「なぜ?」に着目!癇癪が起きる仕組みと影響しやすい3つの要因を作業療法士・野田遥さんが解説!
興奮のレベルは常に変動しています。興奮のレベルが高い状態から寝起きのような低い状態まで、同じ人でも常に変動していて波があります。重要なのは、この波の振れ幅や繰り返しのスパンには個人差があるということです。強い興奮が起きやすかったり、頻繁に興奮のレベルが変わったりする人がいるということです。
なぜ、興奮状態に癇癪が起きやすいかというと、興奮して感情的になっているときには普段できることもできなくなるからです。いつもは優しい口調で話せているのに、疲れてイライラしている時には意図せず強い口調になってしまうことは、誰もが経験することではないでしょうか。
コミュニケーションの複雑さという観点で考えると、叩く・叫ぶというのは比較的単純な方法です。発達するにつれて、以下の図のように単語で伝える、短文で伝えるなどレベルが上がっていって、最終的には交渉するといった複雑なコミュニケーションができるようになっていくわけです。
お子さまによって習得状況は違うと思うのですが、例えば、普段だったら「やりたくない」と口頭で意見を言えているのに、興奮状態の場合はその複雑なコミュニケーションができず、より容易な手段である「叩いて拒否する」、「泣き叫ぶ」という行動しか取れない場面があるかもしれません。
普段できる行動が取れなくなりとった行動が、結果的に「癇癪」だったのかもしれません。
このように、興奮と癇癪に関連性があると捉えると、興奮しやすい状況を把握し、興奮に至る前にクールダウンするなど、興奮の波のサインを把握して対応するということが、癇癪を引き起こさないために重要になってきます。
お子さまにどのような興奮の波があって、どういうタイミングに興奮状態が起こりやすいか、ということを知ることで、癇癪へのアプローチの手段が増えてくるのではないかと思います。
癇癪はなぜ起きるの?影響しやすい3つの要因
癇癪がコミュニケーションに用いられてしまうのはなぜか?ということについて、押さえておきたい観点が3つあります。
どうして癇癪が起きるのかというと、大きな理由の一つとして、要求を伝え、叶えるためのコミュニケーションの難しさがあげられます。誰もが小さい頃は癇癪のような行動をしていたと思います。
例えば赤ちゃんは、生理的な不快がある時、泣きます。
赤ちゃんには不快という状況に対して反応する方法がほかにないので、泣くことで示します。