「兄が死んだ」身元確認のため自閉症小1息子と面会へ。死を理解していないであろう息子の初めての言葉とは
太郎が初めて「かわいそう」と言った。

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兄の死は私にとって、家族にとってとても衝撃的なことでした。太郎と共に兄の元へ行くというミッションは逆に私の心を紛らわし、癒すものになっていたことに後々気づきました。旅の道中、太郎からの質問に答えながら、私たち家族の関係を再確認し胸が熱くなったことを今でも覚えています。
夏の思い出をまとめさせていただきました。ありがとうございました。
執筆/まゆん
(監修:井上先生より)
お兄さまの死と、お子さんとの初めての長旅。
不安と悲しみのつらい旅、しかも太郎さんの行動を気にかけながらということで、とてもハードな数日だったのではないでしょうか。太郎さんがお兄さまの死をどのように認識したかというのは、その時点では理解できなかったかもしれませんが、少し大きくなってからそのときの周りの人の様子や雰囲気を思い出して、考えたりあらためて意識したりすることもあるのではと思います。時間がたってその時のことを太郎さんと話せるようになると、お互いに体験を整理することができるように思います。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。