すくすく伸びる子どもたちに、本当に大切なこと 自分ががんばらなきゃと思わなくていいんです。子どもにも親にも必要な「ナナメの関係」
という観点から地域ぐるみの教育プロジェクトを行なっているのが「てらこやネットワーク」です。「複眼の教育というのは、文字どおり、1人の子どもを育てていくために、地域の大人や大学生が複数の目で子どもをしっかりと見守っていくしくみのことです。」
「親子や教師のような“縦”の関係でも友だちのような“横”の関係でもない、第三者と子どもの“ナナメ”の関係を作り、子どもたちのコミュニケーションを活性化させていくことは、子どもが育つのにとても大事な要素なんです。それを地域で実践していくための学びの場でありコミュニティがてらこやです」。そう語るのは「てらこやネットワーク」の理事長・大西克幸さん。
■現代版 “てらこや”で地域ぐるみの教育を NPO法人全国てらこやネットワークインタビュー第1回
「てらこやネットワーク」では、地域性を活かした子ども向けの事業(合宿や体験活動など)を全国で展開しています。「大学生が企画運営の主体となっていることが特徴です。てらこやの提唱者である精神科医の森下一先生は、身近の手本となるお兄ちゃん・お姉ちゃんとの出会いが子どもの人生の転機になると言います。あのお兄ちゃん・お姉ちゃんみたいになりたいというような、身近の手本との出会いをどれだけ作っていけるか。『よき人との出会い』、これが『複眼の教育』と並んで、てらこやの大きな目標となっています。」
■現代版 “てらこや”で地域ぐるみの教育を NPO法人全国てらこやネットワークインタビュー第3回
「てらこやネットワーク」では「子ども食堂」も展開しています。こうした場も第3の場といえるでしょう。
もう少し身近な人間関係のなかにも「第3の場」はあります。祖父母の存在です。
甘やかしすぎる祖父母への対応がなかなか…と考える保護者も多いかもしれませんが、「子どもたちにとって、逃げ場や甘える場所があることは、決して悪い面ばかりではないのです」と松井美香先生。
もちろん祖父母に自分たちに子育ての方針を、感謝の気持ちとともに伝えることは大事ですが、「子どもたちにとっては、厳しい人、優しい人、甘やかしてくれる人、勇気づけをしてくれる人、勇気くじきをする人等々、さまざまな人と関わることは、対人関係を学ぶ上で良いトレーニングになります。」
祖父母の甘やかしを無下に否定したり、「わがままな子に育ったらどうしよう」と焦ったりする必要はなさそうです。