2019年7月1日 07:00
頭ごなしの「ダメでしょ!」ではなく!接客のプロの神対応に学ぶ、自閉症息子への伝え方の極意
息子からの私へのクレーム
『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。
あるとき、息子がパニックを起こし自傷しました。腕にはひどい歯型がついていました。原因は私の対応の仕方でした。
息子はとても耳がいいです。よく電車の走る音を聞いて「○○電車の○○系、各駅停車だ」とあてられる子がいますが、息子はトイレに流れる水の音を聞いて、型番を言いあてることができます。
ただ、耳がよすぎるためか聴覚の過敏があり、耐えられない音は徹底的にダメなのです。ちなみに、今NGな音は“食器洗い洗浄機”と“人の咳”です。
私が風邪をひくと…
私が風邪を引くと、当然咳が出ます。そんなとき「お母さん、大丈夫?」という私の体調を思いやった態度をとることはありません。なぜなら、咳の音が息子にとっては耐え難いものだからです。だから、ものすご~く嫌な顔をします。
そして、インフルエンザに罹ったときも、病気の私に向かって…
「うるさい!」
「あっち行け!」
「出て行け!」
「何月何日に治るのか?」
というひどい言いっぷり。
私は、体調も悪かったせいで、つい…
「病気の人になんてこと言うの!」
「どうしてお母さんに優しくできないの!」
と言い返してしまいました。
さらに
「そんな酷いことばかり言うんだったら、お母さんは出て行くからね!」
「咳をする人と一緒にいられないんだったら、一人暮らししたら?」
とまで言ってしまいました(私も言い過ぎですね)。
ただでさえ咳の音でイライラしているところに不安まであおってしまったようで、ワーワー泣き叫びながら自分の腕を噛みつき自傷。
壁やドアを蹴り、パソコンのマウスを投げ、早々、ふて寝してしまいました。
接客のプロの仕事ぶりを思い浮かべる
次に風邪をひいたときは、別の対応ができました。そしてこのとき、息子はパニックになりませんでした。
私「咳の音が嫌なんだね。すごく辛いよね。お母さんも咳をすると苦しいから辛いんだ。早く治すように頑張るから、もう少し我慢してね」
私はこのとき、ホテルやお店の人たちの、お客さまへの対応を思い浮かべていました。息子からの要求が無理難題、理不尽なことに思えても…、「まず相手の立場に立って共感すること」。
そのうえで、できない事は丁寧に説明すること。神対応ができる接客のプロは、この「共感」