子育て情報『たった2文字の「うん」に心が震えて――自閉症のわが子を育てる中での思い』

2022年4月7日 06:15

たった2文字の「うん」に心が震えて――自閉症のわが子を育てる中での思い


共感の言葉が欲しい

幼い自閉スペクトラム症の子を育てている知人も次のように話していました。

「今までで一番嬉しかったことは、オウム返しだった息子が、母親の声かけに対して『うん』と答えたこと」

私には知人の嬉しい気持ちがとてもよくわかります。「う・ん」これはたった2文字の言葉ですが、立派な会話だからです。

息子は2才ごろから言葉を話せるようになりましたが、動物園に連れて行くと、ゾウの展示の前で、全くゾウと関係ない、大好きなトイレの便器の型番をずっとブツブツと言っていました。

たった2文字の「うん」に心が震えて――自閉症のわが子を育てる中での思いの画像

Upload By 立石美津子

「象がいるね」と話しかけたら、息子に「うん」と言って欲しかったものです。だから、知人の気持ちがとてもわかるのです。


小さな成長がともかく嬉しい

こうした、小さな出来事のように見えるかもしれないことに幸せを感じられるのは、障害のある子の子育ての醍醐味かもしれません。

先日も45リットルのゴミ袋のストックがないのを見て「お母さん、ゴミ袋ないよ」と言ってきました。
こんなことでいちいち、心が嬉しくて震えます。

聞かれてもいないのに、「2023年8月3日は木曜日」なんて言えなくていいから、一緒におやつを食べながら、「お母さん、このアイスクリーム、冷たくておいしいね」と言って欲しい…。一緒に外に出たときに、自分から「お母さん、今日は暖かいね」と言って欲しい…。

自閉スペクトラム症のある子どもを育てる親の願いです。

言葉が出ない子どもでも表情で「うん」と答えてくれる、言葉が出るようになってもオウム返しではなく、「これ美味しいね」「今日は寒いね」と親に自ら共感を求める言葉を言ったとき、心が嬉しくて震えるのです。

こういうことに幸せを感じられるとき、私も親として少しは成長をしているのかなと、思うのです。

(監修者・鈴木先生から)

以前私の患者さんでADHDの治療をしたら入浴後に「シャンプーがないよ」と言ってくれたお子さんがいます。治療を継続する中で、自ら気づくようになり、それを記憶して母親に言えるようになったのです。
そういうところからも会話が増えることはあります。息子さんも成長してゴミ袋のストックがないのに気づき、忘れないうちに言えるようになったのかもしれません。返事に関しては周りの大人も気をつけなければいけません。相手に対して大人もきちんと返事をしていれば自然と子どももまねるものです。

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