【音楽家・広瀬香美さんインタビュー】「まわりの音がすべて音符に聞こえる」幼少時代、不登校を経て、音楽の道で輝けるようになるまで
まわりの音がすべて音符で聴こえる。不協和音にならないように気をつけながらしゃべる子どもだった
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数々のヒット曲を産み出してきた、音楽家・作曲家の広瀬香美さん。最近ではYouTubeオフィシャルチャンネルでの「歌ってみた」シリーズが大きな話題を呼んでいます。音楽の天賦の才をもつと同時に、生きづらさも感じていた思春期を経て、才能あふれた明るい「広瀬香美」が誕生するまでを、LITALICO発達ナビ編集長・牟田暁子がインタビューしました。
牟田暁子LITALICO発達ナビ編集長(以下――)広瀬香美さんご自身の、音楽的な感受性の強さを表すエピソードをぜひ教えてください。子ども時代、どんなお子さんでしたか?
広瀬香美さん(以下広瀬)「ええと~、ええっと~…」
って、言うでしょう。すると、それが私には、「ド ミ~、ド ミ~」って、音符で聴こえるんです。空気の音は和音に聴こえます。
たぶん電気や電磁波みたいなものの音だと思うけれど、Eフラットの和音に聴こえるんです。
だから、どんな静かな場所でもベースに和音があって、そこに自分が話す声をメロディーとして乗せようとしちゃうんです。そうしないと不協和音になってしまうから。具合が悪いときには、聴こえている和音には反抗するように全然違う音で喋りたいけれど、そうすると不協和音になってしまうので、黙り込んでしまう習性がありました。
今だったら、生活音が全部音楽になってしまうということは、なんて素晴らしいと思えますが、昔は、「うるさいよね、人生って」と思っていました。
ただ、いつもオーケストラみたいに音が鳴っているのは、食べたり眠ったりと同じ当たり前のことだと思っていたから、誰かに悩みを打ち明けるということもありませんでした。だって、お父さんもお母さんも友達もみんなそうだって思っていたから。
――それが自分だけにあることだと気づいたのは何歳ごろでしたか?
広瀬「私っておかしいの?」と思ったのは、仲間意識ができたりする小学校3~4年ごろかな。
「あの子、なんかちょっと言うことがおかしいよね」と言われるようになったんです。
たとえば、「なおこちゃん」と呼びかけるとき、「ミレドちゃん」と聴こえたままに言ってしまったりすることがあって、「ミレドじゃない!」となおこちゃんから言われてしまう。私としては「あれ?私ミレドちゃんて言った?」