コミックエッセイ:夫婦・子育ていまむかし
「パンがなければお菓子を食べればいい」なんて言ってない! マリー・アントワネットの真の姿とは?(前編)【夫婦・子育ていまむかし Vol.27】
代名詞となったあのセリフ…本人は言ってない説!
さて、マリー・アントワネットの一番印象的な意外エピソードと言えば、やっぱり誰でも知ってるこの“迷言“ではないでしょうか。
庶民の暮らしの苦しさ、貧しさを知らない傲慢なお姫様らしさが全面に表れているためか、このセリフが彼女の代名詞になるほど有名ですね。
でも、実はこんなこと言ってない説!
発言の主は某大公国の公爵夫人ではないかと1760年代に書かれたルソーの『告白』中の内容から言われています。この時マリー・アントワネットはまだ幼少期で王妃にもなっていないんですよね。
実際のマリー・アントワネットは飢饉の時、むしろ民衆のために財を集め寄付をしたり、パンの原材料小麦粉に代わる主食としてジャガイモを広めるため国王夫妻でファッションにジャガイモの花を取り入れたりといった模範的な行動をしているのですが…あまり知られていないですよね。私も知らなかった…です。
センセーショナルなデマは一人歩きし、回収不可能に。
フランス人ですら多くが今でも彼女の発言だと思っているそうです。無念すぎる…。
実は民衆よりも先に彼女を嫌っていたのは、宮廷に出入りする王侯貴族たち。彼らの嫉妬と悪意によって作られた悪い噂が王家に反感を持つ貴族たちの中でどんどん広まるうちに、本当のことなど何も知らない民衆の憎悪のネタになっていったのではないかと言われています。
もし彼女が本当に傲慢で浪費家だったとしても、王族を取り巻く他の貴族たちもそう大差なかったでしょうに!毎晩のように宮廷で繰り広げられる舞踏会は決して王族だけのものではなかったわけで。他の貴族たちだって贅沢していたはず。
ではなぜ、この王妃は同胞ともいえる貴族たちからこんなにも憎まれたのでしょうか?