■コロナ渦での学習の遅れは?
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――最後に、「コロナでの学習の遅れ」についてのご意見をお願いします
「コロナでの学習の遅れが心配」という声は、たしかにあります。けれども、コロナだっていつかは収束するでしょう。そうしたら、何だかんだと追いつきますよ。コロナの間の学習の遅れは、
ちょっと「やる気」になれば取り戻せるレベルです。そんなに深刻に悩まなくても大丈夫です。
それよりも、コロナ禍だからこそ、「発見できること」がたくさんあると思うのです。夏目漱石が、「眺めて楽しむ」と言っていましたが、目の前で起こっている事象のすべてを面白がることができる気持ちが持てるかどうかが大切です。
危機の時にこそ、そういう気持ちが大切です。
同じ事象でも、認知の仕方でまったく違ってきますよね。たとえば、「コップに半分水が入っている」というニュートラルな状態も、捉え方次第でまったく異なった見方になります。
コップに半分「も」水がある。コップに半分「しか」水がない
今の時期は、どうしてもネガティブな方向に気持ちが持って行かれてしまうから、ここは大人たちの頑張りどころだなと思うんです。
親がガックリしていれば、子どもは不安になりますから。勉強の遅れは、コツコツやれば取り戻せます。それよりも、「今の危機にしかないこと」をキャッチして、「経験値貯金」にしておけば面白いと思います。
――オンライン授業については、どうお考えですか?
オンラインで困るのは、やっぱり低学年ですよね。
私たちもやってみて、1年生までは、正直、お母さんが横にいないと厳しいかなとは思うんですよね。
低学年のお子さんがいる方には、「基盤力に絞ってください。簡単に言えば、
字の練習と計算です。そこだけは、学年相応のことをやっておく。それぐらいで十分です」とお伝えしています。
字の練習と計算は反復練習なので、保護者でも対応できると思うんです。その際、多少声を荒げるようなことがあっても、大丈夫です。子どもは、お母さんたちが心配しているほど、傷つかないものです。
でも、お母さんが少し欲を出して文章題を教え始めると、危ないです。お母さんが魔物に変身して行きますからね(笑)。文章題は、(教えることの素人である)お母さんたちが指導しない方が良いエリアかもしれません。
大丈夫ですよ。たとえば1、2年生でまったく文章題をやらなくても、4年生で4年生の文章題をやるようになれば、できるようになります。「1、2年生の頃、しっかり文章題をやったから」という理由で、高学年で伸びるというものでもないんですよね。
――高濱先生にそう言っていただけると、ホッとするママもいると思います
ただ、これからの保護者は、ざっくり大きな見通しとして、
「授業がオンラインになることもある」ということは、視野にいれておいた方が良いですよね。今までだってインフルエンザで学級閉鎖などはしていましたが、これからは「インフルエンザ期間は、2週間オンライン授業です」ということがあるかもしれません。
そうなること前提の準備は、しておいた方が良いというのはありますね。だからといって、「学校的なもの」がなくなるということは、ないと思います。子どもは、他の子どもの声を聞きたい生き物ですからね。
いかがでしたか? 取材で高濱先生とお会いすると、「元気をいただく」という気持ちになります。なかなか難しいですが、「自分は、自分でいればいい」にトライしてみようと原稿を書きながら思いました。自分を尊重することで、子供に寄り添うといった気持ちの余裕が生まれる予感がします。
高濱先生のメッセージが、一人でも多くのママたちに届くことを心より願っています!
■今回、取材を受けてくださった高濱正伸先生の書籍
花まるな人生 はみ出しても、回り道しても大丈夫!
(高濱 正伸/幻冬舎(¥1,320(税込)))
花まる学習会代表・高濱正伸が自身の幼少時代を紐解きながら、はみ出し、回り道しながらたどり着いた「花まるな人生」について語ります。逆境を楽しみ乗り越える強さ、自分で学べる賢さ、誰とでも仲間になり人を幸せにできるしなやかさ…。
これからの時代に必要とされる力を育むために、親が子どもにしてあげられることとは?
高濱 正伸(たかはま まさのぶ)さん
花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。
『情熱大陸』(毎日放送)など、数多くのテレビ番組や『AERA with Kids』(朝日新聞出版)などの雑誌にも登場。『メシが食える大人になる! よのなかルールブック』(日本図書センター)など、著書多数。
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