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妊娠の初期症状は、人によってさまざま。超初期から敏感に体の変化を感じる人もいれば、おなかがふくらんできても「便秘かな?」と気づかない人も。
妊娠の初期症状はいつから始まり、主にどんな症状があるのか、くわしくご紹介しましょう。
【監修】
イシハラクリニック副院長 石原新菜 先生
小学校は2年生までスイスで過ごし、その後、高校卒業まで静岡県伊東市で育つ。2000年4月帝京大学医学部に入学。2006年3月卒業、同大学病院で2年間の研修医を経て、現在父、石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察の他、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。
著書に、13万部を超えるベストセラーとなった『病気にならない蒸し生姜健康法』(アスコム健康BOOKS)をはじめ、『「体を温める」と子どもは病気にならない』(PHP研究所)等30冊を数える。
■妊娠初期症状は、いつから出るの?
妊娠期間は妊娠初期、中期、後期と3つの期間に大きく分けられます。
▼妊娠初期とは
妊娠初期とは一般的に妊娠15週まで、つまり妊娠4カ月の終わりまでをさします。この間は、まだ安定期には入っていません。
そもそも妊娠周数の計算方法をご存じでしょうか?
受精卵が子宮に着床した日と勘違いしやすいのですが、実はすぐ前の生理開始日を妊娠0週0日と数えます。
そのため本来、次の生理がくるはずの頃にはすでに妊娠4週くらいになっており、「あれ? 生理が遅れている…もしかして、妊娠?」と自覚する頃には妊娠2カ月目に入っていることが多いのです。
・妊娠超初期とは
妊娠初期の中でも、いわゆる「妊娠超初期」と俗に呼ばれているのが、妊娠0週〜4週の期間です。
この時期は受精卵がまだ子宮に着床していなかったり、着床していてもわずか1〜2週間ということで、ほとんどの場合、体の変化や自覚はありません。ただ妊娠4週に入ると、日頃から生理周期が一定の人なら遅れに気づき「もしかしたら?」と思い始めるでしょう。
▼妊娠初期症状が出始める時期
妊娠初期にはいつから、どんな症状が始まるのでしょうか。
ドラマで妊娠が発覚するシーンで、よくあるのが「うっ」ともどしそうになってトイレに駆け込む…というのがありますが、妊娠4週までの妊娠超初期にはまだこういった症状が出ることは珍しいでしょう。
卵子が受精して、子宮に着床するまでに約1週間かかるといわれています。最後の生理初日を妊娠0週0日としたら、妊娠2周目に排卵、妊娠3週目に着床となるわけです。
妊娠超初期に妊娠の兆候としてあらわれる症状に、「着床出血」があります。受精卵が子宮内膜にもぐり込む際、傷がつくことから少し出血します。その出血がおりものに混じったり、うっすらと出血したりするので、生理と間違える人が多いようです。
いつもより早い生理と思ったら、たった1日〜数日で終わってしまった、出血の感じが違ったようなら着床出血かもしれません。
この頃から、少しずつ体調の変化が始まり、予定日が過ぎても生理が始まらない場合は「もしかして、妊娠?」と思い始めるでしょう。そのためか、ネットで「生理 遅れ」と検索すると、上位に「3日」「4日」「5日」などのキーワードが続いて上がってきます。
生理は遅れているけれど、まだはっきりした自覚症状もなく、一般的な妊娠検査薬では判定がつかない時期に検索する人が多いことがわかりますね。
▼妊娠がはっきりとわかるのはいつ?
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・着床=妊娠となる
着床とは、受精した卵子が約1週間かけて移動し、子宮に接着することです。妊娠するために必要な過程で、着床した約1週間後に妊娠反応が陽性となります。
参考サイト:東京大学医学部附属病院「着床とは」
・検査薬で判明するのは、生理予定日の○日目から?
妊娠超初期期間はまだ妊娠診断補助試薬、いわゆる妊娠検査薬が使えません。
妊娠検査薬は、尿中のhCG(受精卵が子宮へ着床後に分泌されるホルモン)に反応して、妊娠しているかどうかを調べます。しかし、妊娠超初期ではまだhCGが分泌されていない、もしくは分泌量が非常に少ないことから、判定できないそうです。
そのため、妊娠検査薬は、生理予定日当日から検査できる検出感度が高いものと、生理予定日の約1週間後から検査できるものがあります。
▼妊娠初期に起こること
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妊娠初期の中でも、妊娠4週に入ったばかりの「もしかして?」と思い始める時期の自覚症状としては、次の4つが挙げられます。
1.月経が遅れる
受精卵が着床しなかった、つまり妊娠しなかったためにはがれ落ちた子宮内膜が、体外へ出血として排出されたものを月経、いわゆる生理といいます。
生理が規則正しくあるタイプの人は、予定日が過ぎても生理がこない場合、早めに「妊娠かも」と意識できるでしょう。
2.基礎体温が高いまま
基礎体温とは、朝、目が覚めてすぐ、体を動かさずに安静なままの姿勢で計測する体温のことをさします。
女性は、ホルモンバランスの変化や排卵によって、通常、25日〜38日の周期で基礎体温が上下します。通常、生理前の約2週間は高温が続きますが、生理が始まるタイミングで体温が下がります。
そのため、基礎体温が下がらないというのも、妊娠の一つの目安となります。
3.月経以外の出血がある
先に紹介した着床した際の出血がこれに当たります。
ただし、着床出血は必ずするものではありませんし、残念ながら「胞状奇胎」「子宮外妊娠」や、別の病気などが原因の場合もあります。
どちらにしろ、早めに産婦人科を受診されることをおすすめします。
4.おりものが増える
おりものとは、子宮や子宮けい部、膣(ちつ)からの分泌物と古い細胞が混じり合って排出された液体です。
外部から細菌が入ってくるのを予防したり、排卵期に受精のサポートをしてくれるなどの役割を持っています。
妊娠すると体内のホルモンバランスの変化により、おりものの量が増えたり、色の変化があることも。これも妊娠の一つの目安になるかもしれません。
ただし、かゆみやにおいを伴う場合は、病気のサインである可能性もあります。「 3.月経以外の出血がある」と同様に、産婦人科を受診されることをおすすめします。