■着床できるかどうかは○○による
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受精後、無事子宮内膜にたどり着けば、すべての受精卵(胚)が着床できるわけではありません。着床できない場合は、いくつかの要因が考えられます。代表的なケースを見ていきましょう。
胚の質
まず考えられるのが、受精卵(胚)の質です。良質かどうかを正確に調べるのは難しいですが、胚の中の細胞が均一で密度が高く、数が多い方がグレードが高く、このような良質な胚ほど妊娠率が高いといわれています。
逆に、グレードの低い胚は密度が低く、細胞の形もばらばら。このような胚は染色体異常などの可能性があり、受精してもうまく着床できなかったり、流産の可能性が高くなります。
胚の質は年齢が要因の一つになっていて、女性の年齢が上がれば上がるほど質が低下するといわれています。つまり不妊の一因となる場合もあるのです。
環境
子宮筋腫、子宮内ポリープ、卵管水腫、子宮内膜炎など、子宮内に異常がある場合も着床障害を起こします。
ただし、こうした子宮内の病気は、手術や薬物治療で改善することができますので、「生理の出血量が増加した」「下腹部に違和感を感じる」「なかなか妊娠しない」など、何かしら心当たりのある方は、早めに病院を受診し、検査することをおすすめします。
参照サイト:
第71回日本産科婦人科学会学術講演会「生涯研修プログラム5 難治性不妊の取り扱い」
■着床すると痛い? この時期に見られる5つの症状
受精卵が子宮内膜に着床すると、生理前にも似た症状が出ることもあります。いわゆる“妊娠超初期症状”と呼ばれるもので、人によって症状の程度はさまざま。なかには体調の変化にまったく気づかない人も少なくありません。
妊娠を望んでいる場合に「いつもと何かちがうな」と感じたら、着床を疑ってもよいかもしれません。ただ、この時期に妊娠検査薬を使ってもまだ反応は出ませんから、焦らずにリラックスして過ごすようにしましょう。
症状1:着床出血
着床するときに出血することがあります。これは受精卵が子宮内膜にもぐりこむ際に子宮内膜が少し傷つけられることで起こるもので、うっすらと下着につく程度の軽い出血が1~3日ほど続いたり、茶色いおりもののようなものが出たり、人によってさまざま。いずれにせよ、数日で症状はおさまります。
症状2:胸の痛みやハリ
乳房の張りやかゆみ、乳首の先にさわると痛みがあるなど、症状はさまざまですが、生理前と同じような違和感を胸に感じることもあります。
症状3:つわり
通常、つわりは妊娠初期(妊娠4〜7週ころ)に始まることが多いですが、なかには着床時(妊娠3週ころ)からはき気を覚える人も。
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症状4:腰痛・頭痛
生理前のような腰痛や頭痛を覚えることも。痛みを感じたら薬にはなるべく頼らず、安静にして様子を見ましょう。
症状5:けん怠感
いくら寝ても眠い、ちょっと動いただけですぐ疲れる、微熱が続き風邪のときのようなだるさを感じるといった、妊娠特有の症状に悩まされることもあります。
■まとめ
いかがでしたか? 受精から妊娠まで、わずか7日前後の間におなかの中では目まぐるしい変化が起こるのです。妊娠のメカニズムを理解しておけば、いざ「オメデタ」になったときも動揺することなく、リラックスして自分の体調の変化と向き合うことができますね。
参考資料:
・日本経済新聞
・第71回日本産科婦人科学会学術講演会
・「ママになる夢かなえよう! 妊活 治療と生活アドバイス」(主婦の友社)
・「はじめての妊娠・出産百科」(主婦の友社)
文/長谷部美佐
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