「なぜ?」に着目!癇癪が起きる仕組みと影響しやすい3つの要因を作業療法士・野田遥さんが解説!
癇癪も同じで、不快だという感情を伝えるための手段として泣いたり、行動の形で示すことを機能としています。
ほかに訴える方法がなく、泣くことや癇癪で要求を伝えていたお子さまも、年齢が上がってくるにつれて、ほかのコミュニケーション手段が増えていくため、結果として癇癪が減る場合が多いのです。
一方で、うまく伝える方法がなかったり、気持ちのコントロールが難しかったりする場合には、癇癪を継続したり頻度や激しさが高まる場合があるかもしれません。ただし、年齢が小さい時とは、コミュニケーション手段としての使い方や意味合いが変わってきている場合があります。
単に不快さを伝えるシンプルな意味から、「お菓子が欲しいから」「遊びをやめたくないから」「その場所に行きたくないから」といったように、何かを獲得するため・嫌なことを回避するためといった、複数の意味を持つコミュニケーション手段として癇癪が使われている可能性があります。
Upload By LITALICO発達特性検査 編集部
癇癪は成長とともに落ち着いていくことが基本的には多いです。気持ちのコントロールが上手になってくるだけではなく、癇癪ではない形のコミュニケーションの手段を獲得していくからです。
先ほど「赤ちゃんはみな泣いたり癇癪を起こしたりして不快を伝える」という例えをしましたが、言葉の発達に遅れがあったり、伝えたい事に対してコミュニケーション手段が十分に獲得できていなかったりする場合は、ほかに要求を伝える手段がないから癇癪になりやすいとも考えられます。
また、年齢が小さいお子さまは体が未発達なこともあって、まだできないこと、思うようにいかないということが多く、失敗体験をしやすいことも、癇癪につながりやすい要因の一つかもしれません。
癇癪が起きやすくなる要因として、発達特性が関与している場合があります。例えば以下のような苦手なことがあると、要因1の興奮しやすさや、要因2の癇癪以外の適応的なコミュニケーションをとるのが難しいなどにつながりやすい可能性があります。その結果として癇癪となって現れるということもあります。
・気持ちのコントロールが難しい
・相手の意図を汲んだり、他者と自分意見を擦り合わせたりするのが苦手である
・環境の変化に弱い
・感覚の過敏さがある
先ほど、年齢が上がることで癇癪が落ち着くことがあるとお話ししましたが、年齢が上がっても継続することがあります。