[第3回]アスペルガーの僕が、親子のコミュニケーションで大事にしてほしいと感じること
僕の経験や知恵を伝えることは病院にいるよりも「より多くの人のためになる」と考えたのです。
編集部:なるほど。
畠山:それでいうと、親子のコミュニケーションの何が難しさになるのかといえば、「子どもは今何を思って、何に興味があって…」ということを親は意外と知らないことが多いことかなと感じます。
子どもって3ヶ月ごとくらいにマイブームがあるでしょ?
もっと早いスパンかもしれないですね。
編集部:ありますあります!2週間くらいで興味が変わっているお子さんもいて。
畠山:そうですよね。
興味があること、というのは今脳が発達しようとしている分野なんです。
その興味のあることに対して、理解が深まったり脳の回路が出来上がったり、十分に経験したら、次の興味に移ります。
そのことを、ちゃんと理解してあげることが大事ですよね。
ただ止める、ただ発達を促そうとアレコレやらせてみる、のではなくて、「今はコレに興味があるんだな」と理解してあげて、興味があることへのアクションをちゃんと認めて次にいく、というサイクルを覚えておけば、親子のコミュニケーションはスムーズになるのではないでしょうか。
編集部:「興味や発達に段階がある」ということでしょうか。
畠山:そうですね。
なのに、「まだコレが下手だからやらせない」「コレが伸びないから、次に行く前にまずはコレをもっとやろう」など、せき止めてしまう事もありますよね。
例えば、3,4歳の男の子で、消防車は覚えていても、まだ救急車をしらない子がいたとしましょう。
救急車を街中で見かけて「あれ、消防車でしょ!」といったときに「違うよ、あれは救急車でしょ。なんで知らないの?図鑑で見たじゃん」と、言ったらどうでしょう。
自己否定をされると、次からその子は「あれ、救急車でしょ!」と親に言いにくくなり、繰り返すとやがて言わなくなりますよね。
その分野を学ぶこと、興味をもって親や大人に聞くことをやめてしまったり、シャットダウンしてしまうのではないでしょうか。だから、正誤ではなくて「興味を持っている」というそのものを認めてあげながら、次のことを教えてあげる。
すると、知識は増えるし、学ぶことは楽しくなる。もっと興味をもって観察するようになる。
先ほどの例なら、
「消防車?どれどれ?すごいねえ。どうして消防車と思ったの?」
「サイレン鳴ってて、赤く光っているよ!」