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不器用、劣等感のあった境界域息子。転機になった年長での「出会い」【読者体験談】

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年長でついに通所受給者証を取得できた息子。児童発達支援を受けることに


現在6歳の息子は3歳9ヶ月でDQが80で境界域といわれました。年長の6月に再度検査を受けたところ、DQ82となりました。

医療機関で診断を受けていないので、息子に発達障害があるかどうかはまだ分かりません。ですが、就学相談をし息子が一番過ごしやすい環境はと考えた結果、地元の小学校の知的障害特別支援学級へ進級することにしました。そして通所受給者証を取得し児童発達支援に申請をし、ついに通えることになりました。

障害児支援利用計画を作成。体験レッスンなどを経て2ヶ所の児童発達支援へ


まず、障害児相談支援事業所で息子の状況を聞き取ってもらい、「障害児支援利用計画」を作成してもらいました。そして、年長の間受ける児童発達支援だけでなく、小学校進学後もお世話になれそうな放課後等デイサービスを探したり、気になる施設は体験を受けに行ったり、これまでに知らなかった場所へいろいろ出向きました。
そして現在2ヶ所の児童発達支援で発達支援を受けています。


週1回ずつ違う施設に通うのは時間も労力もかかります。始める前は躊躇したところもありましたが、実際に始めてみるとすごく価値がありました。2施設の良さがそれぞれにあって、それが両方とも今の息子にも私にも合っていたと思います。

劣等感が強かった息子が自信を回復してきている……!


息子はお絵かきや運動などで不器用さがあったり、抽象的な話や複雑な話への理解が心もとないところがあります。年長になったあたりから、そのことに劣等感を抱いているような発言が増えてきました。お絵かきや字の練習を「へただからやりたくない」と言ったり、自宅で数字やお金の簡単な勉強をやろうと誘うと「ぼく、苦手だから」と言ったりするのです。またときどき「ぼくって頭が悪いのかな?」と聞かれることがあって、親としてはつらく感じることもありました。

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ですが、児童発達支援では、自分と似たタイプのお友達と小グループで、あるいは先生とマンツーマンでプログラムにゆっくり取り組めるので、自信を回復しているように見えます。
息子と同じように多動性やこだわりが見られる同い年の男の子2、3人と仲良くなりました。家では嫌と言ったら聞かないところがあったり、園では消極的な態度も見られるようですが、療育先では、お友達におもちゃを「順番に使おうよ」と言ったり、うっかり息子にぶつかってしまったお友達に「そんなに謝らなくていいよ、痛くなかったから」と言ったり、今までに見られなかった一面を見せているようです。

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プログラムは、お友達と一緒に工作をしたり、バランスボールなどを使って体を使った遊びをしたり、神経衰弱などのゲームをしています。

マンツーマンのプログラムでは、床一面に散らばった数字の書かれたカードを1から20まで順番に拾っていく(先生と競争で)など体を使いつつ視覚を鍛えるものや、「こんな場面ではどう思う?」といった問いに対して、「いらいら」「しょんぼり」「にこにこ」などと書かれたカードを選ぶゲームもしていました(このゲームは、息子にはちょっと難しい様子でした)。また、複数の質問カード(お昼ごはんは何を食べた?今日はどうやってここまで来た?など)をめくりながら、先生と交替で質問し合って回答するといったものもありました。

息子が積極的に物事に取り組む様子を見ると、胸が熱くなりました。

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思っていた以上に孤独や不安感を抱えていたことに気づいた私。そして息子の言動への新しい気づきも


私自身も、児童発達支援の先生方に関わっていただけたことで、救われる面が多々ありました。これまで自分が息子の子育てで孤独感や不安感を抱えていたことに気づきました。


児童発達支援では保護者のケアにも力を入れてくださっている印象で、先生方の傾聴力を感じています。
息子の家庭での様子について細やかな聞き取りを行ってくださり、私の話が長くなってしまっても、「息子さんに関する情報を、少しでも多く知りたい」といった前向きな姿勢で聞いてくださいます。息子の発達のことを夫や実家の母に話していると、「それは考えすぎでは?」などと、途中で打ち切られてしまうこともしばしばだったので、話を聞いてもらえただけでずいぶん癒されたのを覚えています。それから、療育先で先生が準備してくれていたゲームを息子がやりたがらず、教室をうろうろすることがあったのですが、「わがままですみません!」と言う私に、先生が「あれはきっと、今から何をさせられるのか、自分がゲームの内容を理解できるかどうか、といったことが不安だったんだと思います。息子さんは、今日やることを書いたボードをしっかり見て、何度も確認してくれているので、視覚支援があると不安感を軽減できるかもしれませんね」と教えてくれました。
私が「わがまま」「自由気まま」と思っていた息子の行動の裏に、まさか「不安」があるとは思っていなかったので、大きな気づきになりました。

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児童発達支援で恵まれた出会いに感謝。大切なことを教えてもらえました


児童発達支援のプロの方々の子どもへの関わり方には、大きな学びがありました。

息子のつじつまの合わない気まぐれな発言にもトコトンつき合う先生の粘り強さや、注意が逸れてしまった息子を、息子が気づくまで口出しせず、じっと待つ先生の姿に、大切なことを教えられています。
家庭内ではここまで丁寧に関われていないな、と反省すると同時に、だからこそこうした場での積み重ねに大きな意味を感じています。

児童発達支援でさまざまな出会いに恵まれたおかげで、息子は人と関わることが好きな子に育っています。今後もその良さを大切にして、来年から始まる小学校生活を楽しんで欲しいです。

イラスト/カタバミ
エピソード提供/苗

(監修:鈴木先生より)
児童発達支援でやっていることがそのまま小学校でも引き継がれるといいですね。小学校の教育方針は各地域の教育委員会に委ねられています。児童発達支援と教育委員会とが連携していれば引継ぎは可能かと思われます。また、DQがボーダーレベルですが、5歳を過ぎたらIQテストができるのでそろそろIQテストを受けてみてはいかがでしょうか?記憶や処理などの詳しいIQが分かり、細かな教育の配慮ができるはずです。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。
現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

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