■妊婦が食べないほうがいい寿司ネタは? イクラやサーモンもだめ?
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アニサキス幼虫が潜んでいる可能性の高いネタ
アニサキス幼虫は、以下の魚介類に寄生している場合が多いようです。
・サバ
・アジ
・サンマ
・カツオ
・イワシ
・サケ
・イカ ほか
食中毒の可能性が高いネタ
食中毒の原因となる食材を、細菌性とウイルス性に分けてご紹介しましょう。
【細菌性食中毒】
リステリア菌:スモークサーモンなどの魚介類加工品、ナチュラルチーズなどの乳製品、生ハムなどの食肉加工品、コールスローなどのサラダ
サルモネラ菌:ウナギ、スッポン、乾 燥イカ菓子、卵、またはその加工品、食肉(牛レバー刺 し、鶏肉)
腸炎ビブリオ:魚介類(刺身、寿司、魚介加工品)、二次汚染 による各種食品(漬物、塩辛など)
【ウイルス性食中毒】
ノロウイルス: カキなどの二枚貝
A型肝炎ウイルス:カキなどの二枚貝
参考サイト:
内閣府 食品安全委員会「その他」
厚生労働省「食中毒の原因と対応」
水銀量が高いネタ
日本人が1食で食べる魚の量は、切り身にしても刺身にしても、1食につき平均80gとされています。次に挙げた魚は水銀量を多く含むため、おなかの赤ちゃんに影響が出ないためには1週間に1食までが目安となります。
・キンメダイ
・メカジキ
・本マグロ(クロマグロ)
・メバチマグロ ほか
そのほか、キダイやマカジキ、ミナミマグロ(インドマグロ)、クロムツなども比較的、水銀量が多い魚となります。
参考サイト:
厚生労働省「これからママになるあなたへ お魚について知っておいてほしいこと」
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ビタミンAの過剰摂取の危険性があるネタ
ビタミンAを多く含むものとして、次の魚介類が挙げられます。
・ヤツメウナギ(生)
・ホタルイカ(ゆで)
・ウナギ(かば焼)
・銀ダラ(生)
・アナゴ(生) ほか
■あぶってあれば大丈夫? 食べてもOKな寿司ネタ
あぶりでも要注意
生の魚介類を口にする場合、どれくらい火が通っていればいいのでしょうか?
アニサキスは中心温度60℃で1分以上、ノロウイルスは中心温度85〜90℃で90秒以上の加熱で予防できるとされています。
それ以外の細菌、ウイルスも温度・時間の指定はありませんが、「中心まで十分に加熱」によって食中毒は避けられることが多いようです。
そのため、表面に焦げ目がつく程度に火を入れる「あぶり」では、完全には予防できないでしょう。
参考サイト:
農林水産省「食中毒をおこす細菌・ウイルス・寄生虫図鑑」
食べてもOKなのは火が通っているもの
妊娠中でも食べられるお寿司の魚介類ネタは、「完全に火が通っているもの」。
例えば、蒸しエビや蒸しタコ、煮穴子なら、食中毒の心配はないでしょう。ただし、煮穴子は水銀量が多めなので、食べる量は調整しなければいけないでしょう。
魚卵なら大丈夫かといえば、実はそうでもありません。イクラにアニサキスの幼虫が寄生していることもあり、やはり生である以上、食中毒の危険性は変わりありません。
ネタが魚介類以外のお寿司、例えば玉子や納豆巻き、かっぱ巻きなどはいくら食べても問題はないでしょう。
■妊婦が魚を食べる時の注意点
寿司はNGでも妊娠中は魚介類を積極的にとろう
妊娠中、生の魚介類がネタとなるお寿司は避けたほうがいいですが、魚自体は積極的にとって欲しい食材です。
魚には、良質な動物性たんぱく質や骨・歯を強くするカルシウム、血管障害を予防したりアレルギー反応を抑える効果があるDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれます。
おなかの中で赤ちゃんを育てている妊婦さんにとって、栄養豊富な魚介類は欠かせない食材です。水銀量が多い魚は避ける、十分に加熱するなど気をつけて、積極的に魚を取り入れた食生活を送りましょう。
参考資料:
・日本産婦人科医会
・厚生労働省
・農林水産省
・国立感染症研究所
・内閣府 食品安全委員会