「やり返してもいい」泣く息子にそう伝えたけれど…園の先生の答えは?
年中さんになって口も達者になり、プライドも芽生えてきた息子。そんなある日、突然「幼稚園に行きたくない」と言い出しました。
幼稚園でのお友達とのトラブルは日常茶飯事とは言え、今回はなかなか本人の気持ちが収まらず長引き、どうしたものかと困ってしまいました。さらに、そのトラブルについて「先生には言いたくない!」という息子。
こんな時どうしたらよいのか、わが家の場合の対応と反省したことを紹介します。
夏休み明けに珍しく、登園渋りをした息子。話を聞いてみると、ひとりのお友達が何回か息子に手を出してきているとのこと。
叩いたり蹴ったりではなく、こっそりとひっかいてきたり、つねってきたりするそうで「痛いことをされたらイヤだから幼稚園には行きたくない」と主張するのです。
どうしたらよいかな?と話をしても、その時の息子には幼稚園に行かないという解決法しか浮かばない様子でした。
うーん、これは困ったなと思いつつ、「ガマンしているだけでは何も変わらないよ」と伝えました。「楽しみにしている運動会の練習もできないし、ほかのお友達とも会えなくなっちゃうけどいいのかな」とも。
息子自身も、そのお友達のことがなければ幼稚園には行きたいみたいで、どうしたらよいか葛藤しているようでした。
・痛いことをされたら大きな声で「やめて」という
・それでもやめてくれなかったら先生に言ってみる
・先生に言えなかったら、お友達に助けて!と言ってみる
いろいろと提案してみるも、「うーん」とスッキリしない様子。
だましだまし幼稚園に連れて行く日々が過ぎたある日、ついに幼稚園の門の前で行きたくない!と大泣き。暴れる息子を両手で抱え先生に引き渡すことに。
先生からは「わかりました。ほかの先生とも共有し、様子をよく見るようにして、何かあったらご連絡します」とのことでした。
その後、どうしたら元気に幼稚園に行ける?と聞いても、やっぱり幼稚園には行かないとしか答えない息子。
「だって言ってもやめてくれないかもしれない、先生も忙しいかもしれない」と年中さんなりに頭を使って反論してきます。
あまりにも埒があかないので、私は息子に「全部やってみてもダメで、それでも痛いことをされてイヤだったら、1回だけやり返していいよ」と言いました。
息子に伝えた「1回だけやり返してもいい」は正解?
今まで、息子には「どんな理由があっても、手を出してはいけない」と教えてきました。
ただ、この時頭をよぎったのは、抵抗しないからやられてしまうという可能性です。この先、小学校中学校と進む中で、同じようなことがあるかもしれない、その時にずっとガマンして耐えるだけが正解なのかなとふと疑問がわいたのです。
しかし「1回だけやり返してもいい」と伝えたものの、私自身この言葉が正解だったのかはわからずモヤモヤとしていました。
それからしばらく経ちましたが、結局息子がやり返すことはありませんでした。幸いなことに手を出してきていたお友達が、その後は手を出してくることはなかったようです。
ただ、最終手段でやり返すことを選択肢にもてたことは、息子の気持ちを少しラクにしてくれたように私は感じました。
しかし、親としてやり返すという選択肢を与えたことが正しかったのか、私の気持ちにはモヤモヤが残っています。
そこで担任の先生と話す機会に、この件について聞いてみました。
先生からのお話を要約すると、
・今回のようなときに「やり返してもいいという選択肢を与えることがよい」とは園側からは言えない。しかし、ガマンするだけが解決方法ではないので、自分を守る意味でもやり返すという手段を教えることが必ずしも悪いことではない
・しかし、例えば幼稚園内でお友達に何かをされたときにやり返したとして、『よくやり返したね』と話すことはない
・そもそもそのガマンをため込んだ原因に「先生にやられていることを言えない」ということがあるので、そこを解決していきたい
・「先生に言うとお友達が怒られてしまう、悪者にされてしまうから言いづらい」という子は一定数いる
・そこで、「お友達も大切だけれど、それと同じようにあなた(息子)のこともとても大切に思う人がたくさんいて、先生に話すことは、お友達を悪者にすることではなく、あなたが自分を大切にするという意味でも大事なことなんだよ」と伝えていく
・私から「あなたが痛い思いをしてガマンをしていたら先生は悲しいな、今度から教えてくれる?」という話をしてみる
とのことでした。息子の「先生に言いたくない」という部分の解決法をとても的確に教えてくださいました。
先生の話を聞きながら、「やり返す」という選択肢を伝える前に、解決すべき問題があったのだなとハッとしました。
私は、どうしたら本人が幼稚園に行く気になるかということにばかりとらわれ、息子がガマンしていること、それまでの過程をすっかり見過ごしていたなと反省したのです。
その後、私の方からも、息子のことを大切に思うからこそ、きちんと先生やお友達にも伝えてほしいと話をしました。
親としては、子どもが悲しんでいたりつらそうにしていると、真っ先に解決策を模索してしまいがちです。
しかしその前に、まず気持ちに寄り添い、『あなたのことをとても大切に思っている』と伝えることがとても大事で、一番最初にするべきことだったんだと思います。
「手を出してくるお友達」というのはひとつの事象であって、そのバックにあった息子の気持ちにもっと寄り添うべきだったなと感じた一件でした。
<文・写真:ライターさつき>
幼稚園でのお友達とのトラブルは日常茶飯事とは言え、今回はなかなか本人の気持ちが収まらず長引き、どうしたものかと困ってしまいました。さらに、そのトラブルについて「先生には言いたくない!」という息子。
こんな時どうしたらよいのか、わが家の場合の対応と反省したことを紹介します。
幼稚園に行きたくない!原因は手を出してくるお友達だった
夏休み明けに珍しく、登園渋りをした息子。話を聞いてみると、ひとりのお友達が何回か息子に手を出してきているとのこと。
叩いたり蹴ったりではなく、こっそりとひっかいてきたり、つねってきたりするそうで「痛いことをされたらイヤだから幼稚園には行きたくない」と主張するのです。
「先生は知ってるの?」と聞くと、痛いことをしたあとにすぐ「ごめんね」と言ってくるからそれ以上言えないし、「先生に言うとその子が怒られちゃうから言いたくない」とのこと。
どうしたらよいかな?と話をしても、その時の息子には幼稚園に行かないという解決法しか浮かばない様子でした。
だましだまし登園を続けるもついに大泣き
うーん、これは困ったなと思いつつ、「ガマンしているだけでは何も変わらないよ」と伝えました。「楽しみにしている運動会の練習もできないし、ほかのお友達とも会えなくなっちゃうけどいいのかな」とも。
息子自身も、そのお友達のことがなければ幼稚園には行きたいみたいで、どうしたらよいか葛藤しているようでした。
・痛いことをされたら大きな声で「やめて」という
・それでもやめてくれなかったら先生に言ってみる
・先生に言えなかったら、お友達に助けて!と言ってみる
いろいろと提案してみるも、「うーん」とスッキリしない様子。
だましだまし幼稚園に連れて行く日々が過ぎたある日、ついに幼稚園の門の前で行きたくない!と大泣き。暴れる息子を両手で抱え先生に引き渡すことに。
このタイミングで、先生には私から今回の件を伝えました。息子が先生に言いたくないと言っていることも伝え、お友達の名前は伏せておきました。
先生からは「わかりました。ほかの先生とも共有し、様子をよく見るようにして、何かあったらご連絡します」とのことでした。
ガマンして耐えるだけが正解なの?私自身が悩む
その後、どうしたら元気に幼稚園に行ける?と聞いても、やっぱり幼稚園には行かないとしか答えない息子。
「だって言ってもやめてくれないかもしれない、先生も忙しいかもしれない」と年中さんなりに頭を使って反論してきます。
あまりにも埒があかないので、私は息子に「全部やってみてもダメで、それでも痛いことをされてイヤだったら、1回だけやり返していいよ」と言いました。
息子に伝えた「1回だけやり返してもいい」は正解?
今まで、息子には「どんな理由があっても、手を出してはいけない」と教えてきました。
「その時点であなたも同じように悪いということになるよ」と。
ただ、この時頭をよぎったのは、抵抗しないからやられてしまうという可能性です。この先、小学校中学校と進む中で、同じようなことがあるかもしれない、その時にずっとガマンして耐えるだけが正解なのかなとふと疑問がわいたのです。
しかし「1回だけやり返してもいい」と伝えたものの、私自身この言葉が正解だったのかはわからずモヤモヤとしていました。
やられたらやり返すはアリ?先生に聞いてみました
それからしばらく経ちましたが、結局息子がやり返すことはありませんでした。幸いなことに手を出してきていたお友達が、その後は手を出してくることはなかったようです。
ただ、最終手段でやり返すことを選択肢にもてたことは、息子の気持ちを少しラクにしてくれたように私は感じました。
しかし、親としてやり返すという選択肢を与えたことが正しかったのか、私の気持ちにはモヤモヤが残っています。
そこで担任の先生と話す機会に、この件について聞いてみました。
先生からのお話を要約すると、
・今回のようなときに「やり返してもいいという選択肢を与えることがよい」とは園側からは言えない。しかし、ガマンするだけが解決方法ではないので、自分を守る意味でもやり返すという手段を教えることが必ずしも悪いことではない
・しかし、例えば幼稚園内でお友達に何かをされたときにやり返したとして、『よくやり返したね』と話すことはない
・そもそもそのガマンをため込んだ原因に「先生にやられていることを言えない」ということがあるので、そこを解決していきたい
・「先生に言うとお友達が怒られてしまう、悪者にされてしまうから言いづらい」という子は一定数いる
・そこで、「お友達も大切だけれど、それと同じようにあなた(息子)のこともとても大切に思う人がたくさんいて、先生に話すことは、お友達を悪者にすることではなく、あなたが自分を大切にするという意味でも大事なことなんだよ」と伝えていく
・私から「あなたが痛い思いをしてガマンをしていたら先生は悲しいな、今度から教えてくれる?」という話をしてみる
とのことでした。息子の「先生に言いたくない」という部分の解決法をとても的確に教えてくださいました。
先生の話を聞きながら、「やり返す」という選択肢を伝える前に、解決すべき問題があったのだなとハッとしました。
私は、どうしたら本人が幼稚園に行く気になるかということにばかりとらわれ、息子がガマンしていること、それまでの過程をすっかり見過ごしていたなと反省したのです。
その後、私の方からも、息子のことを大切に思うからこそ、きちんと先生やお友達にも伝えてほしいと話をしました。
大切なのは息子の気持ちにもっと寄り添うことだった
親としては、子どもが悲しんでいたりつらそうにしていると、真っ先に解決策を模索してしまいがちです。
しかしその前に、まず気持ちに寄り添い、『あなたのことをとても大切に思っている』と伝えることがとても大事で、一番最初にするべきことだったんだと思います。
「手を出してくるお友達」というのはひとつの事象であって、そのバックにあった息子の気持ちにもっと寄り添うべきだったなと感じた一件でした。
<文・写真:ライターさつき>