不登校の子が「なりたい自分になれたよ!」と叫んだ海での授業。鎌倉市の唯一無二のインクルーシブ教育の形とは?
東日本大震災でもコロナ禍でもさまざまな分断が生じましたが、そういった分断を乗り越えていけるような学びや対話の形を、これからも追い求めていきたいです。
ーーインクルーシブ教育について文部科学省が示す方針については、どのように捉えられていますか?
インクルーシブ教育を含め文部科学省が示す方向性は、基本的にはいつも正しいことを言っているなと感じます。でも、その正しいことを子どもたちや学校教育の現場において、真に正しいものにどのように落とし込んでいけるかが大事なことです。福島での経験を踏まえて、鎌倉で実践していきたいと、今はそう思っていますね。
鎌倉は多彩な文化にも恵まれ、そして海や山という自然も近くにあり、学ぶ場としてとても豊かだと思っています。そして何より、多様な人がこの街を選んで、関わってくれている。まさに街としてもインクルーシブな環境の中で、鎌倉らしい教育の形をつくっていきたいです。
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その場所ならではのテーマやキーワードを見つけ、街の共感を得て推進する
ーーインクルーシブ教育の中でも、「鎌倉らしさ」について紐解いていければと思っています。鎌倉市が見据える未来について、教えてください。
鎌倉では、世界に誇れる持続可能な町、そして共生社会を市民と共創するというビジョンを掲げています。 市民一人ひとりがお互いに尊重し合って、支え合って、自らが望む形で社会との関わりを持ち、生涯に渡って安心して自分らしく暮らしていくというものです。とてもインクルーシブな考え方を持ったビジョンだと思っています。
ーー鎌倉市の教育が目指す方向と、重なる部分が大いにあると。
はい。まずは自分自身を認め、そのうえで他者を尊重し、違いがあるからこそ学びがあると理解する。
その上で、他者と協働しながら持続可能な共生社会の創り手へと育っていく。そんな視点に基づいているのが、鎌倉市の教育が目指す基本的な考え方です。
鎌倉らしさで言うと、一つは「如意」という禅の言葉があります。
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ーー「如意」ですか。歴史ある鎌倉らしい言葉です。
いわゆる如意棒の「如意」であり、意のまま、自由自在という禅の言葉です。自分の良さと可能性を認め、他者を価値ある存在として尊重し、目指したい方向を合わせながら進んでいく。
自分だけでなく社会として自由自在で幸福であることを尊重する。