この中には、まだ詳しい原因やメカニズムがわからないものもあれば、医学の進歩で一部原因が解明されたり、発症を防げるようになったものもあります。
胎児期に発現する遺伝子変異や染色体異常といった先天的な原因が知的障害を引き起こす場合があります。また、まれに知的障害の素因となる遺伝子が親から子へ伝わることもあります。
下記は胎児期に発現する知的障害の素因としてよく知られている疾病です。
・先天性代謝異常(フェニールケトン尿症・メープルシロップ尿症など)
・ダウン症
・脆弱X症候群(FXS)
・脳内タンパク質の遺伝子変異など
ダウン症などの染色体異常が原因の場合、出生前検査などでその可能性がわかる場合もあります。
また胎児期はお母さんのおなかの中で身体や脳などの器官がつくられる大切な時期です。この頃にお母さんを通じて感染症や薬物、アルコールなどの外的要因が胎児に影響したり、お母さんの代謝異常などで栄養不足になったりして脳の発育が妨げられ、知的障害を引き起こす原因となる可能性もあります。
出産前後の事故などによって脳に障害が現れることがあります。
母体の循環障害、へその緒がねじれるなどで赤ちゃんの脳に酸素がいかなかったり、出産時に頭蓋内出血が起こったりして脳に障害が残る場合があります。また低体重や早産などにより、脳が未発達のうちに生まれることも原因の一つとなる可能性があります。
これらの出産前後のトラブルは周産期医療の進歩や充実によって少なくなってきています。
脳が未発達なうちはけがや病気の影響を受けやく、乳幼児期の感染症や頭部の外傷などが原因になることがあります。日本脳炎や結核性髄膜炎、ポリオ、麻疹、百日咳などに感染し重篤化して脳炎になると知的障害を引き起こす場合がありますが、予防接種により感染の危険を減らすことができます。また乳幼児期に栄養不足だったり、不適切な養育環境に置かれることで脳の発達が遅れることもあります。
フェニールケトン尿症は出生後すぐの新生児マススクリーニング検査の対象疾患となっており、そこで自動的に検査されます。疾患が見つかったらすぐに食事療法によって血液中のフェニルアラニンを一定の範囲にコントロールすることで、発症を予防することができます。
知的障害は遺伝するの?
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11044002809
知的障害の原因はさまざまですが、一部に遺伝性の疾患によるものがあることもわかっています。