子どものSOS信号は5つの行動で気付ける!?
春は新学期、入園、入学シーズン。新しいお友だちや先生に出会い、これからどんな楽しいことが起こるのか期待に胸をふくらませる時期。それと同時に、生活環境が変わり不安を抱く時期でもあります。息子が入園したときも、普段よりもわがままになって親を困らせたり、いつも以上に甘えが出てきた時期がありました。今思うとそれは子どもが発するSOS信号だったのかも? そこで、子どものSOS信号を見逃さないためにはどうすればいいか、発達心理学・教育心理学が専門の東北文教大学准教授 永盛善博先生に話を聞いてきました。
永盛先生によると「子どもたちは新しい環境に慣れようとして、園や学校でいつも以上に頑張っています。その反動で、不調なども出てきます。子どもが入園、入学する時は、多かれ少なかれ『普段とは違う行動が見られる』と考えた方がいいでしょう」
大人でも新しい環境に行けばストレスがたまるので、子どもであればなおさら。
子どものSOS信号が表れる行動とその対処法を教えてもらいました。
子どものこんな行動はSOS信号のサイン
『チャイルドヘルス』の石動(2017)のまとめによれば、子どものSOS信号は以下の5つの行動になって表れます。
(1)身体反応(食欲不振、疲労感、腹痛など)
(2)気になる行動の再開や強まり(夜尿、指しゃぶり、ぐずりなど)
(3)イライラの増大
(4)母親への依存の増大
(5)緊張(不安な表情、無口もしくは過度のおしゃべり、登園しぶりなど)
小学校入学の際には、特に(1)と(5)が多く表れるとのこと。普段ならつい注意したくなる行動も、この時期は不安の表れだと受け取った方がよさそうです。
SOS信号に気付いたら子どもの気持ちを受け止める
では、子どものSOS信号に気付いたら、どうすればいいでしょうか。親としては登園、登校してほしいという思いがありますが、無理矢理送り出してもいいのでしょうか。
「子ども自身がSOSに気付いていないこともあるので、まずは、親の方から働きかけて。子どもは自分の言い分を聞いてもらえて初めて、大人の言い分を聞けるようになります。
まずは子どもの気持ちを受け止めてほしい」と永盛先生。
働きかけるときは、その子の個性に合わせるのがポイント。褒められた方がよい子、叱られた方がよい子、楽しいことをイメージさせた方がよい子、一緒にじっくりと問題点を解決していった方がよい子などさまざま。話を聞いてもらえただけで大丈夫な子もいるそうなので、自分の子はどんなタイプか見極めることが重要ですね。
SOS信号を見逃さないためにコミュニケーションが必須
「子どもの“いつもと違う”を親が感じるためには、子どもの“いつも”を知っておくことが大切」と、永盛先生にアドバイスをもらいました。普段からよくコミュニケーションをとること。そして、子どもの個性や状態を把握しておく必要があります。また、園生活や学校生活を把握しておくのも大事だそうで、連絡帳を最大限に活用しましょう。
息子が通っている園で「不安なことがあったらすぐ担任や園に連絡してくださいね」と声をかけてもらい、とても心強い思いをしました。子どものことで不安なことや気になることがあったら遠慮せずに連絡帳に書きましょう。家にいるより長い時間生活する園や学校とのコミュニケーションも大事。相手は保育、教育の勉強をしてきたプロですから、きっと力になってくれるはずです。
親としては、自分の気持ちを上手に伝えられない子どものSOS信号に気付いてあげたいところ。新学期がはじまる時期は、いつも以上に子どもたちのことを気にかけて、のびのびと園生活、学校生活を楽しんでもらいたいですね。
<文:フリーランス記者三浦麻耶取材協力:東北文教大学>