お昼寝失敗で癇癪、寝かしつけに数時間。眠れないASD息子に効果的だったのは?正論アドバイスに傷ついた乳幼児期
赤ちゃんのころの様子
むっくんは赤ちゃんのころから現在に至るまで、一貫して総睡眠時間は平均より短め、入眠に時間がやたらかかるのに一度眠ると起きないという睡眠リズムを持っています。
私がむっくんの睡眠に悩み始めたのは授乳が終わったころからでした。とにかく入眠に時間がかかり、授乳なしではお昼寝も夜の寝かしつけも思うようにいかないのです。初めての子育てだったことも相まって、夫婦共にむっくんを寝かせることのストレスは相当なものでした。
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更に当時は、お座りや歩行、発語などといった月齢相当の目安となるような発達は順調に進むものの、睡眠以外にも、多動、他害、癇癪、偏食なども強く、むっくんへどう接したらよいのかが全く掴めませんでした。育児書やネット上のアドバイスを片っ端から試すのに、何もかもうまくいかない。お昼寝に失敗すると癇癪が起こりやすく、更に関わりが難しくなってしまうので、朝起きたときから何をして過ごせば今日寝てくれるだろうかと、睡眠のことばかり考えていた気がします。
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当時の私は、むっくんが起きている間は息ができず、眠っている間だけ息ができる。
そんなふうにも感じていました。子どもとの暮らしを楽しめない自分を、自分で責めてもいたことを覚えています。
3~5歳のころ
このころから、むっくんはイヤイヤながらも眠る努力をしてくれるようになりました。むっくんも寝ようと頑張るものの、布団の中でじっとすることができず寝付くのに1~2時間かかります。昼間は園へ行き外遊びもばっちり!夕方からはずっと、一般的に眠るに適したと言われる環境を必死で維持しているのに、ふとんの肌触りや温度、外の車の音などの刺激にいちいち反応し、暗闇でごそごそ動き続けてしまうのです。隣で寝たふりをしながらその音を2時間近く聞くことは、とにかくイライラするものでした。最終的には脅してじっとさせて眠らせるという、穏やかな眠りには程遠い寝かしつけをしていました。
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眠れない理由
むっくんは5歳のころになかなか寝ない理由を教えてくれました。
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必死で眠らせようとしていた私と、私とのお別れが嫌で眠らないように頑張っていたむっくん。むっくんは今も不安を感じやすい子なので、イライラする私の横でずっと独りで不安と向き合っていたのかもしれないと思うと情けなくて・・・。むっくんは機能的に眠ることが苦手な面もありますが、上手く眠れない理由の一つに強い不安感があると知り、私はこのころから【早く眠る】ではなく【穏やかに眠る】ことを意識するようになりました。
私にできたこと
むっくんは3歳半のときに神経発達症の診断を受けて医療とつながっていましたが、入眠に時間がかかると言っても0時ごろまでには眠れて中途覚醒もないタイプでした。そのため、入眠に時間がかかることが日中の活動に差し支えることはなく、主治医からお薬などを勧められることもありませんでした。
そこで、眠るときはできるだけ心地よい感覚で安心できるように、マッサージをしたり、寝具を重くしたり、アロマを使ったりの工夫はしていました。だけどむっくんは私に何かしてもらうより自分で調節して、自分のタイミングで眠る方が楽そうでしたので、私や弟の動きが自己調節を妨げないように大人用の寝具を一人で使えるようにして、私はひたすら気配を消して見守っていたように思います。色々試しましたが、一番効果があったのはなにより私が先に眠ることでした。
夜、私一人の時間が欲しいという望みを潔く諦められたころから入眠への悩みはいくらか楽になっていったような気がします。
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当時を振り返って
子どもが思うように眠らないと、私は自分時間の確保ができません。いつまでこれが続くのか、このままでこの子は大丈夫なんだろうかという心配や不安も襲ってきます。そんなときに「子どもの睡眠時間は大切だからしっかり確保しましょう!」やら「眠らせるには日光に当てる、たっぷり外遊び、生活リズムを整える」などの正論アドバイスを見聞きすると、まるで「寝かせられないあなたはダメな親」と言われているように感じてしまい、心をズタズタにされたものです。今ならハイハイ、そういう子もいるだろうけど、ウチは全然違うんですよーって笑って返せますが当時はそうではなかった。だから発達障害では睡眠が上手くいかない場合があると知ったとき、眠らないのは仕方ないことなんだと思えて救われたような気がしました。
今も平均より睡眠時間が少なめなむっくんですが、スクスク元気に成長しています。身長だって平均ですし、夜が遅くても朝は自力で定時起床できます。
相変わらず入眠に時間はかかりますが、眠り方のコツも掴めてきて、本人なりに試行錯誤しながら自分の睡眠と向き合っています。当時は諦めた私の自由時間も今は確保できています。だからそんなに心配しなくても大丈夫だよ、寝なくても何とかなるもんだよって、あのころの自分に伝えてあげたいな、なんて思ったりするのです。
執筆/ウチノコ
(監修:三木先生より)
コントロールのきかない癇癪や不眠は本当に恐怖の対象ですよね。でも、大人が必死になればなるほど子どもが安心できなくなるのは、睡眠以外のテーマでも同じかもしれません。まずは大人が先に安心して、その様子を見てもらうという方法はとても良かったように思います。