ!」と、何やら焦りにも似た気持ちになってしまうママもいるかもしれませんね(私も焦ります)。
「『遊ばせなきゃいけない』と考えすぎずに、
『子どもが楽しく遊んでいるのであればそれでいい』という姿勢で良いと思います。ただ、その遊びが、ゲームなどに偏り過ぎないように注意してあげてください」(西郡さん)
■子育ては、「子どもを信じる」から始まる
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本連載第1回目の冒頭にも書きましたが、西郡さんは「完璧に正しい子育てなどありません」と繰り返し言います。
「子どもに少しばかり間違ったことを教えてしまったとしても、それが子どもの未来を奪うことにはなりません。親が心配するまでもなく、子どもたちは自分で考え、人生を切り拓いていくことができます」(西郡さん)
「私が少しくらい間違えたって、大丈夫!」そんなふうにママがふっと肩の力を抜くことができたなら、「ちゃんと失敗する子」を育てるスタート地点に立てたのかもしれませんね。
「子どもはいずれしっかりと自立していく。そう信じることから子育ては始まります」(西郡さん)
<「失敗する子」の育て方>
1)「まぁ、なんとかなるんじゃない?」が、人の背中を押す
2)「つくる遊び」が「感覚」を磨く
3)子どもはいずれしっかりと自立していく。
そう信じることから子育ては始まる
■花まる学習会/西郡学習道場代表 西郡文啓さんの新著
『ちゃんと失敗する子の育て方』
高濱 正伸、西郡 文啓 (著)/総合法令出版 1,300円(税抜き)
●高濱 正伸さん
花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。
ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。
花まる学習会公式サイト:
http://www.hanamarugroup.jp/hanamaru/
●西郡文啓(にしごおり ふみひろ)さん
1958年生まれ。熊本大学教育学部卒業。花まるグループ内に「子ども自身が自分の学習に正面から向き合う場」として「西郡学習道場」を設立。
現在「官民一体型学校」として指定を受けた小学校「武雄花まる学園」にて、学校の先生とともに、小学校の中で花まるメソッドを浸透させていくことに尽力中。
高濱さん曰く、「私が経営者という立場で運営部分に頭を働かせているときも、彼はただただ、子どものことだけを考えてきた人間です。頭のてっぺんから足のつま先まで、根っからの教育者で、どんな子でも一度も見放したことはありません」。
「上手だね」はNG! 自由な発想と創造力のある子がAI時代に強いわけ