発達障害がある子の保護者の方が主体的に町の教育へ参加する。葉山町のインクルーシブ教育とは?
でも、日本では障害がある人とない人で、そもそもの教育の場から区別してきてしまった。
最近やたらとインクルーシブ教育という言葉を聞くようになったのは、そんな日本の分断されてきた背景があるからこそ。だから、インクルーシブ教育なんて言葉がいつか存在しなくなるほど、ごく自然に多様な人が一つの場所に混ざり合う社会にしていくことが求められているんだと思います。
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進む方向を示して目線を合わせ、取り組みを常に見える化し不信感を取り除く
ーーそして、現在に繋がる葉山町教育長としての取り組みが始まります。
葉山に来て3年目ですが、人的な配置も含めて教育への支援が非常に手厚いと感じています。特に小・中学校に入っている教員ではない支援員さんはその多くが町の保護者の方で、葉山の教育に何らかの形で参画をしたいと思ってくれていることを非常に有り難く感じますね。
元々PTAの役員をしていた方が集まってできた、学校を支援する組織もあります。
そういう方々の個別の相談にもいつでも乗るように意識しています。
ーー町の人が主体的に教育に参加されているのは素敵です。葉山町に来られてから、具体的にはまずどのような課題に取り組まれましたか?
この町は先生も教育委員会もみんな熱心なので全方向に一生懸命取り組まれていて、その反面でどこに向かっているのかが見えないところがありました。だからまず、選択と集中をしていくために指針をつくったんです。これを見れば葉山の教育方針が分かるというものをつくりました。
https://www.town.hayama.lg.jp/soshiki/gakkou/14269.html
葉山町支援教育推進指針
「葉山町支援教育推進指針」
共生社会の実現に向けたインクルーシブな環境づくり 、社会情勢や教育的ニーズを踏まえた継続的な「あり方」の検討をベースに、 「すべての児童・生徒ができるだけ共に学び共に育つ仕組みづくり」、「多様かつ個別の教育的ニーズに合わせた連続性のある教育の実現」、「切れ目ない支援体制の構築」について示したもの。
ーー指針をつくるうえで、特に意識されたことはあるのでしょうか。
指針の受け手である子どもたちと保護者の方にとって、どういう教育理念を持っていたとしても反対するレベルのものは入れないようにしています。
町や子どもたちに対する眼差しを持って、誰もが根本で共感できて目線を合わせることができるラインで選定しています。