ただいま中学1年生 第4回 怒鳴らない先生VS.キレる母
仕事に向かう途中、担任の先生が携帯に電話をくれ、
「電話をもらう前に、ちょうどハルキ君と話していたのですが、いつも通り元気でしたよ。自律神経のバランスがちょっと崩れたんでしょうね。お母さんから電話があったことを伝えて、『具合が悪かったら先生に言うんだよ』と伝えましたから」と言ってくれました。先生のこの言葉にどれだけほっとしたことか。
わたしの言葉は、ハルキが動悸を起こしてしまうくらいひどいものだったのか。
「大嫌いだ~~~~~」
がハルキの中でリフレインしたんだろうな……。
ハルキがじゃなくて、考え方がだよ、と心のなかでつぶやいてみる。
いつも注意をするときは、叱るというより、感情的になってしまうわたし。
これから思春期に入り、親の言うことも聞き入れにくくなるだろうし、わたしがこんなことではいけないと、さすがに反省しました。口ではうまく伝えられない気がして、ハルキに手紙を書きました。感情的に叱ってしまうことを謝り、これからはもっと言葉を選ぶことを約束しました。
部活を終え、帰宅したハルキ。心配をよそに、いつも通り元気なようすでした。わたしの手紙を読み終えると、「うん」と一言。
「先生、なんて言ってた?」
「ん?『ケンカしたの?』って」
ハルキは、担任の先生をとても信頼しています。先生のクラスになり、はじめて叱られたとき、
先生は叱るときに
と言っていたそうです。
大きな声で叱ると、子どもは、怒鳴られるからやってはいけないと思ってしまうからだそうです。
その通りです。育児書にもそう書いてあります。でも、いざとなると感情的になってしまうんです、母は……。
担任の先生は、わたしと同世代だと思います。先生にとって、たとえそれが仕事だとしても、実践できているということはやっぱり立派です。
「先生を見習おう。次に大きな声で叱りそうになったら、とりあえずトイレにかけこんで、深呼吸してみよう!」と、心に誓ったのでした。
ナナ竹内(たけうちなな)夫と息子との3人暮らし。神奈川県在住。
出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。息子がテニスを始めたのを機に、自分もスクールに通って、基礎をきちんと学びたいと思う今日このごろ。青空の下、家族でテニスを楽しみたい。