子育て情報『自閉症長男、思春期男子に溶け込めずからかいの的に。「言い返しなさい」と伝えた母の後悔』

自閉症長男、思春期男子に溶け込めずからかいの的に。「言い返しなさい」と伝えた母の後悔


「もっとこうしなさい」ではなく「一緒に考えてみる」ことで得た気づきとは?

それからは、気が強く支配的なところのある男子が、たとえひどい言葉で“自分たちに従わず、周囲とは反応が異なる溶け込めないハル”を傷つけようとしてきても、以前ほどには気持ちが動揺しなくなりました。しかし、引き続きハルの気持ちを見守ってはいました。

小6のある日、ある強気な男子にひどい言葉で傷つけられ、ハルが落ち込んだことがありました。その頃の私は「もっとこうしなさい」ではなく「ハルと一緒に考えてみる」という発想を持つようになっていました。

そして「なぜハルはひどいことを言われるのか?」だけではなく、「なぜ相手はひどい言葉で傷つけてくるのか?」と、ハルと一緒に客観的に考えてみるようにもなりました。

これまでどうしても私は、発達が独特でゆっくりなハルを心配するあまり、「早く周囲に溶け込めるように、周囲と足並みを合わせられるように……」と考えてきました。ですが、そう考えることを少し改め、今ある状態を多面的に捉えることで分かったことがありました。

攻撃してくる相手は、実は自分自身の心の弱さを隠しているのだということ。
周囲とは異なる人を攻撃することで自分を保っている、そんな弱いところがあるのだということです。

自閉症長男、思春期男子に溶け込めずからかいの的に。「言い返しなさい」と伝えた母の後悔の画像

Upload By 安田ふくこ

そのことに気づいたハルも「じゃあ自分の心は、そんな小さなものに囚われなくて良いんだね」と前を向き、一回り成長したように見えました。それからはハルも私も、「強く見えるだけ」ではない「本当の強さ」とは何かを、いつも心に留めるようになりました。


トラブルを経験して、親子共に大きく変わった考え方

この高学年で経験したトラブルがきっかけで、親子の関係も大きく変わったように感じます。周囲に無理にでも溶け込ませよう、溶け込もうとするよりも、「そういうところがあるんだね。それも大切なあなた。よく頑張って生きている。
人とは違うそんな面も、私はとっても素敵だと思う」、そんなスタンスで向き合ったほうが、子どもにとっても親の自分にとっても良いということを心の底から感じたのでした。
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そして、そんなふうに至った思いは長男が高校生となった今でも、私と長男の関係の基盤となっており、日々を支えてくれているように思います。

執筆/安田ふくこ

(監修:森先生より)

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