ビジョントレーニングとは?発達障害との関わり/専門家監修
があるのではないかといわれています。
こうした「見る力の困難さ」がある場合には、困りごとや特性を理解し、一人ひとりにあった学習方法を提供することが大事です。
LD(学習障害/限局性学習症)がある子どもが感じる困りごとには以下のようなものがあります。
・音読がたどたどしい
・文章を読むとき文字や行を読み飛ばしてしまう
・ひらがな、カタカナ、漢字がなかなか覚えられない
・字を書くのに時間がかかる
・文字が枠からはみ出す
・計算の筆算を間違えることが多い
こうした学習に関する困りごとは、「見る力」が弱いことから生じている場合があります。
見る力の弱さが学習の困難に影響している場合には、ひたすら音読や書き取りの練習だけを積み重ねても効果が出にくいことがあります。
ビジョントレーニングで見る力を高めることで、学習に取り組む際に必要な情報処理や眼球運動の調整などがうまくできるようになり、困りごとが解決しやすくなるのではないかと期待されています。
ただし、ビジョントレーニングのみを取り入れるのではなく、子どもが学びやすい環境づくり(文字を大きくする・余白をつくる・字体を変更する・マス目の大きなノートを使用するなど)も合わせて行うことが大切です。
ビジョントレーニングの効果は?
ビジョントレーニングに期待できる効果は、「見る力」のうち、どの部分を重点的にトレーニングするのかによっても異なります。
この項目では「眼球運動」「視知覚認知」「目と手の協応」の3パターンに分けて、ビジョントレーニングを行ったときに得られる可能性のある効果について解説していきます。
眼球運動のトレーニングは、以下の3つの機能に対しておこなわれます。
■見たいものの動きに合わせて視線をなめらかに動かす機能(滑動性眼球運動)
ゆっくりと動く指標を見続けたり、指や鉛筆を使わず目で追いながら迷路をクリアしたりするなどのトレーニングをすることで「目標物を見失ってしまったり、目標物に合わせた手や体の動きが正確に行えなくなったりする」「文字を読み飛ばしてしまう」などの状態の改善に期待できます。■見ているものの位置から、ほかの場所へ視線を移動させる機能(跳躍性眼球運動)
見ているものの位置から、ほかの場所へ視線を移動させる機能が弱いと、黒板から一時的に目を離してノートに文字を書いたあと、再び黒板に視線を戻したとしても、先程まで見ていたところをすぐに見つけ出せないことがあります。