「兄が死んだ」身元確認のため自閉症小1息子と面会へ。死を理解していないであろう息子の初めての言葉とは
DVD鑑賞中に私と妹が会話をすると太郎は癇癪を起こした。会話が雑音に聴こえるのだろう。
それでも大人同士の会話は必要なので太郎が癇癪を起こしていてもスルーして続けることもあった。「大切な話をしているの」と説明しても理解はしてくれなかったが、一応説明はした。太郎の癇癪が多かったこの時期、私は歯がゆかったり苛立ったりすることが一番多かったと思う。
癇癪を起こすとしばらくは不機嫌モードが続く。気分転換を試みて車を停めて外を歩いたり、お店でお菓子を買ったりすると徐々に気分も元通りになった。
妹は太郎の特性も理解していたし、太郎との相性もいいこともあって私も気を遣わずに旅を続けることができた。
太郎が癇癪を起こしても、「静かにしてください!」と怒っても妹はいつも穏やかにフラットに接していた。時には淡々と太郎に注意、忠告をしてくれることも。感情的に頭ごなしに言わない性格が太郎にはマッチしていた。妹がいてくれて本当に助かったと心底思う。

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癇癪を何回か繰り返し、気分転換を図りながらようやく目的地に到着した。この日はまだ兄とは対面できないということでホテルに宿泊することになった。
ホテルでは絶対に多動が爆発するだろうと予感していたが案の定だった。
太郎はベッドやソファがアトラクションに見えてるかのように興奮していた。
私の心は穏やかではない、ほかのお客さんに迷惑だし、太郎が怪我しないか心配だし、でも楽しそうだし。いろいろ焦りも混じりながら考えていた(いつもこんな風にいろいろと考えるから疲労が強いのかも)。ある程度楽しませたあとに、そろそろ落ち着こうとキリの良いところで止めに入った。太郎も満足したのかそのあとはさほど暴れ回ることはなかった。

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遠出のときに困ることがもう一つ、食事だった。太郎の多動や偏食、匂いに過敏で嘔吐も時々あるので外食はなるべく避けていた。
この日は妹もいるし私もたまには外食をしたいと思い、外で食べることにした。オーダーしたものが届くまでの太郎は落ち着きがなく床に寝そべったり動き回ったりするので、私の携帯を渡した。そうすると動画を見たり、ゲームを始めたりしてすぐに静かになる。むしろ過集中になるくらいだ。お店の中で寝そべられるのも周りからの目が気になるので、仕方なしにゲームをさせていた。
しかし、ここで困ることが、食事がきてもゲームをしたくて食事に集中しないことだった。